葡萄瓜さんのレビュー一覧

イエスかノーか半分か 2 世界のまんなか 小説

一穂ミチ  竹美家らら 

ひとひねり

一人称小説に慣れている方ならおそらく
この話のノリは楽について行ける方では
ないかと思われます。
ただし登場人物との相性が悪ければ
かなり難航するでしょう。
その点に関しては運と縁ですねと言って
片付けるしか評者にはできません。
合わない所にわざわざ固執しなくても
よろしいでしょうし。

前作よりは心持ち甘みが増した感じは
致しますね。
ただまあ、甘味料の甘味ではなく
素…

2

イエスかノーか半分か 小説

一穂ミチ  竹美家らら 

最後のひとさじ

多分、この一冊に期待すべきは
蜂蜜の様な甘さでもシフォンケーキの様な
柔らかさでも綿飴の様な口どけでも
ない様な気がします。
甘さは確かにある訳ですがそれはどちらかと言えば
チーズケーキの甘さと言うべきであり、
しかも使われているチーズは一寸捻って
ゴルゴンゾーラチーズだったりします。
と、承知して読んでみると美味しい一冊です。
さりげない癖が思わぬ所で引っかかるので
万人向け…

3

緋痕の虜囚 小説

淡路水  逆月酒乱 

娯楽作として

BL作品に他のジャンルの要素を取り込むと
言うのは容易い様でいて実は難易度が
高かったりします。
ですので忌憚なく言ってしまえば…破綻無く
途中でツッコミを入れる事無く読み通せるだけでも
かなりの儲けものだろうな、と。
この一冊はそう言う意味では端正なのだろうと
評者は受け止めています。
その中でロマンスを変な方向にぶれる事無く
展開した筆の力を愛でたいですね。

視点を転じ…

1

春風のエトランゼ(1) コミック

紀伊カンナ 

そとのはなし

今回は一度仕上がっていた話をほどいて
少し縫い目をずらして再び仕立て上げた、
そういう印象を受けました。
そのせいか綺麗なんだけど雑と言う印象が
生まれているのではないかと思われます。
その雑さが作風から来るものか計算から
来るものか、それは作者さんの胸先三寸と
言う所でしょうけど、評者は後者に限りなく近い
前者と受け止めました。
そう言うものは腕のない人が真似ると
猿真似の域…

4

仏説ハイブリッド コミック

縁々 

かっとび真面目

BLすなわちボーズラブ…と言う短絡誤植は
何も昨日今日に始まった訳ではありません。
評者が小耳に挟んだ所では2004年、とある新聞に
そういう誤植が掲載され、波紋を呼んだとか
呼ばなかったとか。
かと思えば本邦の男色を描いた最古の絵巻では
僧侶が重要な役を担っていたりもします。
そう思い合わせると帯に出てきた切り文が
しみじみとしたものに…思えてきませんか?

表題作とその一連…

4

オタ恋トランスフォーム♥︎ コミック

縞島おせろう 

深くて暗い軽やかさ

あばたもえくぼ、と昔から申します。
その感覚をBLに導入して軽やかに仕上げたのが
この表題作でございますね。
もっともこの軽やかさの裏には深くて暗い部分も
しっかりとあります。ただ辛気臭くならない様に
描かれているだけで。
カバーと帯だけ見る限りでは普通に色物という
感じなんですけどね。
良い意味で『どうしてこうなった』と苦笑して
しまう仕上がりです。

併録作は併録作で重く…

0

部長はオネエ コミック

ながべ 

煩悶と試み

ある意味のネタバレになってしまいますが、
あとがきに記された作者さんの心情を読んでから
再読すると中々に巧みな作品である様に思えてきます。
多分BL界隈の縦軸と横軸が拡がった故に世に出る事が
できた作品であろうかと。賛否両論も込みとしまして。

少なくとも世界観を丁寧に描こうとされている
手応えは感じます。
こう言う舞台設定も奇抜さで売ろうなどと云う
浅墓な所から生じたのではなく…

5

愛しい彼はただの友だち コミック

牛込トラジ 

サンドイッチもしくはおにぎらず

箸休めもしくは食前酒あるいは前菜感覚で
戴くことが出来る程好い重みの作品ですね。
ただ軽いだけの味わいなら逆に疲れたりも
するのですが、勘所はきちんと押さえてあって
思った以上に捨て所がないお得な一冊に
なっていると受け止めました。
関門があるとすれば絵柄でしょうか。
ただ、絵柄で無理だと断ずる方は表紙を見た
時点で回れ右をしているでしょうから
実質的な差支えはないでしょう。

3

オロチの恋 1 コミック

雁須磨子 

微妙な天秤

これは…好き嫌いが綺麗に別れるでしょうね。
他所様に薦めるにしてもまず先様の好みを
把握した上で薦めないと気まずくなって
しまいそうなそういう癖を含んでいます。
ある意味王道ではあるのだと評者も頭では
理解しています。
その上で好みかどうかと問われたら、きっと
即答できません。感じる為に気合を入れないと
多分色々負けてしまうから。

感覚としては少年漫画の心情描写に近いのだろう…

0

12星座男子 コミック

紫妲たかゆき 

平均値

星占いありきで編まれた企画物短篇集ですね。
とりあえず渇きを癒やしたいという時には
程好い分量であるかと拝察します。
難点を挙げるならば、何故このカップリングかと
言う説得力が時々迷子になっていると感じられた
点でしょうか。
全ての星座の受攻タイプについて解説された上で
漫画で展開されるのは固定カップリング…。
企画物ですから余り多くを求め過ぎてもいけない
のでしょうけど、腑に落…

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