電子限定版 イラスト入り
一人称視点。一人称だけど砕けすぎていないから、とても読みやすい。
●一つ目は28歳教師(高岡)x翼の生えた生徒(真白)
やっぱり教師x生徒は良いな。
年上に恋をする受けは可愛い。
幼少期から羽だけでちやほやされ辟易していたところに、先生の対応が沁みて惚れた流れ。
表紙の次にあるイラストや序盤の会話から、悲恋切甘メリバなのかと構えて、何となしの会話にすら胸がぎゅっとする。
雰囲気が神聖。
●二つ目の話は毒蛇先輩(功貴/いさき)x後輩(正/せい)
窒息死の噂の発端となった二人。
一つ目の話ででてきた、矢浪のパートナーの獣人カウンセラーはこの後輩のこと。保健医じゃないから安心してください。
●三つ目は同級生カップル。人間(敏公/としひろ)x猫耳獣人(円/えん)
これも一つ目の話で出てきた、諏訪先生と歌手? の若い頃の話。
窒息死の噂の現場を聞いてしまった二人。
こう考えると、一つ目の話で「美術準備室で窒息死する」って噂で神妙になってたのが面白い。
諏訪が円に告白したセリフがイケメンすぎる。
●一つ目の話の三年後の話……32の高岡と21の真白。
卒業してからも諏訪や矢浪とその恋人たちと交流を続けている真白。諏訪が奢るからとx時にレストランで待ち合わせを約束し、当日を迎えてレストランに行き「待ち合わせで〜」と言って見渡したらそこに高岡が手を挙げて待ってたシーンでぐっときた。
真白の言葉一つ一つに意味深な返事する高岡にギュンッ……。
観覧車の「誰と結ばれないって?」のシーン。今までかかってたBGMが止んで、ドゥンッ…エンダァァァァァァァァァァァァァイヤァァァァァァァァって流れるくらいのクライマックス。
教師の頃と打って変わって、溺愛独占欲丸出し攻めです。真白は変わらず健気純粋受け。
ナツイロ・リアルは、3カップルが集合したキャンプ話。
特典番外編は、また先生になった高岡と真白の、過去振り返り話。
最後に。結ばれてから、真白は高岡のことを翔さん翔さん呼ぶようになります。某哀川の顔が浮かんできます。
表紙絵のイメージで、獣人が住む世界観の物語と理解して購入したのですが、
著者が言う「リアル」の意味する概念が良く理解できなかった。
獣人世界を描くファンタジーになぜ「リアル」?
表題作は、「恋する鳥は空を飛べない」
あとがきには、
『普通の人と少し違う獣人』
『人外とは差別用語』
「人は「違う人」にはいつだって残酷」
死生観も「差別のうえに重なる差別」
・・とあって、ファンタジーに登場する人物は、現実社会に存在するマイノリティを獣人に擬人化して、マイノリティが感じる苦痛や孤独を語っている、らしい。
「サヨナラ・リアル」は、目次に無い区切りが四つあり、どれも美術室(「長時間いると窒息死する」というジンクスがある)に関わる獣人と人間の恋。
鳥
毒蛇
猫
鳥と太陽
そして、あとがきの後には「ナツイロ・リアル」
各章に登場する獣人キャラは、少し異質で世間から浮いてはいるけど、どれもそれなりに幸せ。
偏見と差別感を持たない伴侶と出会い、それなりに自分を受け入れ、生を謳歌しています。
一通り読んだけど、読後にタイトルと中身の不一致を感じました。
捻りすぎじゃないのかな。
「リアル」が差別を意味していて、「サヨナラ 差別」を意味するタイトルなら理解できる。
評価もレビューも見ずに、読み始めました。
獣人。人間社会の中に獣の特徴を持つ人が混在する世界のお話。
ファンタジーだけれど、リアリティがあり、獣人だからある悩みや生きにくさが、少しずつ伝わるように描かれています。
背中に羽を持つ高校生の吉沢は、美術部顧問の高岡に惹かれ、美術部に入るが高岡先生は全く相手にせず。。。
『美術準備室にいると窒息死する』という噂を調査し、高岡先生を守ろうとする吉沢。。。
高岡先生と吉沢のお話。
そして、この噂の元になった矢浪と正。
高校教師の諏訪と円。
3つの物語がそれぞれ単独で描かれていますが、少し繋がっており、読んでいるともしかして!と思う場面があります。
一冊になっているのも、読みやすく良かったです。
私的には、諏訪と円の話が男子高校生らしさと、友情から恋に発展していきそうな感じが凄く好きです。
猫耳を想像するだけで、きゅんきゅんしました。
獣人なので、綺麗や可愛いだけではなく、醜さ、辛さもあり、獣人の集団自殺というニュースにもなるくらい重い設定でもあります。でも、成長した吉沢を見ると生きるぬくことの素晴らしさが感じられます。
高岡に、「初めて全身で溺れる恋をした相手」と言われた時には、私も浮かれました!
何ていい言葉なんだろ!
