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人間と獣人との恋を描いた3作品収録。
獣人が出てくるけどもファンタジー色は強くなく、
でも個々の特性をしっかり生かした展開にはなっているのがすごく良かった…!
恋の切なさと人付き合いの難しさに抉られながりもグイグイ引き込まれて一気読みでした。
表紙になっているふたりがメインカップルですが
教師と生徒という立場上、困難や障壁ばかりで
真白の想いが届かないばかりか高岡の本心さえわからないまま本編が終わることに衝撃。
ページをめくって思わず「えっ…!」と声が出ました(笑)
でも3年後に再会し改めて気持ちを通わせた彼らを見た時に
離れたのはふたりのために必要な時間だったのだなとストンと納得できます。
ふたりの心に降り積もった大切な想いは"教師と生徒として"過ごした日々の宝物で
それを簡単にこえていかなかったからこそ得た幸せだったのだろうな、と。
ひたむきに想いあっていたから周りにも恵まれて結ばれた結末に感動したし、
ようやく知ることができた高岡の本心にもめちゃくちゃグッときて、最後の最後まで熱が途切れることなく読むことができました。
他2組のお話も本当に素敵で、ぜひまた読み返したいと思えるような作品でした。
人間と獣人が共存する世界を舞台にした3カプのお話。ナチュラルに“背中の羽”と出てきてびっくりした。特殊設定はそこだけで、地に足のついたストーリー。キャラは矢浪が一番好きかな。
『恋する鳥は空を飛べない』
教師に恋する男子高校生のお話。高岡がいくら気のない素振りを見せても、吉沢はぐいぐい迫ってストーキングまでしていて、とにかく高岡が大変そう。
この話は、告って振られた生徒が自殺未遂を起こし、振った教師が悪者にされる展開が胸クソすぎて、教師への同情が止まらない。もし未遂で済んでいなかったら、確実に高岡のせいになっていたであろうところが激しく不快。
教師なんて何を言っても批判されそうだし、こんな悪意を見せられたあとでは、真白にはもう高岡から離れて欲しいと願ってしまう。学校という狭い世界で生きているがゆえに、高岡への執着はなかなか消えないが、最後は自分で気づけて良かった。
この時点ではお別れエンド。お互いのためにも、ベストな終わりだったと思う。
『毒蛇は涙をこぼさない』
蛇の毒牙を持つ矢浪と後輩君のお話。矢浪は一作目にも出ていて、一番好きなキャラだった。
生い立ちや生活環境等が酷いので辛くなってしまいそうだが、一作目で大人になった矢浪の様子を知ったうえで読めるので、ある程度心の安定が保てて良かった。
『モノクロ世界でうたう猫』
一作目に教師として出ていた諏訪と、同級生のお話。これと一つ前の作品は、特にテーマが分かりやすい。いじめや差別が描かれており、さらに言葉でもはっきり語っている。
個人的にこういうものは、エピソードの提示で伝え、直接的な言葉を使わず、読者に考えさせる書き方の方が好きかな。
『鳥は太陽にくちづける』
お別れした一作目のカプが再会し、見事両想いになってくっつくお話。教師を辞めた高岡が遠慮なしに口説いてる。
生徒と教師がくっつく場合、生徒側は卒業して外の世界を見ても気持ちが変わらないかを確認してからというのは大事だと思う。重くなっていく生徒の感情に振り回される教師はつくづく大変だな、と思った。
一人称視点。一人称だけど砕けすぎていないから、とても読みやすい。
●一つ目は28歳教師(高岡)x翼の生えた生徒(真白)
やっぱり教師x生徒は良いな。
年上に恋をする受けは可愛い。
幼少期から羽だけでちやほやされ辟易していたところに、先生の対応が沁みて惚れた流れ。
表紙の次にあるイラストや序盤の会話から、悲恋切甘メリバなのかと構えて、何となしの会話にすら胸がぎゅっとする。
雰囲気が神聖。
●二つ目の話は毒蛇先輩(功貴/いさき)x後輩(正/せい)
窒息死の噂の発端となった二人。
