イラスト付
さよなら、先生。
『美しい彼』シリーズを初め、いくつかの先生の作品を拝読しております。こちらも高評価なので購入しておいた本を読んでみました。
こちらの作品は先生がデビュー2年目の2009年に出版社された作品を、加筆修正して再出版された作品だそうです。どの程度修正されたかはわからないのですが、とにかくすごい完成度だなと感じました。
攻めの瀬名は17歳の高校生、飄々としていて女遊びも激しいヤンチャなキャラですが、実は家庭問題があり、内面はひどく傷ついて苦しんでいます。
受けの阿南は10歳上の高校教師。普段は地味な先生ですが、実は美人で口が悪くて気が強く面倒見がいい、とても魅力的なキャラです。
本編はずっと攻め視点です。
子どもではないけれど大人にもなりきれない、17歳という年齢の瀬名が、家庭環境で苦しんだり、同性の阿南に恋をして戸惑ったり、どうしようもなく恋焦がれたり、嫉妬したり、抱き合って幸せを感じたり、格好つけようとして失敗して拗ねたり…。
そんないろんな感情に振り回されてしまう未完成な若さが、みずみずしく、切なく描かれています。
瀬名は可愛い年下ワンコで、がむしゃらに阿南に向かっていきます。そんな瀬名に、教師としていけないと思いながらも、どうしようもなく惹かれてしまう阿南の気持ちも切ないです。
とにかく引き込まれる内容で、時に涙しつつ、一気に読了しました。これがデビュー2年目の作品とは…。本当にすごいです。
短編2作は、2人が付き合いはじめて、1年後と3年後のお話。あんなに大変だった2人が、こんな幸せになって…としみじみと、心があたたかくなりました。
とても素敵で、また読みやすい作品ですので、ぜひ多くの方に読んでいただきたい名作と思います。
挿絵は味のある絵柄が素敵な草間さかえ先生。後書きによると、凪良先生は草間先生の大ファンとのことで、なんだか嬉しくなりました。
紙本は絶版のようですね。
以前の先生のTwitterによると、絶版の作品も、新装版発売予定のようです。挿絵はそのまま使われるといいなぁ。
電子はまだKindleでは購読できるみたいです。
泣けた…泣けました。めっちゃ胸が熱くなった。
最高の物語でした。心の奥底から震える感覚が暫く治らなくて高揚感に満ちています。
教師と生徒の禁断の秘密の恋。
同性愛なんかとバカにしていた高校生の瀬名が、ゲイの英語教師・阿南との恋に溺れていく現代ストーリーです。
今まで恋愛に本気になれなかった瀬名が、阿南に対しては嫉妬と執着にまみれ、激しい独占欲を抱くようになっていきます。
目立つのは、瀬名の激しい愛。高校生で精神的に幼い彼の愛は、まさに暴走馬。若さと勢いと青くさい愛をぶつけるけど、阿南はそれに応えてくれません。
阿南への恋に抑えが効かなくてキスをしたり身体を求めたり、好きの気持ちを求めたり…瀬名の阿南への情熱は留まるところを知りません。阿南は教師という立場から瀬名を突き放していたけど、一線を越えさせてしまう。だから禁断の恋…。
阿南の気持ちははっきりと分かりません。瀬名の燃えるような阿南への劣情のみが綴られています。
瀬名は子どもで、周りが見えてないんですよね。そして両親の不仲もあってか、早く大人になりたい気持ちが強いけど、今のところ彼の口から語られるのは希望的観測だけ。現実を何も理解してなくて、それが阿南との心の距離にも繋がっています。
でも瀬名の一直線で素直なところがすごく眩しい。何も恐れない勢いがあるけど、時にそれは凶器にもなる危なっかしさもある。それは阿南を傷付けることになるかも知れないし、自分も傷付けるかも知れない非常に危険な刃です。未成年の若者はその危険性を知らず、ただただ自分の欲望をぶつけるだけ。
阿南は拒絶よりどちらかと言うと受け入れてました。瀬名の勢いに押されてなし崩し的にズルズルと…とは見えなかったんですよね。その答えが、2人の別れのときに分かったのが、とても切なくて悲しくて心臓がちぎれるかと思いました。
阿南は教師としてだけ接していただけではなかったんだな、とその時初めて分かりました。瀬名への恋を阿南もまたしていた……だけど、瀬名の幸せと未来を考えて、瀬名がずっと望んでいたYESの言葉を投げなかったんです。
それが子どもと大人の違いなんですよね。
瀬名は恋をしていた。
阿南は瀬名を愛していた。
愛は相手を思いやること…教師という仕事の狭間で阿南がどれだけ悩んでいたことか。瀬名の視点から分かることは限られています。
阿南と別れて数年後、仕事もし立派な瀬名の姿がそこにありました。かつての自分の未熟さが分かる大人になり、かつての阿南との思い出を振り返ります。
地元に戻って阿南と偶然に出会った。だけどそれが偶然じゃなかったと分かった瀬名の気持ちが……!!!
