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表題作恋愛できない仕事なんです

塚原一頼,後輩の刑事,29歳 
本名映視,警視庁組対薬物科の刑事,32歳

その他の収録作品

  • キスさえできない仕事なんです
  • あとがき

あらすじ

警視庁、薬物捜査係の刑事・本名は後輩の塚原のガサツさが嫌いだ。
苛つく本名に対し、改める気配のない塚原の態度がまたストレスだった。
ある日一斉摘発があり、事件に関わった男をとり逃がした二人。
手がかりを得るため男の恋人を取り調べていた最中、本名は「あなたってさ、恋愛したことないでしょ?」と指摘される。
言葉の意味を測りかねていた時塚原にゲイバーへの聞き込みに誘われ、出かけていった本名だが……!?

作品情報

作品名
恋愛できない仕事なんです
著者
砂原糖子 
イラスト
北上れん 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
シリーズ
恋愛できない仕事なんです
発売日
ISBN
9784403523250
3.6

(95)

(16)

萌々

(48)

(21)

中立

(6)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
20
得点
341
評価数
95
平均
3.6 / 5
神率
16.8%

レビュー投稿数20

職場恋愛

刑事同士の職場恋愛。
先に、続編の「愛になれない仕事なんです」を読んでしまったのですが、この二人がどうやってくっついたのかがこちらで読めました。

最初は塚原のことをいけ好かない奴…の認識だった本名。
でもある事件で恋愛したことない汚名を着せられ、悩んでしまう本名。そんな彼をゲイなのでは?確かめようと言う塚原。
乗っちゃう本名も本名ですが、酔いのせいもあって塚原に乗っかられる事態に。でもそれが本名の本当のところを引っ張り出してしまう。

いやはや、本名、可愛い。(塚原も言ってますが)
だって、パチンコの景品でもらった携帯灰皿を「使わずに」大事に持ってるんですよ!しかも、それを落としてしまい、自慢の武闘で隙が出来ちゃったがために囚われの身に。もちろん塚原が助けに来るんですが。
後生大事にする安物の携帯灰皿。女子高生か!ってくらいの乙女心を持ってんじゃないかなぁ。


なかなか思うようにならない仕事ながら、彼らはそれを理解できるだろうし、上手く続いてほしいな。って、続巻があるので続いてるんですが。
北上れんさんのイラストが相変わらず素敵でした。

0

刑事のお仕事BL

限りなく神に近い萌2です!刑事ものですが、バディという華麗さ(?)より市民のために地道に捜査に明け暮れる警察のお仕事という印象で、それがなんとなく砂原先生らしい気がして、とてもよかったです。北上先生のイラストの表紙がイメージ通りの2人。手の表情が色っぽくて素敵すぎます!!!

仕事に忙殺されてプライベートはなおざりな日々を過ごす薬物捜査係の刑事・本名は、取り調べ中に逃亡犯の恋人から指摘された「恋愛したことないでしょ?」に、埋もれていた恋愛の痛点が刺激され、生意気な後輩の視線や憧れの上司に対する自分の気持ちに、今までとは違う意味を見出していくのですが…。この一言を機に、恋愛DT本名が、恋を知っていく過程が、事件の捜査と同時進行する萌え萌えドラマです。年下攻・後輩である塚原の無自覚先輩のプロファイルと状況証拠が的確過ぎて刑事らしさ満載ですw。

捜査の一環と称してゲイバーに2人で行くところから急展開していきます。やっぱりお酒が入ると堅いお仕事してても開放的になっちゃうのか、「自分がゲイかどうか試してみればいいですよ、ちょうど俺溜まってるし!」と塚原に誘われ自宅へ連れ込まれる本名が、武道の有段者で普段はヤクザとも渡りあうのに一転してチョロい受化するギャップに萌え…。塚原が(たぶん感極まってうっかり)「…嬉しいな」と漏らすんですけど、攻としての喜びがダダ漏れてきて、“よかったな~”の気分になりました。しかも、スケベのたびに(忙しすぎるから2回だけど)嬉しい言う攻、可愛すぎる!

