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表題作愛傷コレクション

花賀屋清士
39歳,大学客員教授・骨董商
斎条十有
19歳,同棲相手にDVをされていた青年

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

「愛されることに慣れなさい──」十有は毎日、花賀屋から甘い愛撫を受けている。継父の性的虐待に耐えかね家出した十有は、知人に暴行を受け逃げたところを花賀屋に拾われたのだ。自傷行為で脇腹に大きな傷跡を持ち、人間不信で自分も他人も愛せない十有。骨董商である花賀屋はアンティークを慈しむように十有の傷跡を愛でて、彼の心を癒やしていくが……。

作品情報

作品名
愛傷コレクション
著者
葵居ゆゆ 
イラスト
yoco 
媒体
小説
出版社
プランタン出版
レーベル
プラチナ文庫
発売日
ISBN
9784829626313
4.3

(130)

(77)

萌々

(31)

(17)

中立

(2)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
31
得点
562
評価数
130
平均
4.3 / 5
神率
59.2%

レビュー投稿数31

攻めキモくない?

攻めの敬語がぞわぞわする。主人公の不憫が典型的なやりすぎBLテンプレ。好きな人は好きだと思うけど。この人の作品こんなのばっかり。胸焼け

1

人気に納得。

序盤のモブレや継父がどうにもキツくてなかなか読み進められずにいました。
内田春菊先生のファザーファッカーが出版されたのが中学生の時。衝撃が凄く…親による性的虐待描写が、若干苦手。特に兄弟が味方になってくれないケースは、どうしてもファザーファッカーを思い出してしまう。。

やっと読めました。継父はサラッと流そうと決意して。。

面白かった。人気があるのがわかる。
倒錯的だけど、読みやすい
花賀屋のような性癖の攻めは初めて出会いました。
彼は傷モノを愛する人。

傷に興奮する人=傷を付ける行為に興奮する人
というイメージがありました。SM行為が好きな人。スパンキングで赤く腫れ上がる皮膚に興奮する、とか。嗜虐的で支配欲が強いタイプ。

花賀屋はそれでは無い。
独占欲でもあるのだけど、一番感じたのが所有欲。

十有の傷は、彼の過去の男達が付けたものと、自分自身で刺した傷があるのだが、どれも過去に性的に虐げられてきたことを感じさせるし、
普通は憐れんだり、僅かに嫉妬心を抱いたりすると思うんです。
花賀屋は、その傷を愛でたい人。修復してきれいにしたい欲もあるけど、まっさらにしたいわけじゃなくて。
それかま同情とかじゃなく、性癖。
変わってる人だなぁ.と思う。

花賀屋は良い人で、スパダリの類。
ただ、変態だよね!っていう。
この変態具合が、また良いんです。
五東という花賀屋のとこに出入りしている学生がなかなかの気持ち悪さなのだが、こいつに覗かれているのを承知で、いや、見せるつもりで十有に潮吹きさせる。
牽制とともに、所有物を自慢したいコレクター魂が炸裂。
書ききれない数々の変態行為があるけど、それを淡々と粛々と行う。花賀屋という男は鼻息ふがふがしないんです。

十有は可哀想な子で、でも死なずに逃げ出すから、生きる強さがある子なんだろうな、と思う。引き取られた保護猫みたいに徐々にシャーシャーしなくなる。そして、懐く。
自分を汚いもののように思っていたのに、むしろ自分がされてきた性的虐待や、レイプによる傷、植え付けられた負い目を丸ごと愛してくれる花賀屋を好きになるのは、必然。
これ。花賀屋は「丸ごと受けとめて癒やしてくれる」抱擁力人間では無いのです。
それまでの十有の、苦しみ耐えてきた人生そのものを、「それが良い」と愛でる人間なのです。
過去を感じさせるものに愛着を抱くって、恋愛では珍しいと思う。
男は"初めて"が好きだから。
でも、おしっこしてるところを自分だけに見せるよう要求したりもするので、そこは独占欲なんだよな…と思ったり。

