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愛について勉強させられる作品でした。
一度読んだだけでは理解できない難しいところも所々ありましたが、もう一度読み直すとお互いに想い合ってることが端々から読み取ることができ、相思相愛の本来の形を見たような感じでした。
前作から、1人1人が成長していて時間の経過も感じることが出来、樋口さんの作品は凄いなあ‥と改めて思いました。
次回作もあれば絶対読みたいシリーズです。
鈴弥達も気になるし、青月の成長も気になるし、眷属達との新たな生活ぶりも気になるしで、ぜひ続編を希望したい作品です。
この物語の神界は、魂の色で美醜を評価します。なので闇落ち寸前の狗神を浄化した比呂は、世界一の美人と憧れの人になっていました。
狗神が、眷属を預けていた青月という狗神が、
大事な伴侶が身代わりになって死亡してからずっと、哀しんで闇落ちしてしまう。
青月が闇落ちすると、狗神が預けた眷属にも影響が及んでしまいます。
青月の事情を知った比呂が、気の毒な青月を救おうとしますが、
不安心配症の狗神が比呂を失いたくなくて 邪魔をします。
青月の問いかけへの答えを持っていなかったので悩む比呂。
比呂は、愛とはなに?全てが善くなる愛の在り方とは?と答えを探して模索します。
青月の愛とは何?の問いかけは、愛とは失うことの怖れ、失った後の辛さなのか?
比呂の答えを掴むまでの物語は、読者が比呂と一緒に愛について考えさせられることになるので、読者自身の今まで経験した愛を顧みることになります。
読者自身の人生の振り返りを誘う、愛についての物語でした。
狗神と比呂とでは子を成せないけれど
眷属に出産が代わりに起きるという一ひねりした筋書きに、感心してしまった。
サスガ。
「狗神の花嫁」の続編、人間の比呂が狗神の元に嫁いでのその後になるお話。
しかし、簡単に嫁ぎましたそしてめでたしめでたしにならない展開で愛するとは
やはり切なく苦しいものだとあらためて感じ入るストーリーになっています。
恒久の約束など出来ないかも知れないと、ファンタジーながらリアルな感情が溢れてる。
逆に神様だから、欲しいと思ったものや相手、気がついた時には崇めたてられ
愛され与えられてばかりの愛の尊さに気がつかず、そのわずかな片鱗を感じ取った時
心乱れ、人々の救いになるはずの神が自分を見失って頑是ない子供のようになる。
今回は前作の主役二人と深くかかわることになる同じ狗神が現れ、
愛とはいったい何なのかと問いかけてくるような内容でもありました。
神様でも愛する者を失う恐怖と不安は人間と同じだという内容で、
だからこそ深く愛し合う二人の間に不安の影がまとわりついている。
それは前作で狗神のかわり身となって比呂が死にかけてしまった事がトラウマに
なってしまっているようで、些細なことでも比呂になにかあれば深く傷つく。
特に比呂は、自分がいるせいでかえって狗神が幸せになれないのではないかと
思い悩むようになり、心に棘が刺さっているような思いをしている感じでしたね。
そんな時にもう一人の狗神であるもう少しで闇に完全に取り込まれ祟りが神に
なってしまうのではないかと言う青月と神々の宴で会う事になるのですが、
その神がキッカケで狗神と比呂が擦れ違いはじめ、周りを巻き込んだ騒動に発展する。
でも、このもう一人の狗神である青月、とても力のある神なのに、心が伴っていない。
まるで子供が身体だけ大きくなり、神の力を強大にしただけの危うい存在で
今回の結末で、青月の今後を是非読んで見たいと思いました。
そして大元の主役二人、夫婦としての初めての危機を乗り越えた感じでしょうか。
狗神が愛することの苦しさを受け止めながらもそれを上回る相手を思う気持ちで
心の成長があったような展開に感じました。
そしてあとがきでお知らせもあり、WEB雑誌のChar@で今回もイラストの
