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表題作雪の下のクオリア

小林明夫,草木が好きで人嫌いな大学の先輩 ?
大橋海,同性と一度きりの関係を繰り返す大学2年 ?

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

草木が好きで人嫌いな小林明夫。同性と一度きりの関係を繰り返す大橋海。
二人は同じ大学で同じ学生寮だった。
海が明夫に懐き、明夫も少しずつ海に気を許すようになっていく。
だが、ある日、海は明夫に「先輩は寝なくても一緒にいてくれるから優しいです」と言う。
明夫はそんな海のことが理解できなくて……。

好きになった相手に愛されたい。そう思っているのはどちらだったのか?

作品情報

作品名
雪の下のクオリア
著者
紀伊カンナ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
大洋図書
レーベル
H&C Comics CRAFTシリーズ
発売日
ISBN
9784813031147
4.1

(212)

(117)

萌々

(44)

(34)

中立

(10)

趣味じゃない

(7)

レビュー数
26
得点
873
評価数
212
平均
4.1 / 5
神率
55.2%

レビュー投稿数26

自然じゃない

初読み作家さんです。絵柄に惹かれて購入しました。

ストーリーの ”器” は良いが、開けてみたら中身が意外と空っぽ…
そんな印象でした。

キャラの心理描写とか感情の流れが全体的に薄かったです。
まるで未視聴の連続ドラマの総集編みたいで、
最後まで感情移入できませんでした。

特に会話がぎこちない。なんか無理に話を進めている感じ。
ほぼ他人に内情を打ち明けたり、変なタイミングで話題を変えたり、
普通はこんな話方しないだろう。

あと、お互いの好きになる瞬間も掴めませんでした。

ずっと辛口ですみません m(-_-)m

0

春が待ち遠しくなるお話

紀伊カンナ先生は『海辺のエトランゼ』で知りましたが、繊細な絵のタッチとセクシュアリティに悩む人々の心情を上手く描くのが印象的な漫画家です!

『雪の下のクオリア』は、人を愛する怖さを知りながらも、人の温もりを求めずにはいられないという弱さを持つ後輩・海(受け)と性に奔放な彼に対して偏見を持ちながらも、同じアパートに住む海の甘えを受け入れてしまう先輩・小林明夫(攻め)の間に生まれる、愛と呼ぶにはまだ未熟な名前のない感情を育む物語。

過激な性描写はありませんが、最後は温かい気持ちになりたい人にはおすすめのBLです!

0

色々読んできましたが、最も好きな作品です。

登場人物達にも、そして私自身もトラウマがあり、思い出しては不快な気持ちになる事があります。
嫌悪感から強い固定概念で決め付けてしまっている事って少なからずあると思います。
その結果行動が世間的には多数では無い選択をして生きていて、孤独を感じたり

これを読むと何かに傷ついていたり、トラウマのせいで自己が歪んでしまったと感じている方の心のしこりが少し溶けるような、そんな気がします。

深く傷ついていた事を自覚した海を包容してくれる明夫。
でもその明夫も自分の固定概念で嫌悪していた事を別の方向から見る事が出来て消化していきます。
海が救われるシーンで私も勝手に救われていました。
エトランゼシリーズも勿論好きなのですが、この漫画が本当に好きです。
読んで良かったと心から思える作品です。

1

「友情」?それとも「ずっと離れない」?

ジブリ映画や細田守監督作品のような雰囲気の作画に、心温まるストーリー。
大好きな作家さんです。

愛に奔放すぎる父と、そんな父を愛するがゆえに追いかける母。
愛に翻弄される両親のせいで、人と距離を置くように生きてきた明夫。
そんな彼が出会った同じ下宿に住む海は、誰とでも寝るような子で…。

紀伊さんの絵で見ると、ビッチもピュアっ子に見える不思議。
明夫が植物を扱うときのエプロン姿にも萌える。

下宿のお向かいさんで、同じ大学の院生(たぶん)と学部の2年生。
緩い接点しかないところから、一緒に住むようになるまでの時間をゆっくりじっくり描いてあります。

2人とも心に傷があって、人付き合いに難あり。
両親に置いて行かれた明夫は教授に心配されるほど植物にしか興味がなくて、でも父が吸っていたのと同じ銘柄の煙草をもくもくと吸っています。
父の置いていった煙草は、明夫にとってもらえなかった父の愛の残り滓のようなものだったんだろうなあ。
かなりのヘヴィースモーカーなのは、それだけ愛に飢えていたからという風に読めました。
だからこそラストの一言で、「ああ、もう飢えてないんだな」って思える。素敵。

