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表題作憂鬱な朝 7

久世暁人(久世家当主・学生・子爵)
桂木智之(久世家元家令・石崎家大番頭)

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

 「この手をを二度と離さない」──桂木との逢瀬でそう誓った暁人。桂木から初めて弱音を聞いた暁人は、改めて過去の清算を決意!!最後の生き証人である、病床の桂木高正の元を訪れる──。
 一方、激怒する石崎父と対峙し、叱責された桂木。工場経営での独断専行を咎められ、大番頭の職を解任されてしまい…!?

作品情報

作品名
憂鬱な朝 7
著者
日高ショーコ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
徳間書店
レーベル
Charaコミックス
シリーズ
憂鬱な朝
発売日
ISBN
9784199606977
4.8

(376)

(331)

萌々

(25)

(14)

中立

(2)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
26
得点
1799
評価数
376
平均
4.8 / 5
神率
88%

レビュー投稿数26

4巻に続く節目となる巻でした

ちるちるさんでは数年ぶりにレビューを書かせて頂きます。

今巻は、暁人と桂木、お互いの想いが通じあった4巻に続いて二つ目の節目となる巻ではないでしょうか。故に、1~4巻と5巻~7巻では萌えの方向性が少し異なる気がします。
1~4巻を第一部としますと、そこでは自分を疎ましく思う桂木に恋してしまった暁人が少しずつ成長していき彼に認められるようになる過程、そしてかつて憎んでいた存在をいつしか当主と認め、側にいたいと思うようになる過程が萌えポイントだったのではと思います。つまり、年下攻めが年上受けに"抱かれたい,と思わせることのできるほどに成長する点と、年上受けが葛藤しながらも年下攻めに惹かれ、デレていく点が魅力でした。
しかし5巻~7巻を第二部としますと、こちらは二人の愛がもつ揺るぎのないものになった上で展開されているお話になりますので、今までの"お洒落な上流社会の中で繰り広げられる年下攻め美人受けもの"とは少し異なる様相を呈しています。
端的に申しますと、"自らの守るべきもののために戦う男達のリーマンもの"です(笑)勿論、暁人や桂木が時代やお家に翻弄されながらも自分の道を切り開いて生きていくというところは当初から一貫しているところではありますが、無理矢理ジャンル分けをしてみました。この変化が一部の読者さんには"変わらず好きだけれども以前に比べてあまり萌えられなくなった"原因であり、また私のような一部の読者にとってはより萌えが加速した要因なのではないかと思います。
既刊を纏めて読み返してみたのですが、暁人への感情を持て余して葛藤する桂木の悩ましい姿や、凛々しく成長しながらも桂木にどこまでも執着し続ける暁人の強い眼光に(私が)果てしない萌えを感じたのが第一部。しかし第二部では、背水の陣で臨む株式や投資の勝負で競り勝つ桂木、政事や悪巧みを毅然とこなし全てを自分の思い通りに進めていく暁人、(そして暁人の信頼を得た後に桂木に劣らぬ才覚を発揮して彼らを助けるまでになった桂木高之)に萌えているではありませんか!(笑)
よく考えたらここまで毎日お仕事しているリーマンものや社会もののBLなんてそうそうありません。憂鬱な朝のもう一つの魅力は、暁人と桂木が成長し変わっていく中で、彼らも含めた働く男達の関係性や社会までもが変わっていくところではないでしょうか。

最後に少しだけ本編に触れますと、桂木が初めて家や暁人のためでもなく、ただ自分のために動くシーンがとても印象深かったです。正直、久世家の使用人を抜けば桂木と暁人の周りの人間は彼らに関わってあまり良い事態にはなっていません。どちらかというと彼らに振り回されて迷惑を被っています。しかし二人、特に桂木は今まで久世家と暁人のためにのみ動きそれらを黙殺してきました。そんな桂木が、自分の関わっている紡績工場とその社員を守りたい、そしてそのためなら石崎家にも歯向かうというのです。その中にあったのは、自分にしかできない仕事を続けたいという思い。その工場こそが、自分を超えるほどに立派に成長した暁人に対する寂しさと悔しさを募らせていた彼の見つけた、暁人の腕の中以外の心休まる"居場所"だったのかもしれない。そう思うと涙が止まりませんでした。

