BLコミック&BL小説、業界最大級の品揃え!
表題作「鈍色の華」は40ページくらいの短いお話で、その続編「鈍色の果実」が60ページくらい、スピンオフ(時系列は後日に当たる)「漆黒の華」が130ページくらいというバランスで3本を収録しています。「鈍色の華」のみ小説アンソロジーに掲載された作品で、ほかは書き下ろしです。
いやーエッチでした。エッチというか、もうずっとセックスのことばかりなので、ページをめくってもめくっても「ペニス」という字面が踊り、だんだん感覚が麻痺していきました。
それでいてハッピーエンドなのです。あとがきにもありますが、それぞれで運命の相手を見つけて収まっていきます。
表題作「鈍色の華」は、鶴谷といううだつのあがらないアラフィフのリーマンが主人公で、外国の大企業のめちゃくちゃ偉い人2人に差し出され、セックスを教え込まれてエロい身体に開発される物語。
続く「鈍色の果実」は、つまみ食いしたつもりがすっかり骨抜きになった前述の外国人ダンから、執拗に言い寄られるのを鶴谷が断ち切るところから始まるお話。鶴谷は自分を彼らに差し出した、雇用主である社長に関係を迫ります。
この2本のお話の面白いところは、鶴谷が本当にただの気弱な初老の会社員で、見た目も平凡で仕事もあまり出来ないような人なのに、結果としてまるで魔性の男みたいになることですね。欲望に従順な鶴谷(開発された後)がさっきまでアヘアヘしていたのに突然素にかえって関係を切るから、スペックの高い男達が当然鶴谷は自分に言い寄られて嬉しいはずだと思い込んでいる鼻柱を折る恰好になるのです。美形でもなんでもない、ただの目立たないおじさんを内心馬鹿にしていたくせにみんなメロメロになっていくのがいいです。
一方で「漆黒の華」は、自分はもっとできるはずなのに評価されないと自意識の高い20代の男が、噂をききつけてダンに自ら自分の身体を売り本社に引き上げて欲しいと持ちかけるお話。これも面白かったです。主人公の佐川は周囲を見下して自分こそがもっと上にいるべき人間と思って憚らない嫌な奴なんですが、出来ないっぷりを周囲がちゃんと見ていたり、主人公がいい塩梅で転落していくのがなんとも小気味よく。ダンを踏み台に上に行って、キープしている優良物件女子と結婚しようという青写真がもう浅はかで。というわけで女性とのアレコレも出てきますのでいやな方は要注意ですが、ザマァ案件です。
前述のとおりセックスのことばっかりですが、そんなこんなでストーリーが面白くて、いわゆるエロネタとは少し違うかもしれません。でも、おじさんが開発される前半と、若者がへし折られる後半、どちらも読ませられますので秋の夜長に是非。
冴えない中年社員が開花!
嗜虐心掻き立てられハマってく周囲をなんとも思ってなさすぎてえげつない。
周囲のゲス野郎が不憫に思えてしまう…
自業自得なのに!
ダンは最終的に執着心を押し付けれる相手を捕まれて良かったけど、
どうしょうもなさが後を引きます。
結局、ヒューイはなんだっんだろ?
ヒューイが始めたことでしょうに!!!と思っちゃいました。
1人だけ常識人ぶって、怖い人です。
見事に自分本意な奴らのオンパレードで、先が読めなくて面白かった!!!
刺青で所有物アピールも場所が場所だけに!!!
これはこれで最高のハピエンだと思います。
木原先生はたいへん高名な作家様という事しか知らずすみません。
レビュー評価をチラッと見に来たら私の予想の何十倍も多くて知らんかった。
有名作品なんですかね?
エロエロ?だし、オモロヘンなヒトばっかりで一気に読んでしまいました。
バッドエンドはイヤなんですが、恋愛抜きのエロは嫌いじゃないです、むしろ好みです。
にしても中年の冴えない白髪リーマンとかメガネのフツメンとか受けは全員タイプじゃないし、攻めもアメリカ人2人はいかにもというタイプだし、社長の兎河が辛うじてBLぽいかなという程度。
なのでキュンキュンとかはしないです。
ブラックユーモアみたいな仄暗いエロ展開でなんやねんこれ?!