海は行きずりの相手と1回だけの関係を繰り返している子。
本当の名前は教えず、姉の名前を語っては、次を望む相手を袖にする。
そうなった理由は初恋にあって、深く1人と関わってしまうとまた裏切られるのが怖いから。
初恋相手には「中学生相手に何やってんだー!?」と思うけど、心と体全部で恋をした出会いがあって、恋なんて…と思った時期があったからこそ、海の「好きだけどしなくていい」という台詞が重みを増すように感じました。

明夫にとって因縁のあった海のお姉ちゃんや、明夫のお姉ちゃん、教授もみんな優しい。
そんなひとたちに囲まれた中で、無理に相手を変えようとか、自分を変えようとしないで、自然な流れで少しずつ気持ちや考え方に変化が出てくるのが良いんです。
そうやって一緒にいるのが当たり前になっていくのが素敵なんです。
そんな2人を見ていると、明夫のお姉ちゃんが言う「人の事はひとりでいちゃわからない」という台詞がじんわりと沁みてきます。
海を宥めるために、父親が自分にしてくれて嬉しかったことを明夫が海にしてあげるのもいい。

簡単に言ってしまえば、全部いい。

最後に出てくる「ニリンソウ」。
花言葉を調べてみたら、レビューのタイトルの2つが出てきました。
明夫の父親の「好きな子が出来たら…」という台詞からして、きっと「ずっと離れない」という花言葉をimplyしてるんだろうなあ。にやにやしてしまう。

優しい気持ちになりたいとき、誰かに優しくしてほしいとき、ぜひこの本を開いてみてください。
温かい優しさに包まれますよ。

4

閉ざした「箱庭(情景の記憶)」と「赦し」

★過去の書評は好き嫌いの二極、「エトランゼシリーズ」より辛目評価が多いです。
「分かりにくい」と嫌う書き込みが多いのが、残念過ぎる。心理療法を意識して書いたとしか思えない作品。

▶あとがきに「クオリア」とは、箱庭の意味、と作者が描いています。
著者が選んだtitle「雪の下の箱庭」の意味を掘り下げると、筋書きを追いやすくなると思います。
「雪の下のクオリア」:「雪の下の箱庭」
=「閉ざして見えない情景(記憶)」
「潜在意識の中の忘れたい情景」を思い出して「赦す」浄化の一連を雪解けの自然描写に沿って描いた作品。

★閉ざしていた箱庭(古い情景の記憶)を観て、「その時の「その人の精一杯の愛」だった」のだと「赦す」。
これが、他人の観察を介して無意識のうちに自発的に行われていく。←ココ大事。
同居人の観察から 自分自身の内観を無意識に行う。
過去の記憶が氷解して記憶の中の情景が浮かび、俯瞰する。故意に触れなかった古い辛い経験の捉え方が変る。
二人の無意識に起こる心の変化が、秋~冬~春、景色が春に向かい雪解けしていく情景の変化に合わせて描写されています。

▶二人は「好きになった相手に 愛されたいって思ってる」のが共通点。
他人に関心を持たないアキが、一人で寝られない海に興味を持ち、海のトラウマを癒そうと行動していく。
★先輩:草木が好きで人嫌いな小林明夫は、家出した大嫌いな父が吸っていたタバコ、エコー(やまびこ)を何故か愛飲する。
★後輩:同性と一度きりの関係を繰り返す大橋海。本気で愛した人が居た。辛くて一人で寝られない。「先輩は、寝なくても一緒に居てくれるから 優しいです。」と言う。

▶結末
桜の樹の下で寝転ぶと、アキは父に肩車されて散歩をした時の言葉を思い出します。この日の後、父は戻らなくなった。
花を海が摘んで来て、寝転ぶアキに名前を尋ねます。
海の耳元でそっとアキが教える。・・花の名前は「ニリンソウ」4~5月に白く可憐な花を咲かせる多年草。
花言葉は「友情」「協力」
明るい未来を感じる場面で終わります。

▶この作者の描き方は、履歴が示す通り他の漫画と少し違います。アニメ化を意識した、と書けば分かりやすいかな。アニメの絵コンテ/コマ送りの手法と似ています。
アップテンポのイケイケ作品の後に読んだら、焦れて本を投げたくなるかも。

私は、面白いと思ったので、神評価。
---
▶深読みしすぎかも?・・「箱庭療法」
景観を構成する様々な要素のミニチュア庭園=「箱庭」には、心理療法の一技法「箱庭療法」
=遊ぶことを通して行う心理療法があります。
作者の言う「クオリア」は、この心理療法の箱庭も指しているのかも。
独: sandspiel therapie、英: sandplay therapy

