義父はゲイでした。

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グレーとブルーのあいまで

gray to blue no aima de

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表題作グレーとブルーのあいまで

小夜谷雅寅,高校生,受の義理の息子(教師)の教え子
城山庚子,妻に先立たれ娘も巣立って独り身,50過ぎ

その他の収録作品

  • Blue-gray(描き下ろし)
  • あとがき
  • カバー下:イラスト

あらすじ

性格も容姿も平凡で「つまらない男」と
評される高校教師の甲太郎。
甲太郎の義父で、50過ぎてもどこか色気漂うゲイの庚子。
若さと美貌を売りに男をとっかえひっかえしている
甲太郎の教え子・小夜谷。
年齢も立場もバラバラな3人が
甲太郎を中心に繋がっていき――。
いくつになっても愛に不器用な男達のラブストーリー!

作品情報

作品名
グレーとブルーのあいまで
著者
糸井のぞ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
プランタン出版
レーベル
Cannaコミックス
発売日
ISBN
9784829685822
4.2

(54)

(23)

萌々

(24)

(4)

中立

(2)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
10
得点
225
評価数
54
平均
4.2 / 5
神率
42.6%

レビュー投稿数10

じじいはいいぞ

じじいに惹かれて本作を買いました。はい、そういう人間です。

三角関係が苦手な私は読み始めると嫌な予感がしましたが、進んだら良い意味で期待から外れました。3人の主人公はそれぞれ問題や心配を抱えながら一生懸命生きようと、幸せになろうとしています。行き来していてお互いにぶつかり合う時の描き方、この先生の心理的な描写が特に上手いと思います。同じシチュエーションを三視点からアプローチするのが中々難しいですし、悪い点もしっかりつけながら悪い人にしないのも簡単ではありません。

絵柄が綺麗で、ストーリーのテンポも良い感じです。あと切なさも丁度良い量だと思います、個人的に。

何よりもじじいは最高に可愛かったのでオススメします。

0

わちゃわちゃしっとり

義父と生徒とわちゃわちゃ三角関係!!!

青春の甘酸っぱさも苦さも、積み重ねた余裕も余裕のなさも良いものです。

ロマンスグレーな庚子さん、粋でどうしようもなくて可愛いくて反則!!年齢を気にしつつも押したり、乱れる姿はたまりません!!
マサトラは掴みどころがないと思いきや、真っ直ぐな懸命さが可愛い!!
つまらない男と言われる甲太郎も図々しさといたって普通なとこに甘えてしまう心地良さがあって、甲太郎がいたから関係が回ったとこがあるのかなと感じました。

ちるちるのカプ表記を見ずに読んだので、最後までどうなる?もしかして?とドキドキしながら読めました。

0

スパイスの効いた名作

読んでいる最中はピリリと痛むけれど、拝読後はスッーと浄化されるような甘い雰囲気になれる作品でした。

他の方もコメントされているように、BLのファンタジー部分とリアルがとてもうまい具合に押し出されていました。それをちょっと歪な男3人の三角関係で描かれているのだからとても面白い。その立役者はやはり50オーバーの庚子さん。
酸いも甘いも経験し、ゲイとして一人娘を育ててきた、、、男性への初恋の思い出に苛まれ、本心を隠して生きてきた年月、、、とても重いです。
それ故に一言一言のセリフの重さがずっしりと沁みます。哀愁漂う雰囲気も相まって。

親子以上に歳の離れた男の子からの澱みのない真っ直ぐな言葉に立ちくらみしそうな庚子さん。残された人生、心の赴くままに生きて欲しいと、エールを送りたくなります。

2

グレーとブルーのあいまで見えたものは

ブルーとシルバーのあいだではなく。
あくまでグレー。
ロマンスグレーなのです。

おじいちゃんの恋愛話は苦手なのですが、よもやそういうシーンは出てこないであろうとタカを括っていた自分がばかでした。
がっつりと、そりゃもうがっつりとおじいちゃんの性欲を見せつけられるので、おじいちゃんのそういうのはいじめにしか見えないから無理という方はお気をつけください。
ふつうなら「要回避」と言いたいところなのですが、苦手な方にも読んでほしい。
そういう場面の不快感を越える何かが感じ取れるはずです。

妻の父と教え子。
おじいちゃんと孫でもおかしくない年の差で恋愛するのは異常なのか。
高校教師で世界史を教える冴えない自分とNYに短期留学に行った妻。
何も言わずに妻の希望を叶えてやることが正しい夫なのか。
何が正解で何が不正解なのか、常識では測れないものなのだと教えられた気がします。