書き下ろしの“キスさえできない仕事なんです”では、東京から出張して和歌山で犯人張り込みの2人に当て馬、本名の先輩・皆川が登場するんですが、この当て馬と攻のバチバチが、最高にい~感じなんです。再会でスイッチ入ってる皆川に対して、塚原が独占欲丸出しで牽制するのが大人気なくてたまらん。本名のこと大好きだったんだな~といろんな言動から伺えるだけに、皆川の恋心が不憫だったりもしました。出会ったのは先だったのに!

あと、塚原が本名にプレゼントするパチの景品・携帯灰皿のエピがとてもいいんですよ。恋愛DTなので、“好き”ってどうするんだっけ?な本名なんですけど、おそらく本人が自覚している以上に塚原のことが好きなんだなとわかるんですよね。

書き下ろしの終わりで冒頭の事件が解決するのですが、その解決方法が、恋を知った本名らしくて人情味あって、しみじみいいのです。
恋愛DTの目覚め物語としては見事に完結していますが、続編があったら絶対読みたい攻受でした。

0

お仕事と恋愛のバランスがちょうどいい

お仕事ものって萌えとのバランスが結構難しいと思うんだけど、これは、どちらもいい感じ。
バディとして一緒に張り込みしたり、聞き込みと称して飲みに行ったり、仕事を通して自然と相手を理解して距離を縮めていくのがいい。
受けはそこそこいい歳なのに鈍いというか、恋愛音痴なところがある。
だけどボーッとしてるわけじゃなくて、生真面目に内省して、それをきっかけに犯人の心理を分析する。仕事上での心の動きが恋愛方面にもちゃんと生かされてくるので、仕事ばっかりで恋愛がなかなか進まない、というお仕事ものにありがちなフラストレーションをまったく感じなかった。

当て馬のキャラもいいし、うまく二人の仲を掻き回してくれる。攻めの嫉妬が美味しくて、ふたりのちょっとしたやり取りに、ニヤニヤしたりハラハラしたり。最後まで引っ掛かるところもなく、終始にやけながら読んじゃった。いやー、面白かった。

そして、北上れん先生はスーツ男子が上手い! めちゃめちゃセクシーで、もーうっとり。勿論スーツを着ていないシーンもセクシーで、全てが眼福です。
男らしい受け、バディものが好きな人、刑事ものが好きな人なら絶対外さない作品だと思う。

1

受けが疎すぎて、攻めに同情(笑)

読み始めは反りが合わない同志のお話かと思いきやそう思ってるのは受けだけで、攻めは受けのことを……というのが透けて見えるところがたまらなく美味しかったです。

刑事だから「恋愛できない」のではなく、この受けならどんな職業に就いてても恋愛できなさそうだなぁって思いました。
人として難があるのではなく、秋波を送られていても全く気づかない超ニブチンかつ、超絶疎い恋愛音痴だから。

そんな自分には目を背け忙しい仕事だから…というのを言い訳に10年以上も恋愛から遠ざかっていたのだけど、取り調べ最中に「あなたってさぁ、恋愛したことないでしょ?」と被疑者から指摘された事をきっかけに「恋愛したことがない自分」について考え始めてしまう受け。
そんなある日、聞き込み捜査の一環ということで攻めに誘われたのがゲイバーで……。

攻めがなかなかの策士だなぁって思いました。
ずっと片思いしてたくせに「媚びてどうなる人ではない」と解っているので必要以上に擦り寄るようなことはしない。
(もっともそのせいで、受けからは生意気で反りが合わないと思われてしまっていたのだけど。)
だけど他人から指摘されて以来、受けの頭の中に「恋愛」の文字が登場した気配を見るやいなや、今だ!!とばかりに自分のテリトリーであるゲイバーへ誘い込み、言葉巧みに誘導しベッドイン!
そしてシレッとした顔で自分のシャツを渡して、受けの彼シャツ姿を堪能してたり…などのだまくらかす感が萌える!

