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表題作雨降りジウと恋の約束

ジウ、貴琉を救った人では無い存在
穂波貴琉、幼い頃に神隠しにあった大学生、20

その他の収録作品

  • 奇跡の夜の願いごと
  • あとがき

あらすじ

貴琉は私の伴侶になってくれるのか

幼い頃神隠しにあった大学生の貴琉は、ある夜ジウと名乗る銀髪の男に命を救われる。
命の恩人にお礼をしろと家に押しかけられたが、人ではないジウは人間の暮らしに興味津々。
好奇心旺盛な彼と過ごす日々は心地よく、貴琉は次第に惹かれていった。ジウとずっと一緒にいたい。
そう思い始めた矢先、不思議な出来事が起こりーー。
「約束したよね、ずっと一緒にいようって」
これはずっと昔に交わした、約束の物語。

作品情報

作品名
雨降りジウと恋の約束
著者
野原滋 
イラスト
兼守美行 
媒体
小説
出版社
笠倉出版社
レーベル
クロスノベルス
発売日
ISBN
9784773089523
3.8

(47)

(21)

萌々

(11)

(6)

中立

(3)

趣味じゃない

(6)

レビュー数
7
得点
170
評価数
47
平均
3.8 / 5
神率
44.7%

レビュー投稿数7

あまーい

なんて甘々なんでしょう…
野原さんの書く甘々カップル大好きです。


龍というと水の神様かな?と思っていたけど山の神様なんですかね。
ざっくり神様。
受けが子供のときに知り合って、祠が埋まるまえに会いたくて会いにきてしまう神様。かわいい…上から目線の神様じゃなくて、ウケ溺愛神様なのでそこかしこに愛が溢れています。

いよいよ神様が力を無くしかけたときに消えてしまい、受けの記憶が甦って助けにいきます。この行動力や良し。幸せは自分の力でつかまないとね!

再会してから思いを伝え会うまでわかっていてもよかった~よかったねぇ…と親戚のおばさんのごとく喜びました。

切ない…というレビューがあったので躊躇したのですがハッピーエンドというレビューもあったし、そらシリーズの作家さんだしで購入しました。

ラブラブのものが読みたい方は是非。
期待を裏切りません。
さてもう一回じっくり読み返して幸せのお裾分けをいただきます。

2

とても優しいお話しでした

コンビニのアルバイトの帰りに自宅へと歩いて帰る途中の横断歩道で、トラックに轢かれそうなところを貴琉は助けられます。

貴琉の身体は宙に浮いていて、着物を着た銀髪の美しい男性に抱えられていました。
その男性はジウと名乗り、助けた礼として貴琉の家に行くと言うのです。

家で寛ぐジウに何故だか離れ難さを感じて、貴琉は泊まって行けと勧めます。そして幽霊でも妖怪でもない不思議な存在であるジウを、貴琉は受け入れているのでした。

姿を消したジウと大学に行くと、突然に小学生の時に半年だけ滞在した小学校の上級生に話しかけられるのです。貴琉は彼の事を知りませんでしたが、貴琉は神隠しにあった子として小さな田舎の町では有名だったのです。捜索隊が山をしらみ潰しに捜しても見つからずに、1週間後にその山で発見された時には、貴琉にはその間の記憶が無く前髪が一房だけ白くなっていたのです。

ジウと一緒に居るのがますます離れ難くなった貴琉は、何かと理由をつけて引き留めます。その誘いに嬉しそうにして楽しんでいるのですが、ジウには何か思うところがありそうな表情をしています。

雨が続いたある日にバイト帰りの貴琉をジウが迎えに来ました。歩いて帰っていてジウに助けられた横断歩道に差し掛かると、ジウは飛んで帰ろうと言って2人は宙に浮くのです。その頃にはジウに対する想いは恋だと気がついた貴琉は、思わずジウの頬にキスします。驚いたジウに「ジウが好きだからキスをした」と告白します。ジウも貴琉にキスを返してくれました。

