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高遠琉加が贈る大人気ミステリーシリーズ、待望の完結巻! !
13年。まだ幼さが残っていた彼らが大人になるまで。
それはあまりにも長い月日だったことでしょう。
夢中になって読んだ神様も知らないシリーズの完結巻。
読み始めて数日経ちますが、読み始める前まではこんなにも惹き込まれ、感情を乱され、胸が締め付けられる想いでいっぱいになる作品だとは思いもしませんでした。
胸がざわつき、ぽっかりと気が抜けてしまいました。
全てを読み終えて初めて分かるタイトルの深さにもため息が出ます。
読後の余韻がすごく、まだ物語から抜け出せないままこのレビューを書いています。
本当に素晴らしい作品でした。読めて良かったです。
どうか、どうか暴かないでほしい。
そんな気持ちになりながら読み進めるも、当たり前に登場人物たちへは声が届くはずもなく、1,2巻で張り巡らされていた点と点が無情にも繋がっていく。
正直なことを言うと、物語の展開の面白さには夢中になりながらも、なぜか登場人物たちの誰の幸せも願わないまま読んでいたのです。
幸福という言葉を使うには少々難しい、複雑な関係と過去を描いた作品だと感じたからなのかもしれません。
けれど、作中のとある1シーンには光や幸せ、救いに似たものを感じて安堵した自分がいました。
おそらく少数派だと思います。どこがどうとは内容に触れてしまうので書けませんが、非常に印象的なシーンのひとつでした。
この結末が良かったと思う方も、もっと違うものがあっても良かったのではと思う方もきっといることでしょう。
ただ、私にはこの作品がとても美しいものだと思えて仕方がないのです。
静かな月夜と共に何度も読み返したくなる素晴らしい作品でした。
これから読まれる方は3冊一気にぜひ。
刑事は犬のように犯人を追い詰める。
でも流が仕掛けた煽りは、麻薬中毒者を最悪な暴走に追い立ててしまう。
追い詰められて、ついに糸が切れるように壊れて、みんな血を流す。
「早く捕まえてやれば、救えたんだろうか?」
それより、最初の罪を犯す前に、佐希を施設に保護していたら、
犯罪に手を染めずに、済んだんじゃないかと思う。
喫茶店の叔母さんが、ネグレクトに気付いていたなら、佐希を保護してやれば良かったのに。
小説を面白くするためとは言え、ネジくれている。
佐希の最期のメッセージは、佐希の精一杯の本心だったんだと思う。
あれを、遺された司が、ジューンベリーを見る都度に思いだすだろうと思うと切ない。
生涯独りで、胸に抱えていくのかと思うと、
生き残るっていうのは、想いを抱えながら死を待つ残酷な罰のようだと思った。
三巻通してですが、最後はこうなるしかない、こうなるのがせめてもの救い、なんでしょうね。
攻めと受けのストーリーと思えばこれが一番良い形だったんだろうな。
司の選択というか生き方は、実際その立場だとそうなる人もいるよねって思う。流の無念さは計り知れないけど、あの時…という気持ちをそれぞれが持っていて、一つでも変わっていたら、違う選択をしていたらもっと違う未来があったのかも知れない。
でも、もう後は慧介と司が離れず、お互いを深く知ってまるごと受け止め合って幸せになって欲しい。
事件や話の流れは白夜行に似ているってのは同じように思いました。が、それに目をつぶれば、最後は慧介によって救われる話でもある(と、私は思った)ので、こちらの方が良かったかな。
ドラマ化とか出来んじゃないかと思いました。
咲希役が難しそうだけど。
巻を進めるごとに惹きこまれていった「神様も知らない」シリーズの最終巻。長編シリーズのフィナーレを飾るのにふさわしく、非常に読み応えがありました。事件の背景や真相に深い人間ドラマがあり、胸がえぐられました。登場人物を通して、魔が刺したり、迷ったり、人間の脆さや業の深さを存分に感じさせられる作品でした。
タイトルも反則ですよ!くれぐれも平日は読まないで下さい。翌日目がひどい事にww
長く続いたシリーズを読み終わり、BL版「砂の器」と思っていると、BL版「○夜行」という意見も多いようですね…。そちらの方は一時ブームになっていましたが、奇をてらう展開が次々と出てくるのが苦手で途中で挫折しました。オリジナリティに欠ける側面はあるかもしれませんが、「神様も知らない」は無理のない展開だったので入りやすかったですし、心理描写もじっくりと描かれていて、完成度は高い作品です。
