「はだける怪物 (上)」特装版小冊子「薊」

hadakeru kaibutsu

「はだける怪物 (上)」特装版小冊子「薊」
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神3
  • 萌×23
  • 萌1
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

44

レビュー数
4
得点
30
評価数
7
平均
4.3 / 5
神率
42.9%
著者
 

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媒体
小冊子
出版社
新書館
発売日
価格
非売品
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はだける怪物 (上) 小冊子付き特装版

あらすじ

2015年刊行の同人誌「薊」(「はだける怪物」前日譚)の復刻小冊子。

表題作「はだける怪物 (上)」特装版小冊子「薊」

林田(かんちゃん),19〜20代前半
弓 冬次,19〜20代前半

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レビュー投稿数4

人の心が壊れる瞬間

BLを読んでいると、DVがテーマになっているものが多くあり、その理由をずっと考えていました。
多分これは男性同士だからこそ。男女間ではこうならない。
女性はどうしても男性ほど体の造りが丈夫ではないので、同じ勢いで殴られたらすぐ病院送りになるし、周りの人が不審に思って声をかけたり、話を聞いてみたり、対応が違う。
女性側も暴力を振るわれた経験がないから、警察に通報したり、シェルターに逃げたり、様々な対処法がある。
でもBLは男性対男性だから、そんな単純にはいかない。
喧嘩で殴り合いもするだろうし、どこからがDVになるのか線引きがまず難しい。
男女間のDVと、男性同士のDVは全く別物だと私は思っています。
だからこそこのテーマが多く取り上げられるのかな…と。

妹を芸大に通わせるため、あてにならない父親の代わりに高卒で働くことを決めたかんちゃん。弓のこともきっと幸せにしてあげたいと思っていたんだろうなぁ、この頃は。
なのに、入社した会社は後にニュースで問題になる程のブラック企業。かんちゃんの人格を否定するようなパワハラは見ていて吐き気を催すぐらい酷くて、何度本を閉じ、目を逸らしたかわかりません。
家で待ってくれている弓のために、大学に通う妹のために、そして母親のためにと会社を辞めず頑張り続けるかんちゃん。
…なんであの時会社から逃げなかったんだろう。
追いつめられた人間は視野が狭くなり周りが見えなくなるのはわかるけど、あの時逃げてさえいれば、きっとかんちゃんは怪物にならずに済んだ。

一緒に暮らす弓が唯一の救いだったハズなのに、責任のないアルバイトで、背負っているモノもなく、簡単に仕事を辞めてしまう弓にすらイラつき始めるかんちゃん。

人間はロボットじゃなくて生身だし、心もあるから、どんな人だって、ふとしたことがきっかけで壊れてしまうものだと私は思っています。
心を病んだかんちゃんは、弓を殴ることで自我を保った。そして妹さんが卒業するまであの酷い環境の中働き続けた。
DVはもちろん許されないことだし、弓にしたことは一生心に残り、お互いを苦しめ続けると思う。
でもかんちゃんはDVに走るか、もし違った形で壊れていたら自らの命を絶っていたかもしれない。
何も考えずDVする人もいるかもしれないけれど、かんちゃんは明らかに精神的に壊れていた。病院連れていかなきゃいけないレベルだったのに、そうしなかった(もちろん病院が何もかも解決なんてはしてくれないけど)。
そう考えるともう何とも言えなくて、かんちゃんを責める気にはどうしてもなれませんでした。

弓とかんちゃんの幸せな同棲生活と、ブラック企業で心を壊されていくかんちゃんの姿が交互に描かれることで余計しんどさが増してくる。
かんちゃんの心が壊れ、暴力を振るわれても受け入れてしまう弓。共依存に陥るまでをこれでもかとリアルに描いてくる。

あのラストは正解だったのか間違いだったのか未だに答がわからず悩んだままです。

一度犯してしまったDVという過ちはいくら悔やんでも消えないから、そしてかんちゃんは十分に苦しんだから(まだ苦しみ続けているから)、私は、かんちゃんには幸せになって欲しいです。

人一人の心が壊れるまでを描いたこの小冊子、やっぱり本編に収録して欲しかったな。

ちなみに薊の花言葉は「独立、報復、触れないで」だそうです。
かんちゃんが、心の根っこにある、しんどい部分を弓に打ち明けていたならば…。
男性だからどうしても弱い自分を見せたくはなかったのかな…。
一人で背負いすぎだよ、かんちゃん。まだ18歳なんだよ?

