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表題作何度でもリフレイン

高坂佳史,親族経営会社の役員、28歳
真下裕通,ヨーロッパ雑貨を取り扱う商社社員、28歳

その他の収録作品

  • ステイ・ゴールド
  • あとがき

あらすじ

ずっと忘れられずにいた大学時代の恋人・佳史と、仕事先で再会した真下。
十年経ち、彼は大企業の役員となっていた。
別れの前後の記憶が辛すぎて、必要以上の関わりを避けたい真下に対し、
佳史は昔と変わらぬ情熱を向けてくる。
世間知らずで甘えたがりだった佳史も、今やすっかり仕事のできる大人の男。
それを眩しく思うと同時に気後れを感じる真下は「友達でよければ」と
佳史との付き合いを受け入れるけれど……?

作品情報

作品名
何度でもリフレイン
著者
安西リカ 
イラスト
小椋ムク 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
ISBN
9784403523717
4.1

(195)

(91)

萌々

(61)

(30)

中立

(5)

趣味じゃない

(8)

レビュー数
21
得点
794
評価数
195
平均
4.1 / 5
神率
46.7%

レビュー投稿数21

追いかけて追いかけて、縋って掴む再会愛に泣いた…

安西リカ先生の現代もの、ほんっとうに最高だなあ…と、泣きながら読んでしみじみしました( ; ; )

号泣するような物語ではないんです。しんみり、じんわり胸に沁みて、涙が出る同級生×再会愛。

同級生大好き、再会めっっちゃ好き、そして縋り付く攻め様大好き!な自分には刺さりまくり萌えまくりの一作でした。文句なしに「神」だよー神以外ないです。

大学一年時に出会って双方一目惚れし、ひどく傷つけ合って別れてしまった二人。
それから10年が経ち、真下(受)が商業施設への出店プレゼンに赴いたところ、選定員の専務として座っていたのは、あの時の忘れられない恋人でー

と続くお話です。
前半が受け視点、後半は攻め視点で書かれていて、攻めの必死さを手に汗握って読めるのもたまらなかったです。最高。

もうですね、「(今でも好きだけど)あの時には戻れない」と覚悟を決めて事務的に振る舞う受け君に対し、絶対にやり直したい、今度こそ優しくする、俺が守る!と決意した攻め様、佳史の押しっぷりがとにかく、すごい✨

病院からの帰り道の、車の中の苦しげな告白シーンとか、気付いたら胸打たれ過ぎて涙が出てた…

「ミチの好きな人は、ミチに優しいか?俺より優しいか?」
…ううう、思い出してまた涙( ; ; )

この攻め様の佳史、ことごとく再会後の約束を守らないんですよね。で、その必死さがめちゃめちゃ心を打つ。全然嫌な感じじゃなくて、いつの間にかこちらも拳を握りしめて応援しちゃう、みたいな。

・コンサートに一緒に行ってくれたら会うのはそれが最後にする。もうつきまとわない。
→やっぱり諦めきれない、ウザくしないから時々でいいから会って!ってなる。

・道に好きな人ができたら消える。だからそれまで友達として付き合って。
→好きな人ができた、と別れを告げられても、無理だ離れたくない!と縋り付く。

どんなに袖にされても、離れられない最初で最後の愛する人。

もうその思いに頭が下がっちゃって、涙も出てきて、胸が締め付けられました。

大人になって立場も変わり、10年前のように気軽な同級生のようには付き合えない…、そして、(いい意味で)大人になり変わってしまった佳史を見て寂しく思う真下の気持ちもよくよく理解できるだけに、心臓をギュッと掴まれた感じがしました。

過去を捨て、忘れるために距離を置こうとした真下を決して離さなかった、攻め様の粘り勝ち。

…はあ。。素晴らしい再会愛のお話を読ませていただきました✨もう、大好きだよ!!!


0

現代モノ!同級生!再会!

