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表題作憂鬱な朝 3

久世暁人(久世家当主・学生・子爵)
桂木智之(久世家家令)

あらすじ

佐条公爵家の令嬢との婚約話が進行中の暁人。折に触れ、房子を訪ねながら、桂木に黙って当主権限を使い始める。また、友人・石崎の父親に面会し、媒酌人を依頼する。ところが石崎は、「今後の援助を惜しまない代わりに、桂木智之が欲しい」と難題を突きつけてきて・・・!? 美貌の家令と若き子爵が織り成す、クラシカル・ロマン最新刊!!

作品情報

作品名
憂鬱な朝 3
著者
日高ショーコ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
徳間書店
レーベル
Charaコミックス
シリーズ
憂鬱な朝
発売日
ISBN
9784199604782
4.6

(371)

(290)

萌々

(54)

(20)

中立

(3)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
27
得点
1729
評価数
371
平均
4.6 / 5
神率
78.2%

レビュー投稿数27

切なさ満載!!!!!

3巻です。
怒涛の3巻でした。
もう、桂木が!桂木が!!桂木が!!!

1巻からまた読み直してみたのですが、巻数が進むにつれて徐々に桂木の感情が見えてきて。
最初に思い描いていた図と現在の図が違ってきているのもそのせいで。
その思い描いていた復讐のような図さえすっかり忘れてしまうほどに、今現在の日々を送っている桂木がいて。
桂木とあるために、それだけを守りたくて大人になった暁人のやり方も含めてなんだかとても全てが愛しく思えました。
自分の卑屈さゆえに暁人を苦しめ傷付ける結果となってしまったことに心から悔いているような桂木が本当に切なくて。
普段の冷静な雰囲気とは裏腹にちょっとした暁人の言葉に揺れて、自分でも思わぬ行動をとってしまったり。
言ってることとやってることがバラバラな桂木。
その真実の想いが吐き出されることは今はまだ先になるのかと思うと、更に桂木の中に溜まって苦しくなりそうで。
互いが互いのためになんとか役に立とうとしているような姿も好き。

かなり静かな展開で始まった1巻から比べると、この3巻はかなり物語も感情も動き。
起承転結の「転」の部分に当たるのかもしれませんが、怒涛の萌えの連続でした。
切ないキュン死箇所もいっぱい。
暁人が桂木と在るために自分を殺さないとと言ってるところ。
自分の卑屈さが暁人に捨てるつもりだったんだと泣かせてしまったところ。
桂木の血統についてそれだけでもせめて繋がりができると暁人が言ったところ。
どれもせつない。
4巻で物語は終息するのでしょうか?
まだ、もうちょっと続くかな。
早く桂木が幸せになれるといいのにな。

CD化も決まりましたし、そちらも楽しみv
物語がかなり動いてる分、CDも萌えが存分に詰まりそうですね。

余談ですが、事後の暁人の褌姿に萌えましたv

8

近年稀に見る神作品…!

 これの連載目当てに、雑誌発売日に本屋に走って、さらに切り抜き保存という、ここ何年かの自分にはないくらいのハマリ度を示している作品です。
 1~2巻はわりと桂木!桂木!という感じだったのですが、3巻では、攻の暁人の精神的成長の著しさに惹きこまれました。
 安易な萌に走るのではなく、ストーリー、キャラをしっかり描きこんだなかから漂う萌要素という、まさに商業BLで求めているものが揃っていて、本当にお勧めしたい作品です。
 BLも1冊完結ものでなく、こうした3巻以上続くしっかりした作品をもっと出していってもらいたいなあ、と思いました。
 

8

謎が動き出した

読み終わった後、大作映画を見終わった様な
余韻がとても切なくて、胸が痛いです
本当にこの作品は、映画のようで秀逸です

クラシカル設定は苦手なので、購読を迷っていた作品だったのですが
手にとってしまったら、一気に引き込まれて読んでしまいました
時代背景など容易に理解しがたいし、難しい言葉も出てきます
でも、日高先生独特の丁寧さと綺麗な描写に、すっかり心をもってかれ
自然とじっくり腰を据えて理解しつつ読みふけった感じです
何度も何度も、桂木と暁人の心情を追って、読み返してしまいました

