あんた、俺のこと好きなの?

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表題作一秒でも世界は変わる

九和哉・無花果名で有名な実力派デザイナー
山下翼・学生時代コンペ荒らしといわれたデザイナー

あらすじ

憧れていたデザイナーが所属する広告代理店に入社した翼。独創的なデザインをするその人の本性は、仕事は出来るが何かと自分にちょっかいをかけてくる厄介な人物だった。そんな男・無花果との攻防を続けていた翼は、ある朝目を覚まして呆然とする。裸の自分の隣で煙草を吸っているのは、なんとその無花果。昨夜の記憶はないものの、カラダには明らかな情事の跡……。問い詰める翼に無花果から放たれた一言は「ついうっかり」で!?
出版社より

作品情報

作品名
一秒でも世界は変わる
著者
火崎勇 
イラスト
高群保 
媒体
小説
出版社
笠倉出版社
レーベル
クロスノベルス
発売日
ISBN
9784773099355
2.7

(8)

(0)

萌々

(1)

(5)

中立

(1)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
3
得点
20
評価数
8
平均
2.7 / 5
神率
0%

レビュー投稿数3

熱血な新人デザイナー

憬れのデザイナーがいる代理店に入社できた受の新人デザイナー。でも、その憬れの君がなんともいいかげんな男だった、なんてところから話は始まる。
攻である憬れのデザイナーから、初対面でからかわれて素直になれなくなってしまった受。しかも、攻はあまり仕事に熱心そうに見えないのに結果は出すから、同じデザイナーの受としては打倒・攻の日常を送ることに。
でも、ホントは攻がデザインした作品についてなかよく語りたいなんて思っている受が可愛かった。しかも、この受が熱血で、口が悪くて、はねっかえりのノラネコ系(笑)
そんな受が、攻も可愛くないわけがない(笑)
ことあるごとに受をからかう攻だが、精神的には子供っぽい攻で、好きな相手をいじめる幼稚園生。
作者曰く、受はさらに子供で、イジワルされることをそのままイジワルだと受け取って、2人の仲は平行線のまま。
この辺りの兼ね合いが、デザインの仕事を絡めてうまく描かれてあった。
火崎先生には珍しくテンポのいい作品。
個人的にはイラストも萌え(笑)
身長差があるようなイラストは、受の元気ッぷりをさらに高めているように思える(笑)しかも、攻がめちゃカッコイー!

1

20センチもあるのね、身長差

攻・看板デザイナー無花果
受・新人デザイナー山下(25歳)

一言で言うなら「小学生のレンアイ」です(笑)。

社内コンペで最後はいつも無花果に負けてしまう山下。
いくらフレックス制だとは言え、無花果はほとんど会社に出てこないし、出てくれば自分をからかってばかり。
仕事は会社でなくてもできるとわかっていても、いい加減でだらしのない無花果に勝てないのがとても悔しい。

会社の飲み会でなし崩しに酒を飲みながら仕事の話をしていると、気持ちがわくわくします。
人間としては嫌なやつだけど、仕事は認めているしすごいと思っている。
仕事の話をするのは楽しい。

で飲みすぎて無花果にお持ち帰りされてしまいます。
最後までイタしてないのですが、それでもショックです。
しかも無花果は「ついうっかりと」なんて言い放つし。

「好きだから」とか「惚れてるから」とか「前から気になっていて」とか。
そういう気持ちを少しでも口にしていればよかったのですが、それをしなかったばかりにお子様な受は怒り爆発です(そんなところもカワイイのですが)。

仕事も出来るし、俺様で天邪鬼な性格の攻。
大人の対応でフォローすればいいのに、受と同じくらいかもっとガキなんですよ。
瞬間湯沸かし器みたいに「きーっ」て怒った受を見て、拗ねてしまうんです。
拗ねて不貞腐れてぐじぐじと悩む。
悩んでいる暇があったら行動に移せ、と読みながら笑っちゃいました。

カップル2人が子供なので、なかなか進展しませんが、無花果の友人で営業のエース真屋はとても大人。
受も攻も、相手は真屋が好きなんだ、と誤解してました。
でも彼のおかげで2人はどうにか気持ちを確かめることが出来たわけでして…主役カップルが感情的な人たちだと、近くにいる人間は冷静じゃないとダメですよね。

受の視点でストーリーは進みますが、攻が小さい受にベタボレなのは明らかです。
なんで気付かないんだろう?と不思議になるくらい、あからさま。
まあ気付かないからこそ、子供のレンアイなんですけどね。

社内コンペや、取引先の理不尽な行動とそのフォロー。
歯を食いしばりながらも頑張って仕事してる山下です。

仕事と恋愛と、バランスの取れた面白い作品でした。

0

好きな子を苛めたがる子供と恋愛初心者の恋物語

登場人物が好きになれないとストーリーは面白くても萌は生まれませんね。

山下は、先輩社員の無花果(ムカカ、ではなくイチジクと読む)が大嫌い。
だらしなくていい加減、適当に手抜きなのになぜかいつもコンペで仕事をとる”ズル”をしているに違いないと思っている。
なのに、何かとからかったり嫌がらせをしてくるからますます反発してしまう。
でも、嫌いと言いながら無視できない…という時点ですでに特別な感情があるというのがまるわかりです。

そして、無花果の方は後輩山下に会う前に「鼻持ちならない自信過剰なボーヤ」というイメージを持ちながら、会ったらそうじゃなかったとそのギャップと才能にひとめ惚れ?してやたらとかまいたがるのですから、こちらは好きな子を苛めちゃう小学生ですね。

この反発しあう二人がどうやって好きと自覚して、ラブラブになっていくのかなと楽しみに読みました。

でも、この無花果、酔った山下を『ついうっかり』でやってしまったり、ヤキモチでしゃぶってしまったりと、不誠実で言葉足らずの上自分勝手すぎで、読んでいてイライラするやつなんです。
何考えているかわからないし、努力するのがみっともないからちゃらんぽらんなふうを装い影では仕事をしているかっこつけヤローなわけです。

タイトルの一秒で~というのは、ひと目惚れってことでしょうか。
一瞬で好きになって世界が変わると?

山下が、仕事相手のミスを押し付けられたり、理不尽なリテイクをさせられる場面は身につまされました。

無花果の幼馴染の真屋は無花果(兄)に想いを寄せているらしい。
兄も弟に負けず劣らずいい加減でしょうもない男らしいです。どこがよくて…というのはスピンオフ『恋の一秒は千年の忍耐』に続きます。

1

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