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表題作銀座ネオンパラダイス

郡司鷹彦、老舗呉服問屋のドラ息子
見目葵、下請けの縫製工場の息子で進駐軍通訳

あらすじ

昭和23年、東京・銀座--。
東京の片隅で、葵は戦争から戻らない幼馴染を待っていた。
それは出征の前夜、ただ一度だけ身体を重ねた男(ひと)でもあり…。
ところがその鷹彦が突然目の前に現れて…!!
相変わらずのワガママさで葵をあきれさせるが、人を引きつける力も昔と同じ。
そして役者になるという夢に向かって少しずつ変わろうとする鷹彦に、葵は秘めていた恋心を止められず…。
痛くても、苦しくてもお前とともに生きたい--お前は俺を照らす光、俺の生きる理由だから。

作品情報

作品名
銀座ネオンパラダイス
著者
ウノハナ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
日本文芸社
レーベル
KAREN COMICS
発売日
ISBN
9784537133578
4.2

(343)

(173)

萌々

(108)

(42)

中立

(11)

趣味じゃない

(9)

レビュー数
36
得点
1434
評価数
343
平均
4.2 / 5
神率
50.4%

レビュー投稿数36

ありがちなのに泣ける

Kindle unlimitedで読みました。
王道にスパイスが効いた感じで一気に読んでしまいました。戦後という重い時代背景がありながらも、ちゃんとラブストーリーとして落とし込めるところがウノハナ先生の力だなと感じました。再会要素もあるのに前半は特にお涙ちょうだいというところがなくて、鷹彦の図々しい俺様的な性格が中心に話が進んでいくので、あんまり暗くなったりしんどくなったりはなかったです。なのに、ラストの映画のシーンは泣けましたね。鷹彦の強引さとか華やかさがスクリーンを通して伝わって、彼の魅力がダイレクトに伝わってくる。「やっと帰ってきたんだな」という安心感が一気に感じられて、このシーンのためにすべて構成されていたのではないかという気持ちになりました。
ありがち展開なのにドラマチックさがあり、ノスタルジックなところもあるけどどこか現代的、というまさに良いところ取りの作品だと思います。

0

心に沁みる物語

戦後間もない昭和が舞台。トローリーバスが走りだした頃。 
ウノハナさんの2015年の作品。 
読後感が、凄く良い作品。

★鷹彦が戦友の遺品を届けた未亡人が、葵に言う
「どうして? 醜くてみっともないのがいけないの? 可愛いじゃない 必死で生きてる証よ」 
・・この沁みる台詞のために作った作品じゃないかと思った。

出だしの場面は有名な歌、「岸壁の母」を連想。
終戦後の帰還兵を乗せた船が着く波止場でずっと鷹彦を探して待つ葵
葵は、米軍将校の通訳をして生計を立てていた。

鷹彦が戻る日を信じて、ボロボロの借家に住み続ける葵。
葵の古い借家に、出征以来、行方不明となっていた 幼馴染の鷹彦が訪れる。
ひょっこり帰ってきた鷹彦は、役者の卵になっていた。

1

のらくらな態度に隠れた想い

 いやあ、良い読み物に出会えました。ウノハナ先生と時代物の相性が、ここまで良いとは。なんといっても、鷹彦のふらふらした感じが魅力的ですよね。浮気性な攻めは好き嫌いが分かれやすいと思いますが、鷹彦にとって葵とそれ以外の人間では決定的に違いがあることはすぐ察せるので、私は気になりませんでした。葵の隣に堂々と並ぶことに自信がないから、居場所を定めきれず、ふらりと出ていっては戻ってきてを繰り返す鷹彦。それに振り回されてうんざりしながらも、結局いつも心の中では帰りを待ちわびてしまう葵の健気さ、一途さが切なくて。

 死んだかどうかも分からぬまま、想い人の戦地からの帰りを何年も待つ心地というのは、どれほどの狂おしさでしょうか。現代に生きる私には想像もつきません。どうせ死んでいるだろうと早々に諦めてしまえば多少は楽になるかもしれない、しかし、確実な知らせもないまま諦めてしまって本当にいいのか、持つべき希望を捨てていいのか。そうやって苦悶し続けた葵の心情を思うと、鷹彦が戻ったことの奇跡、尊さが身に沁みます。

 鷹彦は鷹彦で、葵の知らない前線を生き抜く中で、生死や人生についていろいろ考えたでしょう。帰国後長らく連絡しなかった彼の想いにも大いに共感できました。そうして一度は別々の道を歩んだ2人が、この時代に再び昔のように隣り合う。時間はかかったけれど最後は帰った鷹彦、それを受け入れた葵、どちらの選択も涙が出るほど嬉しいです。戦時中、戦後の物語として、とても良質な作品でした。鷹彦の浮気性は葵への甘えからではなく、自分に対する自信のなさから来ていたものなので、葵の恋人として自信がつけば、しっかりしていく気がします。これからは女性がいる場へは葵も連れて、豪快に遊んで欲しいですね。

1

お前しかいない…萌え〜

2人ともいい男〜。
素直になれず意地をはっちゃったりもするけれど、お互いすごく思い合っているのがいい。

鷹彦の放蕩ぷりに耐えて待つ葵が何て忍耐強い。
その葵が戦後3年間ひたすら鷹彦を待つ日々は辛かっただろうな。そりゃ帰国していても連絡よこさなかった鷹彦に怒るよ。

それでも葵は一途で健気で、鷹彦が相変わらず奔放にしていても最後には自分の所へ帰ってきてくれればいいと。
ま、戦争で死んだと思えば、生きていて自分のところへ帰ってきてくれればいいと思えるか。

鷹彦はそんな葵に甘えて相変わらずだったけど、役者の道を目指すと言った割に中途半端で。
それが葵を喜ばせたいと真剣に役者に取り組めるようになってよかった。

鷹彦のデビュー作をスクリーンで見る葵の号泣っぷりにどんだけ好きなんよ!!と笑ってしまったけどw
何があってもお前だけ、お前は俺のもの、と言える2人がウノハナ先生らしい萌えなのだなと楽しく読めました。