三度の飯より好きな設定づくしの本作。
最高でした。

あの頃...今...
この対比が再会モノの素晴らしさですよね。
あとがきを拝読して首がもげるほど頷きました。

ピアソラのタンゴがまた絶妙にエモさを醸し出していてロマンチックでした。

小椋ムク先生の挿絵も、まさしく同級生!再会!という感じで素晴らしかったです(ボキャ貧)
表情から感情がダダ漏れなんです...
お互いに想っていることが伝わってきます。

安西リカ先生の現代モノ、本当に大好きです。
ずっと読んでいたいです。

0

純愛

大学生の時に恋人同士だった二人が、10年の時を経て再会し、そこから再び惹かれ合う物語です。

別れ方が良い別れ方でなかったので、お互いに後悔と罪悪感を持ちながら過ごし、その間にも付き合う人はいたものの、過去の恋人の面影を追い続けていた二人。攻めである(バイセクシャルでもある)佳史が、再会後に猛烈?アプリーチをします。いや、猛烈というか、もう二度と傷つきたくない受けのミチが距離を置いて友人として接しようとしているのに対してグイグイ行きます。
きっと佳史のもう逃したくない、という気持ちが無かったらミチの諦めに似た不安からくる拒絶は解けなかったんでは無いかと思います。よく頑張った!佳史!

同時収録されているステイゴールドでは佳史の勝手な(笑)嫉妬心が出てきます。お互いに離れている時間には色々あったはずなのに、小さなことが引っかかってしまいます。さらには佳史の元カレが出てきてミチと仲良くなってしまい、観光に付き合うからと出かけていったミチを尾行する、、、などという恥ずかしいことをしてしまいます。しかも慌てて出かけたから、トレーナーにコート、裸足に革靴って…石田純一ですね(爆)
佳史はそこで、コレも自分なんだ、着飾って装った自分じゃない焦ってみっともなくてもミチに対する真摯な思いをぶつけようとします。ミチは笑って受け入れて、、、

彼らを見ていると純粋に好き合っているのだな、って思いました。これから佳史はきっと周囲から結婚の話も出るだろうし、苦境に陥ることも出てくるだろうけど、このまま二人で乗り越えて欲しいなと思うのでした。後日譚も読みたい。

0

攻めが受けに甘えているのが可愛い。

同級生で、再会ものの中では、かなり、私の中でポイント高い作品です。攻めが犬っぽくて、甘えるとき、ミチって名前をいうのが、ツボでした。読んで良かったです。ありがとうございました。

0

あの頃に戻る恋心( ´∀`)

別れて10年経ってからの再会ストーリー。
2人でいたら、あの頃の自分たちに戻るってのがキラキラとしていて、なんだかとってもよかったです(⌒▽⌒)


受け様の真下と攻め様の高坂は、大学で知り合い初めての恋人同士へ。
初心者同士の2人が、2人で日々を重ねながら恋を育み、2人のカタチを作っていくってのが、なんともいい。
それなのに真下の母の病気のため別れる際には傷つけ合っていて、ずっと後悔してきた。

あれから10年。
大きな体で甘えてきていた高坂は、仕事のできる大人の男になっていた。
復縁を迫られても、その手を取ることができない真下。
全身全力ですがりつかれ、子供のように駄々をこねる高坂が、私まで愛おしく感じちゃう。
スマートをかなぐり捨てて、大人になったと思っていたのに、あの頃の自分達がよみがえる。
高坂のなりふり構わない告白シーン、好きです(人 •͈ᴗ•͈)

前半は真下視点で、後半が高坂視点。
やはり、攻め様視点ってのは、溺愛ぶりが丸わかりでいいわ~( ´∀`)
自分以外にも真下の色っぼい姿を見た男がいる、という嫉妬。
めっちゃ萌える。

真下が好きでどうしようもないっていう、かっこ悪い姿をさらけ出す高坂が、可愛くて愛を感じちゃいました。

先生の萌が詰め込まれているだけあって、私もとってもきゅんきゅんさせて頂いて、大好きなお話です。


イラストは小椋ムク先生。
表紙もだけど、イヤホンを2人でかたっぽずつさしているシーンの2人が可愛くて好き。
真下にすがりついてる高坂もきゅんでした(#^^#)

