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表題作夜間逃避行

ナトリトモキ,旅先で出会った青年,23歳
内野成一,リストラされ失業中,26歳

その他の収録作品

  • 離れていても、そばにいる
  • あとがき

あらすじ

花嫁と親友に駆け落ちされた内野成一は、日に日に重くなる周囲の視線や口さがない噂から逃れるように、UFOが現れるという町を目指す。道中、キャップのつばに表情を隠した寡黙な青年・ナトリに出会い、旅をともにすることになるのだが、彼にも人に語りたくない事情があるようで……? 傷ついた二人の、再生への旅が今、始まる──。

作品情報

作品名
夜間逃避行
著者
久我有加 
イラスト
絵津鼓 
媒体
小説
出版社
KADOKAWA(メディアファクトリー)
レーベル
フルール文庫ブルーライン
発売日
ISBN
9784040674452
4

(34)

(13)

萌々

(14)

(5)

中立

(1)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
9
得点
137
評価数
34
平均
4 / 5
神率
38.2%

レビュー投稿数9

避けるほど重くはない

久我さんもともと好きでしたが、レビューを見ると重いとかそんなのばっかりだったので手が出ず寝かし続けていたところ、Kindle Unlimitedで見つけたのでソッコーでダウンロードして読みました。

個人的には別にそこまでズーンとなるほど重いとも思わなかったです。
確かに攻めは重たすぎる荷物を背負って人生を生きていかなければいけないけれど、お話の最後はちゃんとハッピーエンドですし。

何を抱えているのかとかは読んでいただくとして、話のテーマが大きいにも関わらずちゃんとBLしてるところがすごくよかった。
というかエッチシーンが良すぎた。
表情が顔に出にくいクールな年下攻めと元気でおしゃべりな明るい年上受けって感じですが、この組み合わせ最高です…。

受けがマジックミラーのバスルーム(受けはマジックミラーだと知らない)でああでもないこうでもないとエッチの準備をせっせとしてるのを攻めがずっと見てたっていうのかわいすぎて笑いました。

そのあともテクニックを持ち合わせた年下攻めにとってもかわいく抱かれちゃってますし。

経験が豊富なのか、とにかく年下の攻めが受けを翻弄しまくり絶対的な自信で受けのことをめちゃくちゃ気持ちよくしてくれます。
この受け、ほんとにいままで女抱いてたんか?って感じです。

最近はエッチシーンを読み飛ばしてしまうことも多々ありますが、これは読み飛ばせないエッチでした。

年下くんが慣れてきて年上のことを「あんた」って呼ぶのがたまらない属性なのでそれも非常にありがたかったです~。

あと個人的には絵津鼓先生の挿絵も合ってると思います。
特に受けの元気でかわいらしいキャラにはピッタリではないかと。

ベッドの上で力を発揮するクールな年下攻めが好みの方、おすすめです。

0

終わり方が良かった

実は途中まで無理にBLにしなくても良かったのでは……と思っていたんですね。

BLだから二人が恋に落ちて当然なんだけど、あまりにも攻めの置かれた立場がシリアスで理不尽でしかも現在進行形で救いがないので、恋愛どころじゃない……みたいな気分になってしまうというか。
だからエッチシーンもなんか浮いているというか、読むのがいたたまれなくて、流し読み……。
受けはノンケなんだけど、ノンケ君がこんな状況で「友達ではなく、恋愛の意味で好きだ」と目覚めてしまうのも、……え?!と思ってしまったし。

だけどエピローグがとても良かったです。
なんでUFO?と思いながら読んでいたんだけど、「UFOを見る確率より、離れていても確かに想い合える人と出会う確率の方が、ずっと低いかもしれない。」というここに痺れました。

そしてロードムービーのような小説を書きたい!という思いから、こんな重いテーマを絡めてくる、そして安易に大団円的ハッピーエンドにしない久我先生はやはりとても真面目な方なんだなという思いを新たにしました。

