この瞳は、いつでもこんなふうに優しくて――

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表題作倫敦夜啼鶯

ロジャー・ハクスリー,30歳前後,不眠症に悩む内科医
ルーイ,16歳前後,美しい容姿を持つ浮浪児

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

類稀な容姿を頼みに幼い弟分とその日暮らしを送るルーイ。医者のハクスリーの元に身を寄せ、不眠の彼のため歌を歌うことに…。

ルーイは弟分のサミィの面倒を見ながらその日暮らしをする孤児。仕事で過分なチップを支払った紳士に返金を申し出たルーイは、歌うことを条件にその紳士、ドクター・ハクスリー宅に住み込むことに。不眠を患うドクターは、ルーイがサミィに歌った子守唄で安眠を得られたのだという。優しく温かい人柄の一方で生活力に難ありなドクターの身の回りの世話をし、夜は記憶の片隅にある歌を歌う。やがてその歌声は周囲の耳目を集めることになるが、孤児時代の自分を知られたくない思いやドクターへの想いでルーイは葛藤することに…。

作品情報

作品名
倫敦夜啼鶯
著者
夢乃咲実 
イラスト
八千代ハル 
媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
シャレード文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784576200750
4

(37)

(8)

萌々

(24)

(4)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
7
得点
149
評価数
37
平均
4 / 5
神率
21.6%

レビュー投稿数7

ドクターのためのヨナキドリ

泣けて泣けて。フェイスタオルで涙を拭い景品の薄いティッシュで鼻をかみ。

19世紀のロンドンかあ。残酷さとロマンがありますね。貴族や階級社会や浮浪児や。

なんという巡り合わせ!良かったね!
王道というのでしょうか?
心も外見も美しくさらに小さなサミィを養いその日暮らしを続けていたルーイ。
偶然ドクターに出会い…。

初めて安心して庇護されるあたたかさを感じられたルーイ。サミィにも絵本を買ってやれて。家事能力がない主人のドクターに優しい家政婦さん。
でもこのままいられるわけじゃない、いつかドクターは良いところのお嬢様と結婚し自分も用無し、サミィだって自分がいなくても生きていけるかもしれない…。
身を引くルーイ。だけど…。

良かったね(泣)こういうの弱いんです。
不憫受けが攻めに救われる。守るべきちびっ子もいて。
強くて美しいルーイ。ずっとドクターのそばにいて子守唄をうたってあげてね。

1

ドクターが素敵♡

「倫敦待宵草」が発売されると知り、購入して読んでみました。

とにかく攻めのドクターことハクスリーが素晴らしかったですね。理想の攻めではないでしょうか?

狡い男たちから植え付けられた価値観に、ルーイが雁字搦めになるのが読んでて辛く感じました。読み手からすれば早くドクターに相談してよ!って思うんですけど、ルーイは出来ないんですよね。美徳と言えば美徳なんですが、凄く焦ったくて、またそれがこのお話を盛り上げる要因になってるんです。

ルーイがドクターの為にと取った行動で、途中ピンチに陥るんですが助けに現れたドクターが素敵なんです。ルーイではなく弱者を搾取しようとする、権威を笠に着る人間が醜悪で憎むべきだと一刀両断なんです。決してルーイを攻めようとしない一貫した態度にキュンとしました。

途中何度かルーイが酷い目にあったらどうしようかと心配になりましたが、その度に救いの手が差し伸べられたので安心して読めました。

0

ロンドン舞台

八千代ハル先生の挿絵大好きなので購入。夢乃先生らしい、しっとり素敵なお話で、攻め受けとも嫌いではないですけど、強烈なインパクトは無かったので萌にしました。本編260Pほど。

身寄りなく、幼いサミィを抱えてその日暮らしのルーイ。ある日知り合ったハクスリーの家まで荷物を持っていくと、その家はなんだかとっても雑然と汚れていて・・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
サミィ(ルーイに懐いている孤児、言葉が出ない)、バリー夫人(攻めの家の家政婦)、ギャスケル夫人(攻めの家の料理人、私の方が絶対ましな料理作るわ!)、ロズリン嬢(攻めの遠縁)、シャンロン(テノール歌手)、やな奴少々。

++攻め受けについて

攻めはノブレス・オブリージュ実践なさっていると思うお医者様(伯爵家三男坊)。ほんとに善人だと思うし、夢乃先生の攻め様ですから変態臭ございません。寝ぐせついてても全く意に介さない、色事には疎そうなス・パ・ダ・リでした!このような「お上品な善人」はとっても好き。ただアク、クセがないから、他との差別化がはかりにくいなと思うのです。

受けさんは健気さんですね。幼いサミィを自ら抱えてどうする、君も身寄りない孤児なんですが?!とやや驚き。本当に劣悪な環境から脱出できて、攻めさんに見出してもらえて、良かったねと思います。清い心だからこその歌声が彼を救ったのかも。

攻め受けとも清らか善人と感じるお話でした。八千代先生の挿絵がほんとにぴったりでうっとりです。

0

BL版小公子 かな?

