コオリオニ(下)

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コオリオニ(下)
  • NOT BL
  • E-BOOK ONLY
  • R18
  • 神19
  • 萌×24
  • 萌2
  • 中立3
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
8
得点
120
評価数
28件
平均
4.4 / 5
神率
67.9%
著者
 
媒体
コミック
出版社
ふゅーじょんぷろだくと
シリーズ
POEBACKS ~ポーバックス~(コミック・ふゅーじょんぷろだくと)
発売日
価格
¥675(税抜)  ¥729(税込)
ISBN
9784865891454

あらすじ

1990年代、北海道――…全国を震撼させる警察の不祥事が幕を開ける。

道警のエース・鬼戸 圭介(きどけいすけ)の父親は鬼戸と同じ警察だった。父親は上司から命じられた汚職に歯向かったことで左遷され、それをきっかけに酒に溺れ母親への暴力を繰り返すようになる。自らの父親の不遇を目の当たりにしてきた鬼戸は父親の教え通りに「言われた通りのことだけをする」ことが人生だと思ってきた。全ての決断において周囲の期待に応えることを選んできた鬼戸。それさえ守れば自分は安泰だと信じていたにも関わらず、世間は彼を排除する方向で動き出す。潜入捜査の失敗後は以前にも増して汚れ仕事に手を染めるようになった鬼戸を警察は持て余していた。窮地に立たされていく鬼戸に、八敷(やしき)は自らが生きたいように生きることを説く。腐臭の満ちる組織が瓦解していく中で、鬼戸は最後の選択を迫られる。似たように見えて正反対に生きてきた二人の男で見せる魂のドラマ。

表題作コオリオニ(下)

鬼戸圭輔,北海道警察の警部補
八敷 翔,誠凛会塩部組の組長補佐

その他の収録作品

  • 第7話 オニごっこ(描き下ろし)
  • ロングキス フローズンナイト(描き下ろし)

評価・レビューする

レビュー投稿数8

コオリノオシロ

上巻のレビューを書いてから半年めにして、梶本先生が青年誌で復帰されると知りました。
休業宣言の裏ではいろいろ大人の事実があったようですね。
梶本先生の作品は何ていうのか、要求される水準が最初から高いように思います。内容がハードなだけに少しの綻びもごまかしが利かないような。
何はともあれ、また読めるのは嬉しいことです。

思えば上巻のレビューでは「怖い」ばかり書いていて(役ボ、押していただきましてありがとうございます)。下巻も鬼戸の闇に圧倒されますがそれだけではないですね。
下巻の始まりは、鬼戸の過去から。ヒトの皮を被った鬼の誕生が綴られていきます。
そこから現在に返り、ヒトであるのを止めた鬼戸が動きだします。
もう一人の鬼、屋敷と手を組んで。血まみれで破滅に行き着く男たちが描かれます。ですが、不思議にどんどん生き生きと、きらめいて見えてくるんですね。
bl的萌えがここまで薄い作品も珍しいと思いますが、鬼戸と屋敷がキラキラして見えてくる。
そして、二人の輝きとは対照的に哀しく浮かび上がるのが佐伯です。
佐伯の物語の陰にはごく普通の青年が垣間見えるんですよ。彼はたぶん続きディスレクシアだったと思われます。知能に問題はなくても、ちゃんと文字が書けない。それが彼自身のせいではないと分かっていたのだろうか。
周囲が気づいていたら、何よりも佐伯が分かったなら、その時から普通の男として生きていけたのではないか、なんて感じました。
それからラストですが、私は二人は死んだのだと思ってます。
「ロングキス、フローズンナイト」の二人はあらゆるしがらみから解放されて、あるがままになれた二人の意識下の姿なのでは、と。
ここの解釈は読者に委ねられたのでしょうね、生きていると思うもあり、私のような解釈もあり、でどれが正しいということはないでしょう。
それでは、梶本先生の今後の活躍が楽しみです。

1

地獄、完結

こういう世界が、多分本当に私たちのいる生活のすぐ横にあるんだろうなあ。
そんなパラレルワールドにも見えるこの世の地獄を描く「コオリオニ」下巻です。

冒頭は、刑事鬼戸圭輔の過去編。
公務員の中の公務員、身元が確かな者しかなれない警察官である鬼戸にも、信じられないような地獄の過去があった!鬼戸は翔と出会う前からすでに闇堕ちしていたのかもしれない。
そして警察もまた。防犯課長の言葉『ケイサツは、唯一の…我々異常者の砦じゃないか』。
「最終話 トケルオニ」のラストは、愛の成就のようでもあり、道行のようでもあり、生か死か、どちらとも取れる静かで安らかなエンディングだと感じました。