★★内容濃い作品のレビューは難しい、くどいこんなレビューですが、読みたくなってもらえたら嬉しいです。★★

1

No Title

『好きな人がいなくなったらかなしいよな。それでちょっとおかしくなったとしても仕方ないかもな』

背景がほとんど建物の中と雪景色です、そのせいで静謐な空気が漂ってますがエトランゼシリーズで大事な人を失くした実央と同じ苦悩を二人を背負っています(エトランゼも名作)。

一見小林は内にこもって大橋は外に向かってますが実際は逆だとわかります、性に関する以外の他人との関りを断っている大橋に対し小林は植物の世話の片手間に大橋の面倒を見ます。

春になって関係が半歩進みますがその後二人がどうなるかはわかりません、印象的なラストでした。

1

優しくなれる

心が荒んだ時に読めば間違いない作品です。

0

緩やかな二人

紙本
修正…なし
カバー下…なし
カバー折り返し部分…なし
あとがき…あり

0

北国の自然と恋と

二人の関係がじっくりと書かれていますね。

北海道が舞台でしょうか。格安下宿のお向かいさんとして出会う後輩の海。一度限りの関係を繰り返す。
先輩の明夫、草木が好きで人間や女には興味ない。

二人の過去から今の二人が形成されたんだろうなあとわかります。
最初は海が明夫に懐き、つきまといますが明夫も嫌ではなさそうで。しかもルームシェアまでする!海は明夫が寝なくても一緒にいてくれるから優しいですと言いますがもうそんな言い訳はいらないくらい好きになってますよね。

お互いに相手のことをよく見て言葉を掛け合い過去のわだかまりを溶かして前を向いて生きていけるようになったみたいで。明夫の心の距離も縮まって。

明夫がゲイビ見たけど俺には無理だと言ったり、自分から海にキスしたり、海と付き合おうとしてるのかな?

二輪草の名前を耳打ちで教えるの意味があるのかな?

明夫が植物の名前を覚えたらお父さんに会えると思って必死に覚えたのかなあと思うと切ないです。
今では殴りたいのに思い出は大切にしてて。
親子の縁も感じます。

エロはないけど映画のようなお話でした。

0

時間をかけて雪は解けていく

 大学の先輩後輩で、恋愛に後ろ向きな考え方の者同士が徐々にお互いの存在を受け入れていく、そんなストーリーでした。先輩の小林は、大好きだった父親が不特定多数の女性と遊んでばかりでほとんど自分を省みてもらえなかった過去があり、今でも一夜限りの付き合いが多かったり誰とでも寝たりするような人間には抵抗感を持っています。後輩の海は、初恋の男性が結局女性の方に向いてしまい、それ以来自分を好きになってもらうことは端から諦めて、寂しさを紛らわすため不特定多数の男性と後腐れない関係を持つようになります。

 相容れない存在の2人ですが、ふとした相手の言動から相手に抱いていた印象が変わったりして、距離感が少しずつ縮まっていくところが素敵でした。ただ小林が、妻と子供を放ったらかしにしていた父親と、相手とも同意の上で誰にも迷惑かけずにいろんな人と寝ている海とを同一視するのは、ちょっと違和感がありましたが。父親は責任ある立場ですから責められて当然ですけど、海は誰も裏切ってないですからね。まあどうしても思い出させるのは仕方ないのかもしれません。でも、そんな小林が分かりやすい言葉は口に出さずとも、ゆっくり時間をかけて海の魅力に気付いていくのが、表情や接し方の変化から見て取れるような描写はとても良かったです。ストーリー展開と雪が解けて花々が満開になる季節感の描写もよく合っていました。

0

人情の機微が丁寧に描かれた作品

エトランゼが好きで、こちらも購入!
正直、エトランゼよりも好きになりました(╥Д╥ )

他の方が言ってるように、BLって感じは少ない…かな?
痛みや傷を抱えた者同士の優しい触れ合いです。

私は明夫の抱える痛さに引っ張られる部分も大きかったから、海に対する感情の揺れとか変化を暖かい気持ちで読めたけど、そういうのがわかりにくい!ってコメントも納得は出来ます。

直木賞よりは芥川賞にノミネートされるような作品…。
エンタメ、というよりは純文学!