翌朝いつものように起きると、何か忘れている事に気がついて貴琉は不安に襲われます。そして家のあちこちにある痕跡に、誰かがいた事を忘れているのに気が付きます。ジウを忘れていた事に気が付いた貴琉は捜すのですが何処にもいないのです。

ジウが居なくなってから雨が続いたある日に、大学で話しかけられた半年間だけいた町の事を思い出すのです。髪が白くなってもそれが気に入ってたこと。忘れてしまったとても仲の良い友達がいたこと。そして唐突にその友達がジウであることを思い出しました。

ジウは山で迷子になった貴琉を助けてから友達になったのです。2人はいつも山で遊んでましたが、雨が続いたある日にジウは現れなくなりました。捜しに行った貴琉に弱ったジウが言いました。信仰が途絶えて山が荒れた事によりジウの住処の祠が埋まってしまい力が無くなったのでした。祠が泥の中で朽ちるとジウも消えてしまうと聞いた貴琉は、2人で祠を掘り起こそうとしました。

屋根の飾りが見えた所でそれが蛇だと気がついて貴琉はパニックになり、ジウから逃げ出す時に転んで怪我をするのです。ジウが手当てしてくれますが、ますます拒絶して酷い言葉を投げつけました。これが貴琉の神隠しの真相でした。

全てを思い出した貴琉は山に入ってジウの祠を探して掘り出して、ジウと再開して謝ります。そして何者でも好きだから一緒にいたいと告白するのです。

ジウは実は龍神で蛇は祠がある場所を守る眷属でした。貴琉が祠を掘り出したことと祈ったことでジウは消えなかったのです。

ジウはまっさらで無垢な存在なので、キスはしても恋人としてのセックスは出来るのだろうかと読んでいて不安でした。それは貴琉の精を飲むことで身体が変化して解決してました。 
初めての感覚に貴琉に挿入したジウがやたらと声をだすので、これが攻めの喘ぎかと思いながら読みました。ww

ジウが復活してから山にも息吹が戻って再生してました。ジウは人々に忘れられても祟り神にならずに消えてく運命を受け入れた優しい存在でした。手乗り龍の姿も猫のように貴琉にくっ付く龍の姿も可愛いのです。

無垢な龍神故にエッチは最後にしかありません。でも優しく素敵なお話しでした。

2

とても優しい話でした




作者買いです。いつも切なくて優しいお話を書かれる作家さんなので安心して読めます。今作の攻め様はあとがきで作者様もおっしゃっていましたが、ほんとうに真っ白でした。真っ白な天使のような受けの話はときどきありますが攻めが真っ白というのは初めて読みました。でも、攻めがまっしろだといろいろ進まなくて焦れます。(笑)


<あらすじ>
穂波貴琉(受け)はバイト帰りに交差点を渡っていると突然目の前にトラックが。
跳ね上がる身体に死を覚悟するのですが、待ち構える衝撃はやってきません。
もしやそのまま死んだかと思った貴琉ですが、近くから「まだ死んでない」と声が。貴琉は何故か美貌の男性に抱えられて空を飛んでいたのでした。
美貌の男はそのまま家まで飛んでつれていってくれ、助けた礼をしろというのです。何を要求されるのかと警戒した貴琉でしたが、ジウ(攻め)と名乗るその男は理不尽なことを要求することはなく少しの酒を飲んだりマッサージをさせたりするだけです。
家の中を探検するように見たり、食事をするわけでもなく貴琉が食事するのを楽しそうに見たり、風呂場に出現してはシャンプーを出して遊んだりと礼をしろといったわりには大したことを要求することもなく帰ろうとするジウに離れがたくなった貴琉はジウが大好きだというカレーを作ろうと言ったり、月見
酒やデートなどジウが喜びそうなことを提案して引き留めようとするのです。
ジウは人里に出てきたのはとても久しぶりということで何をみても喜び驚くのでそれを見ているのがとても幸せになるのです。


