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これが初恋だなんて気づかなかった
三田織先生のデビューコミックス。短編集です。
デビュー作の「まほうのおくすり」以外は、描きおろし後日談ありです。
特に好きな2作を。
表題作「白のころ」はザ・三田織ワールドといった作品。
都会からの転校生・藤。なかなか馴染めなかった藤の心をピュアな太一が解いてゆく。
太一への想いを自覚する藤。恋を知らず藤との関係性に戸惑う太一。そして藤は再び都会へ。
初恋のほろ苦い思い出で終わるかと思いきや、描きおろし「青のころ」でその後大学生になったふたりが・・・想像と受け攻め逆だったw
チビだった太一がでっかいワンコになってて可愛いかったです。
「クリスマスブルー」この作品がいちばん泣けた。
大学生あおいのバイト先の定食屋のお客さん睦彦さん。
あおいへ密かに想いを寄せる睦彦さんは、彼女へのクリスマスプレゼント代を工面しようとしているあおいに時給4000円の「お話相手」のバイトを提案する。話の展開としては正直言って突飛だなーと感じたんだけども、睦彦さんが「そうでもしないとホモの自分の相手なんかしてくれるわけない」と気持ちを吐露するシーンは思わず泣いちゃいました。睦彦さん健気すぎる(泣)
結局あおいは睦彦さんからもらったお金は使わず、彼女へプレゼントも渡さず別れることに。
お正月はなぜか睦彦さんちで過ごすあおい。睦彦さんへの想いが育ち始める…。
三田先生の描くちょっと切なくて優しい世界観にあふれた作品集でした。
作家買いしてる三田織先生の短編集でした。
5つのお話と、4つにはその後の描き下ろしつき。
最後のお話は三田先生のデビュー作だそうで、描き下ろし無しでした。
どのお話も優しさに満ちていて、読後はほっこりとした温かい気持ちになれます。
短編だけでは物足りない部分を描き下ろしで補足してもらえる、安心感。そんなところまで優しい。
どれかにフォーカスするとすれば、最後の『まほうのおくすり』でしょうか。
高校時代の辛い思い出から、出会い、幸せな現在の2人の生活。
"まほうのおくすり"はもう必要ないんだよっていうお話なのですが、くすりの中身をああいう風にすることで母親の気遣いや愛情も感じられて、ちょっと辛い設定ですがそれを昇華できる展開になってるのが素晴らしいと思いました。
こんなに短いお話で色々考えさせられて、読後感の良い作品はなかなか無いのでは。
こういう作品をもっと読みたいなぁ、って思える一冊です。
◆白のころ(表題作)
初っ端から可愛い中学生達だなぁと、萌えと胸キュンが止まらない2人でした。背が小さくて丸っこく、目も純真でくりくりな太一が可愛いのはもちろん、思春期に都会から田舎に転校になりもっと不貞腐れていてもおかしくなさそうな藤本が、バスケや雪ではしゃげるところも年相応で可愛くて。藤本の告白によりぎこちない別れになってしまった2人は大学で再会し、恋人に。ここで体格差が逆転して、太一が攻めなのがまたたまらないんです。顔は可愛い系のままだし、おっとりした性格も変わらないけれど、幸せ過ぎて不安がる藤本を、穏やかでどっしり構えた言葉で安心させるところに、イイ男になったなぁと思いました。
◆オフィーリア
好きな絵の作者だという先輩・由良を、真っ直ぐ追いかけ続けた葉山が素敵でした。何か気に障ることを言ってしまったかも、と思ったらすぐ戻ってきて話したり。本当に素直なんです。一緒に海に行って楽しそうにしている様子も、これは愛おしいと思わずにはいられないよなぁと。傷心だった由良が、新しい恋に踏み出せた嬉しそうな表情が印象的でした。
◆クリスマスブルー
大学生に時給4000円を払って話し相手になってもらうサラリーマンの話。なかなかのトンデモ導入ですが、あおいとただ一緒に過ごしているだけで満たされている睦彦を見ていると、いくつになっても純粋な恋ってできるものなんだなぁと温かい気持ちになります。でも、今までの寂しさが募りに募って爆発した、彼の本音は切なくて。結局はなあなあで付き合っていた彼女と別れたあおい。彼はただ孤独な睦彦に絆されたわけではなく、今まで共に過ごした時間が彼の心に沁み込んでいたんだろうなぁと思います。
『白のころ/青のころ ~藤のきもち~』
中学生の太一の通う学校に都会から藤が転校してきます。
田舎っ子たちの間で都会の子として浮いている藤でしたが、
バスケをきっかけに2人は仲良くなり…。
坊主頭に太眉の純朴な太一とイケメンで
同年代の子たちに比べると大人びた藤。
恋の甘酸っぱさを先に知ったのは藤でした。
友情から恋に変わるとき、一足先に恋をしてしまった藤と
真っ白なままでまだ恋を知らない太一のすれ違いが切ない…
このまま終わってしまうの?と思ったら…
なあんだ、そういうことか。
思わず頬が緩んでしまいました。
描き下ろしは2人の再会と恋人同士になるまで、なってから。
小さくて、子ザルのようだった太一が大きくなっていてびっくりです。
これは完全に攻受交代です(笑)
でも、中身は相変わらずで、大きくなっても素直なまま。
幸せいっぱいな2人がすごくいいなぁ~
『春は半歩先/春が来ちゃった ~幸男のきもち~』
彼氏にフラれてしまった森口。
気持ちの整理がつけられず、元カレの花屋を覗きに通っていると、
現場を社長の甥っ子に目撃されて、花屋の〝女性〟店員に恋している
と勘違いされてしまい…。
社長の甥っ子・幸男が能天気でおせっかいで、
はじめのうちはそんな彼にイラっ☆としてしまいました。
だけど、ちがった、本気で良かれと思っているみたいで、いい奴でした。
酔った森口にゲイであることをカミングアウトされて、
「ゲイの苦しみがわかるのか」って言われて、
引くでもなく、逆ギレするでもなく、真顔で考え込んで
「わかんないや」と真摯に答える姿にイメージアップ!
