奪うな。他と代えられないものをもう失いたくない。

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表題作5人の王 Ⅲ

アジュール(本名:アージェント)
青の王
ヴァート(本名:セージ)
緑の王

あらすじ

妹を守るため、過去に戻り自らを消す決意をしたセージは、神の血を高めるため青の王に抱いて欲しいと告げる。「愛しているふり」をする、それが青の王から出された条件だったが、与えられた束の間の幸せな時間に、彼の記憶から消えてしまうことが怖くなる。さらに、芽生えた王としての自覚に、西方のこの先を見たいと願い始めるセージ。しかし、グリニッジを捕え一度は落ち着いたかに見えた西方だが、ヴェア・アンプワントの生き残りの民の復讐はまだ終わってはいなかった。緑の王として、セージとして、愛する者のために選んだ未来とは??。

作品情報

作品名
5人の王 Ⅲ
著者
恵庭 
イラスト
絵歩 
媒体
小説
出版社
フロンティアワークス
シリーズ
5人の王
発売日
ISBN
9784861346521
4

(97)

(60)

萌々

(10)

(11)

中立

(6)

趣味じゃない

(10)

レビュー数
11
得点
379
評価数
97
平均
4 / 5
神率
61.9%

レビュー投稿数11

青の王がデレるまでは…

評価が高かったのでなんとなく
サイトの試し読みから入りました

そして見事にハマりました…面白い(笑)
もともとファンタジーは好きな方なのですが、この作品は世界観が 王道だけどきちんとしてるなぁという印象。

確かに、説明が理解できないところや、
時間軸の前後や移動についていけなくなったり、
あれ??いきなり半年後??
半年間ウィロウから音沙汰無かったのに気にしなかったの??とか…(ある意味歴史モノだから感覚が長いのかな??)
赤の王が後半は空気!!てか、5人中、2人くらい王が空気!!とか… まぁ ありましたけれども…

そこは文章の勢いにまかせて読み進められました。

一番キツかったのは…
なんかもう、セージは本当に幸せになるのか??
ってくらい 次から次へと不幸が押し寄せて来るのが…
精神的にきましたね…

大切な人を失って、裏切られて、反乱、裏切られてボロボロになって、また大切な人を失って…反乱、さらにボロボロに…

いやいや!!
辛い!!!!
西方の混乱が全く治まらない!!!!
妹ヒソクを救うのも難しい…
作者様は受けをどこまで不幸にできるか考えながら書いたとインタビューでおっしゃっていました。悪い方に悪い方に行くんですよ…もうやめてあげて(泣)

そんなにも過酷で辛い本編なのですが

『いつか…青の王がデレてくれるはず…』
と、それだけを希望に頑張って読みました。

傲慢で不遜で冷徹でドSで この人 本当にセージのこと好きになんのかな??無理じゃない?? と最後の最後まで思わせる難攻不落の要塞の如きブラコン(重症)青の王。

たまりませんね。
たまに見せる甘さが たまりません。





余談ですが 本編読了後に
サイトに掲載されている「5人の王 外伝」も読みました。

シアン視点で語られる 青の王(アージェント)が難攻不落すぎてヤバいです(笑) 近衛時代の若い頃なんで更に殺伐としてる(笑)

17

完結

読みきったーーーっ・゜・(ノД`)・゜・目が痛い。
楽しみに楽しみにしていた完結巻。
アリガトウゴザイマス。
あとがきを読むと、そりゃすんなりくっつかんわな。。。というのが結論ではあるのですが、紆余曲折あってのハッピーエンド。
結局、うまい具合に関係がまとまっても
相変わらずの意地悪な青と、それに翻弄される緑が可愛い一冊でした。

お話は、妹の命を救うために、力が欲しいと緑が懇願するところから。
恋人にするように・・という青の条件と緑の本当の心と。
しょうじき、このあとの展開が二転三転するので、
青さまどーなのよ!!!!?な場面までの甘い期間。
これまで手ひどい行為しかなかったものからの激甘プレイに萌。

ネタバレになるので多くは語りませんが
読めて満足満足でございました。
ついでにいうと、ウェブに公開されている外伝が更に萌なのでオススメ
シアン様が可愛すぎるヽ(´▽`)/や、酷いの含め