3

10年経っても 遭うと18才に気持ちが戻る

安西先生の萌えは「同級生」とあとがきに有りました。
この作品も、同級生の二人がメインキャラ。
心情描写が、伝わりやすい表現で、真下と高坂の葛藤を理解しやすい。
あり触れた日常が舞台背景で、ひょっとしたら居そうな人という設定が、味わい深さを生み出していて、登場人物の心情に引き込まれました。

「何度でも・・」は、真下視点。
大学生時分に知り合った真下と高坂が主人公。
真下は母子家庭。
高坂は、グループ企業の御曹司。
出会ったとたんに高坂が真下に一目ぼれ。佳史・ミチと呼びあい、高坂が押しかけて、真下の家に荷物を持ち込み半同棲が始まる。
大型犬のような高坂は、惚れた弱みで小動物的な魅力を持つ真下の威嚇に抗えない。

一年ほどの蜜愛の後、真下は母の危篤を知り、恋の夢から目が覚める。
母を独りにしたことを後悔して、大学を中退して働きだし、高坂へ一方的に別れを告げる。
母が亡くなり、高坂へ酷い断り方をしたことから友人にもなれず、喪失感を埋める為に必死で働き借金を返した真下。

会社のイベントで、偶然に元彼と再会する。
離別の辛苦を味わった真下は、高坂の気持ちを受け入れられず葛藤する描写が秀逸。
大型犬に纏わりつかれて、泣きべそかいているような真下が可愛らしく描写されてました。

スティービーワンダーが歌って有名になった曲、「ステイゴールド(若いままでいての意)」に因んだ後半の章は、高坂視点。
10年経っても、真下=ミチの前だと18才当時に戻ってしまう高坂は、ミチにとってとても良い恋人。

評判通りの読後感で、凄く良かった。
安西りか作品、凄く面白いので続けて3冊読み、味わってます。

1

名前がわからない

安西先生の作品の中でも大好きな作品です。何回も繰り返し読んでいます。長い両片思いのかわいいお話なんです。気持ちだけじゃ乗り越えられなかった過去のせいで、いろいろ拗れてしまってるふたりが大人になってこんなふうになれるなら、こんなふうに相手のことを思えるなら、辛い過去も無駄じゃなかったと思いました。
佳史のセリフがいちいちかわいい。「ミチを見つけちゃたから、困ってるんだ」のとこなんか最高に好きです。
ところで、ミチの名前ってさがしてもさがしても書いてなくって、プレゼンのとこに出てきただけ?
でもそんなとこまで含めて大好きな作品です。

2

ベスト・オブ再会もの

好きな設定はたくさんありますが、再会ものは外せません。設定だけですでにエンジンかかってしまって、どんな味付けでも無条件に反応してしまいます。その分、なかなかベストの甲乙がつけがたいのですが、中でも本作はマイベストといっていいかもしれない(イラストも)。

BL用語の使い方としてふさわしくないとは思うのですが、「溺愛もの」ってこういうののことかな?と思っていて…(多分ちがう笑)スパダリとかハイスペックとか執着とか攻めにも王道な属性がある中、個人的に理想的な「溺愛攻め」といえばこのお話に出てくる高坂なんですよね。単なる好みですね笑

大学の同級生がお互いに一目ぼれして、未熟さゆえに別れなくてはならなかった二人。10年後に仕事で再会するも簡単に18才のあの頃には戻れない。たとえ忘れられない相手だったとしても…。

真下のフラッシュバックが大変効果的な演出となっています。大学生の甘え上手だった高坂も、すっかり落ち着いてイイ男に成長した現在の彼も、真下の目にはどちらも変わらず魅力的に映っているのがしっかりと伝わってくるんです。

だけど、再び同じような辛い別れをしたくない恐怖心から、真下にとって復縁は絶対にありえない。そんな彼の気持ちを知ってか知らずか、決して無理強いしないように高坂はもう一度友人として付き合って欲しいと懇願します。

高坂が真下を「ミチ」と呼ぶ響きの甘さ…。二人が好きな音楽、穏やかで息の合った会話、別れた原因すらもこれ以上にないほど互いの半身ぶりを反映していて、やっぱり二人はもう一度出会いなおす運命にあったのだと納得させられます。

再会後の流れがすごく自然でキュンとして、何回読んでも身悶えてしまう。もう、素晴らしく完璧な恋愛ファンタジー…!