貴琉は過去に神隠しに会い、そのころの記憶がなく、それ以来友人は多くいましたがあまり人に深くかかわることなく生きてきました。それでも貴琉は自分の心は満たされているから恋人や親友は必要ないと思っていたのですが、ジウに会い今までにない満たされた気持ちを感じ、ずっと寄り添っていきたいと思うのでした。

幽霊や妖怪かと聞く貴琉に対し、ジウはそうであってそうでないとあいまいな発言をするにとどまっているので、正体は後半の方までわかりません。
それでも、貴琉と一緒にいることを楽しく思い何にでも驚きとても素直で無邪気な姿がとてもかわいらしいです。

ずっと一緒にいたいと思った矢先、ジオが突然いなくなってしまいます。

いなくなった直後、貴琉は完全にジウのことを忘れており、ふとしたきっかけで思い出し、それをきっかけに突然戻ってくるずっと過去の記憶。
記憶が戻ったことによりジウの窮状に思い至った貴琉が間に合うのかと本当にはらはらしました。

本当に真っ白な二人なので、再会してからも焦れ焦れです。
貴琉も忘れていたとはいえジウが心の奥底にいたので誰と深くつきあうこともなくきているし、ジウも全く真っ白。
突き上げてくる気持ちをどうしたらいいかわからずおろおろするジウはかわいいやら愛しいやら。
ジウは貴琉を大切にしたいと思っているので、つい出てしまう「待って」とか
「嫌」とかに忠実に手を止めるので、仕方なくもっとしてほしいと強請らないといけない貴琉の恥ずかしさに、にやにやしてしまいました。
二人ともいい歳(ジウなんてどのくらい生きているかわからないくらい長命)なのにビュアッピュアなのがかわいくてとても優しい気持ちになる話でした。


SSではクリスマスをお祝いしようと見様見真似でクリスマスツリーをつくって貴琉がやってくるのが待ち遠しすぎて迎えに行ってしまうジウの話です。
もみの木がないからと笹をつかって作ったクリスマスツリーに短冊を書こうと貴琉を誘う無邪気なジウがほほえましいやらかわいいやら。

二人が結ばれたことによりそれぞれ身体が変わったようですが、お互いがずっと
一緒にいられるといいなと思います。


3

今更ですがnatureの和訳って『天然』なんですね

ご贔屓作家の野原さんであるだけでなく、表紙絵の美しさもあってずっと読みたかった今作。やっと読みましたが、実に穏やかで心に染みるお話でした。

私は徹底的な『活字中毒者』で、イラストは好きであろうがちょっとタイプから外れていようがあまり気にならないのですが、これは「すごくいい!」。
金森画伯、素晴らしい!「ピュアとはこういうことを言うのね」と思い知らされた気分。くどいけどもう一度書きます。この本のイラストはすごくいい!BL本には何の為にイラストが付いているのか、よく解りました。

先に書かれた皆様が詳しいので、以下、面白いなと思った部分を。
父子家庭で一人に慣れているはずの貴流が、ジウを家に連れ帰ってから寂しさを知ってしまうんです。
大切な人が出来るって、そういう事ですよね。
一緒にいるだけで楽しくて弾むのに、その喜びには必ず寂しさが付いて来る。
いらんおまけです。
でも、絶対付いて来るんです。
ここの描写に、かなりやられました。

もうひとつ。
ぼんやりネタバレしますが、ジウは自然の象徴の様な存在で、『努力』などという人間的な営みとは別次元を生きているんです。
なので『滅び』に対しても、あくまでも受動的。
そんな事に気付いっちゃってから、ジウが「すまなんだ」と言う度に、私はなんだかとても悲しかったですよ。
貴流がその辺についてよく解っている子で良かった。一歩間違えればホント、とんでもない悲劇になっちゃう所だった……