男性間のDVについて、働くことについて、いろんなことを考えるきっかけをくれた大切な一冊です。

1

DVの深淵

今ではすっかり無愛想で無表情の林田が、まだ「かんちゃん」だった頃の話。
かんちゃんも弓もまだ高校生で、就職の決まったかんちゃんは、バリバリ働いてガンガン稼いで、って将来を明るく見据えてた。
もちろん弓ともラブラブで、きれいで大好きな弓と一緒にいると仕事の疲れも癒される…
でも、かんちゃんの勤める会社はブラック企業で、かんちゃんは妹さんに送るお金の大変さと、会社でのパワハラ・モラハラに晒されて、次第に病んでいき。
一方責任もないバイトで、それすらも軽くやめたりする甘っちょろい弓に遂に何かがブチ切れる。

…かんちゃんに降りかかる上司や先輩の暴言、それらを読んでいると、本当にこちらの心も苦しくなり、これなら頭がおかしくなって弓を殴ってもしょうがない……?
いやいや、そりゃないよ。
でも、弓は逃げるべきだったと思う。
逃げずに殴られ、首を絞められ、何でそんな事になったのか。
好きだから殴り、好きだから殴られる。
苦しみをわかって欲しくて殴り、自分だけが受け止められるのだと殴られる。
それがDVカップルの深淵なんだろうなぁ。

かんちゃんと弓のリバは、私のすごく好きなリバパターンです。
攻め受け決まってなくて、流動的な所。(弓が攻めのH描写は無いのが超残念。)

0

林田さんが背負ってる十字架…

かんちゃんが弓にDVをしていた頃を描いた同人誌の『薊』。
DVをしていた理由が描かれていると風の噂に聞き、読みたい、でもいつかコミックスに収録されるはずと思ってました^^
特装版の小冊子としてですが、大事なエピソードがコミックスの一部となったことが嬉しいです。

本編のレビューでも書きましたが、私は林田さんとかんちゃんが同一人物には思えないんです。
頭ではわかっていても、罪悪感に怯える林田さんと、弓を物のように扱う怖いかんちゃんが、どうしてもイコールにならない。

でも本作で、弓への暴力をかんちゃん視点で語られたことによって、林田さんとかんちゃんが繋がる手がかりを見つけた気がします。

高校を出てすぐ、親に代わって妹を芸大に進学させるために頑張ろうとするかんちゃん。
でもそこはブラック企業で、人格否定の罵声を浴びさせられ、土下座までさせられる…心を壊されていく過程を見ているのが辛い。

そして弓は、弱音を吐いたかんちゃんを「頑張れ」と地獄に送り出し、壊れる直前のかんちゃんを救おうとしたのに救うことができなかった。

バイトをすぐに辞める弓の言葉に説得力はなかったと思う。でも弓が悪かったわけでもない、弓は弓なりにかんちゃんを心配して励ましていただけ…
想いは高校の頃のままなのに、境遇が変わって、タイミングがずれて、かんちゃんと弓はDV共依存へと堕ちていってしまったんだ…

家族への愛情と責任が背景にあったからって暴力が許されるわけじゃない。
でも暴虐無人でただ怖かっただけのかんちゃんの暴力の理由、かんちゃんの気持ちがわかって良かった。
誰かのために頑張ろうとするかんちゃんと、過去の自分に怯える繊細な林田さんにやっと共通点が感じられた。

そして過去の過ちを悔いて、変わろうと努力している人に、幸せになるチャンスがあっても良いじゃないか!
『はだける怪物 下巻』で林田さんが幸せになれますように。
本作を読んで、さらに強く願います。

1

この小冊子は、番外編ではなく本編の大切な一部

本編単行本+小冊子と合わせて全体的な内容としては神なのですが、
救いがなくかんちゃん好きには精神的に堪えるので萌え×2評価です。
(同人誌版と評価を同じにしています)


2015年に発売された同人誌「薊」の復刻小冊子。
漫画ページだけで46Pあり、厚みがあります。

同人誌版の方で内容のレビューはしてあるので、
こちらでは補足や書き足りなかったことを連ねたいと思います。

ちなみに、内容は同人誌版と全く同じで、加筆修正はありませんでした。
(少しだけフォントや写植の貼り方が違うぐらい)
同人誌そのままが1/2サイズになった感じかな。

加筆がなかったので小冊子付きにする必要なかったかなーと思いましたが、
そっくりそのままのミニサイズと同人誌を並べると可愛いのでこれはこれで満足v


この小冊子はかんちゃんと弓の高校卒業後〜のお話です。
時系列順で並べると、
・「薊」(かんちゃん視点)
↓「錆びた夜でも恋を囁く」(弓視点)
↓「ほどける怪物」(恋愛ルビ〜に収録)
↓「はだける怪物」
と、なっております。

他のレビューでもしつこいぐらい書いてますが…
明るく前向きで元気だったかんちゃんが、段々と蝕まれ、
身も心も削られていく内容ですのでゆるっと楽しめるお話ではありません。
しかし、今のかんちゃんを作り上げた大元の原因が理解出来るストーリーなので
これを読むのと、読まないのでは、かんちゃんに対するイメージが変わると思います。

特に「錆びた夜〜」でかんちゃんに嫌悪された方。
是非とも、チラッとだけでも、興味を持って欲しい。
暴力を振るって良い理由にはならないけれど、かなり心身喪失状態だったのですよ…。
最初は弓に気を使う優しい彼氏だったし、本当に弓が好きだったのですよ…。

しかし、徐々に歯車が狂い出す。

一番の影響はブラック企業のモラハラですが、
何も知ろうとしない、気付こうともしない、搾取するだけにしか見えない家族も一端かな。

その中で弓は弓なりに頑張ってた。
けど、かける言葉のタイミングが悪すぎた。

その後の明暗を分けたシーン。
本当は弓の優しい手のはずが、
闇に引きずり込む手になっている表現になってたのが切なかったです。

0

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