電子限定おまけ付き
『錆びた夜でも恋は囁く』のスピンオフとしてのかんちゃん(林田さん)の話が終結です。
先生の作品はどれも大好きですが、こんなにエロも極めながらとことんしんどくて、それでいて一人一人のキャラクターをちゃんと救ってくれる作品はないと思います。
数ある『夜明け』と呼ばれる作品でも1、2位に入るぐらいの代表作となったのではないでしょうか。
下巻は、秀那がとにかくいい男でした!秀那と出会って誰かを好きになる喜びを思い出したかんちゃん。それと同時にその幸せが手に入ってしまったら、また失うのではないかという恐怖も押し寄せてくる……この辺りのかんちゃんの葛藤が切なくて胸にしんどくきます。
けれど、追いかけて「好きだから」というシンプルな理由で一緒にいて支えようとしてくれる秀那。もう……最高に男らしい。いや、言葉は雑で丁寧では無いしかっこ悪いんだけど、全て林田さんに対する気持ちがこもっていて男らしいんですよね。
そんな気持ちを受け入れて照れるかんちゃんがまた可愛いです。
ここまで読者の心も救ってくれる作品はあまりないと思います。思わず涙してスタオベしたくなるそんなラストでした。
本編最初のエロシーンではまさかの潮吹きシーンもあります。特に番外編と描き下ろしのエロは頭抱えるので読みましょう。教科書みたいなエロの見本です(?)
まだBL沼初期、おげれつたなか先生と、はらだ先生を読んで沼に落とされ蓋をされた気分でした。
沼初期故に時系列バラバラに読んでしまって、どうしてあんなに素敵なかんちゃんがDVをしたのか不思議だったんです。まぁ読み進めていくとかんちゃんの周りの環境の悪さに驚愕とした。
初入社の会社ではパワハラ三昧、妹の学費捻出しなければいけないから仕事は辞められず、なのに恋人の弓はすぐ仕事を変える。仕事辞めたいってやっと相談出来たのに頑張れ言われるし、そこが分岐点だったんだね。
勿論暴力は絶対駄目だけど、壊れない方がおかしい位の状態で唯一保てる方法がDVだったんだろうなと同情してしまった。多分弓がずっと真山に心残りなのも分かってたはず。
最後弓を手放したのもかんちゃんの振り絞った優しさが悲しかった。でも弓はかんちゃんの笑顔も思い出せなかったんだよね。
もう2人は末期だったんだ。真山が救ってくれて良かった。秀那の存在も凄く大きくて、贖罪として笑わないって決めたかんちゃんだけど、やっぱり心の奥底に助けて欲しいって思っていて秀那を自分から誘ったのも自分へのDV自傷行為だったんじゃないかな。今まで期待される通りに動いてきた秀那。居心地を良くしたのは何も求めないかんちゃんだったからで、かんちゃんも恋愛なんて求めて無かったはず。でもあんなに可愛い笑顔と今のギャップを見たら気になるよ。秀那で良かった本当に。DVを知ったときも自分には関係ないって、何となく冷たいな違和感を感じたけどDVって一方的に暴力を振るうからDVであって対等な立場の殴り合いなら喧嘩なんだよね。
昔のパワハラ時代の時に出会ってたらそんなセリフは言えたかな。弓の犠牲の上に成り立っていて出会うタイミングも良かった。でも言える強さをもってる秀那の方が相性も合ってたんだろうな。もうそれからのかんちゃんはスッゴク可愛くて可愛くて!