1

王道が難しい時代にエモで現代テイストで通す

素晴らしい作品でした。カバーも美しい〜。

出兵して戻らない友人、最後の夜に触れた記憶、いつも船を出迎えて帰りを待つ、銀座のネオン、米人とのやりとり。
戦中戦後はなかなかBLで少ないテーマだと思いますが、重苦しくない描き方で読みやすく、キャラや台詞も現代と言ってほぼ遜色ないです。
鷹彦の性格が宵の金は持たない江戸っ子っぽさというか、昭和の色男風と言えなくもないのが良いし、葵の真面目な常識人の白黒コントラストが楽しいです。
王道的な流れもありますが、でも戦後でBLで王道って無い(テーマとして・時代背景として)からジンと来ます。
脇キャラの配置のソツの無さ、お話との絡ませ方は流石です。

戦後すぐ鷹彦が葵の元に戻らなかった理由、それを知って泣きながら無言で鷹彦を抱きしめる葵にグッときました。
映画に映り込む鷹彦に涙する葵。鷹彦が戦中想像したように、もし葵が家庭を持っていたとしても同じように泣いたでしょうね。
映画は一生その人のその時の輝きのまま残ります。映画と2人の普遍性、生きていることが溶け合ってエモーショナルなシーンでした。

あの頃って開襟シャツでは?とかボロ家で致して(個人的に対面座位がとても良かったです)筒抜けでは?とか、突っ込みは野暮です。でも髪型や言葉使いや生活にもっと歴史背景取り入れて欲しかった気もします。でもこのままで素晴らしく完成されている作品なので、やはりそれは野暮。
Kindle Unlimitedにて

2

面白かったお話

すごく面白かった
以前からこの本の存在は知っていて、レビューの高さもあって気になっていたが、昭和初期のお話とあって、あまり食指が動かなかったのですが、読んでみたらなんて事ない、すごく面白かったです

攻めと受けは王道で、定番のカップリングとストーリーの展開なのですが、それでも魅せ方がすごく上手くて引き込まれます

激動の時代を出来るだけ華やかに生きたい人間と、華やかな世界にいることに多少の罪悪感を抱えている人間
取り巻くキャラクターも個性豊かで、人間味あふれるお話でした

重くるしいだけの話ではなく、ライトで時にしっとりと繊細に描かれる世界観はウノハナ先生の業‼︎流石でした

1

雰囲気とセリフが良い!

表紙に惹かれて気になっていた作品で、昭和のお話です。ストーリーは少し物足りないと感じてしまったんですが、ウノハナ先生の絵がすごく好きです!

戦争に行って帰ってこない攻めの鷹彦。やっと帰ってきたかと思えば俳優を目指している。帰ってきてすぐに葵のもとに行かなかったのは、このままの自分ではダメだと思ったから...

いつも葵が鷹彦に銀座の街を連れまわされていた描写が良かったのと、全体的な昭和の雰囲気や銀座のネオンが気に入りました。

鷹彦は女の所へいくけれど、いつも最後に戻ってきます。内心帰ってこなかったらどうしようと不安になる葵へ向けられた言葉、

「醜くてみっともないのは生きている証」が好きです。

読んだ時にひっかかって、もう一度読み直してしまうようなセリフが多いです。心が揺さぶられるという感じではなく、淡々と入ってくる感じのストーリーでした。

0

二人の絆にジーンときます

異色の本格昭和ロマン譚!

ザ・BLなお話ですね。戦争も挟んでます。
追いかけっこのようでいてブーメランのような、いつも葵の元へ帰ってくる鷹彦。何年たっても何があっても切っても絶ちきれない二人の想い。

鷹彦は放蕩息子でしたが戦争に行き修羅場をくぐって帰還したら変わりましたね。こんな自分じゃ葵に会いに行けないって。死にそうな時もうわ言で葵の名前を繰り返して。

再会した時はあっさりで葵だけが忘れられずにひたすら待ってたようでしたが鷹彦にも色々あったんですね。

鷹彦の嫉妬や初映画に号泣する葵、祝杯と酒の席に慣れた葵へのヤキモキと濃厚エッチ。

時代もありますが必死で生きてる、生き生きしてます。
本当に葵の元へ帰って来てくれて良かったです!

0

ドラマチック!

出兵とか、戦後復興とか、自分は全く知らない時代の話だからこそ、 淡々と進んでいくのにドラマチックなストーリーで良かった。

自由奔放で磊落な郡司に対して心配性で一途で必死な葵が、破れ鍋に綴蓋な感じでキレイな恋愛小説を読んだ気分になれました。


1

戦後の美味しいケンカップル

電子書籍で購入したけど紙で買えば良かったかも。(Renta!は、あとがき無かった…)
面白かったです。
ちょこちょこ笑えるコマがありながら泣けるシーンや穏やかなシーン、
グッとくるシーンもしっかりある。
過去エピソードも違和感無く挿入されていて、話の流れがスムーズで読みやすい。
ウノハナ先生の描く男性は男前で可愛くて、とても表情がいいです。
特に、葵の泣き顔はグッときました。
二人の抱き合うシーンは熱々、ホットです。

俺様な幼馴染みが放蕩者で、そんなところもひっくるめて好きになってしまった葵。
終戦から3年も経って、連絡も無くフラリと帰ってきた鷹彦が家に転がりこんでくる。
鷹彦は勘当されていて帰る家が無いから、家を探している状態で。
出征前には一夜を共にしたのに、そういう素振りは一切無く。
男女だとほぼほぼ「同居=同棲」だけど、男同士だと単なる同居の場合もあるから
家に帰ってくるだけじゃ不安なんだね。
鷹彦は相変わらずフラフラしているようで、つかみどころが無い。
どうしても葵に感情移入してしまって鷹彦の心情はそっちのけになってしまうけど、
葵の恋が成就してよかった。
脇の小百合さんや初子さん、ウォルター中尉もいい感じに絡んできて話に引き込まれました。

