ふったらどしゃぶり~When it rains, it pours~完全版

futtara doshaburi

ふったらどしゃぶり~When it rains, it pours~完全版
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神24
  • 萌×21
  • 萌0
  • 中立0
  • しゅみじゃない1

27

レビュー数
3
得点
124
評価数
26
平均
4.8 / 5
神率
92.3%
著者
 
イラスト
 
媒体
BL小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
価格
¥739(税抜)  ¥799(税込)
ISBN
9784403524615

あらすじ

メールの誤送信がきっかけで、同僚と気づかないまま悩みを打ち明け合う仲になった一顕と整。
大人の性と愛を描く究極の恋愛小説、完全版!!

表題作ふったらどしゃぶり~When it rains, it pours~完全版

萩原一顕、会社員・営業、27歳
半井整、会社員・総務、27歳

同時収録作品ふったらびしょぬれ

萩原一顕、会社員・営業、27歳
半井整、会社員・総務、27歳

その他の収録作品

  • all rain in this night(どしゃぶりとびしょぬれのあいだ)書下ろし

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レビュー投稿数3

重いけど止められない

実を言いますと、旧版が発売されてすぐ読んだあと
めちゃくちゃ打ちのめされました。
こんなずどーんとくるお話もあまり無いな、と。
どこまでもリアルで恐怖さえ感じるほどでした。
一顕の彼女・かおりの先輩が特に。
当時読んだ時の衝撃ときたらホント相当なものだったんです。
いえ、私がかおりの先輩のような経験をしたわけではありませんが
誰もが羨む幸せそうな夫婦にもそんな事実があるなんて。
女って怖いですね…。
なので本編を読み返すことはほとんど出来ませんでした。
お話自体も決して明るい気分で読めるトーンではありませんし。
ただ、だからこそ読み始めたら止められない非常に素晴らしい作品です。

性欲だなんてと言ってしまうのは簡単ですが
好きな人を抱きたい、好きな人に抱かれたいというのは
決して出して終わりじゃなく心でも満たされたい切実な願いだと
心底思い知らされます。
一顕と整の性格は似ていなくても人柄がいちいち好ましくて
ちょっとした会話にもときめいてしまいますが
この場面好きっていうより本当に二人が二人で良かったと思ってしまうのです。
他の誰かじゃありえなかった恋、
色んな人のそれぞれの感情が絡まり合った中で溢れだした想いに
とても重みを感じました。

物事の表と裏、どちらか一方で受け止めていては見えないもの
気づけないこともあるんですね。
しばらく余韻に浸ってしまい、言葉にならない「うおぉ…」とか「ぐぁあああ!」をつい繰り返してしまいます。
とにかく凄すぎてますます語彙を無くすのも悪くありません。

1

BLの枠に収まらない、恋愛の歓び、哀しみ、葛藤を描いた傑作

旧版既読です。レビューは初めてです。

愛と性について、本当に深く考えさせられました。BLの枠に収まらない、恋愛の歓び、哀しみ、葛藤といった、普遍的なものを強く感じ、心を揺さぶられました。

副題のWhen it rains, it pours. が、とても好きです。pourは、この文章では、「雨が激しく降る」という意味で使われていますが、「注ぐ」、「あふれる」、感情を「吐露する」ときにも使われます。一顕(攻)と整(受)が互いに悩みを吐露し、分かち合うことで心に注がれていく想いがあり、やがてそれがあふれていくのが、この言葉に象徴されている気がします。

恋愛においてセックスを求める分量は一人一人違うし、時と共に変わりもする。歩み寄ろうと試行錯誤する過程が苦しみになることがある。一顕とかおり、和章と整、二組の関係から、そんなことを感じました。
本作品では旧作には無かった「セックスに対するスタンスが合う」という言葉を一顕に語らせています。顔やスタイル、性格の好みと同列に並べたらいけないのか?と。この言葉、すごくしっくりきました。そして、そのことから目を背ける危うさを、よりはっきりと描いているように思いました。

相手から向き合ってもらえず苦しんでいた一顕と整が惹かれ合っていく描写に、胸が高鳴るのを止められませんでした。雨宿りの美術館、雨音のサイト、雨粒を受けて光る整の長いまつげ、そして土砂降りの夜の逢瀬。
整の「この身体がいらないなんて、ぜいたくなやつがいるんだなあ、ってさ」、一顕の「…涙出るかと思った」、「ほんとに?ほんとにそう思ってくれる?」。二人のこのやり取りに、私も涙があふれそうになりました。優しさ、苦しみ、哀しみ、温もり、快感。様々な感情を分け合う二人のセックスが、本当に胸に沁みました。

