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表題作ふたりの彼の甘いキス

梶・ヴァレリーノ・湊介・俳優の卵・23
潮北深晴・スランプ気味の若手漫画家・28

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

他の人のものにならないで──

漫画家の潮北深晴は、担当編集である宮尾規一郎に恋心を抱いていたが、その想いを告げる勇気はなく、見ているだけで満足する日々を送っていた。そんなある日、出版パーティで知り合った宮尾の従弟で年下の俳優・湊介と仲良くなり、同居の話が持ち上がる。それを知った宮尾に、「それなら三人で住もう」と提案され、深晴は想い人の家で暮らすことに。さらに、湊介の手助けで宮尾と恋仲になれ、生まれて初めての甘いキスを知る。その矢先「深晴さんを毎日どんどん好きになる。だからここを出ていくね」と湊介にまさかの告白をされ、宮尾のことが好きなのに深晴の心は揺れ動き…?

作品情報

作品名
ふたりの彼の甘いキス
著者
葵居ゆゆ 
イラスト
兼守美行 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
リンクスロマンス
発売日
ISBN
9784344842519
3

(9)

(0)

萌々

(2)

(5)

中立

(2)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
4
得点
25
評価数
9
平均
3 / 5
神率
0%

レビュー投稿数4

恋に破れた人が一番カッコいいかも

電子書籍で読了。挿絵なし。あとがきあり。

葵居ゆゆさんのお話は『やがて恋を知る』しか読んだことがありませんでしたので「ああ、こういう爽やかなお話も書くんだなあ」というのが、まず思ったことです。

デビューから7年目のマンガ家、潮北深晴は初めてのスランプに陥っていました。編集者の宮尾に勧められて参加した出版社のパーティで出会ったのは宮尾の従兄弟で、母の故郷スペインから戻って来たばかりの俳優の卵である梶湊介。引っ込み思案で人見知りの深晴にぐんぐん近寄ってくる湊介は、マンガ家の役を演じるので2人で同居しようと持ちかけます。宮尾の提案で3人で暮らすことになるのですが、深晴は落ち着きません。なぜなら深晴は長い間、ひっそりと宮尾を想っているからです。深晴の挙動でそれに気づいた湊介が仲立ちをし、2人は恋人同士となります。しかし、宮尾からただ与えられるだけの関係に深晴は引っかかりを感じてしまいます。それと同時に、俳優への道を真っ直ぐに歩む湊介を見ていて再びマンガへの意欲を取り戻した深晴は、宮尾に深く求められても緊張しか感じないことに悩み始めます。自分が好きなのは宮尾のはずなのにと揺れる深晴に湊介が好きだと告白してきて……

このお話が嫌な気持ちにならないのは、深晴を争う立場でありながら、宮尾と湊介がお互いを貶め合わないところだと思うんですね。恋のライバルでありながら、ちゃんと以前から持っていたお互いを大切に思う気持ちを捨てません。2人とも馬鹿じゃないところが良いのです。

また、この手の♪ケンカをやめて〜状態って、受けさんにちょっとでもヤナ感じがあると「ケッ」って思っちゃうんですけど(私だけ?性格悪いですかね?)深晴はそんな風に思えない性格なんですよ。むしろ、いじらしく感じてしまう。

そもそも、深晴が宮尾や湊介に惹かれた理由は『自分の作品に対する理解』なんですよ。一番描きたいと思っていた部分を分かってもらえることなんです。
こういうの、いいなぁって思うんです。

ここまで劇的ではなくとも、最初思っていたことが実現した時に『これじゃない感』を持ってしまうことってあるんじゃないか、と思うんですね。そんな時に、勇気を持って道を選ぶ物語として、気づけば深晴を応援していました。

結果は3Pではないので、可哀想な思いをする人が出ちゃうんですけれど、読後感はとても爽やか。
おまけに、恋で負けてしまったキャラが非常にカッコいい印象を残すという(ある意味『場を攫って』行っちゃったもの)おまけ付きです。