十有は居場所が欲しい、必要とされたい、愛されたい子であり、何より花賀屋に対して、過去を隠したり、負い目を感じる必要がないどころか、それを愛してくれる。

ここまでピッタリなカップルはなかなかいない。花賀屋コレクションに収納される十有が、みえてくる…シンデレラフィットです。
十有との華麗な変態プレイを日記につけていそう…いずれ自叙伝にしてくれ、と思った。

花賀屋についてばかりだけど、それくらい花賀屋というキャラに衝撃を受けました。

同人での番外もたくさんあって、面白い。
やっぱり性癖が独特だな、と思う。

0

これぞ共依存

いや〜〜、もう、すごかった。。仄暗さがたまらなかった…!
葵居ゆゆ先生の作品大好きなんですが、こちら、自分の中のお気に入りトップ3に堂々入るなと思いました。

文字どおり、「ページをめくる手が止まらない」!! というのを体感。

中盤〜後半の、花賀屋の紳士の外面が剥がれ落ち、闇が見え始めてからの怒涛の展開が、もう…!!!

性的虐待を受けていた意地っ張りで健気で不憫な受け君が、素敵な紳士に拾われ救われるー
そんな単純な話では、なかった。。

上品で優しく労ってくれて、非の打ちどころのない紳士(に見える)の花賀屋の「裏側」が徐々に明かされていくにつれ、底知れぬ恐怖感を覚えました。

少しずつ少しずつ依存させて、期待させて、期待に応えないことで不安や我慢をさせて自分のことしか考えられないようにしてー
このじっとり・じめじめ病んでる攻め様がもう強烈でした。

決して、暴力的な怖さではないんですよ。
話し方もいたって丁寧、20歳年下(この歳の差もすごいですよね)の十有に対しても、常に敬語。でも敬語だからこそ異常さが光るというか、より一層恐ろしく感じられるんですよね。

その静かな口調で言われる「ここにお◯っこをしなさい」はね…震えた…怖い、けどなんだだか十有と一緒に興奮する不思議。

自分の中では、これぞ共依存。

骨董品よろしく、優しく丁寧に心の傷を解され、一度突き放されることでより花賀谷のことしか見えなくなり、まんまとその手の中に絡み取られた十有。

この2人の行き着く先はどこなのか…と、読後しばらく思いを馳せてしまいました。

週末ゆっくり、もう一度読み直したい大切な本になりました。

3

読後に読み返したくなります

たまたま見つけた作品。初読み作家様です。
あらすじで興味を持ったので読んでみました。

ずっと受け視点です。
攻めの心情は終盤まで明らかにされないので、前知識少なめに読んだ方が楽しめると思います。

不幸な境遇の十有(とも)は、骨董商の花賀屋の家に逃げ込み居候する。花賀屋に甘やかされ、心と体の傷が癒やされていくが…というお話。

とにかく中学以降の十有の境遇が酷すぎて、読んでいてかなり辛くなります。
読み進めるうちに、十有がかなりの美少年で、無意識で男を狂わすような魔性さがあることがわかってきます。そのせいで酷い目にあってきた為、自己肯定感が極端に低い。

受け視点なので、花賀屋の気持ちははっきり語られなくても、かなり溺愛していることはその行動で明白なのですが、十有は自己評価が低すぎて全くそれに気付けない。

十有が、あまりにも悪い方悪い方へと曲解していくので、「この言葉をなんでそう受け取る?!」とツッコミたくなります。

花賀屋は、かなり重たい少々ヤンデレな溺愛執着攻めなので、その手の攻めが大好物の自分には、大変楽しめる作品でした!少々変態な所もありますが、そんなにヘビーすぎないので、胃もたれしないで読めます。

終盤にようやく攻めの気持ちが明らかになるので、読後は頭から読み返したくなりました。

最後には、割れ鍋に綴じ蓋というような二人で、今後も仲良く暮らしていけそうだな〜という終わり方でした。

最後まで受け視点なので、攻め視点の書き下ろしがあったら良かったな。

後書きで、おまけSSをブログで公開とあったので、見に行ったらリンク切れでした。非常に残念!

