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嫉妬深い毒舌の先輩作家×健気な元アシの売れっ子作家
顔須先生初読みです。上巻のみの感想です。
絵、キャラの顔立ち、表情、アングルとかとても好み。
漫画家同士の話も好きです。
仕事のことや他愛ないやりとりをしながら2人の関係がわかってくるのがおもしろい。
好きなところをいくつか
事後、宇郷に呼ばれた余利の裸足の右足のアップのコマ。つま先立ちで宇郷のもとへ向かう気持ちが出ているなと痺れました。背景が黒いのが余利の複雑な心境の表現ですよね。
あと、宇郷がめんどくさい奴なのにそれでも余利が宇郷を好きなこと。
ベタなセリフはなく、軽口を叩き合うのが2人の性格や関係や気持ちや距離が伝わっていい。
余利「あのいつもの不愉快な宇郷でいる時の方が 宇郷はずっと誠実なんだ」←ここも痺れました。余利が宇郷のことをよくわかっていてそんな奴でも好きだとわかる。
仕事の様子を織り交ぜながらテンポ良く進むのがよかったけど、屋良と宇郷が山へ行ってそこからのくだりが少し長く感じました。
その分、その後の余利が怒る流れがしっくりきました。
や〜おもしろい。
人間のめんどくさい性分やどうしようもない思いとか描写がお上手です。
何気ない会話ぽいのに、ひょいと覗かせる表情とか、一言とかで、ああ2人とも相手のことが好きなんだなとか、喜怒哀楽なんとも言えない気持ちがわかるような描き方されるの大好きです。
下巻楽しみです。
捻くれていて強引で、そして自分勝手な宇郷と
そんな彼に振り回され、いつも流されてしまう余利。
…という、漫画家同士のお話でした。
最初は宇郷の身勝手な言動が理解できなかったし、こんな奴に流される余利もどうかしているんじゃないかと思ったのだけど。
読み進めると、自分の気持ちが相手に伝わらないくらいにめんどくさい性格から
宇郷の人間らしさが感じられて、それがなんだかクセになり、不思議な魅力に引き込まれました。
微妙に思考が交わらない部分で生きているようなふたりにはもどかしさも感じたけれど、そんなズレたやり取りも面白かったです。
見限られるような言葉を投げられ、宇郷の気持ちはどう変わるのか?下巻の展開が楽しみです。
雁須磨子先生の作品も読むのは2作品目ですが、作品の持つ独特な雰囲気に飲み込まれたら、そこは沼…と言った感じです。
攻めがイケメンとかスパダリとか受けがキュルンキュルンに可愛いとかでは全くない作風なんですが、人間の持つリアルな感情とか関係性を表現するのがお上手だなと思います。
本作の主人公2人は漫画家で、簡単に言えば先輩後輩です。
その人気度が対等、または後輩に追い越されそうになった時の両方の感情とか、さらに恋愛関係にあるのでその辺りの複雑さが相まってくると、お互いへの気持ちや態度にも変化が訪れたり、基本的な愛情の部分は昔と変わらなかったり…上手く纏められないですが、とにかく上巻は面倒な大人のお仕事LOVEというお話でした。
宇郷が素直になれる時は来るのか、いや素直になんてならないでいいのかもしれない。
よく分からない面倒な男が宇郷で、そんな宇郷を余利はきっと好きなのだろうから。
でもラストで愛想を尽かされてしまった宇郷…。
下巻も楽しみに読みます!
上下巻揃って最高でした。
と思ったらちるちるでは200点未満だったのですね…去年中に読んで投票しておくべきだったなぁ…悔しい。とにかく最高です。自分の中のベストBLのうちの一つになりました。
すみません、ひょっとしたら上下の区別がきちんとついてなくて下巻のネタバレを含むかも知らないです。
◾︎宇郷(先輩漫画家)×余利(人気漫画家)
あんまり色んなことを明確に描きません。宇郷や余利が作家としてどれほどのキャリアで、雑誌でどれほどの人気度なのか。漫画の良さは売れてることも一つの基準かもしれませんが、それだけでは計れないものが確かにあると思っていて。余利の作品の映画化やアニメ化にこそ言及されましたが、余利と宇郷の掲載順とかどちらが上かみたいなことは明確にはなってない。
上も下も結局は当事者の思い次第ですし、「そんなん言っても本当には上も下もない」はずだ。
千葉の分析にもありましたが、宇郷の作品の良さは彼のプライドの高さ(私はやっぱり彼はプライドが高いと思う。プライドの解釈の違いなのかもしれないけれど、千葉の語りは高さの否定でもない気がしてるがどうだろう)と、劣等感のバランスで成り立っていて、余利の眩しさに触れ続けるのは、彼の仕事に対しては毒なんでしょうね。だからこそ一度別れた。この辺が下巻でさらに強い毒として作用していきます。
上巻では余利がいかにチョロくて、宇郷に心酔し切っていて、でもクソだのバカだの言える関係性かが描かれます。で、宇郷もうまい感じに餌をやってると。かわいいって言ってみたりして。でも宇郷は嘘はついてないんでしょうね。ある種タチ悪く本音で生きてる。
宇郷が描けなくなって余利に電話しようとして、結局はネーム仕上げてるとことか、下巻読んでから見返すとしんどい。上巻での積み重ねが神がかってる。
漫画家同士の恋愛ということで、元アシで自分より後にデビューした後輩作家の方が売れて人気者になっていくことへの嫉妬や、映画化が決まったと思ったら脚本の内容が大幅に変わっており、作家本人が手を加えようとしても忙し過ぎて回らず結局白紙になったりなど、この職業の過酷さ、光の当たらない部分に焦点が当てられていて、時折苦しく感じるほどでした。締め切り前の徹夜が当たり前の世界。体力と気力を極限まですり減らして、なんとか繋がっている2人の関係性が切なかったです。
余利に対する宇郷の扱いは確かに酷いし、最後に余利がキレたのは当然だと思う。でも、宇郷の気持ちにもすごく共感するんですよね。自分の大ファンだった後輩が、いつの間にか自分より遥かに売れて、皆にちやほやされている。それで余利が自分のことなど忘れたとでもいうように薄情になったならまだしも、彼は未だに自分を純粋に慕ってくれて好意も抱いたままなんです。彼にマイナスな点が1つもないからこそ、自分の醜悪さが余計際立って辛い。しかも、自分も彼を完全にライバル認定することができず、まだ可愛いと感じることもあるし、好意を捨てきれないというのがまたタチが悪い。宇郷の胸の内がどこまでもありふれた人間らしく、読んでいて悶々とさせられました。この関係にゴールはあるのか、下巻の展開が楽しみです。