色々な面で、神評価作品です。
朝丘さんのご本は最近は購入していなかったのですが、教師×生徒に惹かれて読みました。
カプはメインを合わせて3組。
舞台は同じ男子校ですが時間軸が違うので、ちょっとわかりにくい部分もありますが、それを把握していれば大丈夫かと思います。
どのカプのお話も一人称ですので、その辺りは好き好きありそうですね。
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メインカプは、高校の美術教師の高岡(28歳)×鳥の獣人で高校二年生の真白。
そして、蛇の獣人で高校二年の矢浪×後輩の正。3組目は学級委員長の敏公×猫の獣人で転入生の円となっています。
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時間軸は高岡×真白が一番最近で現在。
他の2組は現在もう大人になっていて、真白だけが高校生。
サブカプのお話は、4人の高校時代となっています。
なので順番的には、矢浪×正→敏公×円→高岡×真白が正しいのかな。
現在は真白の担任が敏公で、敏公から紹介されるのが矢浪です。
高岡と真白の話にこの二人はキーパーソンとしてかなり登場(特に敏公)していて、ちょうど彼らのことが気になった頃にそちらも読めるのはなかなか親切な構成。
読み終えて思ったのは、真白面倒くさい!ということです。
一人称なのでよけい感じるんですよね。
それでも高校時代の後半辺りは涙を誘います。
真白は健気だし。
訪れる別れも、いっそそのままでも良かったのかなとも思いました。
というのは最後のショートで大学生になった真白の鈍さがかなり際立っていて、読んでいて頭の中にハテナマークが…
そしてそこでは前半かなり男前で個人的に好感度の高かった高岡もアプローチがグイグイで、まるで別人のようでした。
アンハッピーなら読めないと思い大丈夫なのを確認して読んだのですが、かえってなんだか腑に落ちなくなってしまいました。
ちょっと変わった世界の設定です。
人間の中に少数の獣人と呼ばれる身体能力や体の一部の形状が獣の『半獣』が存在する世界です。
何故そうなのか、近未来の話なのかファンタジーの異世界の話なのかは全く説明がありません。
ただマイノリティーで時に差別され奇異の目で見られたり忌避されたりする存在であること、獣の種族によっては嫌悪されたりバカにされたりあるいは賛美されたりします。
樋口さんの虫シリーズのように人類の存亡の為にあえて交配したとか意味も理由もありません。
獣人が存在する以外は普通の現代社会です。
そういった世界観や何でどうして?といったことに疑問を持ったり説明を求めたくなるとこのお話は楽しめません。
『恋する鳥は空を飛べない』
そんな世界で生きている背中に羽の生えた鳥の獣人 真白が主人公の作品です。
真白は背中に白い羽を持つ以外はごく普通の高校生です。
飛ぶこともできないし特異な能力もありません。
ただ、両親共人間なのに隔世遺伝で鳥の羽を持って生まれてきたことで生きにくいと思っている。
獣人である自分を疎んではいないが羽のせいで着替えや入浴が面倒だと思う程度で特に嫌がってはいないようです。
けれど天使のようだと褒めそやされたり美しさを賛美されたりペットか装飾品のように所有し顕示したいと考える他人が近づいてくることに嫌気がさし、作り笑いと人を寄せ付けない壁を作って当たり障りのない会話で身を守っています。
そんな中で特殊であることを感じさせない一人の友人や教師への恋心によって一人で閉じこもっていた狭い世界から壁を超えて外の世界へ羽ばたいて行く勇気を持てるようになるお話です。
同性の生徒から恋情を向けられる教師の困惑と喜び、そして教師としての倫理観という重い判断の狭間で揺れ動いていた先生の気持ちが全く分かりませんでした。
最後の最後に語られるまで先生視点の場面はないので、読み手も真白と同じく受け入れられるはずがないという悲しい予感に胸が震えました。
美術室で「5年たっても同じ想いがあったらここに来い」という先生に向かって、「今ここで振って、そして5年後にまた振って」と苦しい胸の内を吐き出すような場面がすごく悲しいけれど真白の感情を表すいいシーンだと思います。
5年後に振ってもらってようやく区切りをつけて新しい恋に歩き出せる、だからもう少しこの恋を支えにして生きていたいという切ない想いにきゅんきゅんしました。
『毒ヘビは涙をこぼさない』
施設で育ち養父母に引き取られ育てられた毒蛇獣人の功貴。
主役が変わって別の話でオムニバスなのかと思ったら、続き(過去編?)のようでもあると思いながら読みました。
真白の同じ学校の13年前のOB。
功貴は人に嫌われたり恐れられたりすることからあえて孤高を貫いて生真面目に生きている高校生。
そんな功貴に好きだと言ってまとわりつく1年下のゲイの正。
過去の因縁やお互いの孤独を埋める存在であることで徐々に近づいてやがて功貴が思いを自覚して向き合うようになっていくお話です。
短い中にいろんなものがギュッと詰まった掌編でした。
『モノクロ世界で歌う猫』
毒蛇〜と同じ時系列の話です。
真白の2年の担任の教師(高岡の同僚で友人)とその同級生との出会い編。
毒蛇〜の功貴の1年後輩で正の同級生で真白の2年の担任で真白を持導くことになる諏訪の話です。
諏訪は家族の中で自分の居場所をなくし人を信じられない秀才。
季節外れの転校生 里田は猫耳を持つ獣人。
全部読んでからもう一回初めから読むとあちこちに散りばめられていた会話や事件がその場では引っかかったままだったことが、いろいろわかって繋がっていきパズルのピースが全て埋まったようなすっきり感がありました。
それで真白が救われたり先生の気持ちが近づいてきたり二人が再会してハッピーなエンドを迎えることになるんだなあと理解できました。
なので、ぜひ続けて2回読むことをお勧めしたいです。