途中、涙が出たりもしたけど
痛い・苦しい。じゃなくて、
自分の内にある硬くなってる部分が許されて解けていくような、
浄化の涙?が流れました。


BLの設定にありがちなアダルトチルドレンだけど、だからこそ痛みに覚えがある方には是非に…とオススメしたいです

2

何度も読み返したくなる作品でした!

クオリアってどんな意味なんだろうと、手に取った時に思ったのですが、日本語だと感覚質と呼ばれ、とても言葉で説明するのが難しい人が感じる感覚の意味らしく、意味を調べた時に困惑したのですが、あとがきにさらっと箱庭という意味と書かれていて、ちょっと拍子抜けしたのが1番の私の感想です(笑)
エッチシーンがないので思ったよりも、受けの海くんが一度きりの関係を繰り返す割には淫乱っぽさがないところや、キャラの個性や、動物たちの可愛さ、ご飯がとても美味しそうで紀伊カンナ先生おなじみのほのぼのだけど、ちょっとしんみり感が出ている作品でした。
どちらも、それまでの人生で心に闇を抱える経験をしており、過去を思い出し、涙する海くんを明夫くんが抱きしめ、優しく言葉をかけてあげるシーンでは思わず、うるっときてしまいました…。そして、一度寝た相手に無理矢理トイレに連れ込まれたシーンで海くんを明夫くんが殴ったりするような荒々しく、心の動きが表れてる描写がすごく好きでした。
この2人は、これからも体の関係を持つことなく、2人で寄り添い生きるんだろうなと思わせるような終わり方で、恋人でも友達でもない2人の関係にひたすら、暖かい気持ちになりました。
これからも2人が仲良く暮らせたらいいな〜と思います…!!

2

気持ちが切り替えられない私が駄目なんです…orz

「雪が溶けたら何になると思う?」

「あ…春になりますね…‼」
「今はどんなに寒くても春はまたやってくる かならず 不思議ですね…」

1999年発行の某コミックの台詞です。
17~18年前とは言え、あまりにも衝撃過ぎて未だ頭から離れないほど本当に大好きな台詞です!…ここに来て被るとは…。
アニメ化して↑の台詞のシーンもあるらしいから、分かる人は分かると思う。

いつ読み返しても泣けてくるくらい良い作品なので、同じような台詞が出てくるのを知っていた雪の下のクオリアはどこでどんな風に出て来るのか、構えて読んでしまいました。
いつかはこういうこともあるとは理解しながらも…うーん…。
しかも、雪の下のクオリアではそれほど深みのある感じもせず、スーっと流れた…。

BL最高!BLしか読まない!BLだらけになーれ☆!な私が言うのもなんだが、丁度映画「君の名は。」がやっている事もあって、絵柄似ているなぁーなんて思いながら、BL設定じゃなかったらストーリーも良いし万人受け最高だったんじゃないか?
キャラの顔も可愛いから煙草も似合わんし、こういう描写も無くせば子どもから大人まで好かれる絵柄だと思う。

同じアパートに住んでいた海と明夫。酔っぱらって帰宅した海を部屋まで運んだ事がきっかけでその日以降なつかれる。
明夫は人と関わりに関心がなく、海がゲイだと知ってもそれ以前に興味が無かったが、「先輩先輩」と寄ってくる海と食事を一緒にしたりするようになる。

「寝る位って相手は誰でもいいのかよ」
「まあ そうですね オレ特定の人とやりたくなくて」

明夫は家族を捨てた父親と海は違うと分かっていながらもこの発言が父親と考えが似ていることで不快に思う。
いくら過去の恋愛がツラくてもこれは聞きたくないわ。

海のちょいちょい出る不謹慎発言に本人は正直素直何だろうが、明夫の立場からしたら「なんだコイツ…。」と思われて当然だぞ。…それにもあんまり気が付いて無さそうだが…。

明夫は最初から最後まで感情に流されないというか、ブレない。
海に好きと言われても顔色ひとつ変えず「飯食え」で終わり。
海の姉(昔明夫の図鑑破いた)に聞かれても付き合っていないときっぱり。

カンナ先生の作品って兄弟が良く出てくるけど、姉ちゃん強ぇのばっか…。
海の姉、明夫の姉共に結構ズカズカと入っていきそうな性格。
明夫姉に至っては「男だよ 今一緒に住んでんの」に対して普通はルームシェアか?くらいで考えるのに青ざめた後、「お前薔薇だったのかー」
お察し良すぎwww
話が早いwww

途中捨て猫2匹を拾い飼うことになりますが、明夫が実家に帰る事になり海が猫とお留守番します。
その出掛ける間際に猫にチュウしながら「あんまり世話かけんなよ」
猫が二人の子どもに見えた!!!!
パパいってらっしゃい\(ФωФ)人(ФωФ)/