高校教師の甲太郎にとって教え子の小夜谷は、背も小さく悩みに押し潰されそうなときから見守ってきた、他の生徒よりも近いし、少し違う存在。
妻の父である庚子は、結婚の時に顔を合わせたくらいで疎遠だったけれど、妻との関係が終わっても離れがたいくらいに親しみを抱いた存在。
この2人が抱える「同性愛者」という部分を甲太郎は理解しているようでしていません。「自分は分かってる」と思うゲイフレンドリーの人ほど、優しさや思いやりが逆に無神経な棘になるような。
庚子と甲太郎が初恋の話をしているときに庚子が思い出していた過去は、甲太郎の想像を絶する出来事で、思い浮かべるものが違いすぎるからこそ「戻りたいと思いません?」と軽々しく言えるのです。
だからこそ小夜谷の想いを知ったときに「大切な存在である2人」の気持ちよりも「常識」に基づいた意見をしてしまう。それどころか何も言っていない庚子に対しては、打ちのめすのに一番効果のありそうな言葉で傷付ける。ふつうに異性を好きになって結婚を望むような人間には表面のきれいなところしか見えていないから、リアルになった瞬間に本当に「理解」しているかが問われるのだろうと思いました。
甲太郎が言ったことなんてとっくに分かってるし、さんざん考えていることなんですよね。でも「正論」で「感情」を押さえつけられると思っている「ノーマル」な人間にはそれしか言えないのも事実だろうなとも思う。すごく考えさせられたシーンでした。

庚子が初恋の相手にされたことはあまりにもひどくて、トラウマから性癖になってしまっているのが見ていて苦しかったです。どういう経緯で結婚して子供が生まれたのかは描かれていません。ただあまりにつらい経験で、「ふつうの人生」に逃げたかったのだろうとは思いました。
甲太郎の眼鏡と酔ったときに触られた耳のほくろが初恋の人と重なるのも切ない。切ないという言葉で片付けてはいけないのかもしれませんが、わたしの乏しい語彙では良い言葉が浮かびません。

それにしても現実問題、厳しいだろうなとは思います。60近い男性とまだ17才の少年。文字通り青二才で、若さと情熱だけで何でも乗り越えられると思っている世代と、もう人生も夕暮れに差し掛かった世代では共有できることも少ないし、それこそ体力の差もある。
だけどそんな杓子定規な見方ではなくて、どうか庚子がこの世を去る瞬間、最期に見るものが小夜谷であってほしいと願ってしまう。目を閉じるときに「しあわせな恋をした」と思ってほしい。
おじいちゃんの恋愛は苦手だけど、そういう風に思えたのは糸井のぞさんの人物描写の為せる技なんでしょうね。

タイトルの「グレーとブルーのあいまで」は、庚子と小夜谷の間で2人を見ている甲太郎のことであり、庚子と小夜谷の「愛」が育つまでの「愛まで」にかけているのかな、と思いました。ベタですかね。

良い作品でした。

6

さすが糸井のぞ作品。名作です。

評価を入れてていなかった自分が悔しい。圧倒的な名作です!!
シルバー受けというジャンルでしょうか。年下攻め好き、追い求めるとここに行き着けます!
受けの庚子さんの色っぽさが突出してる。私が付き合いたいです。
微妙な関係性でのトライアングルどきどき感もあり、恋の酸い甘いのそわそわきゅんきゅん感もあり。丸々一冊楽しめて、お代わりが欲しいくらいの作品です。
糸井のぞさんの作品、この痛さと切なさと甘くて幸せな余韻が同居する作風、本当に好きです。

6

相手の人生に爪痕を残すような恋

庚子さんの枯淡とした色気にやられました。
諦めを感じつつも、まだ欲の残っている姿に魅せられます。

マサトラくんの若さは、庚子さんにとって
鬱陶しくもあり、羨望の対象でもあるんだろうなあ。
この恋が長く続くものとはちょっと思えないのですが、
それでもマサトラくんの一生にとって、
庚子さんみたいなオトナとつきあえたことはすごい大きな出来事になるんだろうと思いました。

なんかよいものを読んだ、という気分です。
ありがとうございました。

2

タイトルも沁みます

糸井さんは、何かが心に残る作品を描いて下さる方で
カップル以外の登場人物もとても魅力的だと思います。

DKと50過ぎの結構な年の差カプ、
リアルでは難しいかもしれませんが
庚子さんほど魅力的ならアリです!!
結婚して子を授かってもゲイという方もいらっしゃるだろうなぁ…。
妻は娘が幼い頃他界し、その娘も結婚して家を出ているなら
なおのこと寂しいんじゃないかな。
その分自由奔放に生きられるかもしれないけど。

娘の旦那で高校教師の甲太郎が、
最初は平々凡々という印象でしたが
懐がデカいというか…他人の気持ちに寄り添えるいいヤツで
だから庚子さんも生徒のマサトラもつい本音をこぼしてしまうんだと
妙に納得できました。
甲太郎にも妻との距離に悩んでいて
それを庚子さんの一言で元気もらえて
支えて支えられてという人間ドラマが素敵!!

