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麻生ミツ晃先生の古い作品ですが、私は好きで何度も読み返しています。攻めの松岡の硬派な感じと、いつまで「坊ちゃん」と東を呼んでいる所や、それに対して、身分なんか気にしないで、もっと打ち解けたい、近づきたいと、積極的に振る舞う受けの東の2人が好きです。
昔の恩を返したいという松岡と、松岡の恩人である東のお話。東は昔、何の恩があるのか思い出せないまま、献身的に交流してくれる松岡に惹かれていきます。
seasonという題名のとうり、四季を絡めて話が進んでいきます。どの季節の話も心に染みますが、雪の日に出逢って、雪の日に再会して、最後に雪の日で話が締めくくられているのは麻生先生の構成の素晴らしさを感じました。
昔、松岡とどんな関係があったのか、東が気づいた時のシチュエーションが本当に素敵で、感情が溢れました。
松岡も東も、お互いに相手の人間的価値を噛み締めながら、そこから恋愛感情に高まって行くのが最高によかったです。
Kindle Unlimitedで拝読。お名前はよく見かける方ですが初読み作家さま。
絵柄が自分の好みではなく、少し古めな繊細な線で、身体がかなり抽象的に描かれているので、ちょっと読み辛かったです。表情もイマイチ読み取りにくい気がして残念でした。
しかし、お話はとても面白く、しっかりとドラマを感じさせてくれるものでした。センスあるモノローグや台詞にハッとさせられました。
こんなにも長く深く、お互いを想いあって求め合う関係は運命なのでしょう。素敵な作品でした。
麻生先生のお話は全部読んでいますが、1位、2位を争うくらい好きな作品です。
けれど、なんだか全体に漂うそこはかとない痛い空気感に、どうも簡単に再読できない心境にされてしまって普段はなかなか本を開けません。
そのくらい、私の中では一遍一遍が心にくるものがあって、重くて切ないのに、大好きな作品です。
初めの春のお話では、坊ちゃんの幼さが目立っていたんですよね。
麻生先生の受けちゃんは、幼さゆえの傲慢さがちょっと行き過ぎてる時と許せる時とで半々でして(笑)
読み始めは、坊ちゃんに対して、
この子、受け入れられるかなぁ、なんかやらかさないかなぁ…う〜ん…みたいな気持ちだったんですよ。
けれど、読んでいく過程での坊ちゃんの成長は目覚ましかった。
この子の純粋さや、傲慢にも見える綺麗さは、多分松岡を救ったんだと思うんです。
いつだって、心底救われると信じきっている(自分が坊ちゃんを信じきっていることにすら気づいていないんじゃないかな)のは松岡の方。
松岡は世間から坊ちゃんを守っているけれど、坊ちゃんが居なければそもそも松岡は誰にも救われていないわけで、守られていないわけで、人間にもなれなかった訳で。
だからこそ、坊ちゃんが初めて松岡と会ったシーンの、「だいじょうぶ?」は涙無しでは読めませんでした。
もうそこからの坊ちゃんは健気健気健気の健気三昧…一途に一途に松岡が大事だって全身で叫んでいるようでした。
また、お母さんの主治医だった先生が再婚相手になるんですが、その方もとても良い方だった。
言葉のチョイスが、本当に素晴らしい。
雰囲気、空気感が素晴らしい。
そもそもそんなキャラクターを創り出せる麻生先生が素晴らしいんですけれども(笑)
そして救われ続けている松岡。
松岡の苦しみも理解出来るんですよね。
夏のお話で坊ちゃんが刺されて寝込むシーン。
松岡は病床に伏せる坊ちゃんに、人を殴るところを、坊ちゃんに見られたくなかったなァって言うんですけれども。
もう、泣くよ…
なんなんだこの人たちは…
時代や、生まれや、自分では先に選ぶことが出来なかったもの、そして、そこから、後悔しながらも選んだ人生、生きかた、自分よりもずっと大事なお互いの存在。
そういうものが全部綺麗に折り重なって、切なさが止まりませんでした。
もう、本当に本当に、好きだ、としか表現出来ないくらい、大好きな作品です。
ぜひ、未読の方は手に取っていただきたいなぁと思いました。
いいお話でした。
先生がテーマとされていた"かかる手間を惜しまない恋"がよかったです。
年月がかかる分、季節も巡るわけで。
坊ちゃんが素直でかわいらしく。
松岡がいい男で。
松岡の坊ちゃんや奥様への話し方がとても丁寧で、思わずいいお声で脳内再生されるほどでした。
セリフもよかった。
が、裏というか本物というか、ヤバい仕事をしてきた松岡は決してお上品な男ではなく。
学校にも行っていなかったとは。
そんな風に思えない坊ちゃんたちへのあの物腰はやるわねぇ〜と思いました。
2人とも危険な目に遭うけれど、その後、松岡は足抜けできて、田舎で一緒に過ごせるようになってよかったです。
2人とも一途にずっと思い続けるさまがとても好きです。
ただ、萌えとか、我慢して我慢してのクライマックス〜というのは私はあまり感じられず。
紆余曲折ありながら、いいお話を読ませて頂いたなぁという感想です。
たった一度の恩が生まれて初めて触れた人間の善意できれいなところ、それだけが生きる支えになるほどの。
苦しい時代の厳しい生活の中の再会。
生き抜いてお金を集めて、恩人に会いたいために。
流れる時間が長くて、環境も変わって、子供だった二人が大人になって再会して。
季節が流れてどの季節も一緒に思い出がありこれからはずっと一緒にいられる終わり方でしたね。
やっと安全な地で平穏な暮らしを手に入れたのでしょうか。
松岡の表と裏の顔。それでも東だけがきれいな心の支えで生きてこられて。
東が松岡に反発しながらも恋慕し勝手に嫉妬してまた距離ができて。
松岡が東を見つけ出し見守り二人が愛しあえて良かったです。
この不自由な時代ではものすごく大変なことだったでしょうに。
田舎でよそ者で男同士で厳しいでしょうがこれからは平和に暮らして欲しいですね。