一つ目の話ででてきた、矢浪のパートナーの獣人カウンセラーはこの後輩のこと。保健医じゃないから安心してください。
●三つ目は同級生カップル。人間(敏公/としひろ)x猫耳獣人(円/えん)
これも一つ目の話で出てきた、諏訪先生と歌手? の若い頃の話。
窒息死の噂の現場を聞いてしまった二人。
こう考えると、一つ目の話で「美術準備室で窒息死する」って噂で神妙になってたのが面白い。
諏訪が円に告白したセリフがイケメンすぎる。
●一つ目の話の三年後の話……32の高岡と21の真白。
卒業してからも諏訪や矢浪とその恋人たちと交流を続けている真白。諏訪が奢るからとx時にレストランで待ち合わせを約束し、当日を迎えてレストランに行き「待ち合わせで〜」と言って見渡したらそこに高岡が手を挙げて待ってたシーンでぐっときた。
真白の言葉一つ一つに意味深な返事する高岡にギュンッ……。
観覧車の「誰と結ばれないって?」のシーン。今までかかってたBGMが止んで、ドゥンッ…エンダァァァァァァァァァァァァァイヤァァァァァァァァって流れるくらいのクライマックス。
教師の頃と打って変わって、溺愛独占欲丸出し攻めです。真白は変わらず健気純粋受け。
ナツイロ・リアルは、3カップルが集合したキャンプ話。
特典番外編は、また先生になった高岡と真白の、過去振り返り話。
最後に。結ばれてから、真白は高岡のことを翔さん翔さん呼ぶようになります。某哀川の顔が浮かんできます。
表紙絵のイメージで、獣人が住む世界観の物語と理解して購入したのですが、
著者が言う「リアル」の意味する概念が良く理解できなかった。
獣人世界を描くファンタジーになぜ「リアル」?
表題作は、「恋する鳥は空を飛べない」
あとがきには、
『普通の人と少し違う獣人』
『人外とは差別用語』
「人は「違う人」にはいつだって残酷」
死生観も「差別のうえに重なる差別」
・・とあって、ファンタジーに登場する人物は、現実社会に存在するマイノリティを獣人に擬人化して、マイノリティが感じる苦痛や孤独を語っている、らしい。
「サヨナラ・リアル」は、目次に無い区切りが四つあり、どれも美術室(「長時間いると窒息死する」というジンクスがある)に関わる獣人と人間の恋。
鳥
毒蛇
猫
鳥と太陽
そして、あとがきの後には「ナツイロ・リアル」
各章に登場する獣人キャラは、少し異質で世間から浮いてはいるけど、どれもそれなりに幸せ。
偏見と差別感を持たない伴侶と出会い、それなりに自分を受け入れ、生を謳歌しています。
一通り読んだけど、読後にタイトルと中身の不一致を感じました。
捻りすぎじゃないのかな。
「リアル」が差別を意味していて、「サヨナラ 差別」を意味するタイトルなら理解できる。
評価もレビューも見ずに、読み始めました。
獣人。人間社会の中に獣の特徴を持つ人が混在する世界のお話。
ファンタジーだけれど、リアリティがあり、獣人だからある悩みや生きにくさが、少しずつ伝わるように描かれています。
背中に羽を持つ高校生の吉沢は、美術部顧問の高岡に惹かれ、美術部に入るが高岡先生は全く相手にせず。。。
『美術準備室にいると窒息死する』という噂を調査し、高岡先生を守ろうとする吉沢。。。
高岡先生と吉沢のお話。
そして、この噂の元になった矢浪と正。
高校教師の諏訪と円。
3つの物語がそれぞれ単独で描かれていますが、少し繋がっており、読んでいるともしかして!と思う場面があります。
一冊になっているのも、読みやすく良かったです。
私的には、諏訪と円の話が男子高校生らしさと、友情から恋に発展していきそうな感じが凄く好きです。
猫耳を想像するだけで、きゅんきゅんしました。
獣人なので、綺麗や可愛いだけではなく、醜さ、辛さもあり、獣人の集団自殺というニュースにもなるくらい重い設定でもあります。でも、成長した吉沢を見ると生きるぬくことの素晴らしさが感じられます。
高岡に、「初めて全身で溺れる恋をした相手」と言われた時には、私も浮かれました!
何ていい言葉なんだろ!
色々な面で、神評価作品です。