終盤までハラハラするような展開で楽しめました!
文体もとても読みやすかったので、先生の他の作品も読んでみたいと思いました。

挿絵はyoco先生。繊細で美しい挿絵で素敵でした♡

シーモア 挿絵付き

1

蒐集家がついに見つけた宝物

表紙のともからは肉感と不良っぽさと怪しい色気を感じましたが、挿絵のともは見た目も大分華奢に描かれていて、素直さと可愛らしさが強い線が細い子だったので驚きました。
私は電子購入でしたが、できればざっと挿絵を見て確認した方が間違いがない本だと思います。

読み始めてまもなくして、“ 鋏で脇腹を刺して以来、色が抜けて薄茶色になった髪‪”‬という設定に、そんなことある?と読む手を止めてしばらく考えてしまい…。
考えている間に、一夜で白髪になったという逸話があるマリーアントワネットが頭をよぎりました。
真偽は謎の話ですが、ともの髪色の変化も、もしかしたら腹を刺したのが原因というより極度のストレスが原因だったのかもしれない?

花賀屋は、骨董の仕事をしていて、アンティークコレクションに囲まれて過ごす人。
このお話を読むまではタイトルから想像してこの人(花賀屋)は傷が好きな性癖の変態チックな人なんだな?と思っていたんですが、傷跡好きの前に“壊れても直さずにいられないほど愛された物が好き‪”‬という人でした。
アンティーク蒐集家で割れた物を修繕した金継ぎが好きだというところには、ただの傷跡好きではない説得力があります。
想像力が豊かなところや愛しさの中に執着を感じるところにはそそられましたし、物を大切にする人は人も大切に扱う人だと思うから大切にしてくれそうな期待を抱かされて、読んでいるこちらも彼のことが気になってきます。
「出回ったら、プラムリーで作りましょうね」。
サラッと、当たり前のように半年先も一緒に過ごしていると言ってくれて、ともはどんなに嬉しかっただろう。
花賀屋の口調と言葉の表現はとても丁寧で優しい。
穏やかさや育ちの良さも表現されているんですが、それ以上にすごく相手への愛を感じるんです。
私は敬語萌え属性は特にない人で、どちらかというと口が悪い(ガラが悪い)人に惹かれる傾向があるくらいなんですが、こんな私でも敬語萌えしちゃいました。

五東はともが髪を切って身なりを整えてから様子がおかしかったので、この人いつか何か勘違いして襲ったりしないよね?と訝しんでしまったんですが、案の定でした…。
五東がそういう行動に出てからの花賀屋は内に秘めた強い執着心と嫉妬心と独占欲を表面に表してくるので、静かな狂気が普段とのギャップで読者としてはおいしかったです。
結果的にはいい火付け役をしてくれたと思う。
花賀谷は変態紳士という設定だそうなのですが、私は後半までは変態とは感じず読みました。
おや...となったのが、村瀬に変態と言われて認めてから。
「おちんちん」「お潮」「お汁」とそれまでと言い方が変わるのです。
ちょっとした変化ですが、急に変態さが増して感じます。笑

予想を裏切る斜め上の展開があるわけではなく、寧ろ予想通りの道筋を進むお話なんですが、ニッチさが現れてくる後半からの花賀屋がいいです。
あくまで優しく愛してくれるし教えてくれるけど、花賀屋好みに育てられたり誘導されたりもするので、甘い調教のようにも感じられました。
ともは花賀屋にされるなら恥ずかしいことも閉じ込められて囲われてしまうことも嬉しくて気持ちいいので、凸凹が噛み合ったカップルです。
執着攻めでもありますが、度が過ぎる程とびきり愛さなければ気がすまないというタイプなので、一味違った溺愛攻めでもあると思いました。
ともは愛され尽くしてこれからもっと綺麗になるんだろうな。

1

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