3巻では全ての鍵が開き、謎が明らかになり、山場にさしかかったのでしょうか
最後の方、桂木が自覚した暁人への言葉にできない想いが、形になったのは
読み手は少し救われましたが、二人が報われて欲しい
桂木の考えおよばない、暁人の自由さと一途さで、二人の想いを添い遂げて欲しい
4巻が本当に待ち通しいです

余談、雨宮がかなり胡散臭い・・・笑

7

桂木智之をえがいた3巻

表紙でふたりがどれほど近づき触れ合おうと、その姿さえ甘いものではなくむしろ哀しいくらいに寒々しくてほの暗い。特に3巻本編では雪のシーンが多く描かれているからでしょうか、温もりもあまり感じません。
冷たそうな体、手、指。そして桂木を手放さんとする暁人の思いも現れているようです。
(今更ながらに気が付いたのですが、もしかしてモノクロ表紙のときは暁人と桂木、それぞれが対になるような、もしくはそれを連想させるようなデザインなのですかね…! かっこよすぎて今一度失神)

桂木は先代久世子爵・暁直に対して感じていた絶望感(憎しみとは違うような気がします。憎むまでは…ないと思うのです。いくら久世家へ次代の者として養子に迎えられるはずだったとしても、そのために勉学やマナーのなにもかもを完璧に叩き込んだとしても、桂木自身、己がなにであるかを薄ら悟っていたからこそ…)を、暁人へ植え込もうと画策していたかつての姿を視ているシーンはとても鮮烈です。
なにせその直前、暁人とまたも交わって、しかも独占欲をむき出しにした暁人が付けたであろう傷に唇を触れさせているんです。これ興奮しないでなんていられない。
いやもちろん、ゆくゆくは暁人と桂木がなんらかの形での終着点を見つけて親密になるだろうことは重々わかっているのですが! 今までの桂木が見せていた頑なな拒絶から、見事に反転! 噂のツンデレ!!
あと述べずにはいられないのが、桂木自ら口づけしたところ!! んなもん、暁人だけでなくこっちも目が点です! まぼろしかと! 思った!

桂木家では腫れ物に触るように扱われていた幼い智之は、久世暁直に「秀でていたからこそ、目に留まり、そして惹かれた」と認められたわけですよね。ふつうならばこんなことを言われたら、喜ぶと思うのです。10歳くらいの子、少し照れながら元気いっぱいに頑張ることを誓うでしょう。
けれども智之は照れることも、喜ぶこともせず、自らに課せられた期待に応えようと大人みたいに決心する。子供らしいところはなく、それも暁直が智之を疎まない理由のひとつだったのでしょうが、だからこそ虚しさを覚えました。
完璧になって、居場所を作る。結果的に久世家当主の椅子はいまだ暁人の場所であるけれども、家令としてまた未成年である暁人の名代としての居場所を得ている桂木。
しかし3巻で、ついに暁人は桂木と「並びたい」という思いを実行に移し始めるわけです。
するとどんどん桂木があるべき場所が、失われる。いつかはそうなるはずだったけれども、暁人の手に手に移ってゆく。暁人自身が思わぬところで、桂木の漠然とした喪失感はまたも彼・暁人から与えられるわけです。前はまだいたいけな子供だった彼から、今は大人になって並びたがる彼から。形は違うけど、二度も。

そして“きく”は、直弥と暁直のふたりを知るからこそ桂木智之を貴い存在として受け止めていたのでしょう。
暁人がはじめて久世本邸に来た時、きくが言った「当主としての心得をしる得難い存在」というのも伏線で、すべてがここに繋がるのですよね。と同時に、きくは智之を次期当主として十分に認めていたのだろうな…。

