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短編6本。
表題作含め、実験的というか変化球なお話が多いですかね。
女子目線とか、幽霊相手とか、プレイだけとか、ハピエンか微妙なのだったりとか。
私は「カウント3632」が好きでした。
超偏屈な小説家の思考回路がおかしくてツボった。言動が支離滅裂で意味不明w
すんごい思い込みで
「結婚を前提にお付き合いと言うことでよろしいか」
「よろしくないよ!?」
それにツッコむ好青年もいい。
結局お付き合いするんですもんねw
小説家キャラってたいてい偏屈で変わり者が多いのでもっとBLで読んでみたいです。
(木下けい子先生の「由利先生は〜」、丸木戸マキ先生の「ポルノグラファー」、雲田はるこ先生の「いとしの猫っ毛」、草間さかえ先生の「ワンダーフォーゲル」、朝田ねむい先生の「兄の忠告」の中の短編がおもしろい…は小説家がいいキャラでおもしろかったです)
なんと言っても、表題作の続きを知りたい。
それは、いつも一緒で、恋愛未満の愛情と執着を感じていた双子の、初めての個としての成長。
しかし、兄妹であるという事は、死ぬまで切れない強い結びつきなので。
彼等はやはり何者にも敵わない絆があるのだと思う。今池は、いつまで彼に新しい絆を築いてあげられるのか。恋は、介在可能なのか。それを知りたいと思う。
いつか。双子の妹にも、彼女の世界を広げてくれるような恋に出会って欲しいと願う。
この作品集の中で、好きなのは「ステップワン」
あるあるだけど、追っかけて来ていた後輩が、突然追いかけて来なくなったら。
寂しくて。彼の事ばかり考えてしまっている自分。
実際は、追いかけられてる時も、追いかけられなくなった時も。
ずーっと、彼のことを考えてばかりいるので。とにかくもぅずっと、想い焦がれている。
後輩の思うツボなんだが。それが可愛くてたまらないっていう。
そんな先輩の、どうしようもないところが可愛くて。
気持ちのジレジレを丁寧に描いていて。彼等のその後は分かりきっているんだけど、
やっぱり甘あま後日談は知りたい。
「ベランダにて」
不思議な都市伝説。生きている知らない誰かの生き霊の生態を知ってしまって。
意識せざるを得ない状況に陥る、松平。恋の始まりの不思議な物語。
心が惹かれるというのは、こういう事なのか。それとも、これは予知夢だったのか。
「カウント3632」
心のバリケードが決壊したら、そのあとはもうするすると。恋に落ちちゃうよね?っていう。
コミュ障の売れない作家に魅入られてしまった青年の恋を面白可笑しく描いた短編。
「テストプレイ」
倦怠期でも何でも無い、カップルのある日のシチュエーション・プレイ。
ヘキを暴かれたのはどっちだ?
「道連れ」
人のものだと思うと欲しくなる。欲しくなってしまう。
もしくは、どうしようも無い所に堕ちて行かないと恋をしているという自覚を持て無いのか、危うくて、スリリングなクズ同士の恋。彼等には破滅しか無いのか。その後を知りたい様な、知りたく無い様な。関わる人たちが迷惑なので、二人だけでやってて欲しい。無理だよねー。
描き下ろしには、表題作の「プロローグ」
双子の均衡を破るまでのカウントダウンが始まっている。
可愛い物語も若干あるけれど、やっぱり全体的には不穏なトーンが織りなす余韻が印象的。
彼等のその後は、光か闇か。
いずれの物語にも微かな希望を見出したい気分の作品集です。
短編集ですね。
表紙の今池の表情がちょっと微妙であらすじ読んでもどうかなと思って積んでました。
「ナチュラチュラリィ」
何でもいつでも一緒だった双子。兄を好きだと言う男が現れた。
某有名作家さんの少女マンガで男女の双子がすごく仲良いお話を読んだことがありましたがそちらは妹を好きだという男が現れます。
こちらは兄の方ですね。
妹とも仲良くなりたいと言う今池。双子の仲良さに引かず自然体で。
妹が何度も繰り返すいつも何でも一緒だったというモノローグ。
妹は兄離れする時が来たと泣いたのか、自分が今池の一番じゃないことに泣いたのか。
余韻が残るお話でした。
面白かったのは
「カウント3632」です。
小説家と住人のやり取り、住人のツッコミ、小説家のぶっとび発想。
でもその後も仲良くやってるようですね。
「ベランダにて」
どうしてベランダからいなくなっちゃったの?
そもそもどうしてあの部屋のベランダにいたの?
不思議です。住人がいつのまにか本体を好きになって。これからどうなるのかなあ。
他のお話も読みごたえがあり続きが読みたい!と思えるものばかりでした。
どれもサラッと読めて面白かったです。
特に好きな作品の感想をレビューします。
・「ナチュラチュラリィ」
こちらは女子BLのアンソロでも読んだことありました。女の子ガッツリ出てきますけど、そういうの苦手な私でも平気でしたね。少女漫画っぽくもありました。二人がくっつく所は描かれてないので見たかったなぁ…もっと読みたい!!
・「ベランダにて」
ある日突然ベランダに幽霊が見えるようになった話です。でも、生霊なので死んでません!安心してください!生霊の子が失恋して泣いているのとか、自慰してるのも見えちゃって…そりゃあ、意識しちゃいますよね…この2人もすごく好きだなぁ…もっと読みたい!!
色んなパターンの読み切りでした。
個人的には最初の二つが好きです。
最初の双子のお話は、最後が私的にはどんでん返しで、え?!あ、そーゆーこと?!と驚かされました。なので、皆さんにも同じ気持ちを味わってほしいです。
二つ目のお話は、ベランダに出るとどういうわけか幽霊みたいなものがそこに座っていて、でもその幽霊だけじゃなくて、その幽霊の部屋のベッドの端くらいまでも見えるという変わった現象のお話なんです。最初のお話もそうでしたけど、その発想がすごいなと思いました。怖ければベランダに出なければいいわけで、主人公はそれでもそこに出て、タバコを吸う相手がいるみたいな気持ちになっているんです。そこで、彼がよく行く定食屋で会う人だと気づいたり、彼の明るい日常からは想像もできないような、泣きかただったり、一人エッチだったりを見てしまい、どんどん興味が出てしまうという、お話なのですがこのじわじわと好きになっていく感じが短編とは思えない、重厚な感じがしました。でも、これ、付き合ったとして、このベランダでのこと告白するんだろうか?