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設定がちょっと変わってるな~と思って、好きな作家様なのに、なかなか手に取れずにいたのですが、読んでみたら不思議さもひっかかりなく読めて、ほのぼの楽しめました。
”杜”というので、勝手に東北の地方都市を思い浮かべました。なんといっても受さんの設定が面白いんですよね。地方の名家に生まれてしまって、さらにその美貌もなんだか霊験あらたかな雰囲気だったりするから、周囲から色々期待されちゃったりして…という、非凡な見た目で平凡な内面をもつ受さんのコンプレックス、生きづらさの描写に感心してしまいました。ロングスリーパーっていう設定もなんだか新鮮。たまたま仕事で街にやってきた攻さんに一目ぼれした受さんが、玉砕覚悟でアタックしていく姿勢が健気で可愛かったです。素敵なひとに恋した思い出は片想いでも価値のあるものなんだ~という、作家様の視点が素晴らしいな~と思いました。んでもって、初心な受さんのピュアッピュアな気持ちを注がれる攻さんも、それにふさわしい素敵な大人なんですよね。受さんが負い目に感じてるところに、美点を見出してるところが愛だな!と思います。
そんな素敵な大人攻さんが、途中から露呈する意外な性癖がだいぶ好きでした( *´艸`)優しく、紳士的に意地悪する年上攻は好物です。若いころのハードスケベの様子が元カレに語られることによって、時間の経過や攻さんの成熟を感じられてw、受さんとの出会いはこの上ないタイミングとご加護があったんだな~よかったよかった~と思えるのでした。
凄く面白かったんです。途中までは…。
大好きな安西リカ先生の作品だし、包容力のある年上攻めだし、受けは神秘的な美貌の持ち主だけど天然で努力家で可愛いし、二人のやり取りにキュンキュンしながら読みました。
値賀に取り憑いた霊の存在も何となく分かってたんですが、終盤にその霊を値賀が降霊したときに一気に冷静になってしまったんです。
彼が紀州に信じて貰う為に口にしたプライベートの内容が余りに衝撃すぎてですね、一気に感動が薄れたというか知りたくなかったです。
その辺りの紀州のギャップが面白いといえば面白かったんですが、もうちょっと違う内容に出来なかったのかなと思いました。
ちょっとSっ気のある攻めは大好きなんですが、ちょっと引っかかってしまいました。
だから値賀の性嗜好が紀州の性癖に引っ張られる形で開花したのも、素直に読めなくなってしまいました。値賀が色っぽかっただけに残念でした。
紀州が値賀の家族に挨拶に行ったのはとても良かったと思うだけに、もっと違う切り口がなかったかなと思ってしまいました。
安西リカ先生の作品でこんなに引っかかってしまったのは初めてかもしれません。
あらすじは皆さん書いて下さっているので省略。
恋愛に至る(好きと認識する事だけではなく最後の展開が)説得力に欠けるというか、ラストのエロシーンまで少し速足な気がしました。
好きなのは分かるんだけど、感情移入して読めないというか・・・。
ファンタジー的な要素も現代モノの設定から少し浮いているような気がして、そこが残念でした。
キャラクターの好感度は高かったので、恋愛に踏み込んで書かれていればもっと評価は高かったように思います。
安心して読める点ではオススメです。
読後あとがきを読んで、この作品が雑誌の「年の差、かつ年上攻め」のお題に寄せた作品と知って、驚きました。
もし自分が「年上攻め」というお題を与えられたときに、「受けの一族は先祖代々、霊媒体質を受け継ぐ祈祷一家」とか「いかにも霊感ありそうなのに霊感皆無な受け」とか、「10時間睡眠が必須な事に悩む受け」といった背景を思いつけるかといったら絶対に絶対に無理で、作家さんの発想力の凄さに改めて驚きました。
私は、勇気を振り絞って告白したり、振られた後でも、ありがとうとさよならを言いたくてお別れに駆けつける受けの値賀ちゃんの一生懸命な前向きさに好感が持てました。
そして振られたけれど、攻めとやり取りをしながら
「ずっとあとになっても、きっとこのときのことを何回でも懐かしく思い出す。素敵な人に恋をするのは、たとえ失恋しても価値があるんだとわかった。」
と思うこの一文が、心に沁み入りました。
受けの値賀ちゃんはかわいいし、先述の一文に出会えただけでこの本を読んで良かった!と思えたのだけど、その後の展開でトーンダウンしてしまいました。
死んだ元恋人が、死の真相を伝えたくて値賀ちゃんに取り憑いてあれこれメッセージを送るのだけど、それを信じない攻め。
ついに業を煮やした元恋人の霊は値賀ちゃんに降霊し、俺しか知らないプライベートを明かして俺だと分からせてやる!ということで、攻めの性癖大暴露をしちゃうんです。
この展開はキッツイ……と思ったし、受けの言う事をなかなか信じなかった攻めが招いた事態なので攻めにもムカつきました。
付き合う前に元カノから「あの人、顔射好きだし、顔面騎乗位とか縛るの大好きなんだよね」とか聞かされた日には、気持ちが複雑すぎてついていけないし、あ……なんか無理……と恋が冷める予感しかないです、自分なら。
前半の素敵な大人という印象から、一気にここで顔射大好き野郎という印象にチェンジしてしまった……。
あと、おばーちゃん。
せっかく能力を封印するのなら、ロングスリーパーも封印してくれれば良かったのに……
文体というものはお人柄が出るものなのでしょうか?
安西さんの書く文章は読みやすいです。
そして、何故か解らないけれどじんわり来るんですよ。
優しい文章を書かれる方だなと思います。
イラストのカワイチハル画伯も癖がなくスッキリした『きれい系』。
お2人にね……良い意味で騙されました。
このお話、かなりエロティックだよ。
確かに濡れ場は少ないのですけれど、私は「ものすごーくエロいな」と思っちゃった。
主人公の値賀ちゃん(可愛いので『ちゃん』呼びを許して欲しい)はとてもピュア。
代々続く神懸かりの家に、冬の月を思わせる様な美貌とロングスリーパーという特殊な体質を持って生まれてきたが故に大きな力があるだろうと期待されちゃう。でも値賀ちゃんは霊視も降霊も出来ないのです。ただ『長く眠る』だけ。
値賀ちゃんは、そんな自分がふがいないと思っています。
出来ることを頑張ろうとしています。
でも、人より長時間眠ってしまう体質のためにままならないくて、沈んじゃうことも多い。
もう、このさわりを読んだだけでいじらしい。応援したくなります。
値賀ちゃんは、自分の住む町に仕事のため3週間ばかり滞在した紀州さんに恋をします。
紀州さんも値賀ちゃんを憎からず思ってくれている様なのですが、彼には恋が出来ない事情がありました。それが『神懸かり』と大きく関わっています。
あらすじはこの程度のご紹介で。
何がそんなにエロティックに感じたかと言えば、2人の『年の差』なんだと思うのですよ。
32歳と22歳なんですね。
で、22歳はその手の経験が全くない。
32歳は温厚で、思慮深く、周りに気遣いが出来る優秀な人。でも……夜は『単なるいい人』ではない。
そのことをとある事情で22歳が知ってしまうのですが「それでも好き」となったら、頑張ろうとしますよね?
世間ズレしていないピュアな子、あまり閨のことを知らない子が素直に頑張った時の破壊力と言ったら!
私、このシーンでは完全に紀州目線になってしまって萌え滾りました。
ピュアでいじらしくてエロいなんて、天使じゃないですか。
『眼福』ってこういうことを言うんだなぁ。