桂木が今まで画策してきたはずのすべてが、いつの間にか暁人を守り暁人の力と地位を確固たるものにする、そのためのすべてになっていました。本来成り代わるつもりだった自分のことではなく、暁人のためになることばかり。
いつから、なんてことはもう分からないのですよね。そして絶望した暁人が語るひとつひとつはどれも真実だから否定もできない。心のことなんて語れない、現実主義な桂木だからこそ夢物語みたいな話はできないし、証拠を提示できないから反論もない。

言えないが積み重なって押しつぶされる。
なんて遠回りをするふたりなのでしょう。
はじめて、桂木自ら進んで暁人自身を口で致したり、頑張る交わりがひどく苦しくて切ない。全然幸せそうじゃない、悲しいのに、そこにある繋がりで保たれているような、不安定なふたり。

「全てがひっくり返るようなうまい手立てはないもんですかねー!」BY.りんざぶろう

6

変わったもの、変わらないもの

 表紙は暁人を胸に抱く桂木。めくったカラーイラストでは雪景色の中、暁人が後ろから桂木を抱きしめています。こんなに近くにいるのに、思いはすれ違うばかりです。

 桂木に少しでも近づきたくて当主として才覚を振るい始めた暁人。そこはさすが桂木仕込み。外野もりっぱだと認めるほどに成長しています。「ただ一緒にいたい」「そのためなら何でもできる」という言葉は嘘じゃなかった。
 先代に心酔する元書生の雨宮に知られた、桂木の出生の秘密。どうしてキクは桂木の承諾もなしに雨宮に託したのでしょう?桂木が久世家を継ぐことを望んでいたから?キクが真に仕えていたのが桂木の本当の父親の先々代だから?桂木の野心を知っていたから?確かに桂木とキクとの間には信頼関係があったし、桂木がキクを大切に扱っていたのも事実だ。現にキクの隠居後の住まいは桂木が買い与えたものらしい。暁人が初めて本家に来た日、なんだかキクがとても冷たく感じたのも、同じ理由からなのだろうか。今となっては余計なことをしてくれたなとしか思えない。暁人と桂木が心の底で望むものは単純なことなのに、彼らに関わる人間や『久世家』がそうさせない。
 それぞれの思惑に翻弄される二人には、どんなに近づいても本心は見えない。暁人と触れ合うことで変わってきた桂木の思いは、彼自身も説明の出来ない感情となり、時には先代のように冷静にやるべきことをやる暁人も、桂木の前では「絶対に離さない」「僕の一部が死んでも、残りがお前のそばにあればいい」「本当に好きだから信じられない」と感情を剥き出しにする。
 桂木には久世家を乗っ取る野心などとうに無い。暁人が桂木を変えた。「お前は絶対に変わらないんだな」なんて言った日もあったけど、桂木は変わったんだよ。周りがどう言おうと、先代みたいに育てたはずの暁人の心はずっと暁人のままで、変わらない暁人が桂木を変えたんだ。思いをそのまま言葉にして、暁人に伝えられたらいいのに。そして「二人は末永く幸せに暮らしました」っていうおとぎ話でいいから、もう幸せになってほしいよ!別の道を行こうとする二人に胸が痛くて馬鹿なことを考えてしまいます。
 この巻での二人の情事が悲しすぎます。「今日だけは」と自ら暁人に抱かれる桂木。「名前を呼んで」「声を聞かせて」と言う暁人に、本音が洩れないように声を抑えて、激しく求めあって体を重ねて、互いの心も見えるのに、運命は重ならない最後のSEX。桂木は本音なんて一度も言わずに生きてきたんだよね。本音なんて言える環境にはなかった。頑なな桂木の心を開くのはやっぱり暁人しかいないんだと思う。苦しいばかりの3巻だけど、日高先生ならきっと光を届けてくれると信じて見届けたいと思います。

6

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