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表題作君しか見えない

熊谷蓮司
哉の初恋の相手で霊感体質の美容師
鳥居哉
細身で童顔なので年相応に見られない整備士

その他の収録作品

  • 君だけ見ている
  • あとがき
  • 祖師谷からの手紙

あらすじ

中学時代の親友・蓮司と偶然再会した哉。初恋の人だった彼が、なぜか哉の部屋に転がり込んできて……? イケメン怖がり×可愛い系漢前の恋

作品情報

作品名
君しか見えない
著者
栗城偲 
イラスト
木下けい子 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
ISBN
9784403524141
3.4

(48)

(3)

萌々

(27)

(11)

中立

(3)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
10
得点
159
評価数
48
平均
3.4 / 5
神率
6.3%

レビュー投稿数10

ミステリーかオカルトか

 霊媒体質の攻めとそれとはバリア体質の受けの話。
 中学のころ親友だった二人がゲイバーで再会したところから話が始まります。
 再会してすぐに二人が中学のころ、両思いだったことが発覚。攻めと一緒にいた増田という男が牽制してくるので、最初は増田のことを攻めの恋人かと思いますが、仕事上の付き合いだけでした。
 怖がりの攻めが最近、幽霊に悩まされているとのことで、受けに家に泊めてくれと縋ります。中学の頃から、受けと一緒にいると怖いものを見なかったようです。

 昔の好きな相手で二人ともフリーだったので、恋愛に関しては、特に紆余曲折もなく攻めが受けに告白し、ほぼ恋人同然の仲になります。
 そんな中、急に攻めが家に来なくなり音信不通になります。
 天上が写真が落ちてきて、受け以外の他の人には、それに「たすけて ますだのへや とじこめ」といった文字が書かれているのが見えたり、アプリでアイコンなしの相手から攻めが監禁されているらしい写真が送られてきたりと怪奇現象が相次いだため、攻めが増田に監禁されていると思った受けは増田のマンションに行きます。
 危うく増田に襲われそうになりますが、攻めに助けられました。

 攻めの周りで怪奇現象を起こしていたのはかつて増田に監禁されていて逃げ出そうとしてマンションから転落した元恋人で、意識不明の重体になり生き霊になって危険を知らせていたようです。
 受けのピンチの際、攻めの拘束を解いてくれたのもその生き霊でした。生き霊化していた彼も意識を取り戻しバーで再会します。

 前情報なしで読み始めて、バリア体質の受け視点なので、オカルトなのかミステリーなのかわからないまま読み進めている時間が長く、世界観に没入できませんでした。
 オカルトかミステリーかわからない点も含めて物語に牽引力があり、読み物としては面白かったです。
 恋愛に関しては、攻めのイメージが「怖がり」なだけであまり魅力を感じられなかったのと、受けのバリア体質への依存も込みでの恋愛感情に思えたので、萌えは少なかったです。

0

ホラーBL

超怖がりな熊谷とオカルトを一切信じていない鳥居。中学卒業と共に疎遠になった初恋同士の再会&すれ違いホラーラブコメでした。

物語は『君しか見えない』と『君だけ見ている』の二本立て。
そして巻末にちょっとしたオマケが付いています。

ホラー展開する『君しか見えない』は、幽霊が一切見えない鳥居視点で進みます。そのおかげかホラー要素は全く怖くなく、実際に起きている心霊現象に対する鳥居のズレたツッコミがコミカルで面白かったです。
作中何度も霊的なことが起こりますが、主人公視点ではポルターガイストくらいの心霊現象。
本当に怖いのは人間だった系のオチで、心霊現象よりも当て馬の増田の不気味さが際立っていました。

その増田が実際にヤバイ人なのですが、物語の佳境で増田の家に乗り込む際、ことの次第を見守っていたバーの客たちが誰もついて行かずにびっくりしました。
いや、野暮なんですけど、誰か一人くらいついて行くだろ!!! とめちゃくちゃ思いました(笑)
だって霊的なものはさておいたとしても男一人監禁してるかもしれない相手に一人で立ち向かうのは危険すぎじゃないですか!? 十人くらいで押しかけて欲しい。
そして例の如く殴り倒されるわけですよ。だよね!?!? と思いました。
ホラー映画あるあるの何故か一人で行動するやつでちょっと楽しかったです(笑)

後半の『君だけ見ている』は、中学時代の過去回想で、霊感があって怖がりな熊谷視点のお話。
中学時代のモダモダがかわいかったです。

おまけの『祖師谷からの手紙』はホラー展開していた事件の仔細を説明するもので、増田のその後を匂わせる内容でした。
本編で、ん?? と思っていた所が軽く解明したりします。

全体的にちょうどいい不気味さとコミカルさで面白かったです。

1

後半の甘酸っぱさ!!

タイトルと木下先生のふんわりした表紙に惹かれて手に取って、同級生再会ラブ、大好き~と読み進めたらホラーでビックリしました!!