離れていた空白の期間を経た二人が「今」の関係性をどう進展しさせていくのか、その過程に再会ものの萌えがたっぷりと詰まっています。後半に収録されている「ステイ・ゴールド」の高坂視点でも、時の経過をテーマにしたオチが見事に描かれていて、さらに満足度アップ。大好きな作品です!

6

読みやすくてロマンチックで面白い

読み始めでもう好きだろうな、面白いだろうなと確信が持てて、やっぱり好きで面白い作品でした。

奇跡の連続で恋愛関係に戻った2人ですが、どうしようもならない現実があるなら、これぐらい偶然の連続があっても良いのかもな、と自分のロマンチック脳が全肯定してくれてます。

学生がイヤホンを分け合うシーンのエモさは良く感じますけど、それを別れて大人になって、(まだ)付き合ってない2人で実行する照れ臭さよ!このシーンの2人には照れ臭さはないんですけど、はたから見る胸キュン。たまらないです。

後半、攻め視点が収録されている単行本が大好きなので、こちらもありがたく頂きました。真下から見たら、また世間一般的から見ても相当カッコよくてハイクラスの人であることは確かな佳史が、佳史視点で心の中をさらけ出すとこんなにも子どもっぽい恋する男なのだという事実!ストーキング佳史が滑稽で、でも愛しい。

恋愛が中心に置かれながらお仕事描写に違和感もなく、ドラマチックで読みやすい良い1冊でした。

ひかり 挿絵、あとがき有

5

再会愛に再読レビュー!

タイトル通り、久しぶりに再読してみました。
実は、安西さん作品の中では印象が薄く、表紙とタイトルだけでは全体を思い出せなかったです。まるで初めて読むように読んでしまいました…。自分の記憶力衰退にショック。

相変わらず読みやすくサクサクとページが進みます。他の方のレビューにある好きな点も苦手な点も、両方うんうん、とうなずけるような感想を自分は持ちます。

若いころのどうにもならない事で道を分かつこと、自分でそう仕向けた結果に自分で傷つく事。これは同じように若いころに読むと好感情だけで読み終わらなかったかもしれないな、なんて思いました。
若いとやはり直情的になりやすいので、そのような行動を取った攻めなり受けなりに、同じように直情的に反発心が起こるかもしれない、と。
年代によって、持つ感想が変わりそうな本です。

3

過去を振り返るところが、ウルっとくる

「お好きなわんこだと思う」とオススメされたので飛びついて読みましたが、攻めのワンコっぷりもさることながら、私は過去の恋を振り返るところが琴線に触れまくりました。

10代の頃、恋人同士で一緒にいると、どこからが自分でどこからが相手なのかわからなくなる時があったという程ニコイチだった二人が、別離を経て10年ぶりに再会するという王道系で、大きな動きはないけれど切々とした心情が丁寧に綴られているので感情移入がしやすく、どっぷり二人の気持ちに浸かりながら読めました。

10代のあの頃を振り返って二人で懐かしむシーンの中の
「初心者同士の二人は、二人で研究して、二人で首をかしげて、二人で赤くなって、二人で感動して、そうして恋を味わった」
という一文。

どれほどその恋がかけがえのないものだったのか読んでいる私にも伝わり、特別な感傷をもたらして泣けました。

そしてかつて二人で良く聴いた音楽をライブ演奏で一緒に聴きながら、隣にいる攻めが、受けの記憶の中で生き続けていたかつての無邪気な甘えん坊ではなく、すっかり落ち着いたいい男になっているというくだり。
こんな状況、自分だったら間違いなく泣いちゃうなー。
想像するだけで泣けるもの……。


番外編の「ステイ・ゴールド」も好き。
攻めが大人の男になろうとした理由もキュンとくるし、だけど相手の前ではいつでも18歳に戻ってしまうという二人がとてもいいなぁと。
このタイトルの「ステイ・ゴールド」も内容と相まってすごくいいと思います。

