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隣の嘘つき《小説版》

tonari no usotsuki shousetsu ban

  • 電子専門
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表題作隣の嘘つき《小説版》

高瀬、会計士、27
伊藤友一、IT関連サラリーマン

その他の収録作品

  • PRESENT FOR YOU(書き下ろし)
  • あとがき

あらすじ

須坂紫那作画「隣の嘘つき」の原作小説! ハイスペックな頭脳と容姿を持ち、人生に概ね満足していた高瀬は、彼女との待ち合わせのカフェでよく一緒になる友一のことが気になっていた。なぜなら彼の待ち人が男だったから。嬉しそうに同性の恋人を迎える伊藤の笑顔が、男性に惹かれる己を押し殺している高瀬には眩しかったのだ。彼女と破局しカフェに通うこともなくなるが、とあるきっかけで伊藤と再会し……? 書き下ろし後日談SSつき!!

作品情報

作品名
隣の嘘つき《小説版》
著者
安西リカ 
イラスト
須坂紫那 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
電子発売日
4.3

(48)

(28)

萌々

(14)

(3)

中立

(2)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
6
得点
207
評価数
48
平均
4.3 / 5
神率
58.3%

レビュー投稿数6

臆病な自分を捨て、受けを追いかけるヘタレ攻めに激萌え

あああ…ものすっごく、好きなやつだった…読んでる間中ドキドキと興奮が止まらなかった。。

全82ページの短編で、攻め視点の現代もの。攻め視点、大好きです。
小説だけど短くて短時間で読めて、最大限の萌えが吸収でき、読後の余韻にじっくり浸れる物語でした。

自分が男性に惹かれるということを認めること、周囲から奇異の目で見られることが怖く、カフェでよく一緒になる気になる男性に性嗜好を隠して近づいた高瀬。
逢瀬を重ね、相手も自分を憎からず思っていると確信し、最大限の勇気を振り絞って告白するも、トラウマ持ちの友一(受)には「女性も恋愛対象になる人とは恋愛できない」と断られー

と続くお話です。

攻めの持つ不安や恐怖心、そして受けの友一の抱える不安や是達に裏切られたくないという思い、どちらにも心から共感できるだけに、二人のすれ違いが切なかった…!( ; ; )

「過ちを認め、謝る」勇気を持った後半の攻めは、めちゃめちゃカッコよかった✨

これからも吊り橋を渡る時は二人手を繋いで、そして待ち合わせをした時は高瀬が友一を待って、友一のいろんな不安に寄り添って払拭していくんだろうな、と、攻めの成長っぷりと頼もしさに、くううっ!となりました◎

最後の受け視点の「PRESENT FOR YOU」も、とても素敵なお話でした。
恋人のために「何を選ぶか」じゃなくて、恋人が自分のために「選んでくれる」その事実が嬉しいんですよね( *´艸`)

友一はホワイトデーのお返しに、結局何を贈ったのかな?想像と妄想がはかどる、素敵なエンディングでした・:*+.

1

最後の多幸感

良かったー。
バイだな、そういうことにしておこうと婚約までしていた男と、いつも男の恋人を待っている男のお話。
今まで異性にモテて特に苦労してこなかったのに、友一に惹かれてデートして浮かれて、頭がいっぱいになって、告白して自分の狡さに落ち込んで。
突飛な演出がないのに面白い小説が読めて嬉しく、いーなぁ恋がしたいなぁって素直に思えました。
今まで恋で我慢する事が多かった友一が抱かれる時に気を使って、めちゃめちゃ甘やかされるのがすごい多幸感でした。
ノンケが今まての生き方や価値観を揺るがされたり、不幸受けが甘々幸せになる話大好きなので、しかも短めの尺なのに満足度が高くて神評価にしました。

2

読後は幸せに浸れる。好き。

導入からすぐにこの世界に引き込まれた。ありふれた日常の中に溶け込む自然な流れでの出会いと再会、心にひっかかるきっかけや関係の始まりもすんなり自分の中に落ちてきて、二人が恋をする前から応援体制に入ってしまっていた。あ~これからこの二人のお話が読めるのね、なんていう喜びが湧いてくる。