追伸
青が意地悪なのは地なのね・・・忍耐忍耐で本当は甘やかしタイプなのだと思ってた(笑

5

青の王を好きになれるかどうかで評価が分かれる作品。

試し読みしたところ、世界観がすごく素敵で思わず3冊一気に買ってしまいました。
最終的には、ハッピーエンド・・・でいいんでしょう。
小説としてはすごく読み応えがあって面白いです。
設定もよく練りこまれてあるなあと(伏線も多いため)わかり辛い点も時折ありますが、
気になるほどではありません。
舞台が華やかな宮廷だけでは終わらない点もまたよかったと思います。
良い意味で、色々と裏切られる作品だと思いました。

ただ、ここからはちょっと自分的にはダメだった点を。

まず、このお話って青の王がダメな人、好きな人で大いに評価が分かれると思います。
見目麗しく、ドSで鬼畜な攻めが好きな人にはたまらないのかもしれませんが、私にはあまりにも愛が感じられなくてダメな方でした。
変な話、全く愛がない身体だけの関係のBLというのも世にはたくさんあると思いますし、むしろ私はそういった話はそういった話で面白いと思えるし受け入れられるのですが。
正直この話にはもうちょっと愛が欲しかった。
ルリの妊娠に関して「宮廷物、ファンタジー王宮ものなら仕方ない」という意見もあるとは思いますが、世襲制でもなく、世継ぎの必要のない王様になぜ子供が出来る必要があったのか。
セージを精神的に追い詰めるために必要だったのかもしれませんが、愛もないのに子供を身ごもることになったルリにも、兄との約束を何をも優先した青の王に対しても正直なんとも言えない、まあはっきり言ってしまえば後味が悪いなあと。
いや、別に大切なお兄さんとの約束を自分の大切な人(って書くのもすごく違和感)より優先するって悪いことじゃないと思うんですよ。
ただ、BLの攻めにはして欲しくなかった(笑)
攻めや受けがお互い以外に大切な人がたくさんいるっていうのは悪いことじゃないと思いますけど、そっちの→ばかりが目立ってしまって肝心の青の王からセージへの気持ちがいまいちわからない。
もっと言ってしまえば、セージも正直健気すぎてついていけなくなりました。
何より、なんでセージはこんな青の王のことが好きになったのかもよくわからない。
(立派な王様だと評価しようにも、諸外国の事情が文字の説明のみで具体的に書かれていないため、薄っぺらい)
まあ、BLなので恋愛関係にならなければ仕方ないのかもしれませんが、二人の関係性はしっかり書かれてる割に思いを育み伝い合うって過程が全くなかったような・・・。

まあでも、青の王は大切な大切なお兄さんとの約束も守ることができ、可愛らしい健気な
年下の恋人もでき、ついでに子供まで出来たと。
もう、青の王にとってはとってもハッピーエンドなお話だったんだろうなあと。
というわけで、青の王に萌えられる人にとってはより楽しめる作品だと思います。

29

重ねられた今と未来

セージが西を救えたのは、セージの純粋さだけではなく、これまで青の王のもとで、失敗し、失い、絶望した経験から生まれたものの集結だと感じました。青の王だけではない、これまで出会い別れた人たちの意思を、セージは汲み取って生きているというのが、心に突き刺さりました。

てっきりあの子の最後がセージの妹が視えた未来だと思って号泣したんですが、この物語、ほんとうに最初から最後まで兄妹愛に溢れていたことが、胸を打たれました。
こんなに長い物語で、最初から最後まで求めているものがはっきりとつながっている。それが、虚しさと悲しみと、成し遂げられたことの償いと…どれも当てはまるようで違うような、なんともいえない気持ちで。
生涯セージが、ことなくしあわせに暮らして行けることを願わくはいられません。