一人で双子ちゃん(猫)の世話頑張っている新米ママwww
毛布におしっこされてコインランドリーで洗濯していたところに明夫が帰ってきて、まだ毛布が乾いていなかった。
「半分ずつ使えばいいだろ」
海は過去の恋愛を思い出し、明夫は抱き締めながら父親の事を海に話した。
男前や…何もなかったけどorz

春になって明夫は「ゲイビデオ見てたんだけどさ なんかスゲーな 俺ムリだわ」
あまりにもさらっと言うがどういう意図があるのか分からなかった。
その後明夫の方からキスするし、「タバコ吸いたい」って言った後すぐ「やめる」って言うし、 理由が「お前といると優しくしたくなる」

…?

あぁ、これ、好きになった瞬間とか心理描写とか一切ないんだわ。
漫画特有の鼓動(ドキドキ)とか指摘されて顔真っ赤にしたり、挙動不審になったり。
そんなんだから全て話の流れと空気と雰囲気で読む側が納得していかないとモヤる。

昔花の図鑑を 「好きな人が出来たら教えてあげると良い」と言われて父親に貰った。
海に聞かれて花の名を耳元で囁く。
不思議な顔をする海…聞こえたのは花の名前だけだったのか?////

雪や春風、草木など小道具(?)を上手く使ってとても綺麗な話でした。

初めに戻りますが自分は入りから斜めにして構えて読んでいたので受け入れられず、それぞれの見せ場が薄まってしまいました。
ガツンとした場面もなく、心に染みるようなシーンも…。
本当に綺麗な柔らかいものが通りすぎるって感じでした。






6

心の浄化作用。

本当に美しいです。絵がとても美しいです。
紀伊カンナさんはもとから大好きでしたし、もう、読んだ後、あれ…これってBⅬだっけ?と思うほどストーリが素晴らしく繊細で心が浄化されます。

あと、登場人物の表情の変化の描写は素晴らしいです。

1

紙上上映

デビュー作のシリーズが余りに鮮やかなので
余り推されていない様な印象のある一冊です。
あちらの構成要素を少し捻くれた形で配置し直した上で
ある意図を持って再構築された様な印象を受けました。

物語は完結していると言えば完結していますし、
まだ続いていると解釈するならその余地は多分あります。
ですが、それはあくまでも作中の要素だけを用いた
場合であって、他の解釈や要素を罌粟の種一粒分でも
混じたら見事に空中分解するのでしょう。

この一冊は、映像化の風潮に対する静かな問いなのやも
知れません。

3

BL初心者にオススメ

カンナ先生好きなので、期待して買いました。
絵はいつもの如くすごくキレイなのですが、お話が割とあっさりというか、私はあまり引き込まれませんでした。
ずっとグダグダしてた印象があります。
またページ数が多いので、グダグダ感がさらに感じられました。
まぁそれでも匂いや風を感じられそうな程の画力にはうっとりしました。

3

癒されるw

がつがつしてないところがいい。
しっかりBL!主張する作品ではないのですが
それが逆に心をほっこりさせてくれました。

トラウマを抱えつつ険悪するのにそれを捨てられない。
好きな人を作るのを恐れているが一人ではいられない。
そんな二人がじわじわ近づいている距離感がすごくいい。
春夏秋冬季節が流れて、いつの間にか。
自然と笑顔がこぼれ、自然と唇を重ねる。
驚いた表情がすごくかわいくて、その先に見える未来を想うと
ほおが緩んでしかたがない。
もう少し先の未来、ずっと先の未来。
もうすこし見ていたいと思うお話しでした。

5

あまあまだけどどこかせつない

きれいな表紙にひかれて購入しました。
あっさりした絵柄ですが、線がとても綺麗で、読みやすかったです。
本サイトのインタビューや、あらすじなどを見て、ちょっとエロイのかなあなんて期待したのですが、いい意味で期待を裏切られました。Hはしてないのに、ひとつひとつの仕草がなんかエロくて、バタバタしながら読んでいました。とても楽しかったです。
異性も同性も興味ない主人公の小林君が、ゲイでいろんな男と一夜限りの関係を築く大橋君になつかれ、最初はそっけない態度をとるも、どんどん大橋君にひかれていき、最後は…という話です。
最初から最後まであまあまなのに、なんかせつない、一回読んだだけじゃよさが、あまりわからない。そんな感じで、誰にでも進められる感じではないです。
癒されたい、という方にはあまりお勧めはできません。
でも、私はめちゃくちゃドストライクでした。久々に当たりの本に出会えてうれしいです。