攻め視点で語られる小説で、高瀬はすごく平均的な考え方と価値観を持っていると思う。受けの友一と出会わなければ、およそ恋愛小説のメインにはなり得ないモブ以下タイプ。そうした普通の人間が自分の殻を破る恋に落ちる過程はやっぱり面白くて惹かれるものがある。
受けの友一は、心理面を描かれることがなくても、細かな動作やセリフからこれまでの辛い経験を想像させてくる。それでもネガティブになることなく、自分を貫いて生きている感じで好感度が高い。

ストーリーは王道。初めから漫画原作用として書かれたものなのかな?起承転結が分かりすぎるほどはっきりしていて、クライマックスは絵で見て派手になるような演出になっていた。上司の助言ではっと気づいて受けの元に向かう展開も、やっぱり王道。それでもちゃんと面白い。
少ないページ数の中で二人の中に生まれるはずのわだかまりをきっちり解消し、モヤモヤを残すことなく綺麗に終わってくれた。

とはいえまだまだ読みたい~と思っていたら、おまけの友一視点のラブラブエピソード。これは最高。読後は幸せに浸れる一作。好き。

3

心の声に急き立てられて

安西リカ先生作品の初読みです。コミックスの方は未読。

一読して、さすが人気の作者様の作品。とても読みやすく、心にすっと入り、それでいてグッと食い込むような。
自らの潜在ゲイ性に気付きつつもノンケ的ライフスタイルを送っていた高瀬。
そして、元々ノンケ男性の恋人と、女性との結婚を理由に別れて(捨てられて?)しまったゲイ男性の友一。
高瀬がどんどん友一に惹かれていきながらノンケの仮面を外せず、それでも抗い難く…という恋情の迸りに大いに萌えました…!
でも、高瀬はずるかったのかしら?
私はそうは思わなかった。
友一がもう女性と付き合える人とは付き合わない、と決心するのもわかるけど。
それでもね。
どんなに「自分はこれからこうするんだ」って決めててもさ。そういうもんじゃない…っていうか。
自分の恋人が、他の男性に惹かれて別れるのは許せて女性相手だと傷つくっていうのが、わかるようでわからない。「自分でない誰か」はいつだって「自分」より輝いて見えるもん。
ともかくも、高瀬はすぐに受け入れてくれるだろうと思い込んでいた友一から拒絶され、彼の抱えていた痛みを知り。
そして立ち上がり、勇気を持ってまた友一に向き合っていく…
ここがドラマチック展開でしたね。正に萌えどころ。
Hシーンでの攻め視点って少し珍しくて、本作でも同性との行為は初めてだったのに心も体も何もかもが疾って、相手への愛が溢れてほとばしる感覚、が新鮮。
さすが人気の作者様、やはり上手いな〜。これから少しずつ追っていこうと決めました。

6

我を忘れての告白シーンが素晴らしい

コミックの原作だったのね。ここに来て初めて解りました。
なのでコミックは未読です。
どんな風にコミカライズされているのか、興味があるのでコミックも読んでみたいと思います。
というのも、このお話って『体面なんかどうでもいい』と思うくらい人を好きになる話だからなんです。
実際に起きている事象よりも、ある意味『普通の日々』を暮らす中で変化する高瀬の内面を描いているんですよね。だから、決して派手なお話ではないんです。
この『情緒』がどういう風に描かれるのかと考えると、期待が生まれるじゃないですか!

あ、こちらの感想を書かねば。
「マイノリティにはなりたくない。出来るならば、女性と恋愛し結婚したい」と思う高瀬の気持ち、よく解るんです。
そりゃあ、何も好き好んで茨の道を歩く必要はないですよ。
でも、好きになっちゃったら、どうしてもそれが欲しいと思っちゃったら、飛び込んじゃうんですよね。
高瀬が、打算とか体面とかを振り捨てて、って言うか、その瞬間はそれを忘れてしまうほどの必死さで、そこに飛び込んじゃうシーンで感動を覚えました。
これぞ、恋!
で、飛び込んじゃった後に、やっと頭が働き始めた高瀬が、オープンゲイとして生きてきた伊藤の『今までの辛さ』を一瞬で理解するシーンも感動したのよ。
その立場になって初めて理解できることってあると思うんです。その理解の仕方を書くのが上手い。
「ドーン!(感動の第一波)」「ドドーン(感動の第二波)」と、たたみかける様に続くこの2つのシーンが白眉です。

コンパクトなお話ながら、唸らせてくださった安西さんに拍手!
後日談はやたら可愛らしくて「2人に幸あれ」と思ったのも付け加えておきます。

9

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