3

昭和の雰囲気が感じられてよかった

戦後すぐを扱ったBLを初めて読みました。
ろくでなしの色男×一途な真面目な青年 っていう王道ながら、
舞台がハードな戦時なので、新鮮でした。

学生時代~徴集された離れ離れの時~戦後の平和な日本、と描かれ、
ストーリーは濃密でしっかりしています。
恋愛も切ないシーンと、きちんとHシーンもはさんでくる。ソツがない印象です。
もう少しガツンと印象に残るシーンがあったら、神判定したと思います。

日本の歴史ものが好きな私は大変楽しめました。

2

じんとくるシーンがなきにしもあらず

切なくて泣けるBLが好きなので読んでみました。
結果、じんとくるシーンもありますが、泣く程ではなかったです。その一番の理由は、攻めがあまりにも金持ちのドラ息子なせいだと思います。何か事情があるならともかく、あのご時世に実家の呉服屋を嫌って遊び歩き、あげく妹に借金を清算させるなんて、そりゃ勘当もされます。自由人というより、遊び人のヒモ男の印象を受けました。
そんな遊び人を「最後に俺のところに帰ってきてくれたらいい」と待ち続ける一途な受けが不憫で、アメリカ人の上司の方をお勧めしたくなりました。受けへの好感で星3つといったところです。

2

懐かしい日本映画的な世界

戦後の東京を主な舞台にしたストーリー。すっごく雰囲気がいいですよね。

戦前のギラギラとした「銀座」のイメージを上手く作品に重ねて、独特の時代感を表現しています。鷹彦のイメージは、もうちょっと後の裕次郎あたりの気もしますが。
ただ、タイトルが「銀座ネオンパラダイス」ですし、ギラギラ時代の銀座のエピソードなんかももう少し入っていても良かったのかなあ? 鷹彦の「銀座愛」を印象づけるためにも。

皆様もおっしゃってますが、鷹彦がもう少し何か芯のある男として描かれていれば受け取り方も違ってきたのでしょうが、戦後に偶然足を踏み入れただけの「俳優という仕事」がたまたま合っていたというだけでは、葵があそこまで鷹彦に惚れ込む理由にはちょっと弱いなぁ…というのが正直なところ。2年も連絡しなかった理由も弱すぎるし。

せっかく凛とした男らしさを持った性格のはずの葵が、「あなたがどんなダメ男でも、最終的に私の元に戻ってくればいいわ」という「聖母たちのララバイ」みたいな感じになってしまって惜しい。これが男女の物語だったら、めちゃくちゃベタな昔の映画みたいですよね。

鷹彦が親とのわだかまりも解けかけ、俳優としての道を歩み始めてからの描写は素敵でした。最後の「逃げるぞ」がいい感じ。(…余談ですが、このシーンに既視感あると思ったら、「坂道のアポロン」のアレだ。そういえば二人のキャラ設定もタイプが似ているぞ。)


最後になりますが、本当に良い人だったウォルター中尉は幸せになっててほしいなぁ。役回り的に惚れた葵を無理やり手篭めに…などという展開もあり得たであろうに、そんな不埒なことはしませんでした。ちょっと疑ってごめんなさい。

1

鷹彦がどうも・・・

二人を見ていて思ったのが、女は港、男は船という演歌みたいなフレーズです。
この作品でいえば、葵が港で鷹彦が船なんですが。

女にだらしなくて商売の女のところを渡り歩くけど、愛想尽かされては葵のところへ戻ってくる。
戦地へ行くときも鷹彦は「お前がいなきゃ、俺はどこに帰ったらいいんだ?」と言う。
最後のほうで思いが通じあった後も、いまだに葵は「最後にちゃんと俺のところに戻ってきてくれればいい」とか言ってる。

そういうの演歌的思想もこのお話の昭和の雰囲気にあってるとは思います。
お話はとても上手だし、空気感もあるし、読ませる作品だと思うんですが、いかんせん登場人物・特に攻めである鷹彦に思い入れをする事が難しかったです。

鷹彦は銀座育ちの豪放を気取ってるけど、甘ったれたお坊ちゃんだと思いました。楽なほう、楽なほう・・・へと逃げてしまう弱さがあり、口では強いことを言うけど行動が伴わない。
家業も老舗問屋の尊厳を捨てて、国民服なんか作りやがって・・と言うくせに、自分は勘当されててその家業から蚊帳の外。
2年間の間、連絡しなかったのは、少しはお前を見返せる男になってなくちゃ、とか思っていた割には、本腰入れて役者業に励もうとしている様子も見られずオーディションを蹴ろうとしていたり・・・。
女にだらしないキャラがNGという訳ではありません。
女にだらしなくても魅力的で、それどころかそりゃあ女がほっとかないわよねぇ、仕方ないかと思えてしまうキャラがいるけど、鷹彦にはそういう魅力は感じられないんですよね。。。
まぁ、葵は惚れた弱みでそんなだらしないところも含めて鷹彦が好きだから仕方ない訳なんですが、二人の恋を応援できないと、どうしても作品の評価が厳しくなってしまいます。

それよりも中尉のほうがよーっぽどいい男なのに、と私は思うわけです。
中尉、どうか幸せになってね。

1

受けの健気さに感動。よく待った!

戦争で引き裂かれた幼馴染が戦後に再会するお話です。時代背景とかは難しく作り込んである感じはなく、あくまでも当時の雰囲気重視かなと思いました。でも、逆にそれが2人の恋愛に気持ちを集中させてくれて、ラブストーリー読んだ!って感じでした。

とにかく受けがヤバいぐらい健気です。鷹彦に赤紙が来て出兵する前夜、またフラフラと女の所に行こうとする鷹彦を葵は「俺が女の代わりになるから」と必死に引き留めて、2人は激しく抱き合います。鷹彦の気持ちを確かめた訳でもなく、自分の気持ちを伝えた訳でもないけれど、3年間毎日毎日鷹彦の帰りを待ち続ける葵。でもいざ再会すると、あの夜のことは「もう死ぬかもしれない」という特殊な状況の中で起こった事だから・・・と確信が持てず片思いをこじらせます。

最後、鷹彦が出ている映画を見て前が見えなくなる位泣く受けが本当に可愛かったです。生きているだけで幸せだという時代に、愛する人と一緒に暮らせるなんて、本当に夢の様な話に思えたんでしょうね。えっちもキスも、受けの感極まった表情がすごくエロいです。愛があるエッチ大好き♡ 体だけじゃなくて、気持ちで抱いてる感じ。受けが黒髪なので色気もUP! 攻めのキャラはそこまで特徴がなくただ豪快で俺様な感じなんですが、受けにとっては銀座のネオンの様に眩しい・・・っていうのは良く伝わってきます。普段時代ものも戦争ものもあまり読まないんですが、とっても感動しました!

