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表題作バースデー

滝本遼一
特殊建材メーカーの法務部勤務,31
百合原透
記憶障害のある新聞販売員,33

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

七年前に姿を消した恋人・三希を忘れられずにいた滝本は、
転居先で三希と同じ顔をした透と出逢う。
実は透には人に言えない過去があり……?


作品情報

作品名
バースデー
著者
安西リカ 
イラスト
みずかねりょう 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
ISBN
9784403524462
4.4

(247)

(178)

萌々

(37)

(13)

中立

(7)

趣味じゃない

(12)

レビュー数
33
得点
1084
評価数
247
平均
4.4 / 5
神率
72.1%

レビュー投稿数33

No Title

面白かったです。いやぁ、すごい。濃厚で重厚。
ネタバレ無しで読んで正解でした。

安西リカ先生の「好きで、好きで」シリーズを読んで心が震えましたが、あちらは切ないけれどあったかいラブストーリーですよね。
もちろんどちらのお話も厚みがあるのですが、こちらは本当に奥深くて、読み始めは「これってBLなのかな?」「この攻め、好きになれるかな?」なんて思っていましたが、もう本当に素晴らしい!!それぞれが相手を思う気持ちや人間的な成長が感じられ、中盤からは一気に読んでしまいました。

0

難しい題材を上手くまとめる力量に感動!

百合原透の謎めいた過去をメインに過去の滝本と三希の関係なども違和感なく分かりやすい構成と文章で書かれていました。
謎解きと恋愛の両方を期待しながら夢中で読み終わりました。

良いとこのお坊ちゃんで弁護士資格もある滝本ですが、愛より地位、権力、成功が大事な家柄なので最初ちょっと癖があり嫌なやつでした。
透と仲良くなってお互いの家を行き来し食事を一緒にするようになると、案外と幼稚な面が見えてなかなか可愛らしかったです。

ストーリーを知らずに読むべき作品なのであまり詳しく書けませんが、後半もっとドロドロの感情むき出し三角関係かな?と想像しましたが案外あっさり終わりました。
総合的に見て神です!
ただ自分には滝本が答えを出すまでの過程、心理描写が足らないため彼の情熱をいまいち感じとれず、心が揺さぶられて泣いてしまうまでにはならなかったです。BL的には萌え2でした。

0

余韻に浸れる終わり方

最後の最後まで目が離せない状況が続き、主人公の問題解決とBL的な感動が一気に押し寄せる終盤が素晴らしい。一抹の寂しさを覚えつつ、希望と温かみを感じるラストに救われる。長く余韻に浸れる作品で、読後感も良かった。

主人公の透は、いろいろとワケ有り。ある一部の詳細を本人はよく知らず、滝本の記憶として語られるのが面白い。
透はかなり幼い印象で、内面は自己を保っていた時間分だけの歳を取った感じなのかな。簡単に騙されそうな危うさは、無垢と言い替えることができるかも。

滝本は性格が良いとは言えないキャラだが、惚れた相手への必死さはとても魅力的。相手を失うことを恐れ、葛藤しながらも約束を守り、置いてけぼりをくらっても一途にずっと想い続けている。

滝本が真実を知ったのは透に惚れた後、というのがなんとも……。苦悩しながらも、必要以上にかつての想い人の面影を探ることはせず、透を傷付ける詮索もなく、透への気持ちを貫いたところが良い。
都合の良い男状態だった以前と違い、透とは滝本の価値観を変えるまでの関係性になっているのがちょっとすごい。

クライマックスでは泣いてしまった。なんでもする、の究極形を見せられているような。
過去の虐待に関しては、もう少し描写されていた方が滝本に気持ちを乗せられた気はするものの、十分すごい男だと思う。ここまでの強い愛なんて感動しかない。

ラストはこれがミステリなら勝ち取った心神耗弱による不起訴を覆す、透の計画的な犯行説で物語が一気に反転する描写。ぶわっとそういうストーリーも浮かんだが、これはBLラノベなので悪意は存在せず、ほっこりしながら見守れる。とても面白かった。

1

胸が締め付けられるストーリー

なんというか、もう、衝撃でした…

切なくて悲しくて苦しくて、読後途中から泣けてしまって、ページをめくる手が止まらなくなり、読後はしばらく茫然自失状態に。

安西リカ先生の、ここまでシリアスな物語を読むのは初めてでした。
本当に、心の震えが止まらない作品。

ネタバレをできるだけせずに、簡単に内容をまとめるなら。

攻めの前に、10年前に愛した人と同じ顔をした人が突然現れる。
その人には人に軽々しく言えない、重いものを背負っていてー

と、本の紹介に書いてあるあらすじどおり、なのですが。

もう後半、切なさの嵐に胸が締め付けられて仕方ありませんでした…
受けの透が過去経験したこと、そして現在進行形で抱えているものの重さが、読みながらドンとのし掛かってくるように感じました。

猫の軍手の可愛さや、好きな人の誕生日を一緒に祝えることの喜び。
そんななんでもない物・コトが、実はこの二人にとってはとんでもなく大きな意味を持ち、かけがえのないものなんだなあ…

心のどこかがキュッと痛みつつも、二人の幸せなこれからを願ってそっと見守りたい、と思わずにはいられない、素晴らしいラストでした。

1

読後は雨上がりの煌めく青空のよう

何を言うにもネタバレに触れちゃいそうなので色々語れないのは寂しいが、一途な愛のお話を読みたかったらめちゃくちゃ勧めたい、と思う作品でした。
テーマは重いかもしれないが、それゆえしっかり愛がちゃんと描かれていて、それでいて物語の舌触りはなんとも爽やか。
30代男性が猫の肉球風手袋はめて「にゃあ」と言う場面が出てくるから、いくらなんでもちょっと…と思いそうだが、最後まで読んだ時にはまさかその姿に泣かされるとは思わなかった。
ものすごくちゃんと惹かれ合った2人だったんだな、と本当に愛の大きさに泣いちゃいます。
よかった、出会えてよかった。もう一度最初から読み返すと、本当の本当に、新聞購読の勧誘の場面はものすごく味のあるものに変わる。
泣いちゃいました。愛だね〜!

2

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