マサトラの生意気っぷりときたら!
若さって怖いものしらずだから突っ走れるし
今しかない魅力っていうのもあるんだろうけど
ブラックでコーヒー飲んで庚子さんを認めさせるって可愛かった!!
調子こいてたのをぎゃふんと言わせられたりww
どうやったって庚子さんの経験値には追い付かないけど
マサトラなりに一生懸命でとても微笑ましい…。
私はどうしても庚子さんに感情移入してしまいましたが。

人生は一度きりしかなくて
今しかない出会いがあって
未来はどうなるかわからなくても
気持ちにまかせて行動することも大事なんですね。
本気の恋は、そうそう何度も出来ないものでしょうし…。
じんわりした読後感をいただきました!!

5

単純な物語は描かない。

相変わらずいいお話を描いてくれますねぇ。
今作は三角関係を描いたものですが、三人の関係性にというよりは、キャラクター一人一人の心理描写に重点を置かれ、それぞれのドラマが展開していく先に見えてくる三人の繋がりといった、ちょっとトリッキーなパターン。

メインの語り手である甲太朗(32歳、妻帯者)は、妻の父親・庚子(こうし)と勤務先の教え子・マサトラ(高校生)の間に立ち、最初は庚子とマサトラに狙われているのかと思いきや…、二人の間を取り持ち、年の差を埋める役割を果たしていきます。

庚子さんがステキすぎです。ずっと忘れられない辛い初恋を心の奥にしまい、ゲイとしての「日常」を生き抜いてきた男。甲太郎がマサトラの悩みを理解しようと、同性愛について調べて抱いた感想に「薄い」と一喝。腐女子についても言われているようでドキッとしました。

マサトラもチャラっちぃおこちゃまから、憧れの男性に恋をして男らしく変わっていく。当初は全然相手にしていなかった庚子が、心の中でそんなマサトラをイイ男だとちゃーんと認めるシーンがあって、実はすでに恋しちゃってるのね。そんなオトメなところも庚子さんの魅力なんだなぁ。

BLではノンケであっても魔がさして同性と関係を持っちゃうパターンはありがち。男同士の友情と恋の線引きについて、身体の関係があってもなくても友情は成り立つのか問題ってのがずーっと懸案事項として(大袈裟)わたしの中にはモヤモヤとあって、いまだにあいまい。まぁ、決着をつけることでもないですしね、そこを色んな作家さまにたくさん物語で描いて欲しいので。

このお話では、カンペキなストレートの甲太郎に、庚子さんとお友達になりたいと宣言させちゃうところが潔いと思ったんです。BLとしては色気がないかもしれないけれど、フィクションであることは重々承知しながらもリアリティに限りなく寄せようと挑む、先生の意欲を見たような気がして。魅力され続けている作家さまの一人なのですが、BL的な設定とか萌えから少々離れて、ドラマを見るような感じでストーリーを楽しんで欲しい作品です。

8

グレーとブルーの合間で

高校教師の甲太郎は自他ともに認める「うだつのあがらない男」。
離れて暮らす妻からの頼みで義父(妻の父親)である城山庚子(こうし)の元を訪ねる。義父と言っても数回顔を合わせた程度の間柄。扉の向こうから激しい口論が聞こえ、強盗かと思い慌てた甲太郎が扉を開くと……目の前には、見知らぬ男に口づけをする義父がいた。

裏表紙のあらすじだけ読むと少しわかりづらいですが、恋愛関係を膨らませるのは小夜谷と庚子さんで、甲太郎はあくまでノーマルからの立場です。若者と老人の埋まらない年の差と初恋を絡めた三角関係ならぬ不思議な三人関係のお話。

