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◾︎市川潮(うしお,兄)×市川陸(弟,中学生)
◾︎谷口先輩×シオ
存在感の薄い父も怖い。明治先生の作品て、どこかに落とし穴があるんじゃないかとずっと怯えて、結局落とし穴はないのに、恐怖の記憶ばかり残っているような気持ちになる。落とし穴こそなくとも実際怖いは怖いんだけど。
誰が抱えた闇だったのか。陸はいずれ潮を捨てるかもしれないと思ってしまう更なる闇。
◾︎帰る男
古典なんですけど、ありとあらゆる作家さんがどう描くか見たいタイプの古典。
◾︎春休み
この本でなんだかんだ一番好きなのはこれです。この、子どもであるが故の無知。そして、それを引きずっている様子が、春を呪いと言うことや、母と同年代の女性を見つめてしまうことや、伊沢に母の不在を言い難いことや…そんなもので散らばるように描かれている。どんよりした暗さが、最終的に恋のようなもので終わると言う謎の甘さもまた、じわっとくる作品です。
前巻はしゅみじゃない評価だったけど、その続きのこっちの本では、潮が谷口を切ってくれたのと、同録の作品をプラスして萌評価アップ。
初出がSM系のアンソロだから、表題作以外の同録作品でも、玩具を使ってたりプレイ的には似たようなことしているシーンもあるけど、
でも、リアル1/2の谷口と、他の作品では、愛の在処が決定的に違うのよ。
やっぱり、ちゃんと愛がなきゃ。
彼岸の川から呼び戻すような愛。
咲くはずがないのに咲く恋の花。
多分、ハッピーエンドですよね。
兄弟で纏まったでいいのかしら?
矢張り、谷口駄目でした。とことんクズで救いようがなかった。
この人が出た意味があったんだろうか。正直、誰でも良かった気が。寧ろ、誰でもいい人の方が害がなくてよかったような。
まあ、お幸せに。
一番可哀想なのは父ですよね。独りになっちゃった。
可愛い奥さん見付けて、幸せになって欲しいですなあ。
ほとんど出てこないキャラだったけれど。
続いた短編が谷口に見たいなクズ話かと思ったら、いやクズかもしれないけれどこのオチは反則です(号泣)
最後の話も、二人は纏まったでいいのですよね。
小さい頃に父親が男といたしてるの見たら、トラウマになりますやね。あ、でもあまり行為はトラウマでもなかったかも。
明治作品のキャラは物事の受け取り方が少しズレているのが味なのかもしれないと、ふと思いました。
三村家の兄弟とはまた違った感じの兄弟ものですが、わたしゃごっちゃに。
これは2冊併せて読まないと「リアル1/2」だけではなんだかよくわかんないと思います。(私だけですか?
母親は男を作ったりですっかり破綻した家庭。
そんな母親からの抑圧によるストレスが原因で潔癖症なうえ二重人格な弟と、こっちは先天的なのか?やはり二重人格っぽく色情狂な兄の話。
眠っている間は別人格となる弟は、普段人に肩を触られるのも気持ち悪がるくせに、夜な夜な兄の元へ行きひとりでは処理できないことを兄に委ねるというお話で、兄が弟をいいようにしているように思えて実は弟に振り回されているという、ちょっと痛い関係です。
そこにいい感じに挟まってくる兄のセフレ。この人がまたとっても人でなし(笑)
兄弟同士もセフレとの間にもその行為に愛はなく、一種虐待に近い感じでちょっとやだな~と思っていたのですが「うつしみの手」を読んでいくうちに、だんだん兄弟の関係にも変化があり、最後は少し救われました。
「うつしみの手」には、他に3本短編が収録されていますが、その中の「帰る男」が悲しくてよかったな~。途中でドンッと突き放されるこういう感じ、好きです。
というわけで、兄の潮と弟の陸のお話完結巻です。(残り半分ぐらい別の作品が入っています)
今回が最終巻ですが、兄の潮が谷口さん(変態)によって、赤の他人との複数プレイをやらされてしまいます。その点は一巻より酷い部分なので苦手な方は要注意です。
さて、潔癖症で眠ると二重人格になる弟についてですが、
彼がここまで精神的にキてしまったのは、愛しい兄を守るためでもあったことが分かります。
父親と母親の不仲を感じさせないように、弟の陸が防波堤になっていい子を演じていたんでしょうね。
なんとも深い弟の愛を感じます。兄は兄で弟の異常行為に付き合うほどやはり愛しているんですよね。お互いに愛し合っているし、守り合っている。異常な内容なので見落としてしまいそうになるけれど、実は二人の絆が深いことが読み取れます。
そして最後、陸の手がいつの間にか兄の手と同じくらい大きな手になっているシーンがありますが、
これは将来的にリバだな、という予感を感じさせる内容でした。いや間違いなくリバになると思いますw
そして兄のおかげできっと潔癖症もなくなって、いずれは幸せに二人で暮らすのではないかな、と思いました。