4

じっくりゆっくり読んで感じる作品

心に沁みる優しい作品です。

紀伊先生の作品はどれも1ページ、1コマの絵の描き込みが多く、映像美が素晴らしいという印象です。とても柔らかく、優しく、どこか懐かしい気持ちになる、そんな温かみのある絵です。

内容ですが、ものすごく大きな起伏があるお話というわけではなく、エロもありません。しかし、繊細な表情や台詞の意味などを感じながら読んでみると、映像美も相まって、読み終えた時に映画を一つ見終えたかのような幸福感を感じることができました。
この一冊ですとんと腑に落ちる感覚と、素敵な作品を読むことができたという幸せを感じることができ、読み終えた後は心穏やかな気持ちでした。


流し読みしてしまうには勿体ない作品だと思います。一冊この本を手に取って、夜にゆっくり読んでみてほしい、そんな作品でした。

6

深くて繊細で優しいお話

最初読んだ時「かわいいけど…どういうこと⁈」ってなりました笑
紀伊カンナ先生、海辺のエトランゼでもだったんですが何回か読んでセリフとセリフの意味をつなげないと最初は全然わかりません‼︎笑 でも、ちゃんと読めたときの心に沁みる感動はこの人しかかけないんじゃないかなーと思います。

なんか、先生にひどい振られ方してショックなら逆に他の人と誠実に付き合おうとしろよ!みたいなこと言ってる方いますが、海くん(受け)自身が「不誠実だと思ってても1人じゃいられなかった」って言ってますよ。
好きだった人になにも言われず裏切られたと知ったら、きっと誰かを好きになることは怖くなるでしょうね。純粋だったからこそ海くんは裏切られたショックで恋愛に対して不誠実になっちゃったんですね〜でもほんとはさびしい…っていうのが垣間見えてきゅんきゅんしました!

先輩(攻め?)も男らしいというか、ばっさりして、でも優しくてかっこいい。古風な考えの男!って感じですね。これからもっと受けにほだされてほしい……

深読みしたくない人、エロ目的には向きません。ほんわか、男の子の切なげな表情、セリフと表情からキャラクターの心情の機微を読み取るのが好きな人にはとってもおすすめです!エトランゼもクオリアも続編出てほしいなー(*^^*)

12

紀伊先生は好きだけど…

絵が大好きでいつもハッピーな気持ちになれる作品の紀伊先生ですが、何だかこのお話はやる気がなかったのかな?と思いました。
大好きな絵という補正込みでも、ほわふわして山のないお話が少々薄く感じられ、読み終わった後特に何の感情も残らなかったのが残念です。

あと猫を飼いだすところも凄く幸せそうで良い!
受けのキャラや見た目がとても可愛く、そこも大変良かったです。

5

優しい物語だが・・・、私には合わなかった

読み終わった感想としては、
なんだか「ふわんふわん」とした心もとない感じ。
しかし、何か印象に残ったかと言われれば、何もないし、
ストーリーもキャラもおぼろげにしか思い出せませんでした。
何回かは繰り返し読んだのですが、あまり面白味も
感じられず、スラスラーっと斜め読みでした。

◆◆◆

≪CP(おぼろげ…)≫
大学で草木を研究する大学院生? × 天然ビッチ?

≪あらすじ(かーなりおぼろげ…)≫
大学で草木を研究する主人公の攻めは、ある日
エッチをしすぎて下宿?で行き倒れた受けを介抱することに。
優しくされたいと思う受けは、次から次へ相手を変えて、
寝るビッチでした。
しかし、それを悪いとは思わない受け。
そんな受けに対し、嫌悪のような不思議な思いを抱く攻め。
そのうち、受けは「優しい」という理由で攻めを好きになり、
その想いを告白するのですが……?

