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エロ少ないし、単純に「好きです」「俺も」な展開にならないなんとも変わった作品集。
恋愛過程を描いたBLというよりは、いろんな性癖のひとがいろんなシチュで同性とどんな関係を築くのか…というのを何パターンか集めたカタログ集みたいな。
シビトさんをよく知る人ならなんとなくわかるかと思いますが、シビト節炸裂!ってかんじのバラエティパックになってるので、この作家さんが初見の人は少し戸惑うのではなかろうか…(苦笑)
羨ましいくらい胸がキュンキュンしちゃう甘々系やほのぼの系はないのでご注意を。
「え、これ、レンアイ?…なのか!? 愛あるの?どこに?」みたいな話も多い。
かといってつまらないかというとそんなこともなく。
シビトさんと相性がよければ癖になるような独特の雰囲気のある作品集です。
■優しくしないでないちゃうから
表題作だが、表紙イラストのふたりではないので注意!
これはM体質のストーカーの話です。
ゾッとするエピソードがもりもり。
ストーカーモノ苦手なのでこの主人公に共感することもなく、「ひぃ~~…怖い~~」と思いながら読んでました。
被害者である男は人前では拒否ってたけど、まんざらでもない様子?
妙な余韻とかあって雰囲気あるショートでしたが、私には理解できない分野のお話でした。
■花村君とミーコちゃん
保育士とゲイの青年の話。
保育園に通う姪っ子の送り迎えの際に出会った保育士に惚れるという話。
とくに進展もなし。
同じく保育士に懐いている姪っ子が「先生はパパみたい」とつぶやく意味深な終わり方をしているのが印象的。
解釈はご自由に~みたいな。
■青春ディストリクト
高校生同士。
周りと打ち解けないミステリアスボーイに興味を持った同級生が、なんやかんやと彼を構ってラブが芽生えそうになったものの、相手にゲイだと打ち明けられたことで、特別視していたのが勘違いだったと気づき、容赦なく突き放す話。
よく知らない相手に対して自分が勝手に抱いていた幻想や憧れが、ふとしたことでぶち壊されて勘違いだったんだ…と知ることってたまにあるけど、それが高校生という多感な時期に、同性相手に起こってしまった一人の男子の動揺とかが描かれている。
後味がいい話じゃないけど嫌いじゃない。
■農業高校ロック青春4号室
これが一番好きだった話。
農業高校の寮が同室の高校生同士。
脳天気なおバカキャラ×クールでそこそこおバカな美人キャラ。
受けの方が、ライアーゲームのときの松田翔太を高校生にしたような雰囲気あるべっぴんさんで、やたら萌ました。(個人的すぎる上にわかりにくい表現でスミマセン…笑)
とにかく、エロ描写はほぼないのに、むやみやたらとセクシーで色気のある受けなんです。
でも、やってることは攻めキャラと同じくらいおバカなことなので、アホでバカな高校生がバカな遊びをしてる感じがとっても面白い。
で、バカやってるうちに、なんでこんなくだらないことで楽しいのか考えて、「ああ、こいつがいるからだ…!」と気づくみたいな展開です。
ときたま「ドキっー!!」ってするくらい真面目な顔の描写とかあって、おもわずキュンとさせられたり。
作家の遊び心満載な作品。
■マジックポーションの白昼夢
『農業高校ロック青春4号室』の続編。
卒業旅行にエジプトに行ったふたりが、遭難して変な洞窟で変なポーションを飲んでムラムラしてエッチする話。
擬人化スフィンクスとか出てくる、相変わらずおふざけ満載な話。
■everyday,おじいちゃん
近所の囲碁好きじいちゃんと仲良くなった金髪ピアスのおバカ高校生が、じいさんの若い時の写真をみてから、その写真の頃の美人なじいさんと妄想の中でセックスする話。
たしかに若い頃のじいさんはセクスィーでした。笑
■この気持ちは恋に似ている/この気持ちは愛なのかもしれない
タイトルは違うけど、表紙イラストの二人はこの作品のコンビです。
一見優等生なメガネキャラだけど実はめちゃめちゃ喧嘩が強い高校生と、彼にこてんぱにされて口に靴を突っ込まれた喧嘩好きで腕に覚えのあるヤンキー高校生の話。