と思いながらも楽しく読めます。
ZAKK先生のイラストが見たかったのでした。
ゲイの世界、軽く見てハマってしまい抜け出せない蟻地獄で一生終わるヒトとかマジであるのかもしれないー
とふと思ってかなり怖いですね。
あのタトゥーも怖いよ。
ここんとこBL小説にハマり、この作者様のアオイトリがもう大好きで、他の作品も読んでみようと手に取った1冊。
この作者様をよくご存知の方なら、あーなるほど…と思うのかもしれませんが、免疫のない私は…すげーな(いろんな意味で)しかなかったです(笑)
あらすじは他のレビュアー様が書かれているので、感想を書きます。
「鈍色の華」「鈍色の果実」
これ、ほんとにすごいというか(笑)常識ある人が1人も出てこない(笑)
50歳手前にして、男に身体を開発されただけじゃなく、自分自身もその快楽の虜になっていく鶴谷。その描写たるや生々しすぎて、ひぇーーーって感じでした。
いくら仕事の為とはいえ、社長の兎河は部下にこんなことをやらせる時点で普通じゃない。しかし、鶴谷は兎河からの仕事(性接待)で新たな悦びを発見できたわけだから、鶴谷的には良かったのかな。
鶴谷を見初めて接待させるヒューイとダンの悪趣味な攻め方がもう…これ苦手な方は本当に苦手だと思います。それを冷静に見る兎河。兎河は本当に冷徹に鶴谷を見下してるんですよね。兎河が鶴谷に対してそういう風に見るのはよくわかる。
私はオジ受け好きですけど、今回の鶴谷はほんとになんというか、生々しくて、うわー…と思いながら読みました。
でも、特に兎河の心理描写なんかは本当に細かくて、すごいわかりやすくて、どんどん惹き込まれながら読み進められました。作者様のこの手腕、さすがだなぁと思います。
鈍色の果実で、あっさりダンの申し入れを断る鶴谷、まさかまさかの、本人めちゃくちゃど淫乱になってるんですよね。それがもう徹底的でブレなくて、もはや清々しいくらい。
鶴谷が兎河と1度だけセックスしたいと申し入れた時、え?とか思ったわけです。え、そこなの?なんで?みたいな。そしたらその理由が、兎河のアソコが自分の理想だから、1度見てみたい、試してみたいと。肉体的快楽を追い求めすぎると、もはやここまでになるのか…と。
さらにそのあと、鶴谷の実家で激しく兎河から執拗に責め立てられ手酷くされても、鶴谷はそこに快感を得るし、兎河は兎河で、自分の隠された性癖に目覚めて、虐めて蔑んで執拗に責立てることに快感を覚える。
なんだかなー。人間、ここまで突き詰めると、狂気の沙汰というか。すごいんですよね…。兎河がまだ自分の方が優位的な立場だと踏んで、鶴谷に関係を継続してやってもいいと言うも、あっさり、あ、いいです、みたいに断る鶴谷。
ここの兎河の心理描写がとても秀逸で、なんなんだ、この男は、と兎河にはもはや理解不能なわけです。だけど抗いきれない鶴谷への感情が生まれて、自分から関係を維持しようとする。もはやこの時点で兎河は完全に鶴谷という男から逃れられなくなっているですよね。なんというか…もはや凡人には理解不能な世界。
鈍色の果実では、ダンが鶴谷を迎えに来るんだけど、あっさり振って「彼」の待つ家へ帰る。この彼こそ兎河で、兎河は鶴谷の毒牙に完全に埋没し信じられない執着で鶴谷を独占している。
そもそも部下にあんな仕事をさせる時点で兎河もどこかしら破綻している人だったんだろうけど、あんなに蔑んで見下していた相手に、心から愛されてもないのに自分だけのものにしようと執着している兎河が、哀れにも思いました。
「漆黒の華」
鈍色の華に出てきたダンと、ダンの勤める会社の日本人社員の佐川の話。
佐川がもう徹底的にドクズで超ゲスなんですよね。ダンに近づき、身体を使って出世しようとするも、身体が男に抱かれないと満足できなくなっていて、損得勘定だけで付き合っていた彼女の前で大失態をおかすんです。