担当だった高星さんがこの作品の書下ろしに素敵な絵を付けて描いているとのこと。
これも読んで見たいと、嬉しいお知らせでした。
作者の樋口さんが、あとがきで「家族というものを書くのが好き」と言っておられた通り、愛とは何なのだとか、家族に対する思いってこうありたいとかを壮大に書き切った作品でした。
お互いがお互いを愛するが故に持つ不安や疑念。
受けの比呂が途中途中に発する言葉。
「俺がいないほうが良かったんじゃないのか」
「お前がいなかったら、生きていけない。でも、それでも俺は生きると思う」
「もう二度と、誰かを同じように愛せないって思う。それでもできるだけ周りを大事にして、幸せになろうって努力する。それはお前が今、俺を愛してくれているから」
もう、それが全ての結論だと思う。
「愛する人が死んでしまったら生きていけない」とよくありますが、ここでも出てきて、今回の最大のテーマにもなっていますが、すべてはこの結論に達するのではないだろうか。
死んでしまったら本人は楽になるのだろうけど、それが究極の愛だと言われるのだろうけど、本当に愛する人がいたのなら自分が死んでしまう時、たとえ自分が死んでしまっても
そのことを死ぬまで引きづり、ボロボロになってあっという間に死んでほしいと思うのだろうか。
これからも生きていかねばならない長い人生を、後悔のないよう、笑顔の多い幸せだと感じる人生を歩んで欲しいのではないだろうか。
そんなところに筆者は深く切り込み、きっとこれが樋口さんの伝えたいであろう、愛とはこうであってほしいということを存分に書ききっている。
攻めの狗神も単なる束縛男で終わらないのが良かった。
自分の比呂を愛する思いから発する、不安に駆られての嫉妬やヤキモチを存分に焼くのだが、比呂と本音を言い合い、存分にお互いの思っている不安を吐き出した後、すごく考えるのです。
比呂のこと、これからのこと。
そして終盤は、一回りも二周りも素敵に男前になった狗神がいるのです。
樋口さんは初読みで、この作品は小冊子欲しさにどれでもいいからと手に取った作品でした。
扉絵が大変にモフモフして、最近モフモフいいなあと思っていたのでそれに期待して前作があるにも関わらず、それを飛び越してとり合えず小冊子さえと思って買ったのですが、
思わぬいい買い物したと思っています。
こういう作者の私の考えはこうだ!これを分って!という作品は大好きです。
狗神の花嫁続編。
うーーん、私的に続編は前作より魅力を感じなかった…。
なんだか比呂の自分勝手さが全面に出過ぎてて、おばあちゃんの教えはどこいった!と心配になってしまいました。
比呂が身代わりとなって死にかけて以来、狗神は比呂がほんの些細な傷を作るのも厭う。
狗神にかつての眷属が戻れば、狗神も乗り越えていけるのではないか。
そう考えた比呂は、眷属たちを呼び戻したいと思うようになり──。
狗神のためにかつての眷属たちを呼び戻したいという気持ちは分かるし、なんとかしたいと動くことも大事だと思う。
だけど、狗神は何よりも比呂がいなくなることを恐れているわけで、仲間が増えようが変わらない気がするんだよなぁ。
自分がどういう立場なのか、自分で理解していなくとも、狗神や藤原の言葉をちゃんと受け入れて、行動するなら勝手にじゃなくてちゃんと話し合ってからしないと。
狗神のために狗神のために、と思っていても狗神に伝わっていなかったら意味がありません。空回りするだけ。
前作はその真っ直ぐさが好印象だったんですけど、今作はなんだかうーーーんと唸ってしまいました。
今回は狗神の成長っぷりが微笑ましかったです。
比呂のことをちゃんと考えて、自分の恐れと戦い、比呂を不安にさせない、と力強く言う狗神にジーンときました。
狗神の成長に萌評価!
これから狗神一家は騒がしくなりそう。
いつまでも『幸せ』な日々を送ってください。