屈辱感からなんどもメガネに喧嘩を挑んでは、負けて悔しい思いをする…というループから、双方の間で徐々に歪んだ愛が芽生えて…みたいな。
恋愛なのか師弟愛なのか何なのか…言葉でくくれないような拳を交えた男同士の絆を描いた作品です。
エロ無し、夢オチのキスのみで、暴力シーンが多いけど、これも一種の愛なんですかね。
不思議な読後感のある話でした。嫌いじゃない。
あまーいラブコメとか、愛のあるエロとかそういうのを求める人は戸惑うかもしれませんが、独特の雰囲気がある作品集なので、いつもとは違った刺激のあるBLがみたい時にオススメです。
《個人的 好感度》
★★★・・ :ストーリー
★・・・・ :エロス
★★★★・ :キャラ
★★★★・ :設定/シチュ
★★★・・ :構成
babyで掲載されていた短編が1冊にまとまりました♪(なのにgateau)
ヤンキーとかアラブとかドドMとかお父さんとかバンドとか、今はCOMIC Beになってしまいましたから、懐かしいアンソロですねー。
そして、いつものシビトさん流の痛いトゲのある作品から思わずびっくりの楽しいものまで、実にバラエティ豊かデス!
タイトルに「寄せ鍋」って付けようとおもったんだけど、それじゃぁなんとなく~だったので、あたってビックリの意味を込めて「闇鍋」ってつけてみましたwww
実は表題とカバーイラストは違います。カバーは【この気持ちは恋に似ている】の二人です。
好みの別れる作家さんと作品ですが、自分はとっても大好きデス☆☆
表題・・・これですねメチャクチャダークで怖いです!!(でもそれが魅力v)
一生懸命追いかけているのに、すげなく辛くあたり、暴力まで振るう恋人。
しかし、暴力を受けて主人公は、自分は愛されてるって実感するんです。
かくして真実は・・・ただのストーカーです!!しかもドMの!!!
かなり歪んでいる主人公が恐ろしいのですが、その執着が消える瞬間もまた恐ろしい。
まさに、正真正銘のドMの話です。
【花村君とミーコちゃん】ほのぼの
シビトさんの過去作品や同人でもちょくちょく登場する愛の旅人(w)花村君。
彼は姉の子供を一週間預かり、毎日幼稚園の送り迎えをするのです。
ミーコちゃんを見ていて、気がついたこと・・・お父さんを求めていた!?
花村くん、恋多き人だったからな~この保育士にまた惚れたりしたんだろうか?すごくその後が気になっていたのですが、、、続編はありませんでした
【性春ディストリクト】痛切ない
クラスで浮いている同級生・成井が気になって声をかける東陽。
彼の過激な行動に同じモノを見た気がした東陽は、成井が好きなのかも?と思い始めたとき、成井は男が好きだと告白される。
まだ未熟な思春期がゆえの、認識の違いによるスレ違いが切ない。
本当は二人とも恋だったはず・・・
【農業高校ロック青春4号館】【マジックポーションの白昼夢】ほのぼのコメディ
農業高校3年生の旭は、寮で同室の丸子にバンドやろうぜ!と誘うのだが、経験もなく楽器もなく、二人だけで挫折しそうになるのだが、どうしてそこまでして旭がバンドがやりたいかというと、理由は丸子と一緒にいたいからという理由だったw
旭のおばかなんだけど一途なかわいらしさと、丸子のしようがないな~と言いながら旭が好きな様子が、なんか今までのシビト作品と違う楽しさをかもしている。
そして『ポーション~』は卒業旅行でエジプトに行った二人が砂漠で遭難して・・・の珍道中の話です♪
【everyday,おじいちゃん】じじ受け
今年出たアンソロ「BLT48」に載っていたジジ受け~&48手♪
おじいちゃん受けといっても、妄想の中でじいちゃんの若い頃の美青年の姿でやっておりますのでご安心をwww
【この気持ちは恋に似ている】【この気持ちは愛なのかもしれない】ヤンキー
自分が負かした不良が、雨宮という違う高校の生徒にボコられて病院送りになったと聞いて、ケンカ上等でしかも強いと自負しているヤンキー照井が、ケンカをけしかけるのだが、何度挑戦しても勝てないて、半分ストーカーになっているという話。
照井はちょっとアホかもwww
雨宮は、つきまといボコられながらも食いついてくる照井のしつこさに楽しささえ覚えている。
これって、やっぱり歪んでるけど、愛なんじゃ?
