イラスト付
煌めく才能の光と影…
望むと望まないとに関わらず、世界にスターダストを降らせる「アーティスト」という業…
ミュージシャンと画家。2人のおずおずとした近づき方は、恋模様というより運命。
正に、君だけが僕の奇跡。僕だけの奇跡は、君。
そこには、説明のつかない現象があるけれど、確かにこういう奇跡もあるのかも、と思わせる。
作品を世に出さずに隠遁している画家の武。「色」が見えない人気バンドのメンバー・慎吾。
普段色の見えない慎吾は、武の描く色「だけ」は見える。その色たちは慎吾の世界を揺り動かし、慎吾そのものを変えていく。
その想いは「恋」になって、武にぶつけるけれど。
武が絵を世に出せないのには理由があって、これがかなり重い。
武の描く世界は、慎吾の色の無い世界を初めて彩った。でも過去には人ひとりの絶望を生んだ…
一度彩りを知った慎吾だけど、いよいよ本当に光を失う診断を受けて、それを知った武はある行動を起こします。
それが、慎吾の方が武に起こしたある奇跡。
一歩間違えたらメルヘンに転びかねない恋物語だけど。
お互い背負う秘密がある大人の男性同士。
年の差もあって、「才能」という業を抱えて。
そんな2人に起きる恋の一部始終は、優しくて少しだけ哀しい。
すごく良かった!「萌x2」で。
(あ、レビュータイトルは「Ziggy Stardust」の昔の邦題です)
世界がガラッとガツンとじわじわとひっくり返される奇跡!!
武の絵で、慎吾の歌で世界が色付いていく!
押せ押せの慎吾に怯む武だけども、お互い才能揺さぶられあって、存在が無視できなくて、前に進んでくのがとても良かったです。
読んでるこちらも揺すぶられました!!
甘々ラブラブなとこは少なくても、掴みどこのない武のふにゃりとした笑顔やどうにもならない熱を貯めてく慎吾にキューンとなりました!!
武がよしよし仕方ないなって思うほど、子どもっぽかった慎吾が色を得て、大人に変化してく様も熱くて、見守る周囲の人もとても良い。距離感がステキです!!
慎吾の色覚が弱いことに関するできごとは説明がつかないことだけど、こんな奇跡が起きたことに胸いっぱい!
武の言葉が心強くて、喜びでいっぱいな未来に通じてくよう!!
淡々と、でも情熱いっぱいの疾走感ある文体も心地良くて、清々しい読了感です!
読み終わるのが惜しくて、少しずつ読んだ作品。
凄く感動しました。良い話だった。
武太一郎は、芸術家一家の長男。
才能は有るけど、理解者に恵まれず、自信を持てない画家
倉沢慎吾は歌手。
実は色難で、白黒の世界の中で生きてきた美少年。
モノトーンの世界の中で、唯一武が描く絵だけは、色が分かる。
武が描いた壁に貼られたポスター、
その絵の花の色だけは視えて脳に入ってきた。
・・白黒世界の暗がりの中で光るように、その絵の花の色だは生まれて初めて視える。
・・どんな衝撃を受けたのか、想像できない。
難聴の赤ちゃんが補聴器を付けて
初めて両親の声を聴いて親子で泣いている動画の光景を連想してしまった。
こんな冒頭で始まる二人の馴れ初め。
何故武の絵だけ、色が視えるか謎だけど、
色難の歌手に奇跡を起こした画家は、絆されて美少年歌手の恋人になっていく。
紙本で読んで良かった、何度も読み返したい。
とても素敵なお話で、
読み終わった後の清々しい気持ちは言い表せません。
タイトル通りのお話に目頭は熱くなり、心が震えました。
ちょっと意地悪な訳ありシンガーと、
優しい絵画教室の先生の優しくて愛おしいお話です。
現実とファンタジーが入り混じったような、
不思議な世界観にあっという間に引き込まれました。
ファンタジーと書いたのは、
シンガーの慎吾の目はモノクロの世界しか映し出しません。
そういう病気という設定になっています。
そして、モノクロの世界の中で、
武の作る色だけが鮮やかに映し出されるのです。
現実にはない現象に、ファンタジー要素を感じました、
だだ、二人の心の交流はゆっくりと温かく、
惹かれ合わずにはいられない気持ちはリアルであり、
とても自然なことのように描かれています。
なので、現実とファンタジーが入り混じった世界と感じました。
二人を取り巻く人々も皆温かく、
大切な人たちに囲まれて色を取り戻していく人生……
とても素敵だと感じました。
また、シンガーは幸せと不幸せを糧に歌うという表現の中で、
武が慎吾に与えたいのは幸せの方だとハッキリ伝える場面……
とても胸が熱くなりました。
二人が結ばれる場面も、
武が思った以上に乱れたのが意外ですが良かったです^^
普段、清廉潔白で欲求を抑え込んでる人って、
一度スイッチが入ると止められないのでしょうね。
とても官能的でした。
表紙の彩鮮やかな世界そのままに、
読者の心も色付けてくれる……そんな作品でした。
答姐の「あなたの好きなタイトルを教えて」みたいなトピでこの本のタイトルが挙げられていてタイトル買いしました。
読んでみたら「君だけが僕の奇跡」というタイトルが本当にしっくりくる、まさに「奇跡」としかいいようがない出会いが描かれていてとっても良かった。
攻めの慎吾は人気音楽グループのメンバーなんだけど、生まれつき目が悪く色の無いモノクロの世界で生きている青年。
それがある日、街に貼られたポスターに文字通り目を奪われます。
何故なら、そのポスターだけが鮮やかに色づいていたから。
そのポスターの製作者は、絵画教室の先生をやっている武。
絵の才能があるのに、過去のトラウマが原因で絵の仕事は極力引き受けず、ひっそりと、心乱すこともないよう、まるで余生を過ごす老人といった暮らしぶりをしている青年。
そんな武が慎吾たちのライブを聴きに行って、降り注ぐ無数の星屑のような彼らの歌声を全身に浴びて射抜かれたようになるシーンなど、読んでいるこちらの感覚にも強烈に伝わってくる描写がそこかしこに満ちていてます。
色の無い世界で生きていた慎吾と、目立たぬように生きていた武という、ある意味どちらも無味乾燥な世界で生きていた二人が出会い、お互いが産み出す作品が目や、耳を震わせ、心を震わせ、少しずつ彼らの世界が色鮮やかに変革していくんです。
そして相手の音楽や絵に触れて突き動かされるような衝動にかられたり、知らず知らずに影響されていたり、変化した相手の様子に自分が取り残されたような気になったり…… などなどお互いアーティスト魂を持った二人が互いの存在に触発されている様子が本当にいい。
慎吾は数年後に失明してしまうけれど、慎吾を暗闇の世界に置き去りにはしたくないという武の決意によって、慎吾は色ある世界を失わずにいられるだろうと思えるラストが感動しました。
「武が描いた絵にだけ色を見分けることができる」なんて医学的には説明できないし、いろんな偶然が重なるのもツッコミどころになるかもしれないけれど、「奇跡」って本来そういう人智を超えたもんじゃないかなって思います。