ということで、じんわりと幸せな気持ちになったんですけれども。
実は最後に私の心が高潔でないばかりに、かなりニヤニヤすることに。
まぐわいについて何も知らない『真っ白な』ジウと、あまり性愛に興味を持たないまま大学生になっちゃった貴流のカップルです。
どうやって幸せになるかと言えば……
やってもらいたい事を正直に言うしかない訳です。
この、初心者同士の高度な羞恥プレイに、私のスケベ心が萌え悶えてしまいまして(笑)。
とことんピュアなお話なのに、ごめんよー。

3

人外の存在と判っていても

今回は受様を事故から救った人ならざる存在と
一房だけ白い前髪を持つ大学生のお話です。

受様が攻様との交流で失くした過去を思い出し
種族を超えた恋を実らせるまでと
クリスマスにまつわる後日談を収録。

親の離婚後は父子家庭で育った受様は
それなりに料理をしますが

現在、父親が長期の海外出張中で
今日はバイト上がりに弁当を買い
最寄り駅まで歩いて帰る事にします。

先週は例年にない台風で
半日大雨に見舞われましたが

台風一過は晴天続きで
秋の夜のひんやりした空気は
散歩には最適に思えたのです。

受様は髪の一部だけ色が抜けた
前咬みを弄びながら
信号の変わった横断歩道に
足を踏み出した時、

目の前に強い光とブレーキ音と
クラクションの音が重なり
大型トラックが眼前に迫ります!!

身体が宙に飛んだ受様は
自分がトラックに撥ねられて
死を覚悟するのですが
なぜかふわふわとした浮遊感から
抜け出せません。

もしかして即死したのか!?
と思いますが
死んだ実感は全くありません。

それもそのはず
受様は眩しいほどの銀髪の美丈夫に
抱かれて宙に浮いていたのです!!