----------

登場人物は、いつでも柔らかい表情を崩さず、
機嫌を損ねた顔でさえ、その理由も単純で優しさを感じます。
全体としては、「ふわふわ~~」と読めて、
「ふわふわ~~」と頭の中を通り過ぎて行って、
後には何も残らなかった……ようなイメージです。

キャラクターの心中も全く読み取ることができず、
「あー、草花を愛しているんだなー。優しいなー」とか
そのくらいの印象でした。

受けは、いろんな人と次々と関係を持つビッチなのですが、
それが悪いこととは思わず、きょとんとしている天然なので
こちらもそれにつられて、あまり怒りを覚えることもなく、さら~っと
頭の中を流れて行ってしまいました。

雪のシーン、花吹雪のシーン、柔らかなシーンが2人を包み込みます。
優しい物語なんだろうな、ということは何となく伝わるのですが、
感情移入までは至らず。

最後は花吹雪の中のキスシーン。
図柄としては美しいのですが、何故攻めが受けにキスしたのか
「?」でした。
関係性が全然読み取れなかったのが、原因でしょうかね。

◆◆◆

読む人によっては、感慨深く読める物語だと思います。
しかし、残念ながら私には合わなかったです。
嫌悪感を抱くような物語でもなかったのですが、
何も感じるところもなかったというところで。

残念。

5

受けのキャラだけが…

昔父親に捨てられた過去のため、人嫌いの明夫。あるとき同じ寮に住む大学の後輩、海と知り合いになる。ゲイで、同じ人とは2度寝ないという刹那的な関係を繰り返している海は、なぜか明夫に懐き、まとわりついてくる。邪険にしても懲りない海に、次第に心を許し始める明夫だったが…。


北海道を舞台に、丁寧に描かれた、どこかノスタルジックな美しい話でした。
でも、話は美しいんですけど、受け(作中で攻めとエッチしてないので推定)がどうも好きになれず…。昔の失恋を引きずって、男と一夜限りの関係を繰り返しているキャラなのですが、自分が好きな男に捨てられたのがトラウマなら、なぜ自分は一夜限りの男に誠実な対応をしないのか。遊びで近づいてくる相手ならともかく、中には誠実に「もう一度会えないか」と言ってくる人もいたのに。あとこのキャラはセックス中毒なの? 普通の人間は、一度手ひどい失恋をしたからって、不特定多数と一夜限りの関係を持ちまくったりはしませんよ。これがビッチキャラだというなら理解はできるんですが、なぜ男と関係を持たずにはいられないのかがさっぱりわからない。
あと、攻めに対して「先輩は寝なくても一緒にいてくれるから優しい」って言ってるんですが、また会ってくれって頼む男に一回きりだと切り捨ててる人が言えるセリフじゃないですよね。この先一緒にいてくれそうな人に対しても「一回きり」って言って逃げて、一体何がしたいんだろうと思います。

攻めのほうは、そんな受けを叱り飛ばすし、受けが襲われても「自業自得だ」って言うし、至ってまともな人だと思いました。爆弾発言しては言い逃げするのも、これまでまともに人間と付き合ってこなかったからコミュ障なんだな、と理解できました。今まで男のくせに花が好き、ということをバカにされ続けてきたから、受けが花が好きだったり、植物の世話を手伝ってくれたりするとだんだんほだされていくのもわかります。
こちらはよくわかるキャラでした。不器用さも可愛かった。

評価は萌ですが、受けの理解できなさは個人的にはかなりのマイナス点でした。ただ絵がすごく綺麗で、情景描写が美しくて、キャラクターも可愛くて、それは素晴らしかったです。

5

君の隣で少しずつ、ゆっくりと癒えていく…

素敵な本を読んだなぁ…と心がじんわりとして、
やさしい気持ちで本を閉じました。

ぜひ、ゆっくりと時間をとって読んでいただきたい1冊です。


同じ大学に通い、同じ寮の向かいの部屋に住む、先輩後輩のふたり。
草木が好きで色恋には全然興味がない明夫(表紙右)が、
寮の廊下で倒れていた後輩の海(表紙左)をたまたま助けて、
それがきっかけで懐かれて…と、物語は始まっていきます。

海(表紙左)が男と一度きりの関係を繰り返しているのを知って、
突然そっけない態度を取るようになる先輩の明夫。
その理由は、
自分たち家族を捨てた父親と同じだ…と感じたから。
そして、
特定の人を作らずに男と寝ている海にも、辛い思いをした過去が…。

ふたり共、過去の辛い出来事が心に根をおろしたまま…

よくありそうな過去なのだけれど、
未だにその影響を引きずっているふたりを丁寧に描くことによって、
他人事ではなくその辛さが現実味を帯びて感じられるのが、いい。
そしてお互いの隣で、
心の奥に仕舞い込んでいた想いを言葉にして吐き出すことによって、
何気ない日常を共に過ごしていく時間によって、
ふたりはゆっくりとゆっくりと癒されていくのです…。
その様子がとても自然で、とても心地がいい。

過去と現在との描写の切り替わりが分かりずらくて、
ん??と手が止まることが何度もあったり、
人と人としての距離は縮まったけど、恋の面ではこれからかも?
とも思うので、神評価にはしなかったですが、本当に素敵な1冊でした。