奥さんを早くに亡くし、男手ひとつで娘(妻)を育てた上げた義父、庚子。
気ままな一人暮らしをしている彼とは今まで疎遠だった甲太郎だが、先の出来事でゲイであることを知ってしまう。妻も知らない義父の隠された一面に触れ、それから何度も庚子の元を訪れるようになった甲太郎。
「図々しい、おせっかい」と言いながらも庚子は美味しい手料理を振る舞ってくれるようになる。喜ぶ甲太郎の姿を眺める庚子だが、実は彼には誰も知らない、遠い昔の「初恋」の記憶が今もずっと焼きついていた。

甲太郎にはもう一人、小夜谷雅寅(さよたにまさとら)という教え子がいる。入学当時からゲイであることに悩み気弱だった彼を気にかけていたが、今では随分明るくなり自分の美しい顔立ちと若さを生かして男をとっかえひっかえして遊んでいる。そんな小夜谷がどうやら「初恋」をしたらしい。長かった髪を突然切ったり、イイ男になりたいだとか、苦手なブラック珈琲を飲めるように頑張っている。どんな相手だろうかと思いきや、小夜谷の初恋の人とはなんと、義父の庚子その人であった。

小夜谷は庚子のことを好きで好きで仕方なく、付き合ってほしいと何度も告白するも庚子は相手にせず。
今でこそ余裕のある大人な雰囲気をもった庚子ですが、十代の若かった頃、かつての初恋相手との報われない関係のせいで生まれた歪な感情をずっと抱え続けてきました。それは歳を重ね大人になっていく程に彼を蝕み、セックス相手に自分が酷く扱われることで行き場のない心のバランスを保とうとしてきたのです。
若い頃なら傷ついてもなんとか立ち直ることはできた。けれど大人になる程に心は弱くなるばかりで。
もし今、小夜谷と関係を深くもったら。
もし、捨てられなんてしたら。
脆く弱くなった自分は二度と立ち上がることはできない。
「今」じゃなかったら、もっと若かったら、こうして怯えることなんてなかったのに。
それでも小夜谷の想いは、熱意は、庚子が懸命に隠し取り繕ってきた弱さごと受け入れようとします。

甲太郎もまた、違った形で庚子のしがらみを解くことに。多分それは甲太郎でなければできなかったことでもあり、二人は新しい関係を結ぶことになります。恋愛をするのは庚子と小夜谷。けれども物語の軸はグレー(庚子)とブルー(小夜谷)、その合間にいる甲太郎です。

老いることの苦しさ。初恋の苦さ。相手と向き合えない苦しみ。それぞれが自分の未熟さに躓きながらも新たな人生の一歩を踏み出していきます。

それとエロはあります。ちょっとだけですがあります(嬉しい)。
おじさんがもう大好きなので……庚子さんに始終萌えていました。
色気が素晴らしいです。

個人的な話になりますが、作者の糸井のぞさん、ずっと大好きな作家さんです。
一言に「恋愛」と言っても実際は様々で、形も在り方も混ざり合う感情も違っているもの。糸井のぞさんは人それぞれが抱える自身の内面とともにそれらを繊細に描いております。今回のように登場人物の関係が少し複雑だったりしますが、それが却ってドラマチックだったり。
苦しさのなかに人間味あふれる温かさの伝わるお話は読んでいてほっこりします。

8

老いも若きも

純愛です。初恋です。
若くても年老いていても。
恋に臆病でまっすぐな気持ちだけは変わらない。
いつ3Pが始まるのかワクワクソワソワしながら読んでた自分を
殴りたい;つД`)あぅ・・

始まりは突然。嫁からの電話。
嫁の父がケガをしたから様子を見てきてほしい。
そんな嫁からの電話で義父の家を訪れると、まさに男と激しい口づけを・・・・衝撃展開からのスタートw
正直、この目撃者・甲太郎ちゃんと義父との間のストーリーなのかなと思っていたのですが、甲太郎ちゃんが務める学校の生徒とのお話でしたね。
男をとっかえひっかえだった生徒がなんと義父に恋をした。
好かれたくて髪を切り、好かれたくて飲めないブラックコーヒーを飲んで。好かれたくて一生懸命に。
そんなひたむきさが可愛らしい。
お付き合いをしてもいい。言われた日からまたひたむきに。
好きすぎるからしばらく会えない。嫌われるのが怖い。
そういった生徒くんに「俺の方が」といった義父さんがまたいいよね。

義父の初恋相手に似た甲太郎との関係は
結局のところ・・・で終わっておりますが
これはこれでいい終わり方だったかのかなと思う。
実質の年の差はあるものの、ひたむきでまっすぐに恋する二人に
激しく心打たれました。
甲太郎ちゃんも嫁ちゃんとうまく修復できるといいなー

5

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