1

王道の力作

終戦後の銀座を舞台にしたすれ違いロマンス。
銀座=すれ違い・メロドラマの式が無条件に通じるのって、いったいどこの世代までだろう。

ずっと幼なじみの腐れ縁で、散々振り回されて、それでも振られて帰って来るのは自分のところ。
帰ってきても憎まれ口とケンカばかりだけど、いつも、いつでも待ち続けていた。
そんな二人の間にも、鷹彦にとうとう赤紙が届いて、出征前の最後の夜、思いをはっきりと言葉にしないまま、二人は抱き合います。
そして、終戦から3年、もう鷹彦は戻らないものとあきらめかけた頃、昔の、傲慢で自分のことを振り回していた、あの鷹彦のままで、鷹彦は葵の前に姿を現したのですが。

いやぁ、実に王道な、すれ違いロマンス。
一応、ちゃんと男同士の恋愛である事を踏まえているので、メロドラマには陥っていませんが、この展開、今時のお若いお嬢さんには、果たしてどこまで通じるのか心配になってしまう。
私なんかだと、これをコテコテの王道として楽しめるし、時代考証も結構しっかりしていて、硬い感じの絵もストーリーの雰囲気に似合っていていいなと思うのですがね。
背景や小物も頑張っていて、とっても力作だと思います。

1

セピア色のロマンス

戦後の日本を題材にしたラブロマンス。

ウノハナさんの作品は私的に、好きな物とそうでない物とがスパッとわかれてしまうのですが、これは琴線に触れました。
大正とか昭和モノが好みだから、というのもあるかもしれません。

葵の幼馴染の鷹彦は、出征したまま三年間行方知れずだった。キャバレーに突然現れた鷹彦は相変わらずふざけた口ぶりで、葵は思わずタコ殴りにする。
鷹彦が自分の元へ帰ってきたことに、喜びながらもなかなか素直になれない葵が痛々しいです。三年間どれだけ心細い思いをしてきただろう。
鷹彦の方も戦地で、死ぬ様な目にあいながらも、葵とまた銀座で遊び歩こうと必死に戦ったんですね。
戦争が終わり、葵の元へ帰った鷹彦が「喜ばせたい奴がいるんだ」と言った横顔は本当に素敵でした。

1

鷹彦に恋することができない

ウノハナ先生の絵は色気があって好きです。
表紙の絵も綺麗だし、昭和初期という時代設定も好きなので、期待して読んだのですが…

鷹彦を健気に待ち続ける葵の心情に重ねて読んでいましたが、鷹彦の行動がまずは自分第一という感じで、そんなに想う価値がある男かな?って疑問に感じてしまったら、葵の心情も理解できなくなり、物語にも入っていけませんでした。
鷹彦も葵のことを想っていたなら、無事なことだけでももっと早く知らせたと思うんですよね…

キャラの行動に伏線や理由を感じられないとサラーッと読むだけで何も残らない。
ラブストーリーはキャラの両方に魅力を感じさせて欲しい。

5

萌えれない自分に涙

ウノハナさんはとても人気のある作家さんですが、個人的にどうにもツボに入らない作家さんでして。で、こちらの作品も買おうかどうしようか悩んだのですが、表紙がとても素敵だったこと、皆さまのレビューが高評価ばかりだったことから手に取ってみました。

こんな高評価ばかりの中、評価下げてごめんなさい。でもいまいちツボに入らない、というか…。

戦後間もない、混沌とした東京が舞台。米軍の兵隊さんの通訳として働く葵は戦争に行ったまま帰ってこない男を待っていて。
いつか帰ってきてくれるのでは、とわずかばかりの期待をもち待ち続け、もう3年。彼はすでに…、と思いつつ忘れられない。
そんな時に派手派手しく葵の前に帰ってきた待ち人である鷹彦。

おお、なんか面白そう。
と期待度MAXで読み始めましたが。

何ていうのかな、ちょいちょい引っ掛かりを感じた、というか。

鷹彦が帰国後2年間もの間葵に連絡しなかったのは「葵はすでに結婚しているのではないか」「情けない姿のままでは帰れない」という理由だったようだけれども、葵の前に姿を表した時も別に役者として名が知れ渡っていたわけではない。いや、名が知られわたっている必要はないけれど、「あんな端役はやりたくない」とか「髪を切りたくない」とか。
情けない姿で会いたくないと思うのなら、なりふり構わずどんな役でも体を張って受けるべきではないのか。
すでに結婚して幸せなら今さら自分が葵に会いに行っても…、というためらいがあったのなら、あんなに目立つ形で葵に会いに行けた理由もわからない。
戦争中、実家の家業の呉服屋さんが、呉服屋としてのプライドを捨てて収入のためだけに呉服ではない服を作ることに納得がいかない、と偉そうなことを言ってた割には帰国後、実家のために働くわけでもなければ影から手助けをするわけでもない。
言っていることと、行動が伴ってないじゃん、と感じてしまった。

鷹彦が葵に会いに帰ってきたあと、二人は一緒に住み、お互いに固執しながらも、それでも二人とも相手の気持ちを確認しあうことに腰が引けていて。なのに、急にセックスする二人にすごい違和感を感じました。そこに至るまでの二人の気持ちの変遷が理解できなかった。お互い「相手はこう思ってるのではないか」という憶測だけして、気持ちがすれ違う二人に全く感情移入できなかった、というか。