だけど決して腹黒なのではなく、受けを初めて抱きしめることが出来た時に、
「……嬉しいな」とポツリと言うところが、すっごい萌えたー!!
本音が思わず漏れてしまった……という感じで。

そしてあまりにも受けが疎すぎて攻めに御愁傷様って言いたくなります。
アツい夜を過ごした翌朝。
「まだピンとこないけど俺はゲイかも。」
→攻めの思惑通り。
「係長のこと好感持ってるのは確かだし、ちゃんと考えてみるよ」
→なんでそーなる!!!

あまりのトンチンカンぶりに、ズコーッ!!
係長に対する好意はどっからどう見ても、いい人だなぁというやつでしょーがっ!!!
自分の気持ちの見分けがつかないとは重症だわ…


【キスさえできない仕事なんです】
当て馬である先輩が登場。
受けのお尻を揉む同類なのに鈍い受けは気づいておらず、攻めはヤキモキしまくります。

先輩を軽んじる発言をしてしまった攻めなんだけど、任務を終え解散するときに、先輩を敬礼で見送ったシーンがビシッと格好良くて痺れました。
男同士のアツイものをヒシヒシと感じました。(ラブとは違うけど)
お仕事BLでもありますが、捜査一課が何なのかも知らず、この本を読んでへぇ、勉強になったわと思ってるほど刑事もの音痴な私ですが、事件がそこまで複雑すぎず読みやすかった点も◎

そして北上さんの挿絵が眼福で最高だった。

2

本名が半端ないって

砂原さんのお話は好きで結構読んでいるのですが、何故か読み落としていたこのシリーズ。
ひねくれ者なので『王道まっしぐら』という感じがして避けていたのかもしれないと読んでみて思いました。
こんなに面白いのにアホでした。

好感を持って読み進められたのは、本名が『事実に対して真摯に向き合おうとする』タイプの人だったからなんだと思うのですよ。
出版社あらすじにある様に、本名は麻薬取引の一斉摘発で取り逃がした男の連れと思わしき女性の取り調べの最中に「あなたってさ、恋愛したことないでしょ?」と言われます。
最初はその言葉に(実に確信を突いた嫌味だったので)傷ついて、えらく気にしているだけなんですけれど、そんでもってそれがきっかけとなって塚原にゲイ疑惑を言われ「試しに」とか騙されちゃってあんなことをするまで流されちゃうんですけれども。
確かにこの辺はどこかで読んだことがあるお話なんでけど、ここからが凄い。
その後、塚原へ気持ちが動いていくのと同時に、ずーっと気になっていたその科白がまた出てくるんですよ、本名の中に。科白の影に隠れていた彼女の心境に気づいていくんです。
ここがねー、良いのですよ、実に。

本名が塚原に惹かれていく気持ち、つまり『恋を知る』ことによって彼女の気持ちを理解していくのと同時に、他人の気持ちを疎かにせずに、事件の陰にある関係を見ていこうとする本名の『刑事としての真摯さ』とか『加害者を悪人として切って捨てないヒューマニズム』だとかがクッキリと浮かび上がる構成になっているんです。
ああ、そう言えば砂原さんは『(実は)生真面目』な人を書くのが上手い作家さんだった。

ここが丁寧に書かれていたので、塚原が何故、これだけ本名にメロメロなのかが良ーく解ったの。
確かに、これは惚れるわ。
仕事を離れれば、素直に慕情を表明したりするし(読んでる私はもう既に知っていたからそれほどではないけれど、突然あんなことを言われちゃった塚原はギャップ萌えで爆発したんじゃないかと思う)。
刊行は2013年だけれども、私が今年読んだBLで『受け王座決定戦』を行ったら間違いなくメダル授与ですよ!避け続けずに読んで良かった。
まだの姐さまは是非ご一読を!

2

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