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表題作愛がしたたる一皿を

桐谷貴洋、フリーランスのライター
水崎侑也、フレンチシェフ、30

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

フレンチシェフの水崎には、十代の頃、母が殺人鬼に食われたという凄惨な過去があり、そのせいで人との接触が苦手だ。ある日、水崎は新規の客に自分の血が入ったソースを出すという最悪の失敗を犯す。だがその客、フードライターの桐谷は料理を大絶賛した。優雅だが強引に距離を詰めてくる桐谷を、苦手にも好ましくも感じる水崎だったが、彼が例のソースの「隠し味」――水崎の血の味に魅せられていることを知り……。

作品情報

作品名
愛がしたたる一皿を
著者
一滴しぃ(Si) 
イラスト
葛西リカコ 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラ文庫
発売日
ISBN
9784778126353
4.1

(39)

(20)

萌々

(13)

(2)

中立

(1)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
11
得点
159
評価数
39
平均
4.1 / 5
神率
51.3%

レビュー投稿数11

何これ、めっちゃ面白いけど、怖い

初読み作家さんでした。
文章も丁寧で読みやすく、とにかくストーリーが面白くて!
一気に読んでしまいました。

で!!
何これ、なにこれーー!?なんですよ。
めちゃめちゃ面白い。
フードライターと料理人の恋、なのですが、ひゃあ~っとなるほど、仄暗いんです。
お料理モノなのに、どうしてこんなに仄暗いの??
怖いんですけどー!ってわけわかんないぐらいです。

サスペンス色がありつつも、割と早めに主役二人は両想いになります。
接触嫌悪のあった料理人水崎は、初めての恋と桐谷との行為に溺れていきます。
エロい。
仄暗ーいストーリーの中に、更に暗さを足す性愛にめざめた水崎が、エロくてドキドキします。

とはいえ、この作品、ドキドキのエロさも霞むほど最初から最後までジワジワと怖いんですよ。
だって、登場人物全員、なんか怖い。
攻めの桐谷も、主役の水崎も、怖い。

二人のラブの背後に、水崎の痛ましい過去の事件が、チラチラと見え隠れするんですけど、それがねー、全編通して不気味なBGMがずっと静かに流れている感じなんです。
こういうの堪んない。好きだ。
余韻を残すようなラストも、私は大好きです。
にんまりしちゃう。


血や、あと残酷とも受け取れる表現が、割と頻繁に出てきます。
苦手な方は読み進められないかも。注意してください。

あと、気になったこと。
文章中「いく」と「ゆく」の使い方が私の目に慣れず、時々違和感を覚えたんですよね。
他の作品を読んでも、気になるのかなーと思ったこと。
もう一つ。
Si先生のプロフィール、得意分野「かわいく元気なお話」となっていたこと。

はわわわわ…。
…この作品に限っては、ソレはちょっと…なので…
先生の「仄暗くて怖いお話」以外の作品も読んでみることにします。

0

美しい相思相愛

 久しぶりにツンツンしていない受け作品を読みました。水崎の発する一言から心情や行動まですべてから、桐谷への愛が見えてすごく可愛かった。
 桐谷のことを誘惑する水崎がやらしいのなんの。

 一般向け小説は興味が唆られず読めないので、ミステリー(?)要素を文章で読めたのも新鮮で面白かったです。
 母親が客から言われた言葉と同じセリフを、桐谷にも投げたのを聞いた瞬間、私もゾワッとしました。コイツやん、って。
 緊迫した雰囲気の描写がうますぎる。一緒になって不安になります。
 後半の、水崎が誘拐されそうになるシーンはもう、ページを捲る手が止まらないほど集中した。

 一段落後の水谷が、軽めのヤンデレに入ってるのには興奮しましたね。

3

グロ過ぎる

うまく人柄が摑めない状態で、どんどん進んでいく感じがしました。
15歳で母親を亡くした水崎。母親は殺害されて食された。そんな過去のせいで、人との接触を嫌い、料理人として小さな店をギリギリの状態で切り盛りしていた水崎。
そこへ来たフリーライターの桐谷に雑誌で紹介して貰ったのがきっかけで店は繁盛。
桐谷との距離も近くなっていった。

