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感情の起伏が大きくない年下攻めが、受けの一挙一動に振り回されるのもかわいかったし、受けの年齢差などから気弱になって葛藤するのもよかったです。
あらすじで12歳差の年下攻め、バイトの店員と店長という情報からどう展開していくんだろうと思っていたのですが、丁寧に気持ちの移ろいや出来事が描写されていて、心配したような強引な印象もなく、ストーリーがするっと読めたので展開の波がちょうどよく感じました。
宝井先生の描かれる高校生と大人のキラキラしたビジュアルも内容と合っていたのも好みでした。
とても面白かったです!
砂原先生は、なんでドーナツにしたのか忘れてしまった──と、あとがきで仰っていましたが、作中ではドーナツの穴に〝過去の恋への未練〟みたいなものを当てはめていて、なるほどなと思いました。
ちゃんとタイトルに意味を持たせているという所は、流石です。
何もないはずなのに、目には存在しているように見えるドーナツの穴。
過去の男との思い出を美化して、あたかも気持ちが残っているように感じてしまうドーナツ屋店長・倉林。
そのアラサー倉林にフォーリンラブする高校生の凛生。
年の差カップルの初々しいラブストーリーでした。
年齢の割に中身がくたびれている倉林も、初めての恋に右往左往する凛生も、二人とも可愛かった^^
凛生の趣味である鉛筆彫刻を検索して見てみたのですが、ほんと神業ですね!たまげましたよ‼︎
29歳のドーナツ屋の店長のお疲れ具合が気の毒になるほどでした。
文章読んでるとその鬱屈感というか人生詰んだ感が半端なくて、とても29歳には思えない。
途中の挿絵で店長がもう少し若々しく描かれていればまだ良かったんだけど、挿絵の店長は目の下に一本線があるので、もはや30代後半の人にしか見えず、高校生と29歳の恋がひと回りどころかふた回りくらいあるような感覚にどうして陥りがちで、彼らの恋愛模様にはさほど萌えることが出来なかった。
でも私がすごくいいなぁと思ったのは、過ぎ去った恋をドーナツの穴に例えるところです。
この比喩を読めただけでも、この小説に出会えて良かったと思いました。
表紙でもドーナツ食べてるし、読むまでは「恋はドーナツのように甘い」みたいなデレ甘な話なのかと激しい勘違いしてたのですが、よく見たら「ドーナツの穴」なんですよね。
3年前に別れた男のことが忘れられない店長が、彼をドーナツの穴のようだと言うのです。
彼に関する記憶の中で、彼を想う気持ちは真ん中からぽっかりと抜け落ちてしまって、そこだけ穴のようになっている。
だけどドーナツの穴のように穴として存在しているせいで、そこはただの空洞ではなく、まだ彼への思いが存在していると錯覚してしまう……。
ここが私の心に沁みました。
過ぎ去った恋、忘れられない人への想いをこう表現するとはねぇ……。
こういう自分では表現できないけれど、それそれ!そう言いたかったの!!みたいな表現に出会えると、読んで良かったなぁとつくづく思います。
そして昔の男から連絡を受け、身勝手な言い分と共に復縁を望まれた店長。
そこでようやく初めて、自分が忘れずに思い続けてきたものは、ただの虚空だった……と悟るところも物凄くいいなと思いました。
攻め受けのストーリーとしては萌ですが、ドーナツの穴が琴線に触れたので萌萌です。
それと、鉛筆彫刻って凄いんですね!
この作品で初めて知ったのですが、ググって驚嘆しました。
思わず家にある鉛筆を手元に置いて、細密な出来栄えの完成品と見比べてしまったほどです。
店長倉林の仕事ぶりにがっつり共感できます。
そうそう、休みなしでノンストップで疲れきっているのです。
そのようにがむしゃらに働いていた時がありました。
その時はBL作品読む余裕は一切なかったです(^^ゞ
凛生の特殊能力が凄いです。
鉛筆の芯をひたすら細かくけずったり
ドーナツを神業で仕上げたり
途中接客もがんばる、基本素直でまじめな高校生
ただ、素敵な話だなあと思うのですが
もう、年配者の私としては
ひたすら眩しくて
純粋で
つくづくその感性を感じ取れなくなったんだなあと思った
今日この頃です
お若い方たちの感性にお任せいたしますm(__)m
ポップな表紙に惹かれて購入、そのポップさゆえ(?)に軽んじてしまい少しの期間放置(ごめんなさい!)、読後感も非常に良く、爽快な気分で放置(本当にごめんなさい!)。
しかし改めて考えてみると、私の中では評価高かったです。歳の差ラブです。日常BLです。高校生×リーマン。めちゃ好みです。
カラミはとってもノーマルかつシンプルなのですが、宝井さんの挿絵がエロさを倍増させてくれます。
目線は頻繁に凛生と倉林の間を行き来するので、ふたりの心情がわかりやすいです。
若者特有の勢いとか不器用さと、大人びた性格を合わせ持った凛生のアンバランスな感じ。決して若いとも歳をとっているとも言えない年齢で、いろんなことを諦めて日々を過ごしていた倉林の変化。とても読みやすいです。
個人的に「凛生、おまえ-------」に萌えました。このふたりなら倉林が凛生をこういう風に呼ぶようになることは自然なのですが・・・「ムフ♪」となりました。
凛生は倉林への感情に気づくことによって、これまで適当に付き合って適当に別れてきた女の子たちの気持ちも理解します。一方、倉林にも過去の苦い恋があって・・・・・・。
このお話はやっぱり「恋」ですね。「愛」というよりは「恋」。恋のお話を読みたい方はぜひどうぞ。