ウノハナさんて、超絶に人気のある作家さんですし、こちらの作品も皆さんからの評価はとても高い。

けれどこういう感想もあるってことで。評価下げてごめんなさい。

20

感動しました。

話の内容がすっと頭に入ってきやすく、でも薄っぺらくはないとても感動する作品でした。
私は今まで登場人物が学生であれ社会人であれ現代物(今の時代に近いもの)しか読んだことはなかったのですが、この作品は舞台が現代では絶対に出せない感動と切なさがありました。
……ただ、最後の鷹彦が出ている映画を見て葵が泣いているシーンで、葵のポーズに違和感がありました。
男性があのポーズをつくことってなかなかないのでは…?私だけかもしれませんが……。

0

健気な受けが大和撫子

時代物や戦争物など刹那的な設定にめっぽう弱いので期待値マックスでしたが、予想を裏切らない、切なくじんわり幸せな昭和の恋物語でした。
やはり今の時代にはない、生死をかけた一生に一度の大恋愛って
切なくて憧れますね。

まず表紙がキレイ。ウノハナさんの絵も好き。タイトルからもっと派手な内容かと思ったらパラダイス感はなかったです笑。

子供とのふれあいなど、ちょくちょく差し込まれる進駐軍と絡めたエピソードが面白かったです。最後に攻めが葵の手を取って逃げるシーンとか王道ですが伏線を使ってキレイにまとまってるなぁと思いました。

赤紙が来た攻めを引きとめようと最後の一晩抱き合う二人のエチシーンがとても萌えたな〜。葵が可愛すぎる

2度目読んだ時には、
待ち続け、泣いてばかりでそれでも耐えるいじらしい葵が大和撫子に見えてきました。真面目になるという攻めに「最後に帰ってきてくれたらいい」なんて懐が深いなぁ〜。日本男児の理想の女性像そのものですな。(゚д゚)

攻めが銀幕の大スターになった後も読んでみたいな〜
続編も宜しくお願いします^o^/

1

素敵です

ウノハナさんの作品全部読んでいますが、この作品が一番好きです。
コミックス全編このふたりのいきさつという美味しさ。
後半デレデレじゃんと思えるかもしれませんが、そのふたりの時間が育てた想いと関係性がまだまだまだ続いてほしいと願ってしまうような、そんな思いを抱かせる作品です。
俺様攻・けなげ受・ごくたまにキレルる受が好きな方にはお勧め。

4

意外な組み合わせが大当たり

ウノハナさんはこれで4冊目になります。
私の中でウノハナさんはこれぞBLという部類の絵という認識でして、この絵で戦後はミスマッチじゃなかろうかと失礼ながら思いましたが、そんな事全くなかったです。
派手めのBL絵だと地味な時勢に合わずに絵柄だけ浮いてしまいがちですが、逆に華やかでいいですね!
近代文学専攻でしたので戦後の話はかなり読んできましたが、詳しい訳ではないので大きな事は云えませんけれども、読んでいて「あれ?」と思う事はなかったです。
BLでもこういう話が読めるのは本当嬉しいですねえ。
二人のドラマチックな展開も素敵でしたが、脇の女性も素敵でした。
大体、片方に想いを寄せる女性は微妙な事が多いですが、妹の初子ちゃんは大和撫子でとても可愛らしいです。多分作中で一番たくましかった小百合さんもよかった!
女性キャラが魅力的なBLっていいですねえ。

いいもの読ませていただきました。

3

ドラマ性のある作品の好きな方におすすめです。

ウノハナ先生の作品が好きですべて読んでいます。
その中でも、個人的には一番好きなお話でした。
映画を見た気分になれます。
舞台は終戦後。つらい戦争が終わり、人々が悲しみの中で復興へ向けての明るい希望を抱き始めている、そん時代をまさに表している二人でした。
いろいろな体験をして再会した二人が手をつないで銀座のネオンの中を歩くところにはじーんとします。

3

戦前と戦後、ネオンに照らされて燃え上がった恋

昭和の時代、日本が戦争で負ける直前の話、そしてその直後を
描いたノスタルジックな話です。

戦中は輝くことができなかった銀座のネオン。
その中を行く2つの影……。
2人はこうして戦後も銀座を歩けるのだろうか……。
想像するだけで、涙が溢れてくるような
悲しく切ない昭和のロマン譚です。

   ◆◆   ◆◆   ◆◆

《CP》
女にだらしない幼馴染 × 勉学に打ち込む学生→通訳

幼馴染の攻めが、いつも女のもとに遊びに行くのを知っていた受け。
しかし、どんなことになろうとも最後には受けのところに
帰ってきていました。
しかし、戦火が日に日に大きくなり、ついに攻めにも赤紙が来ます。
出征の前の晩。
お互いに分からないながら、恋しあっていた2人。
たった一夜、2人は一線を超えます。

ああ、こんなに哀しい出来事があるだろうか。
最後の夜。
生きて帰れるかも分からない。
1人はお国のために戦争に出征し、1人は眠れぬ夜を過ごしながら
日本で待つ……。


そして、恋しい人を待って3年…。
やっと攻めは受けのもとに帰ってきます。
嬉し泣き、悔し泣き、複雑な思い…それらがぐるぐるになって…。
一体受けの想いをどのように表現すれば良いのか。
一緒になって泣きたい程、待ち人の帰還を複雑に受け止めました。

帰ってきてからも、女のもとへふらふらと遊びに行く攻め。
しかし、受けと気持ちがつながってからは女のもとにはいかず、
まっすぐに受けのもとに帰ってきて、一緒に継ぎ接ぎの布団で寝ます。
戦地で一体どのようなことが起こったか、
どのように仲間が次々と死んでいって、
攻めがどのように戦地を駆け抜けて、そして生き抜いたか…
「最後にお前を抱けたからいい」
そう思いながらも、何が何でも帰りたかったと言う攻め。
もう一度銀座のネオンの中、受けと一緒に手を繋いで歩くのだと…。

