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表題作恋の二人連れ

間宮照市
29歳,大阪に避難中の人気小説家
扇屋梓
22歳,間宮の小説に憧れる編集者

その他の収録作品

  • 恋の初風
  • あとがき

あらすじ

憧れの小説家・間宮が大阪滞在中と知り、執筆依頼に訪れた梓。
だが間宮は聞きしに勝る偏屈者で、梓に無理難題を言い出し!?
大正浪漫恋草子。

作品情報

作品名
恋の二人連れ
著者
久我有加 
イラスト
伊東七つ生 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
シリーズ
疾風に恋をする
発売日
ISBN
9784403524479
4

(30)

(10)

萌々

(12)

(6)

中立

(2)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
11
得点
118
評価数
30
平均
4 / 5
神率
33.3%

レビュー投稿数11

純粋で素直で透明な。そんな受けの魅力がいい

「疾風に恋をする」の関連作。「疾風〜」にちょっとだけ名前が出た作家・間宮のターンで、舞台は同じく関東大震災あとの大阪。
主人公は、間宮の著作が大好きで全ての作品を読み込んでいる大阪の小さな出版社の社員・扇屋梓。
震災で避難してきた間宮に是非我が社で連載を!と滞在している茶屋に通う梓。
梓は元々間宮ファンだから会えるだけで嬉しいんだけど、間宮の初登場シーンはサイアク…
パワハラ、セクハラ、不機嫌ハラスメント野郎ですよ…
ところが梓は健気というか無垢というか。酷い要求を出してくる間宮に誠実に接するのです。
まぁ、間宮も本気でセクハラしてるわけじゃなくて、自分に誰も近付いてこないように強めな予防線を張っているわけですが。
だから、梓に参っちゃうわけです。
と言っても視点は梓なので、気難しい先生がわたいと会って少しでも気が晴れたら嬉しい、みたいな純情さです。
もうとにかく梓という人間がキモですね。
可愛らしくて、純粋で、素直で、透明で、心が綺麗で。自分はそんな自分の魅力を知らない。
梓の自分への想いを知った間宮が、一転ド溺愛野郎に変貌するのも必然ですね。
勝手に勘違いしてフキハラしたりかなり勝手な男だけど…梓を大切にしてるからいいか…
梓の柔らかなことばが特にエロシーンで凄まじい破壊力を発揮しています。「萌x2」で。

0

男女の絡みに読めてしまって……

受けのキャラが健気で可愛くて天然ぎみで、初めのうちはかわいいなぁと思って読んでましたが、途中から男なのか女なのか読んでてわからなくなってしまいました……。

というのも濡れ場が結構多いんですね。

しかも一方的に攻めから責められて「いや、いやや……せんせの、コンジョワル」「いけまへん、離しとくなはれ」「も、堪忍、堪忍して……!」「あかん、せんせ、あきまへん、あぁ」とひたすら喘ぐ系。

言葉遣いが妙にはんなりしているせいか、BLというよりも男女の絡みに読めてしまって辛かったです。

同じ世界線の「疾風に恋をする」は攻めが古い大阪言葉でめちゃくちゃ色気あって、古い大阪言葉最高!!となったのですが、この受けの大阪言葉はどうもはまりませんでした……。
というか、これ京都弁じゃないの??みたいに思ってしまって。
この本の前に、「疾風に恋をする」の男臭い古い大阪弁を話す攻めにどっぷり浸かってたせいか、同じ時代、同じ男なのにどうしてこうも言葉が違うのか?そりゃ受けは高級料亭の息子で、母親が女将で、芸妓さんに囲まれて育ったのでその影響を強く受けてるんだろうなぁと解釈しようとしましたが、おぼこい女の子が喋って喘いでる錯覚が終始つきまといました。
西の言葉ぜーんぶひっくるめて「関西弁」と言ってしまうような関東人の乱暴な感想なので大変申し訳ないです……。

攻めは、いかにもBL界の小説家さま!って感じの無愛想偏屈男で、大変申し訳ないのですが少々イラっとしました。
言葉足りないし、不機嫌さを隠そうともしない姿といい、自分の機嫌は自分で取れ!と思ってしまいました……。
偏屈な人間、あんまり好きではないからかもしれません。