この『カッコいい人』のスピンオフ、出ませんかね?
そうしたら絶対読むんですが。

3

受様が選んだ恋は

今回は日本デビューを控えた俳優の卵と
スランプに陥っている漫画家のお話です。

受様が一緒に支え合いたいと思う人を選び
新たな物語を完成させるまで。

受様はデビュー7年目を迎える
漫画家ですが、
特に売れた事も定期的な連載も
持っていません。

しかも
最近は描きたいものさえ
見失ってしまいて
長くスランプ状態にいます。

今日はそんな状態の受様を
心配した担当編集者に誘われて
出版社の授賞式のパーティに
来ていました。

受様と担当編集者は
デビュー以来の付き合いで
彼が熱心の丁寧な指導があったから
続けてこられたと思っています。

そんな仕事のできる担当編集者に
受様は密かに恋していたのです。

会場でも冷静で大人な彼は
すごくかっこよくて
受様は見惚れてしまいます。

受様を見つけた彼は
他の先生達との顔合わせを
進めてくれますが
自分に自信のない受様は
気をくれしてしまいます。

早くも帰ろうと思った受様でしたが
そんな2人に近づいてきて
声をかけてきた青年がいました。

この青年こそ今回の攻様になります♪

攻様は派手で自信満々な雰囲気で
受様が苦手なタイプでしたが
担当編集者の従弟で俳優の卵でした。

攻様は受様の漫画も読んでいて
従兄の仕事をしている受様に
身内感覚で親し気に接してきます。

びっくりしつつも自分の漫画を
「好き」と言ってくれた攻様に
友達になりたいと言われて
嬉しくなります。

受様は攻様のイメージをモデルに
新作のプロットに取り組みますが
担当編集者にも受様の迷いが伝わり
駄目だしされてしまいます。

そんな中、
受様のスランプ状態を知った攻様に
観察しながら描いたら良いと
攻様宅での同居を提案されます。

しかし、
2人の同居計画を知った担当編集者に
攻様のマンションでの同居に
やんわり反対されてしまいます。

そしてなんと
彼のマンションで同居して欲しいと
お願されてしまうのです。

何かあっても自分がフォローできるし
セキュリティーも万全だしという
担当編集者の目は有無を言わせず
受様は頷くしかありません。

こうして始まった3人生活で
受様は片恋相手の担当編集者の言動に
ドキドキし通しで気疲れしてしまいます。

こんな状態の受様は
果たして新作を無事に描けるのでしょうか!?

受様が長く憧れていた担当者と
その従弟である俳優の卵の攻様との間で
揺れるお話になります。

攻様は受様が
もともと従兄である担当編集者に
好意を持っていた事を知っていたので
同居し始めてギクシャクしだした受様に
告白するように勧めます。

なんだかんだ言っても従兄が
受様に対する態度が甘すぎる事から
従兄も受様を好ましく思っていると
感じていたのです。

そして攻様自身も
受様に好意を持っていましたが
受様を嗾けた様になったため
2人の恋を応援する姿勢を貫きます。

しかし、
受様は担当編集者といると
どうしても一方的に世話を焼かれて
こんな関係が恋人同士と言えるのか
と悩んでしまいます。

受様がぐるぐるする一方、
初舞台の為に稽古に励む攻様に
事故死した双子の弟の事や
犯罪歴のある父親が絡んできて
スキャンダルに巻き込まれてしまいます。

そんな騒動に巻き込まれる中で
受様は自分が傍にいたいのは
傍にいて欲しいのは誰かに気き
同居生活を活かした新作を完成させるまで
とても楽しく読ませて頂きました。

三角関係というと
受を好きだという攻2人がそれぞれに
アプローチして受を競うお話が鉄板ですが

本作は受様が一方に好意を持っていて
お付き合いをしてみるものの…という展開で
アプローチもお付き合いも
それぞれと1対1という流れなので
かなり珍しいお話かなと思います。

タイトルとカバーイラストの雰囲気が
すごく3Pぽいのにそういう展開は皆無という
裏切られ感が良い意味で楽しかったです(笑)

3人ともお互いを大切にしているので
どちらとまとまってもそれなりには
良い関係を気付けたかなと思いますが
頼るだけでは恋人じゃないと思う受様に
受様の矜持を感じました。

そんな受様が支えたいと思える攻様を
選んでのハピエンは担当編集者である
攻様の従兄の潔い撤退があったからこそ!!