ここは本当に良いシーンでした。
戦地から帰ってきて、初めて2人が抱き合った夜。
気持ちがつながって良かった。
攻めが何を思い、戦場を駆け抜けたかを受けが知って良かったと
思う場面でした。
事後の布団の中で語る2人は、本当に幸せそうで…
2人共、本当に生きていて良かったとそう思わせられました。

「おまえは、俺にとって銀座のネオンなんだ」

つまり、お前がいなくては明かりがなくて歩けない…。
受けは攻めにそう言います。
まるで受けにとって、攻めが道標でそれをなくしては
生きていけないかのように、その言葉を受け止めました。

   ◆◆   ◆◆   ◆◆

2人は、辛い思いをしたぶん、戦後復興を見つめながら、
幸せに穏やかにずっと一緒に
手を携えて生きていったのではないでしょうか。

時代の大きな流れとうねり、転換点、
きっとそれらを一緒に乗り越えたのだと思います。

銀座のネオンはいつだって、優しく2人を見つめていたことでしょう。

8

焦土に灯る

昭和二十三年(1948)、今から68年も前、戦後の混乱期に軸を求めたストーリーです。
攻めが復員兵で受けがGHQの通訳、bl界無限といえど異色のカップリングではないでしょうか。
無頼漢というか、昔の言葉ではバンカラ(?)な鷹彦と楚々とした葵、主人公二人の魅力もさることながら、良く出来た作品であると思いました。(生意気にすみません)
戦中、戦後というのは我々読者もウノハナ先生も未知の領域ですが、しっかりと時代考証して描かれたのが分かります。
私、年齢の割にはこの当時を反映したものを読んでいるかと思うのですが、生死不明の夫を待つ奥さんであるとか、卵が貴重品であったとか、頷けるところが多々ありました。
昭和三十年代に入ると世の中も落ち着いてくるようですが、二十年代前半の頃というのは、食糧に物資欠乏甚だしく、道で行き倒れで人が亡くなっていても誰も驚きもしないような、正に混乱の時だったようですね。
電力は安定せず頻繁に停電が発生していたことから、街に華やかな明かりが戻るまでは時間が掛かったことでしょう。
そんな焦土の東京に灯る葵と鷹彦の愛、何度か読み返したい秀作です。

8

素晴らしい。

素晴らしかったです!詳しい内容は既に素敵なレビューがされていますのでお任せして、お話の感想のみを。

本当に素晴らしい、その一言に限ります。
他の方も仰られていますが、まるで映画を観ているような感覚に陥りました。
自由奔放だけどそれを上回るほど魅力的な攻めの鷹彦。なんでしょう、ある意味人間らしさがすごく表れてるのかなと思いました。そして同じぐらい魅力的な受けの葵。芯がしっかりしてて強い、だけど健気でもあり…。
戦争、戦後という時代背景の中で揺れ動く二人の想いと絆に、胸が熱くなりながら読みました。
読み終えた後に残る、少しの切なさ。そしてそれを上回る感動。
きっと何度も読み返す作品になると思います。

6

ドラマを見ているようでした

戦後の銀座、がどんなところかは知りませんが、とても雰囲気があってドラマや映画を見ているみたいでした。外から眺めている感じに読んでいて、感情移入してすごく胸が痛くなったりはしなかったです。(BLを読みすぎて感受性が鈍ってるせいかもしれませんが)

攻が中身がダメな感じでも見た目が格好良すぎて、俳優志望ということもあってかマンガのキャラクターというよりはやっぱりドラマの俳優さんのように見えました。

二人の物語を、じっくりと見させてもらったという感じです。

1

ロマン溢れる銀座

ウノハナ先生の漫画は、中身はもちろんのこと毎回表紙が素晴らしくて買うのが楽しい!今回もグッとくる表紙でした〜。

時代モノって食わず嫌いしてたけど、昭和のこの雰囲気、かなり好きかも!衣装いいなあ、カバー下にもあった詰襟にマントとか、着物に帽子とか。

昭和のメロドラマを目指したとのことで、まさにその通りでした。読みながら始終涙ぐんでいた…。
鷹彦はかなりのダメ男だけど、それを上回る魅力があり、葵みたいなタイプが鷹彦に夢中になるのはなんか分かる。(この関係、男女だと全然いい話にならなそうだな…。)葵はこれからも大変だろうけど、がんばれ!!

小百合ちゃんいいキャラだ。鷹彦が「戦友」って言ってたのがかっこよかったな。

2

ネオンの明りに照らされて

思わず目を奪われる、魅力的な装丁が素敵。
ウノハナさんの時代物の新刊、とても楽しみにしておりました。

物語の舞台は戦後の東京・銀座。
戦争が終わって3年、ようやく東京に戻ってきた鷹彦と
彼の帰還を待ち続けた幼なじみ・葵の物語です。

戦争を挟んでいる物語なので、
どんな波瀾万丈の展開が待ち受けているのだろうと
どきどきしながら読み進めましたが、
辛さや複雑さはそれ程伴わず、全体的に読み易いお話でした。

まず、葵のキャラクターがすごく好ましいです。
真面目で勉強家の葵が、幼い頃から鷹彦に振り回されながらも
輝く光に焦がれるように、一途に彼を想う姿がとにかく健気で良い。
鷹彦やウォルター中尉(好き♡)が葵のことを
可愛くて仕方ないと思う気持ちがとてもよく分かります。

鷹彦の方は、葵を傍に置いておきながらも
自分は酒に女に賭博にと、やりたい放題の放蕩息子。
実際にこんな人を好きになったら苦労が多いだろうなあと思うけど、
人を惹きつける天性の魅力があるんですよね。
優れた画力と表現力も伴い、憎めない男として巧く描かれています。

ただ、役者を目指しながらもフラフラ漂っている鷹彦が
葵のために”本物”になりたいと思う変化はとても良かったのですが
大阪から東京へ戻って来た経緯を含め、変化に辿り着くまでを
激動の時代背景を活かし、もう少し丁寧に描いて頂きたかったと、
そんな思いが自分の中に潜んでいることは否めません。