12

再会ってだけで萌える

再会復縁もの。
一度別れた恋人同士がばったり再会したことからまた止まった時間が動き出したり、過去の思い出が蘇って熱を上げたりというお話が大好物なので、この作品はとても楽しく読むことが出来ました。

前半は受視点で復縁するまでの話。
後半は攻視点で復縁後の話です。両視点ものはお互いが相手のことをどう考えているのかがよく分かるので、ふたりの性格の違いなども顕著でとても面白かったです。
特に攻のぱっと見の成長ぶりと、その実全然変わってなかったよぶりが何とも可愛くて、いじらしくて良かった。
受のことになるといつも我慢がきかなくて、嫉妬深くて我儘になってしまうところや、結局は受の包容力に安心してぬくぬくしてしまうところなど、まさしく正しい金持ちのお坊ちゃんで素直で可愛い。

10年経ってもお互いを忘れることは出来ず、失った過去を丁寧に埋めていくようなふたりの姿は読んでいて健気で微笑ましく、これからはどうぞ末永くお幸せに♡ と祝福したい気分です。

6

挿絵の威力。

得意のカバー買いです…
正直なところ少し甘めの評価です。収録作品のステイゴールドと挿絵がなかったら間違いなく「しゅみじゃない」になっていたと思います。
何が駄目なのかと言ったら…受け!!!!女々しすぎる。女々しくてイライラしました。女々しいのを健気と評価するのは違うような。どちらかというと攻めの方が健気なような気がしました。
ステイゴールドは攻め視点のせいか、受けの良さを少しは感じることができましたが…
私には受けの健気さは感じられなかったし、甘々にもかんじられず残念な作品となってしまいました。
電書版での購入ですが挿絵あります。挿絵にはめっちゃ萌えました!

4

十年後の再会

「好きで、好きで」が面白ったので、こちらも読んでみました。
大学時代、初めて付き合った恋人と十年ぶりに再会した真下。まだ好きという気持ちはあるものの、同じ別れを繰り返すことを恐れ、友達でいようとする。一方の佳史も真下のことを忘れられず、様々なアプローチを続ける。

ストーリーそのものは、好きなのですが、佳史に少し違和感。彼はお坊ちゃん育ちなので、“欲しいものは手に入って当たり前”感がちょっと…。
すみません、完全に私の主観なのですが。
10年の間会わない日々が続き、仕事でたまたま再会できたからアプローチを始めた佳史。それまでの間、会う努力に関してはしなかったのかなぁ。
それと「ミチが困ったときにすぐに助けられない男はダメだ」というなら大学時代、真下が本当に辛かった時期にもう少し踏み込んで欲しかったです。金銭面ではなく精神面で。そして、自暴自棄になって不特定多数の人と関係を持ってしまったという過去に、ちょっと冷めてしまいました。別れた後、何人か恋人がいたというのならともかく不特定多数て…。ちゃんと付き合ったのが15人てことは、一夜だけの相手とか合わせたらその数倍にはなりそうだ。

8

十年という月日

この作品を読んだのはもう一年近く前の事。
最近、小説はなるべくすぐにレビューしているのですが。
何故かこの作品はレビューし忘れていました。
BLアワードの『BESTあまキュン』にノミネートされているのを見て、どんな話だったかな?とサラッと読み返してみました。
あとがきにもあるのですが、安西リカ先生の萌えツボが同級生とか再会ものなのだそうです。
この話は、そんな先生の萌えツボ満載なお話でした。


※このレビューは、かなりネタバレすると思います。
なので、未読の方は回れ右でお願いいたします。


北欧雑貨を扱う商社社員の真下裕通(ましたひろみち)は、仕事のプレゼンテーションの場で、大学時代恋人だった高坂佳史(たかさかよしふみ)と偶然再会します。
テナント希望のビルのオーナーが高坂、つまり立場上ではかなり上の人。
しかも十年前に嫌な別れ方をしていた為、真下のほうは再会に焦り。
高坂のほうは、純粋に喜びます。
この後、真下の職場の同僚も巻き込んで友人としての関係をはじめるのですが…?


