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なんて素敵なお話!!
10年前の作品ですが、今になって読むことになったことを口惜しく思います。それくらい胸に深く響いたストーリーでした。
日常現代ものの作品で、穏やかな日常の中に再び湧き上がっていく初恋エッセンスに萌えゴコロが疼く再会BLです。
日常感が強い世界観は一見すると地味めな印象ですが、それこそがリアルというもの。自然体のシチュエーション、自然体の触れ合い、自然体の感情…といった無理のない描写が共感性を高め、2人の恋が導く世界に完全没入でした。
昔好きだった相手と再会し、かつての恋心が再燃していく芙蓉の心は困惑と嬉しさでいっぱいで、昔のように…いや、昔以上に距離を詰めてくる初恋相手・西澤のグイグイ感に翻弄されていく様が非常にドキドキします!
西澤が何だかんだと芙蓉に構ってくるのもいいし、しかも芙蓉のおばあちゃんが営む下宿先の学生っていうポジションもめっちゃいい…( ´∀`) 同居のようなそうじゃないような微妙な距離感と、生活の一部を共有し合っている関係性がますます芙蓉の恋心を刺激していくところにキュンでした。
自然と距離が近くなっていく2人のやり直しの時間に微笑ましくなる一方、突然離れ離れになったことにより共に過ごす時間が失われてしまった過去の時間の喪失感はやるせない思いでした。
劣悪な家庭環境で生活する芙蓉を救うためとはいえ、芙蓉と唯一仲良くしていた西澤と離れてしまうことになってしまった急なお別れは芙蓉にとってずっと引きずっていた心残りでした。それは西澤が芙蓉の初恋の相手であったことが大きく、西澤への想いを断ち切ることができない今時点でも西澤から借りた植物図鑑を大切に持っていることからも伺えます。
そんでもって、芙蓉にとって大切な一冊となったこの図鑑が、これまた物語の中でいい働きをするんですよね。直接的にではなく間接的にですが、芙蓉と西澤との会話の中で話題に上がる雑草ミニ知識は西澤との距離を詰める役回りとして超重要です。
好きな人から借りっぱなしの図鑑を芙蓉がどれだけ大切にしてきたか、彼の雑草知識からそれが強く伝わってくるのが胸アツです……!!
幼き日の初恋を、伝えられない好きな気持ちを、こうして図鑑の知識と向き合うことで昇華してきた芙蓉の恋心が控えめで健気で、この恋の行方を応援せずにはいられませんでした。
芙蓉の視点であっても西澤の気持ちがわかりやすく仕上がっているのも、この作品の面白さでしょう^ ^
西澤……想像以上の執着攻めで嬉しかったです(笑)
下宿先のお兄さんの存在も良かったし、芙蓉のおばあちゃんも素敵な人。BL読んでるのに家族の温かさをしっとりと感じる描写には涙がホロリでした。
色んな感情ひしめくストーリーの重みに酔いしれた作品でした。
2人の初恋のエンディングを多幸感で見届けることができて大満足です!