この美丈夫こそ今回の攻様です♪

攻様は受様がぶつかりそうだったので
ヒョイと攫ったと言い
命の恩人である自分を家に連れ帰り
最善の礼を尽くせと迫ります。

助けられた受様に否やはなく
普通の一軒家である自宅に連れ帰りますが
攻様は何もかもに興味津々です。

攻様が人でないことは明白ですが
受様が礼としてマッサージをすると
ヒヤリとしていた身体が少し温み
なぜだか離れがたくなってしまいました。

受様はたいした礼もしていないからと
しばらく攻様を自宅で歓待したいと
思ってしまったのです。

あまり社交的ではない受様ですが
攻様との時間はとても楽しく
攻様を喜ばせようと料理をしたり
買い物に出かけたりします。

しかしそんな日々は長くは続かず…

攻様と出会って6日目の朝、
攻様は受様の記憶を消し
受様の前からも消えてしまいます。

消された記憶を取り戻した受様は
やがて攻様と過ごした過去までも
思い出すのです。

そして受様は攻様に会うために
攻様の住む山を目指しますが…

再会モノで神と人と言う垣根を超えた
ファンタジックな恋物語です。

受様は多忙すぎる両親により
一時期祖父母の家に預けられました。

受様はなかなか友達が出来ずにいて
地元の皆が立ち入らない山に入り
信仰という支えを失っていた攻様と出会い
交流を深めます。

受様は攻様を一番の友としますが
人に顧みられなくなっていた攻様は
自身が消えつつあることを自覚していて
受様から離れようとします。

そんな攻様の思いを知らず
まだ幼かった受様は決定的な誤りを
犯してしまいます。

その結果、
受様は山で失踪する事になり
前髪の一部の色を失うのです。

攻様の力は削がれ続け
受様は攻様を忘れたまま
2人は別々の道を歩みますが

攻様の住む地が台風によって
大きな被害を受けた事で
攻様は最後に受様に会いたい
と望んだことから
再び2人が邂逅を果します。

野原先生は伏線の張り方が
とても巧妙な作家さんなので

2人の過去と攻様の状況が判明すると
最初から奇妙な攻様の存在を
受様がするっと受け入れた事に
ストンと納得できますが

2人の接点の謎が解けるまでは
何となく落ち着かない違和感が
付きまといました。

受様の幸せを願い
ただ見つめているだけで
幸いと思う攻様と

失った過去がなくても
攻様の存在をそのままに受け入れ
共にいたいと望む受様。

2人がお互いの手を取り
共に進む未来を掴み取る終幕まで
ハラハラ&ドキドキで
とても楽しく読めました。

共にいる未来を引き寄せたのは
人知を超えた神である攻様ではなく
限られた力しかない人間の受様なのが
強く心に響きます。

神様は全能な存在ではなく
人間も弱く守られるだけの
頼りない存在ではないのです。

これからの2人には
また新たな難関もあると思いますが
互いの存在がそれぞれの力になる
そんな素敵な未来を歩んで欲しいです。

今回は神&人の恋物語から
雨月夜道さん『好千年恋空―ずっと好きな君へ―』
を押し作としたいと思います。
何度も邂逅する2人の想いに泣かされます。

5

可愛いんだよ

しみじみ可愛い。その一言に尽きる。穏やかな愛情話が好きな方にはおススメしたいです。現代日本舞台のファンタジー、「本編230P弱+これまためちゃくちゃ愛おしい後日談6P+あとがき」。兼守先生の挿絵がまたどれもこれも神絵でして(涙)二人縁側に並んでいる図など、幸せ溜息をつかずにはおれません・・・

お話は、自宅から2駅のところにあるバイト先から帰宅途中、貴琉(たける)が、大型のトラックに迫られていることに気付くところから始まります。死を覚悟したものの、地面にたたきつけられないので、?と思っていると、「死んでないぞ」「私が助けた」という声がかかります。男性に抱きかかえられて宙に浮いている状態で、とにもかくにも礼を言うと「お前の命の恩人だろ?」「お前の家に行こう」ということになり・・・奇妙な同居が始まります。

攻め受け以外の登場人物は、ちょっぴりいますがほぼほぼ二人でお話は進みます。

**以下は好きだった点

ジウが嫌味ない真っ白で、可愛くってしょうがなかったです。1回目読んだ時、特に前半、なんじゃこいつは???と凄く戸惑ったのですが、1回目読み終えた後にすぐ読み返すと、まあジウが可愛くってしようがない。あんなに頓珍漢な受け答えだったのにも全て理由があることがわかると、切なくて愛おしくて・・・。こんなに真っ白な攻めさんは久しぶりかも。いや初めてかもしれない。「すまなんだ」なんて言われると、どんなに怒ってても許してしまいそうなぐらい、好きでした、この穏やかな攻めさん。

真っ白なのに、後半の色っぽいところではちゃーんと思いがこみ上げて、二人で高みに上っていきます。この辺り、すんなり読めて、「あんなに真っ白だったのに、なぜこの色っぽい部分にすんなり移行できるの!うまいー!」と驚きでした。

この後どうなるんだろうと少々気にはなるものの、二人で寄り添い生きていくことは違いないようなので、本当に桃色吐息、幸せーな話でした。去年の魔王様がお好きな方は、これもお好きなのではないかな。

4

切なくもあたたかい物語。゚(゚´ω`゚)゚。

こちら、健気で純粋過ぎる「人ならざるモノ」と、そんな彼と共に過ごした大学生の、切なくもあたたかい物語。
結構、胸が痛い部分もあったりするんですが、終始しっとり優しい雰囲気で読ませてくれる作品でした。

ところで野原先生と言うと、一筋縄ではいかない、巧みな構成や予想外の展開で読ませてくれる作家さんだと思います。
今回もですね、ほのぼのからの切ない、そして驚きの真実と、緩急の付け方がお見事でした。
突然の驚きの展開に、愕然とさせられましたよ。



内容ですが、人外×大学生による、切なく優しいラブストーリーです。
幼い頃に神隠しにあった大学生の貴琉。
バイト帰りに車に轢かれそうになった所を、銀髪の不思議な力を持つ男・ジウに救われます。
命の恩人に礼をしろと家に押しかけられ戸惑うものの、共に過ごす事に深い安らぎと心地良さを覚える貴琉。
互いの気持ちを確かめ合いますが-・・・と言うものです。

