特典付き
CD聴取からの再読をしました。
久しぶりに読んだけど、何度も読み返しているけれど、そのたびに暮田マキネのどろりと重たい情愛と執念の色に体中が染まっていくような気持ちになります。
2人暮らしの義父と息子、週末だけは恋人関係という背徳関係。
義父がずっと想っているのは、亡くなった息子の実父、息子には父親として深い愛情をかけてきたのに、息子は気づいたら義父を男として愛していて、その義父の愛する相手が自分の実父と知ったことから身代わりの関係を求めるようになります。
2人とも深い愛情があり、執着があるけれど、そのベクトルが違うところを向いているので、きれいに重なることがない歪さがあり、序盤から苦しく感じながら読み進めました。
男、男、女の仲良し3人組で、それぞれの愛情には、それぞれ違いがあったけれど、3人は確かにお互いを大事に思って愛していた関係で、1人欠けた後でも、男女の情愛はないけれど、友愛による温かい家族であったのだろうことが読み取れます。
だからこそ、高校生になった息子と義父の週末だけの関係がとても苦しく感じます。
息子の愛はあまりに重たく盲目的、まっすぐで鋭くてとても切ないです。
義父は相手を大事にして、周りの人たちを大事にして、愛情を注いで幸せにしてきたけれど、息子だけは望む幸せが手に入れられない状況です。
家族としてはいい状態で、息子はまだ親の保護、支援が必要な年齢のなかでの、気持ちの増長が、歪みをどんどん大きくしていきます。
息子の高校卒業が近くなり、それぞれ、未来のために決断したことが、お互いを悲しませることになります。
愛の深さ、重さ、それによる苦しみ、悲しみの深さがとてもつらいです。
母親、友人、親友、という「正」、「明」の立場と考えを持ち続ける母親の存在が、2人の背徳的な関係、歪みをより際立たせているように感じました。
それぞれがそれぞれのことを大事に思っているのに、めでたし、めでたし、とはならない現実が苦しいです。
気軽に読める作品ではありませんが、何度も大事に読みたい作品です。
マキネ先生の初読み作品がこちらでした。
息子、真(シン)は週末の2日間だけ実父の真(まこと)として義理の父である明を抱く約束をしてるんですねぇ。しかも、その真(まこと)に実は明は恋心を抱いていて、言えずに彼は亡くなってしまった。彼と同じ名前、そして成長する度に彼と瓜二つになっていく息子の真(シン)に真(まこと)を重ねながら許されない関係を続ける……
いやいやいや、設定からもうぐちゃぐちゃドロドロ背徳感の塊で、どうやったらこの関係が思いつくのか脱帽です。
真(シン)は明の望む事をしてやりたい、そのためなら真(まこと)として抱いてやる事も厭わない、好きだから離れたくないと、『自分』の存在意義に対して軽い考えなのが切ないです。
一方明はこの関係が決して許されるものではないとわかっていながら、自分の欲のために息子である真(シン)に真(まこと)の姿を求め、それでも自分が今誰を想っているのか分からない……というこちらも切ない切ない。
名前がポイントになる作品ですので、深くは書けませんがとても感動しました。
仄暗さと背徳感いっぱいですが、息子、父それぞれの執着、愛がたっぷり味わえて満足です。
真と明は血の繋がらぬ親子。明は亡き親友のマコトを愛していて、マコトにそっくりな真と平日は親子、週末は恋人としての関係を続けていて…。明が好きでマコトになりきろうとする真が切ない。明のマコトに対する行き場のない思いとか割り切れないモヤモヤ。それもわかるけどやっぱりちょっとズルいよね。
大人は本当の自分の気持ちを誤魔化しちゃう。もどかしくてヒリヒリして沼の底でもがいてしまうだけに、水面から抜け出た時の充実感がたまらない。ただ愛おしい。
ずっと抑え込んできた欲しいものを得た2人に、これから続く幸せな日々と笑顔を。
真×明
まだ読んでいなかった暮田マキネ先生の神作品を読んで、本当に良かった。
主人公の高校生の真と、
義父の明との歪んだ切ない愛の物語は、
胸がえぐられるようなもので、
それぞれの空しくて届かない想いが涙腺ブレイクほどエグい。
明、
亡くなった親友で真の実の父親であるマコトへの片想いを抱える。
一生届くことのない気持ちが、
マコトに似ている真を身代わりにして、
その行き詰まる姿が見ているだけで虚しくて苦しい。
真、
明の中にはマコトが残っていることは理解しているのに、
必死になって、明の心を自分に向けようとする。
ただの息子としてじゃなく、
一人の男として見てほしいという叶わない想いがもう・・・
いつも上から目線を張ってみても、
明に捨てられる時に心細い一面が襲って、
その乱れる姿にグッとくる!
家族が欲しかったマコトの家族になれない明。
明との父と息子という家族関係なんていらない真。
2人の「平日は親子、週末は恋人」という空回りの悪循環が、
うやむやのままが刺さるところ!
読み進めるにつれて、
自分の感情に正直と嘘の境界線に揺れ動く明の様子と、
2人が少しずつでもお互いを必要としていることが見えてきて、
背徳ながらも愛が形で表れる瞬間に胸がいっぱいになりました。
新刊の『はじめて、はじめました。』も大好きで特典全部集めてしまったほどなのですが。
暮田マキネ先生の真骨頂といえば、やっぱりこの作品のような薄暗ーーい、不穏な気配のする執着攻めストーリーだと思います。
息子×義父の物語で、読む人を選ぶ作品ではあるのですが……
個人的にマキネ先生の作品の中で一番好きな作品で、ちょくちょく読み返しています。
表紙の明の右目下の二つのホクロ、目線の送り方からしてもうセクシーでゾクゾクが止まりません。
義理の親子という禁断の関係、年齢差、受けは攻めの父親(受けの同級生)のことが好きだった…などゾワゾワする要素てんこもりで、大変大変萌える一冊です。
(性癖大丈夫かな自分、と自分のことがちょっと心配になる)
はあ…受けに追い縋る攻めって最高。