最後に、私は原作は読んだことはありませんが、この物語を大きく削ることなく、3冊に大きく分割してまで発行して下さったフロンティアワークスさんに拍手を送りたいです。

5

みな運命の建設者

ファンタジックな世界観とたくさんの魅力的な登場人物たち、王宮のきらびやかな描写や方々に張り巡らされた伏線など様々な要素がお話を盛り立て、この全3巻中に幾度となくハラハラしました。たいへん読みごたえのある作品だと思います。
もちろんこの3巻でもセージの危なっかしさは健在ですし(最後まで彼は彼のままでした、一切ブレない!)、ジェントのなにを考えているかわからないのにグイグイくる感じも変わりません。
また、ようやくパーピュアの心境やエールとの過去諸々がセージのタイムリープによって明らかとなります。
既巻でとても気になっていた部分であるだけに、胸が締め付けられる思いも二度三度ではすみませんでした。恵庭先生ご自身がインタビューで仰っていた「どこまで不幸にできるか…!」が受けであるセージだけでなく、その他のキャラクタたちにまで及んでいるんじゃないかと感じるくらいです。(笑)
幸いなことに、愛しているのに結ばれない…といった結末ではなくハッピーエンドですので安心して読むことができました。このバッドエンドの予想ははじめからしておりませんから(シャーから、セージへの執着愛の雰囲気が存分ににじみ出ておりました)、どう終わるのかな…というのも楽しみな点でした。

特にこの結末に関しましては唸りました。個人的には一番納得のゆくエンディングだと感じます。
なにしろ、前触れなくティンクチャーを宿してしまったがために彼・彼女らはみな突然(いうなれば)現人神になってしまうんですもの。それまではいち人間として生きていたのに、まったく違う別物のような自分に変わるのですから…。
初代パーピュア王はそうしていつでも振り下ろせる小さな斧を持って苦しい嘘を唱え、今のパーピュア王と先代のアジュール王(エール)はその苦しい嘘に苛まれ、現アジュール王(ジェント)は弟を喪い本当に孤独となり、主人公セージは最愛の妹・ヒソクとの世界を失ったのです。
だからこそ、この「5人の王」の象徴でもあり幾度となく読者を翻弄させたティンクチャーが現れなくなることこそ、本当の意味での結末だと思います。
幾千年の時が過ぎ、ふたたびティンクチャーを持つ者が現れて先読みの力を発揮したときはまた、その者がかのオーア神の成り代わりとして崇められるかもしれません。それまでシェブロンが健在であるか、むしろオーアを崇めることが続いているのか、他宗教が台頭するのかそれらすべてわからないのですが…。けれども、そうしてつい色々な未来を考えてしまいますね。

以下、感想と理由などなどです。

・ルリが子供を宿す必要はあったのか…
前巻のレビューで「王族モノBLの障壁である嫡子いらないからイイ!」と書きましたがまさかの展開ー! 予想だにしていなかったので、いまだ衝撃を拭えません。
これは「ルリが恒久的に幸せであるためには、『エール』との子が必要」とジェントが判断したということでしょうか。嘘を嘘で塗り固めまくって…第三者ながら心配です。

・グリニッジには肝を冷やしまくる
グリニッジパニックパート2! むしろ彼在るところにセージの不幸あり。
すごく不運な境遇のキャラであるからこそ苦しくなる反面、またかァァアと頭を抱える現実があり、読みながら感情がブンブンあちこちに振れました…。

・ところで青の王は、いつヒソク=セージとつながったのか…
これが何度読み返しても分からず、いったいどこからシャーがセージに恋しているのか判断できませんでした。
俺の知ってるヒソクはまだ死なない的な、あのセリフはどこからきているものなのか…。もしかして最後の最後、セージがヒソクの最期に立ち会ったときにすれ違った姿を見てのことなのか。完全デレ期の過去ジェントと今のジェントの差が大きい。

・ギル
1巻で彼が魅せたすべてが素敵すぎて、以降ずっと再登場なりちょいちょい茶々入れなりそういうことをわずかながらも期待していたのですが、ようやく登場かと思いきや完全に過去の甘い傷みな感じ! 致し方…な…い!
まだセージが宮殿に来たばかりの頃の思い出は、読み手にとってはついさっきの話でも彼らにとっては結構前になるのですものね…。ギルが幸せなら、結果オーライ…だ!

・総括
セージのシスコンと、ジェントのブラコンが全開の王宮BLでした。そこでなぜ弟妹のことを…と感じても、いや弟(or妹)ラブだったな、なんて不思議と納得します。(笑)
物語として決して尻すぼみではなく、むしろタイムリープを繰り返すようになった後半こそ読み応えある展開ばかりです。が、個人的に昇華できぬ点があり中立といたしました。

ファンタジー要素は抜群にありますし、この世界観はなかなか面白いので、試し読み(ひととおり読んだ方が傾向を掴めるかと)で肌に合えば萌え云々を抜いてもお話として楽しめるのではないでしょうか。

15

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