ニリンソウのように、
一緒にキレイな花を咲かせ続ける…そんなふたりの未来が、
またどこかで見れるといいな。

※ 明夫と海は軽いキスのみなのですが、
最初の方では海は他の男性と寝ていて、セックスシーンも少しあります、
苦手な方はご注意ください。

10

どこか懐かしく、そして暖かい

植物が好きで、いつもお米を食べていて、
そんなイメージと違ってたばこを吸う人嫌いの明夫。
たまたま縁が出来た同じボロい寮に住む海は、
同性と行きずりの一度限りの関係を繰り返している……

前作のエトランゼでも感じた、どこか懐かしいような
映画を見ているような空気感はそのままに
ストーリーとしてはこちらの方が、素直に心に落ちる感じ。

ドラマチックな話ではないが、
遅い春が一度にやってくる北海道の、
雪や桜といった美しいモチーフを背景にして、
感情の流れが表情の変化で伝わってきて、とても素敵。

そして、最後の耳元で囁いた仲良く二つ並んだ花の名前。
その花はニリンソウで、その花言葉は……
「予断」「友情」「協力」そして「ずっと離れない」。

心の深いところで傷ついて、その傷を持て余しながら生きてきた二人が
初夏の日差しと風の中、草花に囲まれながら癒やされ始めた感じに
じんわりとする終わりでした。

評価は「神」寄りの萌×2。


ところで明夫くん。
最後にさりげなくキスなんかしちゃっているものの、
ネットでゲイビデオ見て勉強してみた物の「俺無理だわ」って(笑)
そちらは、今後どうなりますことやら!
私は君の「はぁ?」って不愉快そうにした顔がかない好きだよ!

話としては友情以上みたいなこの感じの終わりは良い感じだけれど、
ちょっとその先を見てみたい気もする、キス止まりでした。

5

雪の下には、あたたかい春が眠る

-雪が溶けたら何になる?
-水
-雪が溶ければ春になりますよ

これは、作中の主人公たちの会話なのですが
この作品を表すのにぴったりな、とても好きなシーンです。

男にも女にも興味がないと言い切る草木・花好きの明夫と
ゲイで、恋愛において一度限りの関係しか築こうとしない海は、
それぞれの過去に、暗く寂しい影を宿していた。
そんなふたりが出会い、少しずつ心触れ合っていく内に
根雪のように覆われた冷たく悲しい傷が心地良く溶かされ、
次の季節、春へと向かっていくお話。

紀伊さんご自身はこの作品について
”話も萌えも地味”だと、インタビューで仰っていますが
(加えてとても難産な物語だったようですね)
わたし個人としては、すごく好みのお話でした。

物語の舞台が北海道がということで、
長くつめたい雪国の季節感と日常を交ぜながら
雪の下にしっかりと宿っている春を
ふたりの主人公の心情と共に丁寧に描き綴られています。

はじめはへらへら笑顔が目立つ奔放な海が
明夫と関わるうちに、ふてくされた顔を見せたり
明夫の心境の変化に驚き顔になったりする姿や、
眉間の皺が定位置(笑)の明夫の表情が
少しずつ解されるように柔らかくなっていく過程が
ごくごく自然で、非常に好感が持てました。

草木や花、動物、食べ物等の描写もたくさん出てきますが
さすが紀伊さん、画力に関しても言うことなし。
又、脇役たち、殊に毎度ながら女性キャラたちの逞しい、
男気溢れる感じも健在で、紀伊さんらしくてポイントが高い。

萌えに関しては、やはり明夫の表情や仕草の軟化でしょうか。
実家に帰る明夫が、鳴き止まない猫にキスをしたり
クライマックスで見せる、海に向けた優しい表情と笑顔には
胸に温かさが広がるようなキュンの連発でした♡
ふたりがキス止まりなところもイイ!

又、『雪の下のクオリア』というタイトルが
物語や作画と同じくらい素晴らしい。
あとがきによれば、紀伊さんは”クオリア”を、
”箱庭”の意味でつけられたそう。
調べてみると”クオリア”には、”~のようなあの感じ”という
心象的な感覚を表す意味があるようです。
”雪の下で眠る春のようなあたたかい、あの感じ”
といったような意味にもとれて、とても素敵です。

評価は、タイトルを含めひとつの作品として素晴らしかったこと、
草木や花、雪といった個人的に大好きなモチーフが
ふんだんに使われていることから、持ってけハート泥棒の”神”評価です!

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