ブログに掲載されているSS「キミちゃんの一日」も良かったです。

3

色々と考えさせられました。

社会派BLとUFOを探しに行く事とどんな結びつきが…??と
読む前は多少身構えてしまうところもあったのですが
読み始めたらもう、とにかく先が気になりました。

想像していたより重い題材で
こうしている今もきっとどこかで誰かが苦しんでいるのかと思うと
胸が締め付けられるようでした。
信じていた人に裏切られるツラさ、
愛する家族を失う出口の無い悲しみ、
普通の生活が一変してしまうような出来事が
それぞれを雁字搦めにし常に付きまといながらも
時には温かい人情が生きている実感を与えてくれていました。

優しくて思いやりのある内野が
なぜこんな想いをしなければならないのかと憤りを感じましたが
見ず知らずのナトリ君を疑ったりせず、
懐いていく様子はとても微笑ましくて
哀しくなったりほっとしたり忙しかったですw

ナトリ君の事情が明らかになった時は気の毒としか言えませんでしたが
それでもこんなにナトリ君に心を許してくれるような内野との出会いがあって
本当に良かったね!!って思えました。

ナトリ君に対して、内野が少しずつ愛情を感じるのは自然だったんですが
後半の告白の「エロいこと込みで」はちょっとビビりました!
いや、その前に抱擁で自覚したからアリなのかもですが…。
でも気持ちを確かめ合うところはナトリ君が結構助平で嬉しかったです←

エピローグと『離れていても、そばにいる』では
もうお互い好きだからこれからはラブラブ!みたいな変に甘い展開じゃなくて
逆にそれが好ましくて
是非とも“本当の焦らしプレイ”をするナトリ君が読みたかった!!
萌ですが萌×2寄りです。

6

許すこと、愛すること

個人的に久我有加さんの小説は、明るく楽しく基本的には誰も不幸にならないドラマ作品…という印象だったので、このテーマは意外で、後半はとても胸に刺さりました。許すこと、そして愛すること。難しいけれど、読みながら色々と考えることができて穏やかな気持ちになりました。

また、序盤では特にナトリの容姿の描写などが可愛らしい雰囲気のイラストとマッチしていないように感じていたのですが、読み進めるにつれてこれが正解なんだなぁとすんなり思えました。読み終えてから表紙イラストを改めて眺めると、内野の眼差しがとてもいいですね。

主人公の内野は、見方を変えて突き詰めればダメなところはあるのかもしれませんが一般的には被害者で、普通の人で、当たり前のロジックで傷ついて拗ねています。逃避行の途中で出会った青年・ナトリと過ごすうち、彼の絶妙な距離感と雰囲気に惹かれていく内野ですが、思わぬ展開からナトリの過去を知ることになります。知らないから一緒に居られた――知ってしまったら一緒に居られないのか、と焦る内野がいじらしくて胸きゅんでした。

ロードムービー的な面白さも随所にありますが、コメディーになりすぎないテイストも良かったです。

5

地味目だけど優しいお話

ゲイ×ノンケのCPですが、
ゲイがノンケを口説き落とす話ではありません。
受け視点で進むロードムービー的なお話の中で、
ノンケの方が一緒に旅する相手をゲイだと知らずに好きになってしまう。

こうしてざっくり書くと、ありきたりな筋書きのようですが、
旅の間の二人の空気感や、
旅先で出会った人との、時に温かく、時にきつい出来事、
傷ついた受けが、攻めとの二人旅を通じて立ち直り、
本来の明るさを取り戻して、
新しい生き方を見つけて力強く歩んでいくまでが丁寧に描かれており、
派手さはないものの、久我さんらしい読み応えがありました。

地味で重めだけど優しい、
読んで良かったと思える作品です。

受けが恋に落ちるくだりには若干の唐突感がありましたが、
他がしっかり描かれていて、
登場人物たちに上っ面な感じがなかったおかげで、
元々懐っこい受けが、婚約者と親友の裏切り
と口さがない周囲の態度に傷つき、心底落ち込んでいるところに、
すっと染み込むように寄り添える相手ができたら、
性別は関係なく惹かれるのもアリかもと夢見る事ができました。

攻めが抱えてる問題は、BLで取り扱うには若干厳しめでしたが、
恋愛だけを軸につらっと書かれた読み応えの無いような作品よりは、
ずっと好みでした♪

5

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