前向きで心優しい青年×心に傷を持つ青年の切なくも心温まる純愛ストーリー

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表題作彼の愛した翠色

笠野真優,幼馴染,大学三年生
森岡スイ,翠の別人格,大学一年生

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

――翠を守るために、僕は生まれた――

幼い頃、森岡翠の中に生まれた別人格・スイ。そのスイを残し、身体の持ち主である翠が消えた…。二人の幼馴染である笠野真優が翠に告白した数日後のことだった。それから一年。今でも翠が帰ってくると信じている真優に、スイは苛立ちにも似たもどかしさを感じている。翠への失望と諦めから自分を選べばいいと迫るスイだけど、真優は決して頷いてはくれなくて……。

作品情報

作品名
彼の愛した翠色
著者
綾ちはる 
イラスト
松岡なお 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラ文庫
発売日
ISBN
9784778116620
3.8

(76)

(31)

萌々

(20)

(10)

中立

(10)

趣味じゃない

(5)

レビュー数
10
得点
275
評価数
76
平均
3.8 / 5
神率
40.8%

レビュー投稿数10

『彼』とは誰の事だったのか

厚めの一冊ですが、読みやすい文章と会話が多めのためスルスルと読めました。

幼少期、父親からの虐待から本来の人格『翠』を守るために生まれたもうひとつの人格『スイ』。
10年同じ体で共に過ごしてきた彼らですが、翠が消えてスイが残ってしまうというという所から物語は始まります。

攻めは、翠とスイの両人格を良く理解している幼馴染みの真優。
彼は翠が消えてスイが残ったことを知っていてなお、スイに「自分が好きなのは翠でずっと彼が戻ってくることを待ち続ける」と告げます。
当然の事ながら、スイはその事に傷付くんですよね、翠のことは忘れてスイにしとけば丸く収まるのにって。
いや~真優はなんてひどいやつなんだ!と思いながら読んでました。

翠とスイの10年間の出来事や、現在のスイの真優への報われない想いを中心に物語は進んでいきます。
が!後半に何とも驚きの出来事が。ここは絶対にネタバレなしで読んでほしい。
ここから翠、スイ、真優の本当の気持ちが分かっていきます。

一番最後の数行、本当にシンプルな言葉なのですが胸にグッときました。
読む前はタイトルの『彼』って攻めの事だろうと思っていたんですが、この最後の数行で本当に翠色を愛していたのが誰だったのかがわかります。

ハッピーエンドではあるのですが、彼の事を思うとどうしても胸が切なくなります。

ただ一点、このお話、濡れ場はいらなかったんじゃないかな~と思います。始終優しく柔らかなトーンだったので。

0

何をどう書いてもネタバレしそう…

どんなに気をつけてもネタバレに、なってしまいそうな気がして…うぅ〜(¯―¯٥)

時間をおいて再読した作品です!
最初に読んだときどうしても手元に残したいと…思っての再読。
やはり切なくて優しくて…泣きました。

翠とスイと真優のお話ですが、
この3人に関わってくる人たちが
とても優しくてとて素敵です。

あまり上手かレビューではありませんが、
ぜひ読んで頂きたいです!!

このお話の最後の最後に書かれている
分章に涙が溢れてきて、
そして…優しい笑顔が溢れます(*´ェ`*)ポッ

1

誰かの願いが叶うころ…。

スイの存在を伺い知ることができるのは、日記と最後の真優との会話だけなのがとても寂しいです。
しっかり者でいつも翠を守り続けていたスイは、あくまでも自分は裏の存在であることを知っていたんだなぁ。

翠の恋は叶ったけど、スイの初恋が想いあっていながらも、身を結ばなかったのが悲しい。
嘉人は嘉人で、恋人ができて幸せにはなったんだろうけど、翠の中に存在したスイのことは忘れないでいてほしいものです。

直樹さんと釣りに行くシーンは涙が止まらなかったです。
笑子さんもそうですが、本当の子供ではないにも関わらず、翠とスイ両方を愛してくれた心の広い人でした。
みんな幸せにはなったけど、今まで翠の代わりに辛いことを受け止めてきたスイにも幸せになってほしかった。

1

惜しむらくは挿絵

【あなたに恋はしたくない】と共通部分があるにはありますが、あまりにあまりだったため、ちょっと警戒しながら読みました。
そしたら大当たり。こっちの出来の方が遥かに良かったという印象です。

主人公の翠は幼少期の辛い経験から、自分の中にスイという人格を作り出したんですが、とある事件を境に翠の方が消えてしまい、スイの方が残されてしまいます。
そんな翠のことが好きな幼馴染みの真優や、翠を優しく見守る義両親、精神科の橋本先生や同じ養護施設で暮らした嘉人など、翠を取り巻く環境は信じられないくらい優しいです。
この手の話に、嫌な人間がひとりも存在しないというのが、なんとも違和感があるのですが、逆に胸糞悪くなる人間がいないので、真綿にくるまれたような優しい世界観を味わえます。
内容について触れると、どこをとっても最悪なネタバレになってしまいそうなので……。
文庫としては結構な分厚さに尻込みするかもしれませんが、ぜひとも最後まで読んで頂きたいです。

最後のページ、最後の1行を読んだ時、ぶわっと涙が溢れました。
この1行のために、あの長い話があったのかな、と思ったほど。
でもそう考えると、肝心の恋愛部分の印象が薄くなってしまうので、凄く評価に困りました。限りなく神寄りの萌2です。
そして個人的には真優より嘉人の方と結ばれたらよかったのに……と思ったりもしたり。
BLの当て馬って魅力的な男が多いんですよね。本命とくっつくのが分かってる安心感からか、何かいつも当て馬の方を応援したくなってしまう。

そして一番惜しいのが挿絵。
表紙は優しい色合いで非常に美しいのですが、最近ありがちなカラーは綺麗だけどモノクロ残念の典型パターンです。挿絵なしの方がスムーズに読めました。
イラストを決めるのが誰なのか分かりませんが、商業で発表できるレベルの方を起用して欲しいというのが本音です。特に挿絵はコミックと違い、一枚絵で全てが評価されるので、カラーモノクロ共にレベルアップをお願いしたい。

3

薄雲

ココナッツ様

そうなんですよ、挿絵が邪魔しちゃうパターンが結構多くて切ない……。
重箱の隅ほじっちゃいけないのは分かってるんですが、最初の挿絵の道路は片側一車線なのに、車が右側通行してるとんでもない状況なんですよね……。あれ? この話は日本が舞台だよね? みたいな(笑)
思わずページ戻って舞台が日本である描写を探したほどです。
その次もワンプレートのご飯なのに、5種類のおかずどこ行った!? といらんところにばかり目が行ってしまい……。

ココナッツ

薄雲さま

同感ですー!
表紙はひじょうに良いのですが、中が…
こういうパターンはBL小説に本当に多いですね。
他にもっと無名でも上手い方いるだろうなんて、申し訳なくも思ってしまいます。

とても優しい物語

面白かったです。久しぶりにBL小説で泣いてしまいました。
惜しむらくはイラストが好みじゃないので、本屋で出会っても買わなかったと思います。こちらの評価を知って手に取ってみて良かったです。

BLらしく、攻・真優と受・スイの恋愛模様は勿論描かれているのですが、これはスイと翠と、そして真優、三人の物語です。クライマックスの盛り上がりが素晴らしい。変な表現ですが、BLゆえに一部の人の目にしか触れないことが悔しいほど良い作品だと思いました。

最後まで読んで、タイトルの意味にまた目頭が熱くなりました。

1

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