このクライマックスシーンがめちゃくちゃ良かったです。涙が出ました。最高です!
瀬名の想いが叶った喜びもだけど、阿南もまた想いに蓋をして我慢していたと思ったら、二重に嬉しくなりました。良かった…良かったよぉ…。
その後はもう最高の2人が拝めて、読後感・多幸感ともに素晴らしいものでした。
阿南視点が特に良い!!
電子購入しましたが、単行本でも所持したい一冊でした。
こんなに素晴らしい作品に出会えて幸せです。
凪良ゆう先生の攻め視点はどの作品もすごく良いです。泣きました。
家庭に問題を抱えたヤンチャな高校生✕ゲイの高校教師。
多感な高校生が先生を好きになってどんどん歯止めがきかなくなってしまい深みにハマっていく、心理描写が秀逸ですごく良かったです。
10歳年の差を埋めようと背伸びしようとしてヤキモキする姿が見ていて危なっかしくてヒヤヒヤしましたが、そんな姿が健気で可愛いです。
エッチシーンに入るのが結構早いのですが、すごく官能的でドキドキしました。すごく良かったです。
離れ離れになった2人が再開して、先生がやっと「好きだ」と本心を言うシーンはボロ泣きです。
凪良先生といえば攻め視点!
ということで、今回も年下攻めが頑張って年下の教師を落とすまでのお話でした。
攻めは初恋だけれどエッチは手慣れていて、年上をグイグイ攻めるかと思いきや年下っぽいところを見せたりギャップが良かったです。
普段は受け視点で攻めの言動にキュンキュンするんですが、攻め視点でもめちゃくちゃ萌えました。
教師と男同士という二重苦を抱えての恋愛。
若さゆえのもどかしさに、読んでいる私も胸が詰まりました。
そして、このままサラーッと進むのかと思いきや、一度別れる二人。
5年の月日が経ってもすぐに再会できない辺りが本当にリアルさがありました。
最後の「young swallow」は、受け視点で知りたかった心情を知れて二度美味しい!
「さなぎ」では付き合ったその後の二人で、幸せを噛み締めるようなお話で最高でした。
今回のお話もそうですが、凪良先生の作品はとても読みやすいことに改めて気づきました。
難しい言葉だったり、回りくどさというものがない。
それなのに、誰も思いつかないような綺麗な表現がたまにポツリと現れるので度肝を抜かれます。
強いようで弱い二人が悩み、苦しむ中で得た本当の幸せを読めることが出来て本当に良かったです。
作家買いしているので読みました。
私は紳士で大人びた攻めに魅力を感じてしまうタイプなので、途中までは瀬名(攻)の高校生だからこその青臭さとか恋に盲目すぎて周りが全然見えてない言動・行動が阿南(受)を困らせていて、うーーーん( ˘·ω·˘ ).。oஇ って感じだったんだけど、大人になってからの再開で今までの私のモヤモヤを巻き返す、大人の良い男になっていて
読了後には、最初からカッコいい男もいいけど、好きな人に出会ってその人に見合う男になりたいと思ったからこそ自分を磨いてカッコよくなった男も素晴らしいなと思いました。でも、恋に盲目だった頃の第三者からみたらガキでカッコ悪い瀬名も良かったです。デートの作戦を練ってカッコつけようとしたのに大失敗しちゃったエピソードは読者ながらにみてられないと思いつつも、阿南の家で本音を吐露する姿は思わず抱きしめたくなるような愛しさがありました(><)
阿南は教師として複雑な家庭に置かれた瀬名を見捨てきれないから、身体の関係含め瀬名を拒めずにいるのかなぁって思っていたけど、ちゃんと異性として瀬名の事想っていて、でも立場上想いを告げる事ができないみたいな葛藤とか、それでも自分を全身全霊で好きだと言ってくれる瀬名にハマっている(未成年に恋している)事のこわさとか後半から明かされていった時は、感情移入せずにはいられませんでした。本当にすごい。
あの時、ふつうの恋人のように言葉や態度で想いを伝え合えなかった2人だからこそ瀬名が成人して、また巡り合って結ばれたというキセキが何よりも感動だったなぁと思います。さすがわたしたちの凪良先生でした。