1

小説家×編集

伊東七つ生さんの表紙ってとても目を惹くものが多い印象…顔の良さかなぁ?配色?構図?兎にも角にも表紙に惹かれて即購入した覚えがある!タイトルも素敵だし、作家攻めのお話が好きだからってのも手に取った理由のひとつ✨
受けの編集者、梓くんがかわいいの、関西の言葉がすごーくトキメク✨本人ののんびりしている性格のせいか強くない関西弁が耳触りのいい言葉選びになってる気がして心地よい。花街の生まれってのもあるのかな。
喘ぎの「せんせの、コンジョワル…!」「堪忍して!」「出しとくれやす…」は攻めの間宮先生じゃなくてもグッとくるものがある///
間宮先生は最初こそ端的でぶっきらぼうな物言いなのに梓くんと接していくうちにちゃんと自分の気持ちを伝えてくれる所がとても好きだし、情事の後に甲斐甲斐しく梓くんの世話を焼いてくれる、それが気に入っている先生にさらに惚れてしまう…!一人称が「僕」なのも個人的にツボ!
健気な梓くんが懸命に慕ってくれてたらそりゃ無碍に出来ないよね〜
先生がどんどん心を開いてくれて2人の距離が縮まるのが本当に読んでいて梓くんと一緒に一喜一憂した。
本作は小説家×編集者の2人がくっつくまでとくっついてからが書かれていて物凄く美味しい!

梓くんの短髪で撫でたくなる様な、実際その描写も結構ある丸い頭と可愛くて素直なところが体現されてるビジュアル!間宮先生の、偏屈と言われているのが癖の強い髪で表しているかのようなイメージまんまの気難しい作家先生のビジュアル!彫り深いお顔が素敵で伊東七つ生さんの絵が物語の彩りを添えていて本当に大好きなお話になった!梓くんが畳に押し倒されている絵と最後の対面座位の絵は眼福過ぎて必見です✨

2

なんで大阪で受けが京言葉喋っとんの?

関東大震災後の混乱を避ける為に大阪に避難してきた人気小説家・間宮と、自身が勤める出版社に是非執筆願いたいと彼の元に熱心に通う編集者・梓の恋物語。
レトロな趣が漂う大正ロマンに愛情駄々洩れな甘々カップル、濡れ場もガッツリ入っているとなれば十分満足できるはずだったのになぁ。
この話の最大の注目ポイントは、大阪が舞台って事で関西弁の台詞に力が入っている所なんだろうが…

確かに関西弁で合っている、の…?
あの、これって、京都弁じゃないでしょうか(´・ω・)?

読んでいて、どうも梓の話し方が妙にはんなりしているなぁと感じた途端に、全部京都弁に脳内変換されてしまって駄目だった。
間宮と情を交わす官能的な場面でも、あかん、コンジョワルって間宮を煽る言葉も、私にとっては梓がやけに幼く感じる原因になってしまって、ああこれが他萌自萎なのかと実感するばかりだった。
梓の実家が当時『お茶屋』と呼ばれる高級料亭の息子だから、女将(母親)に上品な言葉使いを躾けられたって設定ならば大いに有り、なのだろうか?
言葉使いを抜きにしても、梓が間宮に夢中に過ぎて編集者としての客観性よりも、熱心な一ファンとして傾倒している印象を感じてしまったのがどうも残念だった。

関西弁には一応耳馴染みがあるつもりだったんだけどなぁ…
すっかり固定観念に嵌ってしまって客観的な判断が出来ず、話云々よりも戸惑いが強く残ってしまった。

3

大正時代の大阪


前作「疾風に恋をする」で主役二人が演じた映画の原作者のお話。
前作とほぼ同時期の話ですが、前作の主役たちは名前すら登場しませんので、今作だけでも十分楽しめます。でも、前作もとてもよかったのでまだの方はお勧めです。

表題作+「恋の初風」 どちらも受け視点

関東大震災直後の大阪。
人気通俗作家の間宮照市(攻め)が、混乱している東京から避難してきていると知った編集者の梓(受け)は自社の雑誌に話を書いてもらうため、間宮が逗留しているお茶屋へ通います。が、間宮は噂通り偏屈な男で全く話を書いてもらえそうにありません。それでも、間宮の小説の大ファンの梓はぜひ小説を書いてほしくて日参するのです。