描き下ろし「ロングキス フローズンナイト」
いきなり明るく、生の輝きと翳のない笑顔がはじけている。このエピソードを入れて「コオリオニ」を完結させた作者様の心の動きがどんなものだったのか。
描き下ろしが無い方が多分「コオリオニ」上下巻の色合いは統一した、とは思う。でも、このエピソードが最後に入って、より一層暴力と死が楽しみや喜びの表裏に在る事、この世や人間というものは、喜びだけでは生きられず、同時続きに不幸のみで終わるわけでも無い事を描き出している様に感じられました。

3

ヤバイ男達が美しい

一読した際、最後の描き下ろしは始終救いの無かった重いストーリーだった本作の中ではかなり明るく感じられる話といった印象を受け、個人的には暗めのラストで終わった方が良かったのでは?番外編は不要だったのでは?と感じました。

ですがじっくり読むうちに実は結末はハッピーエンドともバットエンドとも受け取れる様になっているのではないか?と思い、ああ、なるほどな。番外編がある事でより深みが増しているんだなと。
作者様の力量に感嘆しました。

ちなみに私はバットエンドという風に受け取りました。凄く後味の悪い、それでいて爽快で、とても深く考えさせられる不思議な読後感を味わう事が出来、非常に満足です!

表紙や帯も目を惹かれるデザインです。読み手を選ぶ作品だとは思いますが、是非色々な方に読んで欲しい作品ですね。そして、またいつか作者様が復帰されたら嬉しいなと思います。

2

今年のこのBLが~に入らなきゃおかしいでしょ!

正直、人を選ぶ作品なのですが物語としての完成度は非常に高いですし、今年の「このBLがスゴい」の上位には入ってこないとおかしいです!作者の方が引退されたと聞いてショックです…。売れたらまた考え直してくれるかな…などと自分勝手な事を考えてしまいます。とにかく読んで損は無いと思います。BL界、たまにこういう天才が出てくるから腐女子やめられません(笑)。

1

難しい...

評価は中立にしましたが、決して話がいまいちというわけではなくて、
私がこの世界観、ストーリーについていけなかったからです。

ということで以下、ネタバレを含みつつおそらく的外れな感想です。


まず世界観にゾッとし、登場人物の狂気性にビビり、2人のその後を勝手に想像して不安になりました。

奥付に参考資料として北海道警やヤクザに関する本が数冊挙げられているのを見て、
ああ本当にこういう世界があったんだろうなと思うと少しゾッとしました。
それだけリアリティー満載な描き方だということであります。

そして登場人物に"良い人""正しい人"がいない。
そもそも正義の象徴である警察がヤクザと手を組んでいる時点で絶望的な気はしていたのですが、こういう"悪い人たち"がメインの話だと、それに立ち向かうもしくはその人達の中での希望となるような人物が出てくるという型に慣れてしまっていた私には若干衝撃でした。
このヒトだけは、と思っていた水谷さんも最後には盛大に裏切ってくれてね。
お前もか‼︎
また鬼戸、八敷、佐伯のどろっどろの本音というか人間らしさを見て、当分は他の漫画など続きを素直に読めないような気になりました。(ギャグ漫画とかなら大丈夫)
いわゆる良い人や正しい人が出ても薄っぺらく感じてしまいそうだからです。
そう思わせる程に人間らしさ、特に狂気性を丁寧に深く描かれているということなのですが...

この狂気性が怖い!
狂気性そのものがではなく、それを持った八敷がちょっとした拍子にプッツンして鬼戸のこともバッサリやってしまいそうな可能性がなきにしもあらずな所がです。
上下巻通して八敷の鬼戸に対する思いを見てきても尚、葛藤はあったものの佐伯にトドメを刺し、親父である塩部をあっさり捨てたり、"お友達"のロシア人を売ったりという所を見てきたら、八敷を信用できないのです。
(まあ私が信用しようがしまいがどうでもいいんですけどね^^;)

一方の鬼戸は...描き下ろしにてまさかの記憶喪失⁉︎
う〜ん、本編で綺麗にまとまっていたから突然の記憶喪失に驚いたものの、無邪気に仲良くしている2人を見られて嬉しいような、今までの鬼戸がいなくなってしまったのが悲しいようなもややーんとした気持ちになりました。


もう何度か読めば感想も変わるかもしれませんが、今の私には少し難しすぎるお話でした。特に2人の気持ちの面での関係性が。
自分の読解力のなさが悔しいですがとりあえずもう一度読もうと思います。

読むだけでけっこう消耗するので、これから読む方は「よし、読むぞ‼︎」ってなってから読むことをおすすめします〜

3

ふたり一緒なら怖いもんナシ!