実はこの雨宮が外見と実のギャップが大きい、大変に萌えツボな人物。
ガクランに眼鏡に黒髪!一見優等生風のモヤシなのかと思いきや、自分はまったく乱れることなく照井や他のヤンキーを傷だらけにしてしまう強さ!
たまりませんね~また、この意地悪そうなツンとした表情がドSぽくて色気があります♪
短編集、Kindle unlimitedにて。初めて読みこの作風にハマりました。出会えてよかったー!
BLというよりもゲイに悩む作品(表題作、東陽、保育園の)がいくつかあり、短くも印象的でどれも落とし所もよく、程良い毒気がツボでした。
「青春ディストリクト」
文化祭の衣装をカッターで切り、先生の茶髪にインクを流す成田。まっ黒な目で見つめ一見不気味に見える彼がふとこぼす「なぜ誰も疑問に思わないんだろう」や暑い時の気怠い表情、涙は人間のいくつもの側面が描かれていて素晴らしい短編。そこで自分の気持ちの変化に気づく主人公も、「こいつのことが好きだなんて…!><」っていうベタな感情表現でなくて繊細だった。自分もこんな風に人の多面性を見つけ受け入れ、感じたいと思った。
「この気持ちは恋に似ている」はいくらでも読みたいくらい最高でした。真面目キャラの最強雨宮を絶対のす、とストーカーと化している不良照井のギラギラの表情が凄く良い。二人の体の動きやコマもカッコいい。程良いコメディ感がありつつ、照井の鞄に入っている本(本当につまんなそう)のセンスも抜群に味わい深い。
高校を刑務所呼ばわりする二人の話もバカっぽくて凄く良い。良いなぁー。
みんな、膿んでる。
病んでる受け。殴ってもらえて、愛してもらえてると思ってそれが、幸せに感じるなんて、逆に羨ましい。栄さんをどこで見付けたのか気になる。(受けが思いを寄せてる人。)栄さんは受けの事ただのストーカーで知らないみたいだし。
成井くんの話は切なかった。逃げんなよ、意気地無しって東陽に言ってやりたいね。
丸子の話が一番好きかも。両思いになって、卒業まで犯りまくられて…大学落ちるっていう何ともまあ悲惨な丸子さま……。農家に嫁いで明るい未来が待ってるよ。
エジプトって不思議だね。
雨宮さんに惚れました。
何、この本・・・
これが読後の正直な感想です。
まず初っ端の表題作「優しくしないで泣いちゃうから」で度肝を抜かれました。
甘めなタイトルなのに中身は完全に病んでるストーカーのお話だし、
かと言えば、「農業高校ロック青春4号室」なんてタイトルからイメージできるようにちょっとお馬鹿な二人の青春もので、恋を自覚したときのみっともなさといい描写が秀逸で神です。
初読みの作家さんなんですが、振り幅の広さに驚きました。
ちょっと私の好きな斑目ヒロさんとか麻生ミツ晃さんとかを思い出しました。(コミカル系から病んでる系までという意味で)
何故か数日経つとまた読みたくなってしまう。
ちょっとすぐには理解しづらいんだけど、でも理解したいから何とか自分のものにしたくて見ちゃう・・って感じで完全に作家さんの罠にはまった感じ。
ちょっと気になる作家さんなので、他の作品も読んでみようかな。