佐川くんね、ほんとに自業自得だけど、なんかその大失態の描写がものすごくエグくて、またまた、うわー…とドン引く私…(笑)
付き合ってる彼氏とセックスしてて、突然彼氏のお尻からローター落ちてきたら、なんかトラウマになりそう(笑)もう、この佐川の堕ちるところまで堕ちる描写の追い詰め感たるやすごいんです。ここまでやるか?もうド最悪なシチュエーションで佐川を追い詰めていく。容赦ないなぁ…と怖いくらいです。
でも、佐川には全然同情できないから、かわいそうとも思わないんですけどね。佐川は頭よくないのに自尊心と大きすぎる野心で、小賢しく、後先考えずにやらかすバカ、みたいなやつで、よくもまぁあんな大それたことしたなぁと。ほんとに救いようがない。
札幌出張の夜、佐川がダンに手酷く抱かれて、そのあとのダンの冷酷な態度の描写もすごい徹底的で、頭の中にその情景が再現されるくらい克明な描写なんですよね。セリフもすごいブレがなくて。
でもここで冷酷なダンにキスしたあたりで、もはや佐川は心のバランスを失いかけて、ダン以外に自分を受け入れてくれる人はいないということに気がついたというか。それほどまでに佐川は追い詰められていたんだと思います。
私は、ダンは手酷く佐川を捨てて、佐川バッドエンドな予想をしてたんですけど、ダンは佐川を許し手に入れる。正直、ダンがなんでそこまで佐川に執着するのか分からないくらい、佐川って全然魅力がない男なんです。
ダンが自分の男になったら、俺は甘くない。と言ったとおり、ダンの執着と独占欲は半端なく。自分の名前を佐川の身体に刻むくらいの凄まじいもの。でももはや、佐川はダンのものになるしか助かる術はなかったから、ダンに捨てられなくて良かったじゃん…と思いました。ダンも最後は甘いんだなと。
挿絵は雰囲気もあって、特にダンなんかはめちゃくちゃかっこよくて好きでしたが、どーにも佐川のイラストは全然萌えなくて、ほんとになんでこんな男がいいんだろう…と、最後まで理解不能でした。
いろんな意味で、人間の欲望と執着、突き詰めるとすごいんだな…と。そしてここまで振り切れて書ききれる作者様がすごいなって思いました。癖あるBL読みたい方にはオススメします。
まともな人が誰ひとりいない本でした。木原音瀬先生にしては多くのBL小説に近しい雰囲気かな?と思っていたら相変わらずの木原節…常識は通用しない。
◾︎鈍色の華
終わり方でもってかれました。こうくるか…と思いきや次の鈍色の果実でまた、そう返したか…ともなりましたが。
◾︎鈍色の果実
そう返したか…となった後は驚く展開はありませんでした。兎河はハマっちゃうんだろうなと思ったら案の定である。鶴谷の魅力は自分には理解できない。というかこの本の登場人物誰も彼も異常で、徹頭徹尾なんじゃこらという感想。
◾︎漆黒の華
極め付けのなんじゃこら。佐川はソコソコの男だったのに、普通そんなことするか?ってことをする。創作物的ファンタジーかと思いきや、やっぱ普通そんなことしないよね、佐川異常だよね、と読み進めるごと深みにハマる佐川に心が離れていく…面白いけど、この本はその楽しみ方で正解なのか?玲奈ちゃん逃げ切れてよかったね。
口絵、文章で隠れていたソコはそんなことになっていたんですね。ダンが飽きて佐川を捨てるぐらいまでやってくれても嬉しかった。「鈍色の華」でもホイホイ鶴谷に惚れてたし、相当惚れっぽいダン。飽きるのも早いのか、あるいは今まで着いてこれる人がいなかったのか。最高傑作とのたまうからには今までも数多の作品を生み出してきたのでしょう。ボロボロになったタイミングで捨てられる佐川も自分的にはあり。
軽そうだったヒューイが、全部読むと他の皆の異常さに霞むという。書かれてないだけで彼もとんでもないことしてそうな気もする。天王寺は背後に気をつけた方がいいのか…いや、天王寺はまともな人生歩む良い奴であれ。
萌〜萌2