下巻には6話〜8話+後日談が収録されていますが、こちらの7話がなんとまるまる描き下ろし!
BABYには、6話と8話だけ掲載されたんです。
でもこの7話がいっちばん大事だと思います!!
雑誌掲載時はとくに疑問も持たず読んでたんですけど、この7話があるかないかでこのお話の深みが全く違う。

6話では、刑事鬼戸の過去が。
両親のこと、妻のこと、犯した罪…
彼を創り上げた全てが明らかになると同時に沸き起こる八敷への疑惑。

7話から最終話にかけてがいちばん盛り上がりますね。
オニと化した鬼戸が八敷に吐き出した本音と流した涙。
鬼戸が初めて見せた人間くさい一面に、そしてそれを受け止める八敷。
この死に急ぎの異常者とも言えるふたりが涙して叫んだ『生』への希望。
このあたりがほんとうに感動的です。

“生きたいように生きる”
それはケダモノの生き方だと、ある登場人物は言うのですが、それは誰もが持つ欲で。
そしてこのふたりにとってはそうして生きることがいちばん幸せなんですね、もちろんふたり一緒に。

雑誌掲載時は死オチかと思っていて、それでいいと思っていました。
続き
でも巻末の描き下ろしでのふたりを見て、普通とはかけ離れて生きてきたこのふたりには、これくらいの幸せがあったほうが良いと思いました。

下巻はなんといっても描き下ろしが素晴らしい!!
コオリが溶けて、自分の望むように生きることができる城を見つけることができた。
ここまでたどり着くのがハードでバイオレンスすぎたため、
このふたりが今をめいっぱい生きて、そして未来を見つめているラストに胸を打たれました。
文句なしの神評価です^ ^

6

読みごたえ、たっぷりでした

絵の美しさにますます磨きのかかった、この下巻。
騙し、騙されの怒涛の展開。

え、なにこれ
なに、
なに!

それまで見ていた物、見えていた物の全てが、
見ていた、見えていたとおりではなかったとすれば、
自分でも、自分自身の姿が見えていなかったとすれば、

暴力的で過激な描写は多いですが、次々と展開し転回していく物語の密度と熱量は、なかなかお目にかかれない代物で、読後の充実感がたっぷり。
指でも耳でも剥がした入れ墨でも何でも喰う心意気で、しっかり楽しんで頂きたい。
ちゃんと最後には、アカルイミライ?が待っている。

5

人間讃歌

※結末についてネタバレを含みます。
未読の方は閲覧にご注意下さい。

下巻は、鬼戸の過去編からスタート。
その過去も衝撃ですが、上巻から周到に貼られた伏線にも驚かされます。

正義を貫いたがために左遷された、鬼戸の父親。
精神を病んだ父親に「言われたとおりのことだけをしろ」と言い聞かされ育った鬼戸は、進路も恋愛も全て他人に従い生きてきました。
警察官となった鬼戸は、下っ端ヤクザの寺嶋という男と身体の関係を持ち、彼を情報提供者として利用するように。
良家の子女と結婚し、道警でもエースとして一目置かれ、順風満帆に見えた彼の人生ですが…。
ある事件を機に、彼は自身の正体に気付いてしまいます。

父親のトラウマ故に、自分を殺し社会の規範に沿って生きてきた鬼戸ですが、本来の彼は躊躇なく人を殺せる「異常者」。
上巻で彼が八敷を抱きしめて言った「見つけた」という台詞はロマンティックな意味合いだけでなく、同類に出会えたという意味も持っていたのでした。

そんな鬼戸を、今度は八敷が救う第7話(56ページの描き下ろし)の展開は非常に感動的。
自身の残虐性を隠すことなく生きて続ききた八敷は社会的には異常者かもしれませんが、鬼戸にとっては本当の自分を理解し受け入れてくれるかけがえのない人物。
「悪党」同士だからこそ分かり合えた二人ですが、そんな彼らが無邪気にイチャつくシーンはとても甘く、上巻同様癒やし要素の一つです。

そうやって八敷と生きることを選んだ鬼戸は「異常者」に堕ちてしまったのか?
個人的には否だと思います。
クライマックスで黒幕と対峙するも、その人物を撃たずその場を去る鬼戸には人間としての理性と矜持が見てとれ、それは八敷を愛することで彼が得たものなのではないかと感じました。

【結末について】
雑誌掲載分の最終話の後に17ページの短編が描き下ろされています。
その短編はなかなか意外な内容で、一読後は、雑誌掲載分の最終話で終わって欲しかった想いもありました。
ある種オペラにも通じる、滅びの美学のような様式美を感じさせるラストを気に入っていたので。
しかし美しく死ぬことを否定し、ありのまま生きるよう互いに励まし合ってきた二人の物語としては、やはりこの結末が相応しいとも感じます。

曲者揃いの登場人物たちによる騙し騙され、殺し殺されのサスペンス展開も楽しめる本作ですが、一番のテーマは「人間讃歌」ではないかと思います。
孤独な二人が運命的に出会い、ありのままの自分で世を謳歌する前向きな物語。
その惹かれ合う理由が「悪党同士だから」という点が皮肉なところですが、一緒に過ごすうちどんどん甘く可愛くなっていく二人を見ていると、人間もそう捨てたもんじゃないなと思えてきます。

過激な描写が多いため万人向けではないかもしれませんが、緻密なストーリー構成と濃密な心理描写により与えられる読後の充足感は格別。
一人でも多くの方に読んで頂きたい作品です。

13

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