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久々に骨太のヒット作品でした。あまあまファンタジーBLとは一線を画す、ちゃんと人間ドラマを描いた作品。ちょっとおまけの神評価。
オムニバス形式ですが、タイトルになっているかつとしくんの物語ともとれる。
一夜の関係を結ばれた方の視点で描かれる1作目。これは新しいですね。遊び慣れたように見えるかつとしの、どこか狂おしく切ない面が、その男の目を通してえぐられる。
2話は、克利のルーツを描く作品。
女子に告白されて断り、その兄にいじめられそうになっていたところを先輩に助けられ、人付き合いがうまく優しい先輩に憧れるようになる。そんな先輩が、”好きじゃなくてもとりあえずキスしてみて、あとはのらりくらりしていたら向こうから振ってくれるから、恨まれないよ”と処世術を教えてくれる。そのことが心に残る克利。
ある日声をかけてきた男性に体を許してしまう。しかしその男にストーカーされるようになり、先輩に相談する。先輩は克利をふとかわいいと思い抱いてしまう。けれど先輩は一時の感情だよと、本気でなかったことを告げる。
ショートが1編挟まります。一夜をともにする男性視点で、1話の素になった作品かもしれないと思いました。
その後は、現在編。バーで克利に声をかけた”おじさん”。なぜか偶然出会うことが多く、克利はストーカーだと疑う。しかし、おじさんの方はだんだん克利を本当にかわいいと思うようになりー
ラストの克利の顔がなんともいえずよかった。
背中で語る表情の付け方や、背景、目線など、流麗ではないがうまい作家さんだなあと思います。
最後は、別の短編が1つ収録されています。何ともいえず人たらしな、優しく包容力があり楽天家の上司。ぐいぐい迫る堅物の新入社員との恋。こちらも味があってよかったです。
読み終わった後タイトルにかなり納得できる作品。
すごい作家さんが出てきたなぁと思いました。
親近感のわくポップでかわいい絵柄とは裏腹にどことなく寂しげで影のある演出、情景描写や語り口など、お話の見せ方が素晴らしい。
まず、コインランドリーで行きずりの関係となる相手目線から見た「謎の青年かつとし」に心を奪われてしまう。
そしてその彼がなぜコインランドリーまで足を運んだのか、
そこまでに至った経緯を描く「モノローグ」、
別の第三者目線からみた「かつとし」で彼の人物像が見えてきたところで
ようやく表題作「かつとし」に入る。
構成がとてもユニークかつ、最後の演出であっさりとお話を終わないところがとても面白かったです!!
同時収録のスウィートハラスメントは大きなドラマは起こらないですが
落ち着きのある、淡々とした理想のおじさん受けでこちらも盛大に萌えました。
オススメされて読んでみたらとっても面白かったです。表紙とタイトルのインパクト大。
「かつとし」って。
前半4話がオムニバス形式で「かつとし」周りのお話が進んでいきます。
後半2話はまた別の短編です。
1話目の衝撃ったらなかった。
不気味さも感じた。キュンとかない。
今日一日ツイてない主人公(1話目だけの)、自宅の洗濯機が壊れたのでコインランドリー利用してた
陽キャっぽいイケメンが着ているTシャツまでランドリーに放り込んで馴れ馴れしく100円貸してと話しかけられ挙句キスされてしまう。
100円返したいから明日ここで待ってると言われて悶々とする主人公。ノンケだし、厄介な人だなと思ってるのに一日中頭から離れなくて見に行ってしまったらいるじゃねーか!からの、自宅お持ち帰りの上に乗られちゃってるのですよ。
コインランドリーの得体の知れないイケメンの秘めてる淋しさを読み取ってしまってつい流されてノンケなのにオトコとSEXしてしまってるんよ。バックスタイルなのは自分に気を遣ってくれてるのかと思ってたら、「先輩っ!」って呟くのを聞いてしまって複雑で傷付いた気持ちで眠りについたら翌朝100円が机の上に置かれていて彼は消えていたって1話。
すごーく気になる。面白い!って掴みは大OK!