長すぎる上に何が言いたかったのか分からないレビューになりましたが、皆さんの共感や疑問の種になり、萌えの一助となれば幸いです。一文で言うと日高ショーコ先生は最高!です(ノД`)

33

萌え死ぬかと思いました

『憂鬱な朝』って、頭空っぽにして読める作品じゃないんですよね。話が複雑で、登場人物たちがみんな面倒な奴らばかりで(←褒めてます)。絵柄はどのページをとっても雑なところは全くない。日高先生の作品に対する愛情と真摯な想いが伝わってくるので、読み手としてもきっちり読み尽くしたい。

で、待望の7巻。

もうね、scene.34の扉絵が!すんごい可愛いです。
数年前なのかな。まだ子どもの暁人が、桂木にネクタイの締め方を教わってるシーンだと思われるのですが。
クールビューティーな桂木に、ベソかきそうな表情で必死にタイを結ぶ暁人。
もうこのシーンだけで萌えがたぎりまくってしまった…。

で、ここだけで萌えてる場合じゃないので、感想を。

前巻で暁人への想いを自覚し、伝えた桂木。
そして、その想いに応えたい暁人。

暁人は昔から桂木一筋なのだけれど、「自分が」どうしたいか、というところから行動していたように思います。それが、一歩引いて桂木のために何ができるのか、を考えられるように。暁人の成長ぶりが素晴らしい。

そして桂木のほうも。
暁人との行為によってつけられたキスマークや手首のあざを雨宮に見られ、指摘したほうが良いのかもじもじする雨宮に対して、

暁人様と私のことはもう諦めろ
私はもう抗うのを止めた

とスパッと言っちゃう。
もうだめだ。萌え死ぬな、これ。って思いながら読み進めました。
カッコよすぎだろ…!

暁人と桂木のカッコよさに悶えつつ、話自体はまた二転三転しています。

まず、桂木と石崎父との関係。
石崎父は商売人なので、そこでの駆け引きの勝負の行方がどうなるのか。
紡績工場の面々は桂木寄りだと思うので桂木に軍配が上がると思うのだけれど。ここでもサクッと「私は間違ったことはしていない」と言い切る桂木に痺れ、その後色々指示し利益を得るさまはカッコよすぎてどうしてやろうかと思うほど(オイ)。

そして、話は桂木の出生の秘密へと。
桂木のお母さんという人が出てきますが、すっごい美人。当たり前か、桂木の母ちゃんだもんなあ…。
で、この人がこれまた良い。野心家なんですね。自分の力で這い上がろうと画策し、実行する逞しい女性でした。賛否両論ありそうな女性ではありますが、個人的にはとても好きでした。
が、彼女が産んだ子(=桂木)が、結局誰の子なのか。

エチシーンは最後にちょびっとだけ。
苦労しつつ暁人の元へと現れた桂木が、自分からキスを仕掛け、そして事の最中に暁人へと笑いかける。
こんなん、暁人でなくても翻弄させられるわ、という桂木のデレっぷりにほっこりしつつ。

身体の接触は少ないのだけれど、確実に二人の距離が縮まってきているな、と実感する巻でした。

あとがきで日高さんが「予定通りなら次巻で終わる予定なのだけれど」と書かれていて、早く幸せになった二人を見たいという思いと、まだまだ終わらせてほしくないという思いと、相反する感想を持ちつつ。

あ、アニメイトさんのダブルカバーの特典付きのものとアマゾンさんのペーパー付きのものと複数買いしましたが、とりあえずアニメイト版のダブルカバーについて。

コミックをめくってすぐのカラーの挿絵のイラストのダブルカバーでした。
トーンは暗めですが、二人の表情は明るいし、手握ってるし、夜明けは近そうだな、と感じる。そんな絵柄でした。