攻様の従兄にもぜひ素敵なお相手を
見つけてあげて欲しいです (^o^)/

今回はちょっと変わった三角関係で
火崎勇さん『それでもアナタの虜』など
いかがでしょうか。
養子縁組でひと悶着するお話です。

2

可愛い子を見守る二人のイケメン

兼守先生目当て+3P?と期待させるタイトルで購入。
美味しいっ。美味しすぎる受けの立ち位置。詳細は下方に書きますが、ぽやんぽやん受けさんを温かく見守るイケメンが二人いる優しい甘めなお話でした。本編のみ250Pほど+先生のあとがき。受けさんぽやぽやだけど一生懸命頑張ってる良い子だし、イケメン二人とも好き~なので萌2よりの萌です。1:1です とだけお伝えしておきます♡

お話はデビュー7年目、絶賛スランプ中の漫画家である深晴が、担当さんに誘われた「出版社の新年会+新人賞受賞式のパーティ」で、一人どよーんとしているシーンから始まります。売れたこともなく、連載もなく、もともと大勢の中にいると寂しくなってしまうタイプなのですが、「気分転換に!」と勧められたし、大好きな格好いい担当さんだし・・・とお話は続きます。

登場人物は、以下3人のみ!(他にも少々いるけど)
深晴:漫画家さん、ぽやぽや系、時々捨てられた子犬みたいな表情をするらしい。コミュ下手っぽい。
規一郎:深晴の担当編集、ハーフフレーム眼鏡さんのクールイケメン。深晴の事を応援している。
湊介:規一郎の従兄弟でスペイン人と日本人のハーフ、超イケメン。俳優の卵、コミュ力高い。上手に甘えられるタイプと思う。

******以下は 内容に超触れる感想


うーーーーーーーーん、残念!イケメンでろでろ3Pではなかったーーーーーーーーー。
タイトルと表紙で絶対3Pだろ と思ったんだけど、まだまだ修行が足りない私でした。
だからといって惨い話ではなく、優しい終わり方で良かったです。

規一郎と湊介と3人で同居し、規一郎と恋人になって・・と進むのですが。
途中から深晴の気持ちを推測するのと、こっちの要望(3Pw)がせめぎあって、「違うやろ!そっちじゃないで!」「いや、でも最後に逆転一発ホームランで3Pかも」などとハラハラ、わくわく出来ました。超重めシリアスというものではなく感じたので気分的には楽だし、最後の深晴の気持ちの落としどころや、規一郎の態度が「おお、大人!」と感じられて、とても良かったです!

湊介の可愛らしいコミュ力高いところも好きだし、規一郎のクールイケメンな所も好きですし(ちょっと攻め方を間違えたのかなー惜しい)、ぽやぽや深晴がちゃんと考えて行動するところも良かったです。
規一郎のスピンオフが出ると嬉しいんだけどな!

3

幸せになる魔法


タイトルから三角関係か3Pかと思いましたが、受けを攻め二人で取り合いというのではなく、相手のことを慮ってこじれるという感じの話だったように思います。

<あらすじ>
売れてない上スランプ中の漫画家・潮北深晴(受け)は担当編集の宮尾(攻め1)に誘われて出席した新年パーティーで宮尾の従弟で俳優の梶湊介(攻め2)を紹介されます。
人懐こい湊介に誘われ、漫画家の役をするため取材したい湊介と湊介を漫画のモデルにしたい深晴とで利害が一致し、宮尾の家で同居する運びになります。長らく宮尾のことが好きで気持ちをひた隠しにしている深晴でしたが、同居することで挙動不審になってしまい、湊介にばれてしまいます。協力するという湊介が揺さぶりをかけてくれたことで宮尾が恋人になってくれることになるのです。
恋人になってからは宮尾は大事にしてくれるのですが、何故か寂しい気持ちはなくならずに困惑するのです。