2話は、コインランドリーのイケメンくんの高校1年生の時のお話、3話は現在のワンナイト相手目線のお話、4話が表題作「かつとし」です。
すんごくよく出来たお話でした。
読み終わって4話の最初に戻ると成る程!となりました。確かに気になるわと。
BLというよりもかつて太田出版から出ていたエロティックスfに掲載されていそうなストーリーでした。わかりやすさよりも余韻を感じさせる。
後半のお話は、年の離れた先輩後輩リーマンラブ。こっちのお話も良かったです。恋愛を諦めた隠れゲイの主人公の心を落としにかかる新入社員イケメンくんとのお話。
この作者さんの他の作品も読んでみたくなりました。
シーモアで購入
修正の要らないアングル
ちるちるさんの作家インタビューを拝見して購入。ネタバレ含んでいます。ご注意を。
表紙の、気怠い表情で横たわっているのが、主人公・克利。
とある夜のコインランドリー。
一人の青年が洗濯が終わるのを待っているときにふらりとコインランドリーにやってきたのは、服がびしょ濡れの青年・克利。怪しい奴だと警戒するその青年ですが、フレンドリーに声をかけてくる克利と話をすることに。
その後身体の関係を持つ彼らですが、その事の最中に克利がよんだのは「せんぱい」という名前で…。
そこから少しずつ、克利の「先輩」への想いが描かれていきます。
先輩と克利の出会いと彼らの歴史。
ずっと先輩のことが好きだったこと。
けれど先輩にはそういった意味で応えてもらう事はなかったこと。
好きな人とは結ばれることはないと知った克利が、先輩の代わりとして求めたものは―。
主人公は克利なのですが、彼の気持ちは、彼と関わった男たちの目を通して描かれている。克利自身の言葉で、あるいは感情で描かれていない。その手法が非常にお上手で、より一層切なさと萌えが湧いてくる。ある意味王道なストーリーなのですが、その展開の仕方に引き込まれました。
克利はビッチさんなので濡れ場の回数は多いものの、直接的な描写はあまり多くない。多くないのだけれど、克利が見せる色気がなんともエロティックです。
最後に、克利が出会った「かつとし」との恋が、克利を救ってくれることを願って。
後半の1/3くらいに、別のお話が収録されています。
タイトルは『スイート・ハラスメント』。
主人公はリーマン・内藤。彼の働く部署に新人として入ってきた津村くんとの恋を描いた作品です。
人当たりがよく常の気遣いの人・内藤さんと、イケメンで寡黙な津村くんの恋のゆくえはいかに。
『スイート~』が面白くなかったというわけではないのですが、できれば1冊丸々表題作『かつとし』にしてほしかったな、とちょっと思ったりしました。できれば、克利とかつとしの恋がきちんと丸く収まるところまでを読んでみたかった。あの余韻のある終わり方も素敵ではありましたが。
カバー下に書かれているのですが、『かつとし』はそもそも読み切りだった話を膨らませて描いたもののようです。それなのに、「克利」という青年をこれだけ魅力的に描けている。上野さんのデビューコミックだそうですが、これだけのストーリーを描けるなんてすごい作家さんが出てきたなという感じ。
ただ、欲を言うと、絵柄がちょっと…、という感想も。
克利は非常に可愛らしいビジュアルという設定ですが、そこまでのビジュアルに見えないのが残念。あと、絵柄の書き分けが若干甘く、これって誰だっけ?という事も。非常に味のある絵柄を描かれる作家さんなので、今後に期待したいです。
なんとなく手に取った一冊。
でもすごく好きになりました。
こういう出会い大切。
「オートマチック・コントロール」~「かつとし」
唯一無二の雰囲気が味わえる仄暗さ。
ず~っと真夜中の誰もいない街灯だけの道から抜け出せない、
不安が付きまとうような感覚。
それから心地よい現実味のある人間性。
くすりとも笑えるところはなかったけれど、こういうのもいいなあ。
オムニバス集みたい。共通する登場人物は克利。
「かつとし」克利が気になるオジサン視点
過去のトラウマから、自分からいくのはいいけど相手からこられると拒絶してしまう克利。
バーで話しかけてきたオジサンの目的がナンパだと分かった瞬間冷たい表情でサヨナラを告げる。
再会した電車内でほっぺをつんとしてきたオジサンに見せた嫌悪の表情とその後ぐるんと後ろ向きになった克利が可愛かった。
不安定な後姿は守ってあげたいとは違うけれど、大事にしなきゃとは思わせる力がありました。
結果的に克利の笑顔が見られたので良かった。オジサン、かつとしをよろしくお願いします。
同時収録「スイート・ハラスメント」
上記の作品が陰ならこっちは陽。
堅物新入社員と恋愛離れしてたゲイのおじさん先輩。
ゲイじゃないけど押せ押せな新入社員くんとリハビリデートへ。
「内藤さん好きです」「・・・何となくそうかなと思ってたよ」の会話が好き。
多分津村が告白しなかったら、自分に好意を寄せてると知っていてもセクハラ云々で怖がって内藤は行動に出なかったと思うので告白してくれてよかった。
抱くつもりだったけど抱かれちゃうおじさん可愛い。ぽよんとしたお腹もよき。