同級生、十年後の偶然の再会、過去と現在の比較。
よくある設定ではあるのですが、なかなか面白い切り口で楽しいです。
学生時代(恋人時代)で面白いのは、なんといっても二人の生活環境の違いでした。

真下は、母子家庭で団地で育った人。
家事は何でもこなすし、大学の学費は奨学金でアルバイトしながらの学生生活です。
母をひとり地元に残して、ボロアパートで独り暮らしをしています。
高坂は、金持ちボンボンで実家暮らし。
家事どころかお片付けもろくに出来ません。
ただし立ち居振る舞いや食事の仕方が美しかったり、育ちが良いせいか性格がまっすぐだったりします。

こんな二人を繋いでいたのが、同じ趣味の音楽でした。
アルゼンチンタンゴのアコーディオン奏者のファンで、学生時代も再会後も、音楽が二人を近づけてくれます。
ただ、再会後はあくまでも友人。
何度も昔のような雰囲気になるのですが、真下は二つの理由で拒絶します。
一つは、恋に盲目になっている間にないがしろにしていた大事なもの。
もう一つは、大人になって(良い意味で)あまりにも変わってしまった高坂にひけ目を感じてしまうこと。

一つ目は、どうしたって取り戻せない過去なので、二人で背負っていくしかない事なのですが。
二つ目の完璧な男の高坂に関しては、後で楽しい~展開が待っています♪
出来すぎ男の仮面が外された時の高坂、必見です!

このお話の魅力は他にも沢山あって。
楽しいのが、真下の職場の良好すぎるほどの人間関係です。
これは読んでいて、一番羨ましいと思う点でした。
特に職員全員に愛されている社長の小さなエピソードがどれも楽しい♪
それから、真下の家族の話。
これはかなり真面目な部分なので、読んでいて息苦しさを覚えるほどしんどい部分でもありました。
お互いがどんなに好きあっていても、別れなければいけない事はあるのだなぁ…と強く実感するエピソードの数々でした。

切なかったり、楽しかったり、苦しかったり。
様々なエピソードがジンワリ染み入る、魅力的なお話でした。

5

攻の愛し方があまあま

いわゆるワンコ攻め
こういう設定はあまり読まないが、大好きな安西先生の作品なので即購入!
外れがないんだよね。変わらずに丁寧な描写で安定感が抜群です
十年前に愛し合った二人はお互いの初恋の相手で、しかも一目惚れ。
受けの家庭の事情で後味の悪い別れ方になってしまい、十年後仕事で再会する。
十年前は少しヘタレで世話を焼ける恋人がすっかりいい男になっていて、好きなのに言えない受けの苦い気持ちに対して攻めのセリフも行動も超あまあま。逆にちょっと焦れったい。
嫉妬して「俺はいつでもミチを守れる男になるように頑張ってきたんだよ。せっかくイイ線行ってると思ったのに、ミチの前だといきなり十八に戻る」と悔しくて子供っぽい攻めの姿が愛おしい。
自分専属のヘタレ恋人っていう感じがいい

13

しつこさを感じて残念

ちるちるのレビューで、面白い、切ないと見て、是非とも読んでみたいと思っていました。

いざ読んでみると、最初はすらすら読めたのですが、途中から少し食傷気味に。
というのも、同じニュアンスの言葉や表現が、何度も繰り返し書かれているのが気になる。
受けの視点で語られる攻めへの想いや葛藤などの心境は、「もう分かったから!」とこっちが苛々するほど同じことの繰り返し。
まあ同じことを何度も繰り返し悩み、考えるのは、いかにも人間らしいのでしょうが、小説として読んでいると段々飽きてくるもの。
攻めを遠ざけたいのに、拒絶しきれず絆されて、でもやっぱり遠ざけて…という優柔不断な受けの性格も、ちょっと残念。
ウジウジした受けが苦手なこともあり、段々読むのが辛くなってきてしまいました。