深晴は人見知りで家族にも社会にもうまく溶け込めずに生きてきました。子供のころ山で迷子になった際、深晴の独り言を聞きつけ一晩一緒にいてくれた魔法使い(と信じてる)にかけてもらった「幸せになる魔法」を心の支えにしています。
持ち込みの時から担当してくれた宮尾とは7年の付き合いで、自分の漫画の一番好きなシーンを好きだと言ってくれたことからずっと密かに慕っていました。
打ち合わせだと思えばなんとかなると思っていたのですが、同居となるとどうしても挙動不審になってしまい、湊介に気づかれてしまうのです。
湊介のことは初めはチャラくて苦手だと思ったのですが、トイレで落ち込んでいた深晴に魔法をかけてくれる優しさを見せてくれたり、明るさに救われたり、弱い部分を見せられて守ってあげたいと思ったりと目まぐるしく印象が変わり、人見知りの深晴にしては珍しく素の自分をさらけ出すことができるようになる不思議な人だと思っています。


湊介の協力でやっと両想いになったのに、なぜかずっと緊張が解けなくて寂しくて、湊介と一緒の方が安心できるのです。3人の生活が心地よくなってきたのに、深晴と湊介の距離がどんどん縮まって何度も宮尾から「二人は仲がいい」といわれるようになります。そのたびに深晴は宮尾に誤解されないように
と思うのです。
私は初めは宮尾が湊介に嫉妬してなのかと思っていたのですが、確かにそれもあったかもしれませんが一番は二人に本当の自分の気持ちに気づいてほしかったからのようでした。
3人でいたいと思う深晴の思いとは裏腹に湊介に「好きになってごめん」といわれ同居が解消されてしまいます。

ずっと好きだったのに、付き合ってもらってるのに自分ばかりが甘やかされて自分からはなにもしてあげられないと悩んだり、何度も宮尾のことが好きだと自分に言いきかせるようにしている深晴が長い片想いを実らせたとはとても思えないくらいせつないです。
湊介は深晴が宮尾のことが好きだと気が付いたことで、応援することにし、二人が恋人になったのを喜んだのもつかの間、今度は自分が深晴のことが好きになってしまい、恋人になってしまった二人を傍で見なければならなくなります。
湊介が無意識に深晴のことが気に入っていることに気付き、湊介に気付かせようとして深晴と付き合うことにしたのに、深晴のことをよく知るうちにずっとこんな風に自分のことを好きでいてほしいと思うようになる宮尾。
3人ともが切なくてじりじりしました。

好きなはずなのに何度触られてでもどうしても力が抜けず安心できず緊張してしまうのに、湊介だと安心できてうたたねだってしてしまう。
宮尾は何度も確かめるように触るけど、深晴は宮尾を長らく片想いしていたことや今までの自分を否定することになると感じてそれを認めることができません。
深晴も湊介ももう後には引けないようになってしまって、膠着状態になっていたところを湊介絡みのスキャンダルによりやっと事態が動きます。巻き込むまいとする湊介に対して心配で傍にいてあげたいと思う深晴。そこで宮尾が引導を渡す形でやっと二人は自分の気持ちと向き合うことができるようになるのです。ここまでが本当に長くてほとんど終わり掛けでやっと両想いになるのです。
おかげでその後がちょっと駆け足になってしまったのが残念でした。


深晴が自分の気持を自覚し、宮尾から湊介へと乗り換えるように行くのはどうかと思うから告白だけするという態度は正しいと思うのですが(深晴の心の変化を読んでいるこちらとしては深晴の行動は理解できるので)、それに対して湊介があっさり特に理由を聞くわけでもなく喜んで受け入れたのはちょっとだけ違和感が。
なんでそんなことになったのかちょっとくらい疑問に思ってもいいんじゃないかと思うのですが、単に尺の問題かな。

湊介は飛行機に乗れるようになったんだろうかとか、舞台でアンチを黙らせることができたのか、深晴が魔法使いだと信じていた人はだれだったのか、初め深晴が接触が苦手といっていたけど理由があったのかとか、気になるところはちょっと残ったままでしたが、いつも寂しいと思っていた深晴が寂しくなくなったので、めでたしめでたしでよかったかなと思いました。


イラストもとてもよかったと思います。変な表現ですが、とても柔らかそうな絵だったと思います。
可愛いのはもちろんなのですが、ふくふくした頬や唇その他全部が柔らかそうで触りたい!と思ってしまいました(笑)。キスシーンとかほんわかした気持ちになる絵でずっと眺めていたくなりました。

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