ホラーといってもドタバタコメディ、前半は怒涛の展開でホラー部分は次から次に起こる幽霊騒動にちょっとポカーンとしちゃったんですが、視える廉司の怖がりっぷりは酷いのに潔いとこ、幽霊は全く信じてないけど廉司のことは信じる哉の男前さが良かったです。

前半の幽霊大騒ぎ展開の勢いがすごかったので、解決したし一旦休憩・・・と思ったら、事件の全容をしたためた手紙に全く聞いたことない名前。誰それ?何それ?哉、スルーしないで!!そっけなさすぎのが良いところだけど!!レビュー漁ってもハッキリしないので続きを読んだら止まらず…

廉司が視える体質とどう付き合ってきたか、中学時代にどれだけ哉の存在が心強かったか!恋を自覚する前後のエピソードにむずむずキュンキュン!!付き合ってからも対等で、哉から仕掛けて、腰をくゆらせてくるの最高でした!イッた直後に追い立てられる攻め!ちょっと情けない廉司も可愛い。蜜月って良いですね。

最後に手紙の全文があり、前述の聞いたことない名前の人は増田の第一被害者ってことは分かるんですが、何があったかは不明…そこは掘り下げないのが哉の良いところ、廉司想いなところなのかな。増田が相当やばいことは分かりました。廉司も哉も無事で良かったねにつきます。

1

引かれ合うマイノリティ同士

電子書籍で読了。挿絵有り。

爽やかなんだけれど、二人の視線がなんか思わせぶりな木下さんの表紙イラストとタイトルから「若い二人が熱愛をこじらせちゃって、悲しい目にあう話?」と勝手に思い込んで購入したら、とんでもない勘違いでした。見える・見えないっていうのは『世にも見えざるもの=霊』だったんですね。
表題作は哉くん目線で、中学時代の親友で初恋の相手でもある蓮司くんとゲイバーで再会した後に起きる幽霊騒動、同時収録は蓮司くん目線で、中学の卒業式を境に哉くんと連絡を取らなくなってしまったいきさつを回想するお話です。
この二人、全然似た所がないのですが、他者に対して疎外感を感じている所だけはおんなじなんです。哉くんは人付き合いが下手、蓮司くんは世にも恐ろしいものが見えてしまうという点で。お話のトーンはコメディなのですが「惹かれ合うことが必然なのだなぁ」と思うと切なさがこみ上げてきます。特に蓮司くんにとって、一緒にいると怖いものを追い払ってくれる哉くんは『神』に近いものの様な気もします。手に入れた後の喜びを思うと泣けてきます。
とんでもない誤解で読んだ一冊でしたけれど、満足いたしました。
欲を言えば、あの暑い日々に読むべきだったなー(いや、それほど怖くはないのですけれど)。

0

後半の攻め視点が泣けた

栗城さんのホラーテイストBL。
と言っても、怖さはまったくありませんので苦手な方でも大丈夫ではないでしょうか。
ただわたしは受けちゃんと同じで、そういう怖さをほとんど感じないタイプなのですが(苦笑

**********************
受けの哉(なお)は童顔で小動物系。
車の整備士で性格は顔に似合わずハッキリした強気タイプ。
蓮司が初恋の相手です。

攻めは、現在は美容師として働く蓮司。
哉とは中学の三年間クラスメートで、当時から霊が見え、それに対して大きな恐怖心を抱いているワンコ系青年。
**********************

ゲイの集まるバーで中学卒業後、初めて再会した二人。
霊障などをまったく信じない現実主義の哉と、まるで真逆の蓮司。
哉といると怖さが減ると言ってなし崩しに哉の部屋へと蓮司が住み着いてしまい、それを良しとしない男が霊障とともに二人を巻き込んでいくというお話です。
ざっくり言えば。

前半の雑誌掲載部分は受け視点、そして書き下ろしは攻め視点です。
このお話、哉と蓮司の見ているものがまったく違うので、こうして二人の視点で読めて楽しかったです。
ただ前半はかなりの駆け足。
二人がくっつく(体ではなく心が)のも速いですし、登場人物の位置取りやらなにやらがページが足らないせいなのかよくわからないんですが、後から説明されて残念です。
平素の栗城さんの作品に比べるとちょっとわかりづらい。
ですので、後半の方が面白かったですね。
イチャイチャしてて、とにかく蓮司が哉のことを好きで好きで仕方ない様子や、二人の中学時代の話が特に良くて。
出来ればこちらをメインに読みたかったです。
蓮司が卒業を機に哉を諦めようとするシーンで、こちらまで切なくなりぐっときました。
本当にこの回想が読めて良かったです。
ページ数としては後半の方がだんぜん少ないのですが、読み応えがありました。
前半だけの内容でしたら萌なのですが、後半がひじょうに良かったので萌×2にしています。

で、顔出しは一回もないのですが、祖師谷というスピリチャルなキャラが気になります。
彼のお話読んでみたいですが、できれば雑誌でなく書き下ろしが希望ですかね。

2

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