しかし、ストーリーは実に秀逸です。
若さ故の無知や、それによるすれ違いと憤り。
「出会うのが早すぎた」という言葉には、とても共感させられました。
誰にでも経験のある感情を、上手く表現してらっしゃり、すごいなぁと感じました。
特に大きな事件があるわけでもなく、淡々した日々の流れを追っているのも、リアリティがあって良い。

是非、先生の別の作品も拝見してみたいと思います。

9

別れと10年後の再会愛

安西リカさんは初読みの作家さんです。
評価が高かったこととあらすじにあった『別れて10年後の再会愛』が自分的に萌えツボだったので手に取りました。

10年前の学生時代の出会いから恋していく様子が自然で、日常の中の幸せが伝わってきました。
劇的な事件やハラハラドキドキな展開はありませんが、飽きずに最後まで一気に読ませる作品でした。

高坂が資産家の坊ちゃんな攻めにありがちな傲慢で自信家ではなく、会社経営者一族のご子息で贅沢な暮らしに慣れているのに性格がよくて人懐こい大型犬的なかわいさや一途なところがよかったです。

真下が高坂を愛しているのに憎く思う気持ちがよくわかりました。
環境や大人になりきれていない精神からすれ違っていく過程が痛々しく、愛し合っているのに別れなければならなかった二人の心情が丁寧に描かれていました。

誤解や気持ちの擦れ違いから別れるに至る展開がきちんと描かれきれないと、時を経て再び燃え上がる気持ちにも入り込めなくて再会愛に萌えないのですが、この作品の別れと再会後の気持ちの動きには共感できました。

そして、高坂が出会うのが早すぎたから別れることになったんだといった気持がよくわかりました。
一族や会社の中で求められる姿や立場を理解してそうなるべく努め、いつか再会したときに真下のそばに居られる男である自分でいられるように頑張った努力が報われてよかったねと言ってあげたくなりました。
二人にとって悲しい別れも苦しみ足掻いた10年も無駄ではなかったんだと思いたいです。

二人が昔から好きだったアコーディオンのライブに行ったり一つのイヤホンを片耳ずつ二人で分けて聞いたりしているところでタンゴやアコーディオンの音楽を聴きたくなりました。
カバーイラストをはじめとして 片耳ずつのイヤホンのイラストが何枚かあるのですが、どれもとても幸せそうでほのぼのします。『片耳ずつのイヤホン萌え』という新しい属性を自覚しました。

6

10年ブランク愛♡

安西リカさんの三冊目の本です。
前の2冊が、萌ツボドンピシャだったので、今回も発売前からメッチャ楽しみにしていました。

あらすじは他の方が書いて下さっているので感想だけ
今回も良かったです〜。
特に何か起こるわけではなく、日常において生活する中で起きる出来事を通じて別れる事になったり、偶然10年後に再開して、お互いがぐるぐると考え過ぎてすれ違ってしまったり…
一息に最後まで読みました。

このお話は、すれ違っていても、友達関係でも、心の中では二人がお互いに他人では心は満たされず、お互いの事を想いあっている。
大人になった分だけ、立場や環境にあまりにも違う立ち位置に、前のように恋人同士には戻れない。戻りたいけど戻れない。
よくあるパターンなんですが、萌えるんですよね〜(笑)
友達でいいって言いながら隙あらば、何とか前の関係に戻したい佳史。
必死な感じが、受けのミチ視点からでも可愛いです。

また、後半の攻の佳史視点では、外見では10年経った分、考えや行動がスマートな大人になったと思われた佳史がミチに対しては18のまま
子供で我儘、嫉妬しまくりの可愛い大人がこれまたメッチャ萌ました。

ドロドログチャグチャより、やっぱり
サッパリなんだけどツボ満載の一途愛大好きです♡



7

なんでもない設定を読ませる力

ひねりも特になく、直球同級生再会もの。
前作「好きで、好きで」が初読みだった安西さんですが、
こういうなんでもない設定を、
丁寧な描写と文章で読ませるのはなかなかすごい。

大学一年の春に一目惚れのように出会い、
互いにどちらが自分かわらなくなるような特別で濃密な恋をして、
やがて破局、10年経って仕事を通じての再会。
かつて別れた理由は切なくてウルっとくるのだが、
その後はドラマチックな障害やエピソードがあるわけでもなく
多少すれ違いながら、再びまとまるまで。

