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ぼくは、恋人を壊すことにした。
あらすじが猛烈物騒なので、硯遼先生の『MADK』や朝田ねむい先生の『ディーン』のような路線なのかと思ったら、中身はヒューマンドラマ系でした。作風自体はほんわかしています。猟奇趣味のある人向けではありません。
危ない性癖を持った主人公の掌と、彼に目をつけられてしまった文具屋店主・蛍二郎の心理描写が繊細です。特に、心の中でアラームがびんびんに鳴り響いているのに、淋しいせいで退くに退けなくなる蛍二郎の心理が生々しかったです。
萌えを楽しみにするというより、心理描写メインの物語をじっくり読みたい方向けでした。
読後にジェイン・オースティンの「分別と多感」をふと思い出しました
全く相反する訳ではないけれど同軸ではない微妙な感情や歪み
同じような感情でも抱えるその人物の環境(年齢や家庭環境など含めて)如何によって成す意味は同じではない
とても複雑でありながら同時に実はすごく単純だったりする、、、人間の厄介さを至極丁寧に浮き彫りにした作品だと思います
攻めの掌はそれこそ多感なお年頃
その上不安定な母親に振り回されながらも自身の内に抱える「破壊衝動」を持て余している
このキャラを生み出し、描き切った事がこの作品の個性だし他とは確実に一線を画すBLだな、、、ってつくづく思います
受けの蛍さんもまた人間らしいです
痛みも狡さも知り、経験しながらもそれらを自身の糧として受け入れるにはまだ若い、、、それでも掌に比べたら十分な大人の年齢、、、
年齢が人を育てる訳でも経験だけが人の厚みを出す訳でもない
彼等を通して向き合って積み重ねて、そして受け入れていく事の大事さを感じていきます
「今だから分かる事」が増えて来たからこそ冷静に受け止めて読める作品かも知れないな~と思います
揺れ動く気持ちを整理出来ずに弱さと混同してしまったり、どうしようも出来ない環境への苦しさに当面した時期にもし読んでしまっていたら少し鬱屈としてしまったかも知れないな。。。なんて少し思ったりもします
いや?もしかしたら先に希望が見える、という点では読むべき作品となるのかも知れない。。。
印象深い作品です
糸井先生、、、ガッツリBLはもぉお描きにならないのでしょうか…?
また新作が読みたい作家さまです(ღ˘͈︶˘͈ღ)
今まで読んだことのないタイプの攻めでした。
傷付けることを目的としたサドではなく、粉々に破壊することを目的とした破壊欲求というのは珍しい気がします。
「え、これラブになんの?」と思いながら読み進め、読めないキャラの思考と展開にハラハラして面白かったです。題名が一番のキャッチコピーになってる気がする。
受けが攻めの目を綺麗と思っていましたが、攻めの狂気性を知っているとサイコパスの目にしか見えないw
できればネタバレなしで読んでほしい作品です。
あと受けのオンとオフのギャップが良い。
表紙がなんだか怖くて買ったはいいが放置してしまった。「世にも奇◯な物語」の夢男みたいな怖さがある。本編の北林の顔ともちょっと違う気が。
終盤、すごくドキドキしながら読んだんです。どうたたんでくのかなと。そうしたらのソレ。うーん作者の描きたかった部分がそこなら仕方ないんだけど、壊れた瞬間を書き、壊れてる間は省いて、再生を数ページ見せられてもついていけないというか、納得できないというか。ここまで紙幅を費やしたのに、そこはそんなに駆け足…自分は残念でした。
「鍋に火をかけたまま」って…「鍋を火に」ですね。編集さん気づいてあげてよ。
破壊衝動を抑えて生きるDK‥
なかなか衝撃的なお話でした。
それが異常なように感じているけど
誰もが胸の内に秘めている衝動が
掌にとっては「破壊」だったというだけ。
でもやっぱり悩んじゃうし
どんどんおかしな方向へ進んでしまう自分を止められないし‥
色々と葛藤しているところにリアリティを感じました。
家庭環境も複雑そうだったし
思春期特有の歪んだ悩みを持ってしまうのも無理なさそう。
一方で蛍二郎も過去を引きずり
「壊されたい」願望を持っている。
でも蛍二郎のそれは大人の逃げですね(笑)
だからこそふたりはお互い惹かれたんだと思います。
数年経ってまたふたり会えて
今度こそ一緒に居られるようになったのは
お話の着地点としては良かったです。