最後は弓とかんちゃんが会うのかと思ったけど、会わずにアルバムを渡すとは。はぁーもう最後の最後沼落ちですよ。こんな素敵な終わり方ある?おげれつたなか先生大好きです。ちなみにペンネームはどうしたんですか?昔のtwitterに高校生かんちゃんと弓が見つめ合う2人の画があって、こんな幸せな時も有ったのね泣。パワハラさえなければ違ったのかな。
本当に素晴らしい作品です。ありがとうございました。
これ以上ないほどの幸せな着地点だなと思うと同時に、秀那と林田はやっとスタートラインに立てたのだなと実感したシリーズ最終巻でした。
ここまで長い道のりでしたが、どこか「秀那と林田のお話」だと感じなかったのは弓の存在が大きすぎだからなのでしょうね。
前に進むのも立ち止まるのも苦しい場面がたくさんあるなかで、秀那との未来を見つめながらも弓を忘れることができなかった林田。
それが自分への戒めで、秀那を失わない方法だと考えているなんて悲しすぎました。
区切りを付けなければ前には進めないことを彼もわかっていたと思うけれど、その心の中は周りが思うよりもずっと深く傷ついたままだったのでしょう。
そんな林田を動かしたのがやっぱり弓だったというのは複雑ではありましたが、秀那がいなければキッカケすらなかったことなので、結果的に林田はふたりに救われたのかな、と。
完全には拭えない過去だとは思いますが、一区切りつくところを見届けられたのは本当に嬉しかったです。
弓が荷物を預けるシーンで言う「元気でね」が、秀那の向こうの林田へ告げた言葉なのがかなりグッときました。
絡みはめちゃくちゃエロかったし、ふたりが想い合っているその気持ちが美しいなと思うところはたくさんあったけれど、それ以上の重たさが苦しくて目を背けたくなったりもして。
正直これが最善だったのか?という気さえしますが、彼らが選択した道を受け入れたいなと思えるような素敵なラストシーンに感動しました。
シリーズを通して読んだのでめちゃくちゃ消耗しましたが、それでも読んで良かった!と思える作品たちでした。
すごい良かったぁー…!
今までの暗くてどんより気味な気持ちが回復しました。上巻の小冊子読んだときは、とんでもない作品に手を出してしまったと思ったけど、下巻でリセットできました。
過去に囚われている林田と、未来を見据えて先に進みたい秀那の気持ちが噛み合わないままだったけど、そうしたやり切れない想いが、ついに通じ合いました(^ ^)
林田も過去を忘れたくないわけじゃなくて、自分への戒めの気持ちとあの頃のように自分も屈託なく笑いたい(もちろん秀那の傍で)希望的な気持ちから、過去の写真を剥がすことができなかったのかなっと思いました。元カレの弓がどうとかじゃなくて…。
今カレの秀那からしたら確かにモヤるけど、秀那の良いところはモヤッとした気持ちを行動や言葉でちゃんと林田に伝えているところですね。本当に林田のことが好きなんだなーってビシバシ伝わってきました。
林田も秀那を大事にしたいがために、過去の自分のしたことに怯えている様子でしたが、林田のそうした過去があったから秀那とも出会えたし、笑顔も取り戻せたし、また誰かを好きになることもできた。消したい過去も悪いことだけじゃないことを知って、共に未来を歩いていける秀那と心からの笑顔で生きていって欲しいな、と思いました。
私は弓の、自分では林田の笑顔を取り戻せなかった…と涙するシーンがすごく印象的でした。彼もまた林田のことを本気で好きだったんですよね、だから暴力にも耐えていました。結果的に別れて離れてしまったけど、弓にも笑顔でいられる恋人と幸せになって欲しいです。
秀那に抱かれてどんどん可愛くてエロくなる林田が最高です。2人のイチャイチャに全部気持ちもっていかれました。
満足のいく終わり方。読後感も良く楽しめました。
読み終えてみると案外盛り上がりがなかったように感じましたたが、はだける怪物は紛れもなく名作だと感じました!
まず、題名でかんちゃんが怪物と例えられている事にうるっとくるし、冷たい人に思われがちなかんちゃんの苦しい過去と秀那と出会ってからの変化に心が温かくなるからです。
ある日、秀那は知り合いの行きつけのバーで偶然弓と出会います。弓に厳つい顔が好みなの?とからかわれ、笑うと印象変わりますと照れながら秀那が答えたあと、弓は自分にはもうどうすることも出来ないが、かんちゃんが笑っているという事実に涙を流しているシーンは印象的でした。登場人物全員がそれぞれ違う形で幸せを感じていて良かったな〜と思いました!