御曹司で今や企業の重役となり、
すっかり大人のいい男になった(はず)攻めが
実は受けを前にすると甘ったれのわんこだったり、
恋には臆病な受けが、普段は強気の気持ちいい性格だったりも悪くないが
この物語の魅力は回想の折り込み方だろう。

かつての別れの理由がとてもやるせないのだが、
二人とも好きだった音楽のアコーディオンの音色に絡ませながら、
挟み込まれる蘇り振り返る過去の記憶が、切なくキュンとする。

後半の書き下ろしはまとまってからの二人。
攻め視点は普通に面白いのだけれど、前半の切なさはなく
当て馬もいい人でさらりと楽しく読んで終了。

同級生ものはツボだし、とても良かったのだけれど
個人的には二作目になると前作のような新鮮な感動はなかった。
(挿絵が前作は木下さん、今作は苦手な小椋さんという点もあるか?)
なんでもない話を、甘く切なく読ませてくれる作家さんだとは思う。



※多分ほとんどの人にはどうでもいい話だけれど、
 受けの名前が……愛称がミチってところが、個人的には読んでいて
 何度も躓いてしまった部分……だって……(笑)

9

同級生もの

安西先生の作品を読むのは3作品目なのですが
安西リカ先生の萌えツボと私の萌えツボはドンピシャで
とにかく、今回も大好きな作品です。

大学の同期、辛い別れと過去、10年ぶりの再会、変わらない想い・・・
なんて素晴らしいシチュエーションなんでしょう。
もう、安西リカワールドにどっぷりはまってしまいました。

佳史とミチは大学の時付き合っていた。
お互い初めての恋で、手探りだった。
本当に愛していた。幸せだった。
佳史の実家は会社経営をしていて家は豪邸の金持ち。
対してミチは団地住まいの母子家庭で決して裕福ではなかった。
母から離れて大学に通い佳史との恋に母親を忘れる日も・・・
そんな時、母親が倒れミチは大学を中退し実家に帰る。
育った環境の違う二人はちょつとしたことからけんかになり
後味の悪い別れかたをしてしまう。
あれから10年、佳史を忘れるのに長い長い時間がかかった・・・
やっと思い出になりそうだった時に運命の再会をしてしまう。

本当は嫌いになんかなれなかったのに
本当は大好きだったのに、お互い彼だけだった・・・
10年の間、いろんな人と付き合ってみたけど
誰と付き合っても、忘れられなかった・・・
そんな相手が今目の前に現れて、10年の様々な想いが一気にあふれ出て
零れ落ちる自分の本当の気持ちを見つからないようにかき集めて
誰にも見られないところへ隠そうとするミチ。
素直に真っ直ぐに気持ちをぶつけようとする、佳史。
10年経って、たしかに大人になったけど、
二人になると気持ちは10年前の18歳の頃のまま。
あの頃二人で聴いた音楽を聴くと一気にあの頃に
タイムスリップしそうになる、そんな気持ちがよくわかりました。

同性であるがゆえに、男女のような「結婚」というゴールインはなく
相手がバイであったりもともとノンケだったりすると
相手のゆくゆくの幸せを思い、身を引くという選択がよくありますが
ミチも佳史との間にある何とも言えない距離がもう会わない方が
いいと思わせていたんでしょうね。
時間が少しづつ傷ついた心を癒してくれて
燃えるような恋をしたことも、遠い過去のように思えそうだったのに
大好きだったその人を目の前にすると
あっという間に、10年前の気持ちに引き戻されてしまう
そんな複雑な気持ちがすごくわかる作品です。
また、10年ぶりに気持ちを確かめ合った二人の濃厚な絡みは
10年間のブランクを感じさせないほど濃密で
キスひとつとっても、二人のものすごい愛を感じさせる描写が大好きです。
18歳の頃、どんなに愛し合っていたか・・・
そして、それが嘘じゃなったと感じられることが幸せだと思いました。



同級生もの、大好きです。
次回も素敵な作品、期待しています。

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