まずこちら、受けである貴琉ですが、7才と幼い頃に神隠しにあっています。
で、現在大学生である貴琉ですが、何故か前髪の一房だけ白髪。
そして、その白髪の存在に何故か安心感だったりを覚えと言った所でしょうか。

対して、攻めとなるジウ。
空に浮き、銀髪の長髪で着物と、明らかに人間ではありません。
で、好奇心旺盛で強引かと思うと、妙に謙虚だったりもする。

この二人の同居生活が、ほのぼのキュンでして。
そもそも、ジウがかなり世間知らずなのです。
あからさまに人間ぽく無い言動を繰り返しておきながら、「ジウって人間じゃないですよね」と貴琉に聞かれれば、「なんと。よくぞ見破った」みたいな!!
いやもう、おトボケすぎる言動が、時に笑わせてくれ、時にジンワリさせてくれと言った感じで。

そんなジウと過ごす時間に、心地良さを覚える貴琉。
貴琉ですが、最初からほぼほぼ抵抗感無くジウを受け入れます。
あからさまに「人では無い存在」であるジウ。
どこか一歩引いていてすぐにでも去ってしまいそうなジウに対して、明日はこうしよう、これこれを二人でやろうと、懸命に明日も共に居られる約束を取り付けようとする・・・。
これ、ふつうなら違和感を覚えると思うんですよ。
何で出会ったばかりの人間でも無い存在に、そんな心を許して馴染んでるんだよ的に。
が、ジウの不思議でありながら魅力的な雰囲気だったり、貴琉の物静かなモノローグだったりで、違和感無く自然に読めちゃうんですよね。
あと、タイトルにもある「雨」が、この雰囲気作りに一役買ってて。
う~ん・・・。さすがの文章力です。

あとこれ、二人の真実が後々分かると、この部分の貴琉の心の動きにストンと納得が行くんですよね。
彼は彼で、無意識にでもジウの存在を求め続けていたのであろうと、胸がキュッと締め付けられるような気持ちになる・・・。
プロの作家さんに対して逆に失礼な気はしますが、非常に巧みです。

と、二人はたったの5日間、蜜月のような優しく穏やかな時間を過ごす。
そして起こる急展開-。
更に、貴琉の過去が語られと、ストーリーは続きます。

もうこれ、とにかくジウが健気で純粋すぎるんですよね・・・。
あまりに切ない過去に、心が痛んで心が痛んで。
この過去編では、貴琉はまだ7才。
ジウに対してあまりにむごい仕打ちではあるのですが、年齢を考えると仕方が無かったんだと思うんですよ。哀しすぎるけど。
ホント、たまたまの、巡り合わせが悪かったとしか言いようが無いんですけど。
また、自身の最期を覚悟した時に、最後にとジウのとった行動が切ない・・・!!
健気過ぎるよー!!( ノω-、)

そう、この作品を読んで一番強く心を打たれた部分て、ジウの健気さと純粋さなんですよね。
彼の事を考えると、心が張り裂けそうになるのです(´;ω;`)

とは言え、ラストはちゃんとハッピーエンド。
最後の方の二人ですが、超ほっこりなのでご安心下さい。
私は不憫受けが報われる瞬間と言うのが死ぬほど好きですが、今回は健気過ぎる攻めが報われる瞬間に滾りました。
と言うより、二人が報われる瞬間に、萌え滾った!!


あとですね、作者さんもあとがきで書かれてますが、ジウはとても世間知らずで真っ白です。
そして貴琉も同じく純朴。
そんなワケで、二人の初エッチが初々しい事この上無いのです。
まぁなかなか(ビギナー同士で)大変そうではありましたが、個人的にはそんな部分まで萌えちゃいました。ピュアなのは良い事だ!!

と、切なく優しい物語。
貴琉の前髪が白い理由が分かると、ちょっとホロリときちゃいますよ。
とても感動しました。


16

この作品が収納されている本棚

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