それでも、ふたりが想い合うシーンにはすごく萌えました。
健気な葵も、嫉妬を爆発させる亭主関白な鷹彦も、
イチャラブシーンを含めて、萌えの充足感たるや!
(ウォルター中尉が葵を諦めていないところもイイ)

又、過酷な戦争の最中、互いの存在が生きる支えだったこと
そして、葵が鷹彦を銀座のネオンの明りに喩えた直後の
『帰ってきてくれて ありがとう』の言葉の重みと鷹彦の表情は
読み手の心をやさしく温めてくれる素晴らしいシーンでした。

銀幕の中で生き生きと芝居をする鷹彦を目に映し
号泣する葵に胸が熱くなったし、
鷹彦が記者たちから逃げるようにして葵の手を取り
銀座の街を駆けるふたりの姿も清々しくてすごく良かった!

ウノハナさんだからこそ、”ここをもっと掘り下げて頂きたかった”
という個人的な想いはありますが、
読み易く萌えもあり、素直に楽しむことができる作品です。

現在人気作『犬と欠け月』の続編を執筆中のウノハナさんから
今後も一層目が離せそうにありません!

7

奔放な攻めの性格を好きになれず。。

大好きなウノハナ先生の作品だったので、正直期待値が高すぎたかもしれません。
ウノハナ先生の描く、悪いんだけど抗えない魅力がある攻めが大好きなんですが、今回は好きになれませんでした。
奔放で自分勝手過ぎやしないかと。
戦後日本を舞台にした作品ですが、役者を目指す攻めってゆーのも安易な感じがするし、どこかで読んだことがあるような、オリジナリティをあまり感じませんでした。
あまり感情移入できないままサラーっと終わってしまいました。
ライトな作品として読むのなら良いのかもしれません。

2

N◯K朝ドラマ風味BL。

「このお話の妙に馴染んだ感覚…、どこかで知っているような…」と思ったんです、読後に。

舞台は戦後。復興にむかってスタートをきる東京。
主人公(ヒロイン)は、健気で前向きで真面目のがんばり屋、しかし、どこかヌケているところもある、かわいらしいひと。
一方の恋のお相手は、へらへらちゃらちゃらした放蕩モノのようでいて、その実、肝心なところでは主人公の背中を押し、見守っていてくれる。
ふたりの初対面は最悪で、ケンカしながらも、いつしか好意をよせていて、ぷりぷり怒ったり涙したり、ヒロインに触発されたお相手も改心して、自分の行くべき道を見つける。そんなふたりは、多々の困難を乗り越えながらも幸せに…

そう、こんな朝ドラのイメージにどっかぶりなんです、本作。
(朝ドラでHシーンはないですけどね〜、そこはさておき。)
ウノハナ先生ご本人もカバー下で「目指したのは昭和のメロドラマ」と書かれていますが、さわやか朝ドラじゃないですか?
戦後進駐軍の通訳として働く葵、戦争から帰還し、3年ぶりに生まれの銀座に戻ってきた鷹彦。
学生時代、出征前のエピソードを交え、ふたりの再会…時代の移り変わりと幼馴染みふたりの恋の行方いかに?というお話です。

で、せっかくのこの朝ドラ感を、もっともっと出していってもよかったんじゃないかな、と。
戦後の混乱や貧困、アクの強い脇役、銀座という街の魅力、あんぱんや玉子など食べ物の想い出、和洋混じった服装。
いずれも物語に登場する要素なのですが、どれもあっさりと満遍のない印象でした。
幼馴染み特有のエピソードだったり、読んでいて肩入れしたくなるようなライバルだったり、押し出して欲しかったです。うーん…ちらっと出てくるのに、もったいないなぁ。
本の厚さも納得の昭和ロマンが私には足りなかった…(それともあえて、そこはあっさりと描いているのかな?)
懐古主義でレトロ趣味の私としては、舞台設定にドキュンと萌えなのですが、その分、期待値が高く、本作は辛口評価です。

ただ、地雷もなくクセのない、オーソドックスなお話だけに、読むひとを選ばない間口の広い作品となっているのはいいですね。
(この多数の視聴者にむけている感じも朝ドラ的!?)

余談ですが、一番萌えだったのは、アニメイト特典のポストカード裏の漫画でした。

8

終戦後の銀座の恋の物語

進駐軍の通訳をしている受けの元へ、戦争に行ったまま3年間音信不通で、死んだと思っていた幼なじみが帰ってきた。
2年前にはすでに日本に帰ってきていたと知り、連絡をしなかったことに怒る受け。しかし攻めは飄々とした態度で、今は役者をしていると語り…。

再会時に怒って攻めをタコ殴りする受けが男前でした。
攻めは女好きで、女遊びが激しい放蕩息子で、でもそんな攻めが好きだった受け。終戦したのに3年も帰ってこず、死んだのかもしれないと絶望していたのに、実はもう早くに帰ってきてたんだよーと言われればそれは怒ります。
いろいろ事情はあったにせよ、攻めはひどい男だと思います。正直個人的には嫌いです。受けは進駐軍の通訳として働いているのですが、そこの上司であるウォルター中尉がいい男で、もう完全にこっちのほうがいいだろう受け…! と思ってしまいます。

でもいい話でした。勝手な男である攻めにムカついて仕方なかったけど、まあ奴も健気な男で、大怪我を負って死線をさまよっている時のエピソードや、最後のエッチシーンのあたりではうるうるしてしまいました。
今後は物分かりのいい受けの態度に甘えず、受けを幸せにしてあげてほしいなと思います。
そしてウォルター中尉が幸せになるところも見たいな。

5

泣けた〜〜!

