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ずっと気になっていたシリーズで、タイトルからぎりぎり今の時期に読みたいなと思い立ち、手に取りました。魚住真澄という人間の唯一無二の佇まいが、周りの人物も読者も魅了する作品で、静かで淡々と進む普遍的な日常生活のなかに少しずつ変化していく久留米と魚住それぞれの心情が丁寧に描かれていました。家庭環境や生い立ちが不運な受けは数多存在しますが、魚住のまったく頓着しない性格により悲愴感はだいぶ隅に追いやられています。それは無意識の防御術でもあり、生来の気質でもあるように感じました。1巻はお互い劣情を自覚するまでで終わりましたが、脇役も個性豊かで楽しいですし、彼らに自分の感情に気付かされて2人の仲がどう進展していくのかとても気になります。
こまかいことを気にしない会社員の久留米と、トラウマ満載の大学院生の魚住のお話です。味覚障害になってしまった魚住が、久留米のアパートに居座るシーンが、とても好みで、たのしくよむことができました。
BLに女の子は必要ないとおもっていますが、この作品に登場する久留米の元彼女のマリが、サバサバした性格で、この物語にかかせない存在だとおもいます。
まだ序盤ですが、これから、どんどんおもしろくなりそうな予感がします。
いろんなところから出版されているらしい本シリーズ、角川文庫にて初読み。
最初はあまり好きになれなかった魚住だけど、周りの人たちがどう受け入れているかを知っていくうちに、少しずつそのキャラに馴れていき、気付けば可愛いかもしれないと思えていた。久留米は最初から好き。
書かれた時代によるものかな、と思ったのは、気遣いの範囲が狭い点。誰のためか分からない配慮がなされた言葉選びがキャラクターを越えて行われていたり、クレーマー対策かと思われる一文があったり、そういう最近の作品でよく見るクドさが一切ない。
(作者のデビュー作だから?)
また、登場するキャラクターが全員とても自由に生きているように見えた。心理的な制約が緩いというか、セリフも心理描写も率直。あるときには自分勝手に感じ、でもそれが魅力的に映るのは、今との違いに惹かれているところがあるのかも。
BLとして見ると、とてもゆっくりな進行。魚住視点だと、心より先に五感が唯一無二の相手を見つけたってことかな。久留米は気付いてフタをしてるので、どう解放していくんだろう。
魚住の生い立ちについては、まだ全てが語られているわけじゃない。人間として必要なものが欠落している原因が、先天的なものなのか、生い立ちからくる後天的なものなのかが気になる。
あらすじから久留米が主人公かと思ったらそんなことはなく。群像劇というほどいろんなキャラにスポットが当たっている印象もなかった。
温かみのある表紙の雰囲気が好き。
まだシリーズ一巻だからか、伝説的作品といわれてもピンとこなかった。全5冊を読めば分かるのか、とても楽しみ。
初めて読んだ作者さんの小説。
普段コミックス派で、BL小説はまだほとんど読んだことが無い者のレビューです。
現在シリーズ3冊目まで手元にありますが、まずは1冊目を読み終えての感想を。
全く生活力がなく、おまけに感情表現も下手でとにかく"残念な美形"魚住くんと、元同級生でサラリーマンの久留米のお話。
2人を取り巻く脇役も数人出てきますが、どの人物も個性的でひと癖あるけど憎めないキャラクターに描かれています。
久留米のアパートに魚住が居候を始めるところから物語は始まっていますが、しばらくはただの友人関係で恋愛関係になっていく雰囲気は無くて1章目の終わりに「ん?」と匂う程度でした。
その後徐々に久留米の方が友情以外の感情を抱き始めます。
だけどその感情に気づかないように意識して、蓋をしようとします。そんな気持ちを持つ事に罪悪感を持っているようで。
魚住の方は元来の鈍感さもあって、最後の方になって久留米に対する欲望を自覚します。
恋愛についてもなのですが、魚住という人物のバックグラウンドも少しずつ明らかになっていくストーリーで、ただの元同級生ラブという作品ではないなという印象。
色々残念な魚住がどうしてこんな性格になったのかもシリーズを通して明らかになっていくのでしょうか。
魚住の過去は重くて暗いのですが、本人はのほほんとしているのが不思議で少し不気味。
まだこの巻では魚住について理解しきれないと感じました。
続きを読むのが楽しみです。
未読だった為、文庫で全て揃えてシリーズ読破しました。
交渉人やnezを先に読んでいたのですが、作品としてはかなり違いました。
デビュー作と言えるくらい古い作品の為、時代背景も少し古め。それが気にならないくらいすぐに世界観にどっぷりとなり読み進められます。
1冊目だけではBLとしては物足りないと思います。
ですが出てくるキャラクター全てが魅力的です。
今以上に偏見が大きかった時代だと思います。パンチの効いた一言があったり、真理を考えさせられる発言があったり、生きるということ、幸せとは何か、自分がどう生きたいのか、主役である魚住真澄の真っ直ぐな瞳を思い浮かべると無性に自分の生き方が恥ずかしくなったりもしました。
徐々に成長していく魚住くん。
その成長を見守りながら自分を見つめ直したりしてしまいました。
ゆったりとしたペースですが恋愛面もきちんと進みます。かなり焦れったいですが、焦れったい分、ようやく……のシーンはとてもよかったです。エロは薄め。けどこの作品を読むタイプの方はエロ重視でないだろうし問題ないと思います。
人の成長と再生と葛藤と。本当に色んな感情を齎してくれる作品です。恋愛以外にも様々な人の様々な人生を垣間見れます。
5冊目で数年後の魚住くんの姿まで描かれているので、そこまで読み切って頂きたいです。
動物の死、強姦、死や病気、リストカット等の描写が無理な方は読まない方がいいかも。(主人公達は合意のない行為はありません)