司と佐季の特殊な○○関係の描かれ方が通常の恋愛関係に比べて効果的で、退廃的な美しさもあり印象に残りました。司の変わらずひたむきな愛に心が打たれます。心のボタンが掛け違えていく過程も哀しかった。
司が自分の事を佐季を唆した蛇と言いますが、きっかけはそうであり、確かに司でなければ、二人の関係はこんなに長く続く事もなく、とっくに破綻していただろうし、ここまで二人が罪を重ねる事になってたのか…という部分もあります。二人の出会いが悪く作用していた面もあるのが辛い。世知辛い世の中を生きていくためには陰と陽、対極のタイプの人が一緒になるのが望ましいんだろうな。
それでも陰のある人って魅力的だなー。関わる事によって破滅を導くとしても…。最後まで司のように佐季に肩入れしてしまう読者も多いでしょう。まさしく私だww
読み終わってからも流警部の捜査のやり方や、もう少し早く佐季を解放して欲しかったと悶々としました。結末での佐季は反則だよ…。司の心の半分は一生持っていかれるよね。側で司を支える慧介は生い立ちといい、過酷な使命を負わされてるなー。おくびにも出さずに生きれる強さを彼は持っているだろうけれど。
来世で司の木に佐季が寄ってきたとしても、違う選択をして、楽園を追放されずにすむといいな。。
子供は親を選べず、生まれた場所や育った環境でその後の人生まで左右される現実があります。佐季が犯した罪は決して許される事でないですが、人が人を裁く難しさを感じます。あのままあの父といて、佐季の人生はどうなっていたか…。綺麗事で済まされない現実があるなーと考えさせられました。事件の捜査以外で佐季に関わらなかった流警部に問いたかった。陪審院裁判が行われば、佐季は人々の心を惑わせていたかも…。
「神様も知らない」完結巻。
つまり、佐季と司2人の秘密が暴かれ、追い詰められる巻。
前作で現れた中根は司にまとわりつき、店のガラスや植木鉢などを壊す。
それを見て心配した慧介が中根を調べ、中根の母親が佐季の父親に殺された(事になっている)ことを知る。
遂に慧介が司と佐季の接点を見つけてしまう。
だが慧介はそれを流に話すことができない…
一方、佐季も中根が司にしている嫌がらせを知り、いつもの通り「排除」を考える。そして実行する。前のように。
だが中根は死なず、事件になるわけです。そして流がそれを知る。そして…
13才の少年2人が何をしたのか、その後どうやって生きてきたのか、その全てを悟る流。
この流が事件の糸口に気付いていくシーンは非常にスリリングです。
流は若き日のように佐季を狩ろうとはしていません。
なぜ気付かなかったのか。
なぜ救ってやれなかったのか。
そんな後悔と、今こそ暗い森の道から手を引いて日の光の中に連れて行ってやる、そんな心境で佐季と司を追っていきます。
さて、結末はもちろん破滅なのですが。
美しいクリスマスのゴージャスなイルミネーション、その中で起きる惨劇の視覚イメージは魅力的ですが、飯田は簡単に死に、佐季もまた、という展開はちょっと簡単すぎたかな…と感じてしまった。
佐季の最期は司ではなく流と共にあったことも意外でした。
事件の経緯としては、司が佐季に利用され洗脳され振り回された、と解釈されています。でも悲しくて神を求めた幼いあの日、佐季の燃える目に魅入られたのは確かに司の中に佐季に呼応する何かがあったからだと思うし、胸に同じ傷をつけ血を混ぜ合わせたその時、確かに2人は同じ血を持つ存在になったのだと思う。
事件が終わり佐季がいなくなった世界。佐季の書いたただ一通のラブレターの「さよなら」を読んだ時司の中の一部も砕け散り、それは慧介が何をしても元には戻らないのだと思う。
おそらく慧介は司を支え続け、司も慧介に応え、2人は長い時間を共にするのでしょう。それでも司は約束を拒み続けるだろうし夜はどこか遠い目をするのでしょう。
佐季と司の人生。追い詰めていくスリル感。慧介の純愛。全て非常に面白い。
ただ、やはりドラマチックの過剰を感じてしまう。
それは慧介の出生や、流が司法試験に受かっていることなど。
あと、あとがきはすぐに読まないほうがいいと思う。余韻が壊れます。