セリフ以外は第三者が語るような書き方で、登場人物の心の移り変わりなどが、分かりづらく感じました。そのためか、人との接触が苦手な水崎が、桐谷がゲイだと知り好意を向けられて、自分の気持ちを知るためにいきなりキスをしたり、その数日後衝動で桐谷を店の上に自室に引っ張りこむのにも驚きました。
そこから、水崎は快楽を求めるのに変貌し、それに加え死と食の考えが渦巻くようになります。
元々大胆な人格だったのが、母親の事件により押し込まれていた感情なのでしょうね。
どうしてもそれがついていけず、またかなりリアルに動物の解体が人体の解体かのように描かれており、恐怖も感じました。本当に桐谷によって水崎が食されてしまうのではないかというオドロオドロしさです。
全て解決し平穏な日常になったように見えて。。。みたいな終わり方も、また怖さですね。

1

よい本でした

サスペンス要素がある作品でした。

最近は甘々なのしか読んでなくて、こういう本が出ていることも知りませんでした。出会いに感謝しました。

一般のホラー小説としても売っていそうな本。
BL読者的にはどうなんだろうと思いながら読んでいましたが、レビューを拝見して、面白い本は面白いと言っていいんだ、と自分の見識を改めました。
BL小説は奥が深い。まだまだBL小説作品の上澄みしか読んでなかったんだと反省しました。


人が人を食べたい、食べられたいと思う猟奇的な部分が、愛情と絡めてすごく上手く書かれています。

主人公は母親を殺されていて、殺された理由が殺人鬼が人の肉を食べたいがため(美食的な意味だと思うのですが)。
母を殺されたことがトラウマとなり、主人公がずっと囚われている部分でもあります。

母が調理していた鳩に自分を重ねて、自分も美味しく恋人に食べられたいと思う部分は、
読んでいる私にはそういう猟奇的な感情はないけれど、言ってることはわかる、という説得力がありました。
最後の一連の部分が好きです。ぜひ読んでほしいです。

表紙からも血を連想しましたが、作品全体ねっとりとこびりつく官能がとてもよかったです。

エロが生々しくて好きです。挿し絵も作品に合っていて素敵でした。

他の作品も読んでみます!

1

猟奇的で官能的

これほど“食べること”が“性的”に感じたのはこの本が一番でした。
シェフのお話なので勿論調理シーンや食事シーンが多数でてくるのですが、その際の表現がねっとりとしっとりと、そしてどこか少し猟奇的でそれが物凄く官能的に感じました。

ネタバレは控えたいので簡潔に済ませますが、あらすじにも書いている通り、主人公が血の入ってしまった料理を誤って出してしまうわけです。

一滴の血から魅せられてしまった男性と、自分の母親の「食人家に食べられる事件」とその他諸々の出来事が重なり、終盤には「自分の体液は美味しくて魅せてしまう」と信じてしまっているところも狂っていて、そこが良かったです。
比喩表現をそのままの意味と勘違いしていたことがわかった時も可愛すぎました笑

また母親の事件の話が解決するので、サスペンス要素もあって続きが気になり一気に読んでしまいました。
本当に引き込まれて気づけば少し泣いてしまいました。笑

しかも最後のシーンがまた究極に愛が溢れていてしかもすごく官能的で……たまりません。

主人公の愛についての考え方が、そういう愛の表現があることが素敵で感慨深かったです。
また、2人が大人なので当然なのですが感情の起伏が激しくなく読みやすかったと思います。

他の方も言っていますが、ある意味究極の愛、まさにその一言に尽きます。
本当にクセがあると思うので、食人などの表現が苦手だったり猟奇的な表現が得意でない方は少し控える、または心構えして読んだ方がいいのかなと思いました。

3

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