かおりと和章にも、それぞれセックスをしたくない理由があり、それが一顕と整がセックスしたことで明らかになるのが、とても切なかったです。かおりと和章は、自分を守るために、相手に向ける愛情の分量を決めてしまっていたのですね。それはまるで、裸の爪をみせないかおりのネイル、和章が作ったストームグラスのよう。一見美しいけれど、本心をさらすことはなく、気持ちの増える余地がないことが悲しいと思いました。

「ふったらびしょぬれ」では、雨の季節の終わりとともに一人になった一顕と整が、すぐには一緒にならず、おずおずと近づいていくのが、とても良かったです。そして、その仲立ちになってくれたのが、一顕が一生懸命に探した整の大学時代の友人・平岩くんということも。一顕の優しさが二人をつないだような気がします。

書き下ろしの「all rain in this night~どしゃぶりとびしょぬれのあいだ」では、「ふったらどしゃぶり」の最後で、整が一顕に傘を差し掛けた理由が描かれています。何気ないふりで、心にはあふれそうな想いがあった整が、可愛いです。もう一度「ふったらびしょぬれ」に戻って読むと、整の「もうよくなっちゃったのかなって思ってた」に、不安とか心細さが感じられて、もっとキュンとしました。

ああ、もっと若い頃にこの作品を読むことができていたなら、自分の恋愛もずいぶん違っていただろうな、と思います。旧版が出た頃、既に若くはなかったので、はなから無理な話なのですが(笑)。性について、かおりみたいな考えだったので、今更ですが、もったいなかったなあ、と少し残念です。

しばらく、雨が降るたびに、一顕と整の物語を思い出しそうな気がします。

7

加筆がたっぷりの「完全版」

2013年にフルール文庫さんから刊行された『ふったらどしゃぶり When it rains, it pours』の新装版。新装版は新書館さんから刊行されました。

旧版も持っていますが一穂ファンとしたら購入するしかないでしょ、という事でお買い上げ。

新装版のタイトルに「完全版」とついていますが、旧版に加筆が加えられています。一穂さんの書かれたあとがき+Twitterによると、旧版はweb掲載からの文庫化という流れの中でページ数的にカットせざるを得なかった部分があったようですが、そのカットされてしまった部分を収録し、さらに書き足した文章も収録されているようです。

という事で、旧版も分厚かったですが、新装版もぶ厚い!読み応えたっぷりな1冊になっています。

内容は旧版のレビューにも書かれていますがざっくりと。ネタバレ含んでいますので苦手な方はご注意ください。






恋人と同棲中。でも、その恋人からはセックスを拒否られセックスレス状態の一顕。
幼馴染と同居し、そして彼から大切にしてもらってはいるが、本当にほしい愛情はもらえない整。

心の底から満たされることのないモヤモヤを抱える、同じ会社に勤めるリーマンたちの恋のお話。

一顕から整に届いた一通の間違いメールから、少しずつ距離を近づけていく二人だがー。

愛情の形は人それぞれで、正解はない。

一顕を愛しているのに、セックスだけはしたくないかおり。
整を大切に想うからこそ、恋人にはなれないと思っていた和章。

4人が抱える想いや葛藤に正解も不正解もなく、だからこそもつれてしまう彼らの恋心がなんとも切なかった。

そしてやっぱり、和章が可哀そうでした。
和章救済のスピンオフ作品『ナイトガーデン』も、ぜひ読んでほしいです。

「セックスレス」というセンシティブなテーマが題材にはなっていますが、この作品で描かれているのは紛れもない「愛情」で、悩み、葛藤しながら自身が求めるモノを探し求める彼らの純愛に激萌えしました。

「完全版」には、『ふったらどしゃぶり』、『ふったらびしょぬれ』(ここまでが旧版に収録されている部分)に、書き下ろしとして『all rain in this nigth(どしゃぶりとびしょぬれのあいだ)』+『雨恋い(あとがきにかえて)』が収録されています。

『all rain in this nigth(どしゃぶりとびしょぬれのあいだ)』は、タイトル通り、時系列的に『ふったらどしゃぶり』と『ふったらびしょぬれ』の間のお話。

それぞれの、かつての想い人と別れ、そして想いを通じ合わせ前に向かって歩いていこうとしたとき。ページ数としては10pほどの短いお話ですが、これがまたすごく良い。

挿絵は旧版と同じく竹美家ららさん。
表紙も、中の挿絵も旧版と変わりませんが(表紙は旧版のイラストがズームになった構図にはなっています)、カラーの口絵が1枚追加されています。このイラストがね、また良いんですよ。

雨、傘、そして、未来。
この作品の世界観を、見事に描き切っています。

旧版を持ってるしな、とためらっている腐姐さまには全力でお勧めしたい新装版でした。

10

この作品が収納されている本棚

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