イラストあり
心の一部が、甘く崩れていく音がする。
前作「365+1」のスピンオフです。前作を読んでない方はぜひ読んでから、こちらを読むことをおすすめします。この作品の美山靫彦というトップモデルが他人から見たらどんな人なのか、よくわかると思うので。
前作で紺と綾野を引っ掻き回して、結果的に2人を元サヤに収めてくれた靫彦ですが、なかなかに寂しくて辛い生い立ちをしていました。そして本気で好きになった男性と、その後についても詳しく書かれています。本気の恋を手酷い振られ方をしたことで人を信用しないように生きている靫彦。
そんな靫彦のお相手は…と言うとちょっと意外な人物。こちらも前作から登場の紺や綾野と同郷の先輩、デザイナーの久保田でした。クリエイターにありがちなプライドの高さはありながらも決して傲慢ではなく、靫彦をまず1人のトップモデルとしてリスペクトしているところがとても良かったし、そこが靫彦にも響いたんじゃないかと…。
とにかく面倒臭い靫彦を深い愛情で包み込んでくれる久保田の愛し方がとても好みでした(個人の感想です)。また、靫彦のあしながおじさん的存在の当て馬さんも最終的には嫌な奴じゃなくなって全体的に丸く治まって最高のハピエンだったのではないかと思います。
また個人的な好みの話になりますが、口が悪くてツンツン女王様なんだけど実は寂しがりで甘えたな受けちゃんと、受けのお世話をしっかりしてくれる攻め様が大好物なので、大変よく刺さりました。
スピンオフ作品だそうですが、先に読んでしまいました。
「365+1」も買ってあるのに〜。
でも全く気にならずに読めたので結果オーライ。
素直じゃない美人受けがノンケに恋しちゃう、少し切なくも幸せな物語でした。
16歳の頃から年上の金持ちに囲われていたり、夜遊びもそれなりにやってきて、でも前の恋愛で大失恋をしたユキが、叶いそうにもない恋に落ちてしまうんです。
頭では分かってても、止められない恋心。
そして自分の操縦がきかなくなる…それが恋ってやつよね。
相手の一言や態度で、天にも昇るし地獄にも落ちそうに悩むユキが可愛くて微笑ましかったです。
攻めの久保田もノンケでありながらユキをほっておけない気持ちから好きになってしまって、同性に恋をしてしまった戸惑いが隠せないのもよく伝わってきました。
久保田目線の部分があったらなぁ、と思いました。
モデル、服飾業界のお話としても楽しめます。
凪良先生の作品はそういう部分もしっかり書かれているのでラブ以外の部分も楽しいんですよね。
スピンオフ元を読むのも楽しみです♡
いばら姫、とは、超絶イケメンの美山。実はスピンオフだと知らずこちらから読んでしまいました。
元作品を読んでいたら少し印象が違ったかな?
美山はモデルとしてプライドがあり、実際に一線で活躍している。しかし幼少期に家庭があまりうまくいっていなかったせいで、人間として愛情に飢えています。
一方の久保田はデザイナー。こちらはノンケで、あまり策略を巡らすタイプではなく、明るく面倒見がよく人タラシな感じ。
包容力の高い久保田にだ惹かれる惹かれる美山ですが、相手がノンケだけになかなか恋にならず。。
実際はこんな感じなのかな?ノンケさんとの恋というのは。。
なかなか恋にならないので、美山がむしろ不憫でした。
でも終わりよければすべて良しかな?
美山のパトロンだった灰原さん。こちらも包容力という点では抜群で、美山をひきとってトップモデルにしただけでなく、最後は久保田に譲るなど、ちょっとできすぎの感じがありました。
久保田がなかなか自覚しないので、読んでる方もじれじれしてしまった。
面白かったけど今ひとつ乗り切れず。。ごめんなさい。
「365+1」のスピンオフ
紺の家に、電気を止められる都度にホテルの代わりに泊りに来る
美貌のトップモデル。
棘で素の自分を防御した隙のない「いばら姫」が、
棘を隠して、素の自分、白いカメリアが似合うユキちゃんに成れる
全部を理解して包容する、久保田を受け入れることができてよかった。
というより、粘り強く愛を捧げる久保田の献身愛に感動した。
ユキちゃんは、傷つきやすい繊細な人。
それを見抜いた久保田の目は確かで、慈愛に満ちている。
久保田の白い花を見て、ユキが母のお手玉を思い出す場面や、
「恋をしているせいで、秋の訪れが・・」のくだり、とかの言い回しが素敵。
凪良先生の作品の中で、一番捻じれていない恋物語だと思う。
スピンオフと気が付かないまま読みましたので、こちらだけで読めると思います。
デザイナーとモデルが主人公、キラキラしていて、ドラマ化してほしいと思う作品です。
最近はBLも実写ドラマが放送されるようになったので期待したい。そして枕元に埋め尽くされたカメリアとウエディングドレスやシャツなどが見てみたい。
母親へのトラウマや裏切りに傷ついた主人公が
全て理解できなくても、わかりたいと思ってくれる相手と出会い、強ばった気持ちが解れていく様子、描写に癒されました。
今回も期待を裏切らない一冊でした。