もおおおおー泣いた!泣きましたよ!!時代感もたまらず好き。
好き過ぎて雑誌でも読んでたけど、単行本素晴らしいです!加筆部分で深みが出てすごく良かった!!!
素直じゃない者同士、意地っ張り同士、なんて素敵なんでしょう!!
どうして題名が銀座でネオンパラダイスなのか…加筆部分でよくわかりました!男は船、女は港ですなぁ。待ってた時、戦地を必死で駆け抜けた時、帰って…。いやぁ、泣けますわ〜。
苦労ばかりかけたから安心させたい…。男になったなぁ!
ウォルター少尉もいい人ね!彼も幸せになってほしいけどお国にでもいい人置いてきてるんじゃないの?と思ってしまうくらいいい男!

4

鮮やかに魅せられる、ウノハナ流メロドラマ

なんともベタで、なんともいい!
そんな一冊。

描かれる男たちが魅力的でいい味ながら、
以前は何か一味足りないと思っていたウノハナさん、
ここにきて一気に練れて味わいが深くなっている印象。
表紙の美しさも一際。


昭和23年、銀座。
進駐軍の通訳をしている葵には待ち続けている人がいる。
終戦の前年出征していった幼馴染の鷹彦だ。

銀座の老舗の御曹司ながら放蕩の限りを尽くし
ついに父親から勘当を受けていた彼は
終戦の前年出征したきり行方がしれなくなっていた。
もう諦めようと思いながら諦められずいた葵の元に
ある日突然昔のままの風来坊ぶりで戻ってきた鷹彦に
葵は鉄拳を食らわす……

なんと役者を目指しているらしいが、相変わらずの鷹彦。
一緒の家にいても香水の匂いをさせて帰り
葵とは親友の距離のまま、
出征前の一夜の熱は刹那の感情だったのか…‥


回想を織り交ぜながら、銀座の街を背景に
不器用な男二人の長い恋が実るまでが描かれる。
鷹彦の妹や、彼を助けて一緒に大阪から上京した女、
葵の上司のウォルター中尉など、味のある脇役が絡み
切なくも、テンポよくどこか心が浮き立つ物語が展開される。

真面目で冷静な黒髪の美形、鷹彦のことだけに感情をあらわにする葵、
優男に見えるが実は強い彼の健気さ。
映える長身、派手な二枚目、憎たらしい程の笑顔、
ひとたらしの鷹彦の不遜な態度の裏にある葵に向ける真摯さ、
どちらもお互いのことになると見せる表情の可愛さ!


話はよくある話と言ってしまえばよくある話。
しかしそれを陳腐にならずに現代的な味付けで読ませるのは、
ウノハナさんの描線の魅力と洒脱なセンスだろう。
波乱と混乱の時代を描きながら、そこはむしろ掘り下げず
ドロドロしたりやりきれない面はさらりと
二人の男の綺麗な気持ちに焦点を当てているのだが、
その細かいセリフや仕草や表情が、とてもいい。
カバーしたの作者のあとがきや、ペーパーなどの小ネタも楽しい。

作者が目指したという昭和のメロドラマのエッセンスは残しながら
ちゃんと現代風に軽やかにアレンジされているのが魅力。
気持ちよく世界に乗せられて、キュンとし、涙を流し、
そして最後は爽快な晴れやかさを味わえる。
好き!



冒頭に出てくる昭和23年のヒット曲は
『港の見える丘』で知られる平野愛子の『君待てども』。
作詞作曲:東 辰三、この方作詞家の山上路夫のお父様だそうです。
そして、すでに死後50年経っているので著作権に触れないんですね。

 

17

昭和のメロドラマ

分厚いです!\(^o^)/
手に取った時にソレだけでもテンション上がりますね♪

舞台は闇と希望が入り混じる終戦後の昭和。レトロな雰囲気がウノハナさんの作風にマッチしてて違和感がなく、とても良かった!!
不遜な男と昔気質の一途で健気な男が昭和の街で繰り広げる恋の物語。
昭和ロマンの世界観に浸れる1冊でした。


ーーーーー(以下、ネタバレ注意です)ーーーーー


銀座老舗呉服店長男坊、不遜な態度で自由気ままな鷹彦(攻)。そんな幼馴染に振り回されながら恋心を秘め、女が途切れた時だけフラッと現れるのを健気に待つ葵(受)。ある日鷹彦の元にきた赤紙で、2人は初めて素直になり「これで最後かもしれない」という刹那の感情で一夜を共にし、別れます。

そして、終戦後に再会。

役者になると言ったものの相変わらずのフラフラいい加減な鷹彦に振り回されつつ、鷹彦が帰ってきた喜びを隠せない葵。
一夜の温もりが忘れられず求めたい気持ちがあるものの鷹彦が何を考えて居るのか分からず、半ば諦めもあり強く気持ちをぶつけることはしません。
そんな折、終戦後3年行方不明だった鷹彦が何をしてたか 何を思っていたかを知りーーーーー。


素直じゃなく恋に関しては不器用な2人が素直に気持ちを話す瞬間が好き!
一途で健気で鷹彦を待つだけだった葵の
「もう、待ちたくない・・・」 ぁぁぁぁヾ(⌒(_///∀//)_
その後の2人寄り添う甘い同棲生活!! ぁぁぁぁヾ(⌒(_///∀//)_
いつも振り回す側だった鷹彦からの嫉妬!! ぁぁぁぁヾ(⌒(_///∀//)_

回想シーンで見せた鷹彦の本音も良かった・・・チャラさに隠してる弱気な一面にギャップ萌え(///Д///)!!

エッチシーン3回あるのですが、やはり戦地に赴く前の ツラく切ない表情の中で好きな人と肌を合わせてる甘さが混じるエッチがスゴく良いです。

昭和ロマンで男女のよくあるお話と言ってしまえば正直そうなのですが、(そういう意味では目新しさはナイです) ソレを幼馴染の男同士でやってくれる事に萌えがありますね!(・∀・)b

ボロ屋で抱き合った2人の
「生きてんだ…な俺たち」「帰ってきてくれて、ありがとう」
の言葉にじんわりなりながらキュンとする、良いお話でした。

評価は神よりの萌え×2です(^ ^)
(神に変更しようか悩んでるので、取り敢えず萌え×2で上げておきます)

9

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