梓は新参の出版社の新米編集者ですが、出自は老舗お茶屋の次男坊で厳しくもとても愛されて育ったボンボンなので、とても素直で健気で天然で可愛らしいです。踊れと言われたら真面目に日本舞踊を踊ったり、抱かせろと言われたら震えながら受けようとしたり。その真意は震災で気落ちしているだろう間宮の気持ちが少しでも晴れたらいいと思ってというのですから、偏屈な間宮も心を開こうというものです。こういうのを「人たらし」というんじゃないかと思います。
プロ意識が高く、たとえ親兄弟であっても情に訴えたりすることなく正攻法で突き進んでいく姿は好感がもてます。

そんな梓を見ていて、初めは顔も見ようとしなかった間宮も少しづつ心を開くようになります。藝妓さんと話しているところを見たとたん機嫌が悪くなったり、結構あからさまに梓のことを気に入っているのがわかります。
相変わらず口は悪いし横暴な感じですが、梓はその内面をちゃんと見ていて、実は優しい人だと気付き、時々見せる笑顔に魅せられるのです。

姉とも慕っている藝妓さんとの仲を間宮に誤解され、せっかく進展した仲も元の木阿弥どころかマイナスになってしまい、かなりはらはらします。周りにいる大人(間宮の友人であり義弟でもある豊浦や梓の上司)が間宮の心情を正確に察知しサポートしてくれないと絶対にうまくいかなかったでしょう。

間宮のほうが7歳も年上ですが、かなり子供っぽいと思われ精神的には梓のほうがずっと大人なんじゃないかと思いました。
個人的には包容力のある攻めが好みなのですが、梓のような天然さんには間宮のような男がお似合いなんでしょうね。



「恋の初風」
表題作から一年近くたち、避難してきた作家が続々東京へ帰る中、大阪にとどまり小説を書いている間宮に文芸を書いてみないかと東京の大手出版社の編集・暮林がやってきます。いつものようにけんもほろろに追い返すのですが、暮林は暖簾に腕押しで全く堪えず日参してき、間宮に気に入られている梓にも接触してくるのです。
梓ははじめは掴みどころのない暮林を苦手に思うのですが、さりげなく強引な暮林に流され、また優秀であろう大手出版社の編集の技を学ぶためもあり、しぶしぶ付き合います。

時間があるとすぐにエッチに雪崩れ込むというラブラブな二人ですが、間宮が情けない部分を梓に見せたくなくて見栄を張ったせいで、「信用されていない」「身体だけなのか」と梓が不安になるのです。
そんなところに暮林がやってきたので、余計に不安がつのります。
計算かどうかはわかりませんが、暮林の間男的な発言により、お互いが本音を言うことができたし、暮林はあんなに拒絶されていたのに間宮と約束ができるなんて、有能だけど凄く得体の知れない人だと思いました、


間宮は生い立ちのせいで子供のころ傷ついた心が癒されないまま大人になったので、素直になれない偏屈な人物になったようです。梓に一途に想われて、心の傷も癒されていっているところなのでしょう。
素直じゃない男なので、言動の端々から間宮の心情を想像するしかないのですが、できれば間宮がどんなふうに梓を見ていたのかを出会ったところから読んでみたかったです。
特に、梓の日本舞踊を踊るシーンは絶対面白いと思うのですが。

他の方も書かれていますが、自分にとってはなじみのある言葉なので(使わない言葉遣いがたくさんありますが)違和感なく読みましたが、今作は大正末期の大阪が舞台で、登場人物がほとんど大阪弁(それもけっこう濃い)を話すので、慣れていない人にとっては読むのがしんどいと感じるかもしれません。関西以外の人がどう感じるかはわかりませんが、吉〇新喜劇とか見慣れているなら大丈夫かも。

全体的に、後半は特にエロくて甘々な楽しい話だったと思います。

これから起こる戦争の事もあり、生きにくい世の中になるでしょうが、この二人がその中でも寄り添って生きていける未来があることを願います。

1

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