21

桂木、覚醒。

 森山家の夜会の後の6巻で、ただぼうっと立ちすくんでいたかのように見えた桂木の時計が、またたしかに時を刻み始めました。「そろそろ本来の私に戻るべきだと思っただけです」激高する石崎父に一歩も引かず、啖呵を切ってのけた彼は文句なしにかっこよかった。ただ以前のように正確無比、目的のためならすべての感情を切り捨てて突き進むようなサイボーグの歩みではなく、時に立ち止まって振り返ったり、壁にぶち当たって思案に暮れたり、効率は決してよくない、でもきわめて人間くさいやり方で。しるべとなるのはただひとつ「こんなとき、暁人さまならどうするだろうか」欲も得もかなぐり捨てて、ただ工員たちの雇用を守るため、天下の石崎財閥を向こうに回して紡績工場の買収に奔走する。恋の悩みはひとまずおいて、目の前の仕事に没頭する。その姿は、あれほどかたくなだった兄高之らとの確執すら解かしはじめる。

 変わる桂木。そして暁人は、誰よりそれを喜んでいた。久世家のためでも、暁人のためでもなく、桂木が初めて自分のやりたいことのためだけにその手腕を存分にふるっている。「何事にも囚われずに進むお前を見ていたい」10歳の時から8年間、桂木のきびしく隙のない教育をたたきこまれ、その結果として今の自分があると身をもって知る暁人は、実は今でも誰より桂木がこわい。自分なりに苦心して、時間をかけて算段してきたものを、桂木の意に反するからと、あの夜会の時のように一瞬で覆されることがこれからだって何度もあるだろう。それでも、自分を殺して黙って暁人の意に沿う桂木をみるよりはどんなにかましだ。桂木を選んだ時点で、従順な恋人なんか暁人ははなから望んじゃいない。桂木が桂木らしく、はるかな高みで輝いていてくれたら、そこを指針に、また負けないようにと自分を奮い立たせることができる。この7巻まできて、二人が背負わねばならない重い宿命はいささかも軽くなったわけではないけれど、気の持ちようというか、ぐらついていた足場がしっかりと定まったことで(特に桂木。隠さなくなったし、逃げなくなった)うっすらとトンネルの出口の明かりも見えてきた気がします。

 この巻も200ページ超、コミックスとしてはけっこうな分量ですが、主役二人一緒のシーンはラストの鎌倉別邸だけと、思いのほか少ない。その分絡みは熱く濃く、暁人の英国留学前の最後の逢瀬かもというスパイスも効いて、いやがうえにも盛り上がります。とりわけ「あなたも私と同じ石鹸の香りがしますね」のとこで桂木が見せた表情!! これまでどんなときにもこの人に付きまとっていた険や陰といったものがきれいに取り払われて、ただ無防備に、好きな人にだけ向ける淡いほほえみ。そりゃ暁人が暴走しちゃうのも無理なかろうて。

 主役二人が直接向き合ってない間も、周囲の人間ドラマはさまざまに展開してゆき息つく暇を与えません。これまでもずっと、顔と体はゴツいけど癒しの言動で一服の清涼剤だった石崎が、この巻では桂木のヤケ酒に付き合って和ませてくれます。それだけに小ふさを巡る二人の対立の行方はとても気がかり。桂木ってひとは、暁人さま以外の人間などどうでもいいと言いながら、周囲の人を一人ひとりよく見てて、人と人をめあわせるときのツボも実によく心得てるので、任せとけば悪いようにはしないと思うのですけれどね。(あの西園寺さんが最終的には感謝してたくらいだし)
 
 次の8巻で大団円か、まだまだ続くのか。日高さんのあとがきでも五分五分といった感じで、個人的にはこの内容ならヨユーで2桁突破しても不思議はないと思ってます。だって1巻1巻のこの充実ぶり、この際だから日高さんには思い残すところなく描きたいものをすべて描き尽くすまで筆を擱いてほしくない。どこまでも見届ける覚悟はできてます。