長く片想いをしていた者同士の再会ラブですが
再会の喜びがあふれるだけではなく
静かに進むストーリーのなかに胸が痛む場面がかなりあって、
抉られるところもたくさん。
でもそんなところにもぐいぐい引き込まれるような展開でした。
一緒に過ごした時間より離ればなれになってからのほうが長かったふたりですが
再会してからの気持ちの昂りを見ていると
彼らが抱えてきた恋心は
何年経っても色褪せることも揺らぐこともない
想いだったと伝わります。
自己肯定感が低すぎる芙蓉は
西澤の気持ちをストレートに受け取ることができなくて
その度に遠回りしたりすれ違ったりするけれども
彼が"そうなってしまった"理由ごと
西澤は柔らかく包みこんでくれていて
その優しさがとっても沁みました。
芙蓉の重たくてツラい過去のなかでも
西澤の存在に救われた気持ちは輝いていて
悲しいことばかりだった幼少期が
苦しいだけの記憶で埋まらずに済んだからこそ
芙蓉はこんなにも真っ直ぐ美しい大人に
なったのでしょう。
自分がいかに愛されているかを知った彼は
これからもっと魅力的になっていくのだろうなと
感じました。
西澤との恋模様だけではなく
祖母との関係の変化を見ることができたのも
嬉しかったです。
温かくて優しくて、でもぎゅっと切なくなるところもあって。
淡い初恋の思い出と現実とを繋ぐ瑞々しいストーリーがとても美しい作品でした。
あったかいお話。感情が揺さぶられる!とか、号泣!とかはないけれど、受けの芙蓉の心情に寄り添えるとても素敵なお話でした。
両片思いのお話なんですが、特に攻めの西澤の一途さが素敵です。そんな前から芙蓉のことを想ってたんだね、とわかるシーンがありまして、いいなーって。
受けの芙蓉も苦しい家庭環境を乗り越えて、健気だけれど決して流されない、自分を持った子で魅力的でした!
それからサブキャラのみんながすごく良い!これ、この本の結構大きいポイントだと思います。芙蓉のお祖母ちゃんも、西澤のお母さんも、田上君も、みんな優しい、ふたりの応援団って感じ!
とても読みやすかったですし、激しさよりも、あたたかいお話が好きな方にはオススメです。
母親にネグレクトされていた芙蓉の境遇。そしてその初恋の行方に、泣けて仕方ない作品でした( ; ; )
他の方のレビューにもありましたが、小学校時代、ぼろぼろの服を着て誰も触れようとしなかった芙蓉に西澤が手を差し出し、一緒にフォークダンスを踊るシーン…気付いたらぼろぼろ泣いてました。
たった2行程度の描写なのに鮮明にそのシーンがイメージできて、芙蓉のはちきれんばかりの喜び、羞恥や申し訳なさが伝わってきて……込み上げてくる思いはあるのですが、うまく文字で表現できずもどかしいです。(プロの小説家の先生方って本当にすごい)
優等生然とした西澤が、恋した人(芙蓉)の前では余裕をなくして嫉妬したり、思わず唇を奪ったりと、一人の恋する男になる様子もたまらなかった。
”芙蓉は不要”なんて呟いていた小学校時代の芙蓉。
そんな彼が西澤に情熱的に求められ、”大切な存在だ”と言葉でも態度でも余すことなくぶつけられ、満たされていく過程に、じんわりじんわり込み上げるものがあり、読後しばらく放心してしまいました。
一番最初に載っている、金子みすゞさんの詩「草の名」。
本編読了後にもう一度読むと、読む前とはまた違った思いが沁みてきます。
草間さかえ先生のイラストも、繊細な作品の雰囲気にぴったりで、、
大切に、何度も読み返したくなる作品。
今まで読んできた月村先生の小説の中で、個人的に一番好きで記憶に残るものでした。
作者&挿絵買いです。
タイトルもほのぼのとしてて、絶対甘キュンなやつだろうと見当をつけ購入しました。
主人公の芙蓉はかなり壮絶な過去持ちですが、どこか達観しているようで、繊細そうなんだけど芯の強さを感じさせます。
そんな芙蓉の初恋の王子様、西澤と6年ぶりに再会し…というお話でした。
健気な薄幸受けが無条件に愛される、そんな作品ですのでハッピーしか求めてないという姐様にも安心設定です。
終始キュンの嵐ですし、すれ違いもありますがそこまで拗れないので読んでいて悲しくなるような事は無かったです。
幼少期に全くいい思い出がなかったという記憶を西澤がいることで、生まれてよかったという希望に変えてくれる設定にホッとさせられます。
素っ気ないような態度の祖母にも実は愛されていたって所で涙が滲んだりしました。
本編が終わり、あとがきの文字が見えた時にエッもう終わり?って残念に思ってしまうほど、もっと2人のお話を読んでいたかったです。