描き下ろしでは
「俺のこと好きになってもいいよー」なんて言われて
赤面しちゃう森口と、ゲイじゃないくせに
そんな森口の反応にドキドキしちゃう幸男のやりとりにニヤリ。
もはやバカップルでは?と恋の予感を感じ終えます…。
『オフィーリア/その後のふたり ~葉山のきもち~』
一枚の絵が繋いだ2人。
学園祭の催しで由良はずっと憧れてきた絵画の作者に出会います。
過去に悲しい恋の思い出を抱える葉山だけれど、由良に救われて良かった…。
描き下ろしでは由良の憧れが恋に発展して…。
葉山の方ではとっくに恋になっていたんだね。
鈍くて、初々しくて、もじもじする由良が可愛かったです。
葉山先輩、頑張って!
『クリスマスブルー/お正月ピンク ~むっちゃんのきもち~』
彼女に高価なクリスマスプレゼントを買うために
掛け持ちバイトを探していたあおいに常連客の睦彦が声をかけてきます。
それは突然の〝愛の告白〟と、〝話し相手になる代わりに時給4000円払います〟
というものでした。
怪しみながらもお金が必要だったこともあり、引き受けてしまうあおい。
そこにある想いは誰よりも純粋なものなのに、
お金という不純な動機から繋がった睦彦とあおい。
はじめはただのお金目当てで、睦彦には無関心なあおいだったけれど、
一緒の時間を過ごすうちにあおいの中で何かが変わり始めて…。
「俺ホモだもん」なんてそんなこと言わないで。
お金でしかあおいを繋ぎ留めれないって思ってるの?
なんでそんな悲しいこと…
だけど、きっとこんな風に自虐的になるしかないような
たくさんの辛いことがあったのかな…と切なくなりました。
睦彦が健気で、一途すぎて泣きそうに泣きそうでした。
描き下ろしではそんな睦彦がほんの少し報われます…よかった~(´;ω;`)
本編でがんばった睦彦へのご褒美パート。
睦彦の健気さに心打たれ、やっと正面から向き合いはじめたあおい。
まだ恋にまではいかないけれど、これはきっと恋の予感♡
ばあちゃんが寝たふりしたり、フォロー入れようとしたり
しているのに笑いました。
『まほうのおくすり』
同性愛者の息子を病気といい薬を作り、
幸せになれないなんて呪いの言葉を吐き続けてきたお母さん。
だからこそ、今、好きな人に出会い、愛し合い、
幸せそうな2人があることにこの上なく幸せを感じた。
ある意味、このお母さんもちょっと病気なのかもしれない。
ありのままの自分を見ようとせず、受け容れるようで拒み続けてきた
母親を捨てるでもなく、受け容れようとする終わりは意外に後味は悪くない。
恋未満のお話から、恋が成就するお話、
恋に破れてまた新たな恋の予感が訪れるお話、
と色んな恋の形が詰め込まれた短編集でした。
決して派手ではないけれど、どれも心に突き刺さる
すごく素敵な話ばかりでした。
一つ一つのお話が読めば、いとおしさで胸がいっぱいになりました。
描き下ろしだけでは物足りなくて、もっともっと
その後の彼らのお話を読んでみたいなあと思ってしまいました。
三田織さんの初コミックです。
良かった!なんか上手く言えないけど空気感とか距離感とかキャラとか時間の流れとかみんな良かったです。
表題作は田舎の中学に横浜から藤が転校してきて。都会からのイケメン長身バスケもできる転校生。
太一が裏庭のバスケットゴールを使わせてあげて仲良くなっていきます。
しかしこの時点ではまだ太一が子供過ぎて…藤の想いに応えられません。一緒にかまくら作って中学卒業と同時にお別れ。
そして3年後大学受験会場で太一が腹痛を起こして座りこんでる所に知らずに助けに声をかける藤。
びっくりする二人。
そして太一が藤が初恋だったよと告げて。
そして現在、同じ大学に通ってお付き合いもしてて。藤にとっては太一は忘れられない人で、出会ったのも再会できたのも付き合えたのもみんな奇跡の連続で、一生の運を使い果たしたのではないかと。
そしたら太一が運命だよって。
あー太一だなあ。ちょっと大人になって藤を受け止められて。
本当に良かったなあ。あの頃には出来なかった事が分からなかった言えなかった恥ずかしかった事が皆出来るよ。