20

2人の成長に影響される脇キャラにも注目

2人の恋路を応援していましたが、話が進むに連れ、
桂木の兄・高之殿がものすごく好きなキャラになってしまい(笑)
今回は高之殿好きの私としてはもうたまらない巻でした…!
久世家と桂木家との”決まり事”に縛られ続けていた高之殿が
ようやくその呪縛から解放されて事業拡大が叶うことに…!
自分の小さい頃の写真(黒歴史)を暁人に要求され動揺したり、
いい大人なんだから智之と仲良くしてくれと暁人に怒られていたり、
奥さんに養子を取ろうかと相談する(もといデレる)高之殿。
見ていてとても微笑ましいです。人間臭くて良いキャラですよね。
主人公の暁人と桂木の成長ぶりも素晴らしいですが、
それに影響された脇キャラもまた良い方向へ変化していってます。

他にもたまらない場面満載の巻なのですが、
やっぱり後半の鎌倉で再び暁人と桂木が逢う場面が一番です。
あんなに鎌倉に行くのを渋っていた桂木が、
夜も更けっていく中、急いで鎌倉へと向かいます。
大番頭と教育係を解かれ、精神的に参っているであろうところ、あの再会…!
桂木の目を見開いたあの表情、グっときました…!
思いが通じ合っている2人なので、その後の絡みの場面も甘く良い雰囲気。
暁人に微笑みかける桂木が美しく、柔らかい表情。
今までお互いが譲らず、ずっと対立し合ってきていたので、
桂木のあんな表情をされたら…暁人はたまらないに決まってる!!

翌日、縁側での会話。桂木がようやく鎌倉に訪れてくれて、
束の間の、2人だけの穏やかな時間。
暁人が「夢みたいだ」と言うんですが、桂木が「夢ですよ」と。
この桂木の台詞が切ない…。
この後暁人は留学してしまう為、しばらく桂木には会うことができない。
留学してまた一段と成長して帰国する暁人も見たいですが…
でもやっぱり一番見たいのは2人が仲睦まじくしている姿だから…!

予定では次巻8巻で終わるはず…だったそうですが、
現時点では確実とは言い切れず、もしかしたら9巻で終わる可能性もあるそうな。
9巻だと中途半端だし、まだまだ2人のイチャイチャが見たいので、
個人的には9巻で本編終わらせて、10巻でちょっと番外編みたいな感じを
やってくれないかなあ、なんて思っていたり…(無理でしょうけど!!)
何にせよ、次巻の発売もとても楽しみです。

17

鎌倉までたったの2時間

ストーリーとしては、桂木の方は石崎家を上手く飛び出して、桂木兄弟も和解の方向に向かっている感じ。久世家の方は暁人は鎌倉に籠っているし英国留学も控えているしで、まだどうなるのかは分かりません。でも、暁人と桂木は今回100%結ばれた感じがしました。

桂木がね、満員列車に飛び乗って鎌倉にいる暁人に会いに行くんです。一等車や二等車で優雅に旅した訳ではありません。どうしても今日行きたいと、乗った事もないギュウギュウ詰めの三等列車に乗って汗だくのススまみれホコリまみれで行くんです。暁人に乗りかかられて「待ってください・・・すす臭かったらもう一度お風呂に・・・」みたいなことを言っちゃうもんだから、暁人が萌えにプルプル震えたのち猛獣化しましたw 雨宮にも「もう抗わない」と言った言葉の通り、鎌倉に来た桂木は自分の気持ちに本当に素直で、暁人も初めて全てを受け入れられた気分になったんじゃないかな。暁人はもう終始メロメロ状態だったな。。今までエッチ中も感情や声をほとんど出さなかった桂木が、突然「んっ...や...暁人さまっ...!」ってなっちゃったもんだから、そりゃもう仕方がないよね。若いし。甘えたことを言っても優しく頭をなでてもらえる・・・暁人が小さい頃から桂木にしてもらいたかったこと、やっとしてもらえるようになったんだから泣きそうなぐらい嬉しいんだろうな。今回の暁人はすごく甘えんぼでした。

憂鬱な朝って起きたら横に桂木がいない朝のことだったんだろうか。今回初めて一緒に朝を迎えた2人。これからどうなっていくんだろう。表紙の背景も1巻では真っ黒だったのに、7巻ではほとんど真っ白な状態に。まだまだ先が読めないけれど、最後まで大切に読みたいです!

13

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