心が洗われるような物語。
著者は、この物語の為に物凄く資料を集めたとあとがきに有りました。
時代は、シャーロックホームズと同じころ。産業革命が起きて、工業化に伴い地方の農村から多くの人びとが労働者として都市部へ流れ込み、感染症;コレラと結核の大流行を起こしています。
そんな時代を背景にした物語。

歌が上手な金髪碧眼の美少年ルーイは、物心ついたときから孤児院に居た。両親の記憶はない。
生活の糧を得るために、何度か画家のモデルを引き受けたり、際どい男色家の相手をしたりして、その日暮らしを凌いでいた。
ルーイは、何故か「たった一人の為に歌いたい」と引退した、美貌のフランス人の女性歌手が数回公の場で披露した幻の歌を知って居た。
その歌を寝る前に歌って欲しいと要望を受けて、貴族出身の医師の家の住み込みの仕事を引き受ける。
ルーイが、子守歌の代わりに聞いて覚えていた曲が足掛かりになり、生まれてすぐに流行病で亡くなった両親の手がかりを得る。そして心優しい貴族出の医師の恋人と幸せになるという粗筋。

こういう物語を不憫受けというのかな?
大きな波乱がない、きれいなお話でした。

0

夜啼鶯は誰がために鳴くか

「倫敦夜啼鶯」と書いてロンドンナイチンゲール。
とても美しいタイトルだと思いませんか?
タイトルのイメージがぴったりと合う、非常にロマンチックで素敵なお話でした。

舞台は19世紀のロンドン。
記憶も定かではない頃に孤児となり、浮浪児として街の片隅でひっそりと生きるルーイが主人公。
今で言うストリートチルドレンですね。
救貧院でいじめられていた所を助けたサミィという、心因性のものが原因で口の聞けない小さな弟分を連れて、毎日を懸命に、必死に生きています。
食べるものすらままならず、時々舞い込む「いやな仕事」をしなければ暮らせない現状をどうにかしたいと考えています。

ある日、偶然出会った紳士のために馬車を呼ぶと、チップとしては高過ぎる金額を貰ってしまい困惑するルーイ。
また同じ紳士と出会った際に、こんなには頂けないと申し出て、紳士の荷物持ちを手伝い自宅まで一緒に運ぶ事に。
そのまま成り行きで家の掃除をする事になり、眠そうなサミィに子守唄を歌っていると、あまりの美しい歌声に惹き寄せられた紳士にもう1度歌ってくれとせがまれ歌いますが、歌い始めてすぐにサミィも紳士もぐっすりと眠ってしまいます。
そして後日、また同じ紳士が現れ「夜、私のために歌ってくれないか」と言われ…と続きます。


浮浪児として貧しい暮らしをしていた美しい少年が、優しく包容力のある大人と出会い救われていく…という王道のシンデレラストーリーです。
王道中の王道ですし、ストーリーにも派手さはありません。
ですが、何故だか品の良さすらも感じさせる魅力があり、お話の美しさにどうしようもなく惹かれてしまうのですよね。

まず第一に、攻めのドクターことハクスリーがすごく良い攻めで。
非の打ち所がない好青年と言いますか、本当に親切で穏やかで優しく紳士的。
伯爵家の三男坊という恵まれた環境で育っている事をきちんと自覚をしながら、困っている人や貧しい人のために自分が出来得る事をしたいと「ノブレス・オブリージュ」の精神を持ち、言葉にするだけではなく自然と行動で示している素敵な男性なのです。
貧富の差で生死が分かれるような世の中にしたくないと言う言葉の元となったエピソードも説得力のあるものでした。
しっかりとした信念を持って生きている姿に尊敬の念を抱いてしまいます…
けれど全てが完璧ではなく、いつも寝癖がぴょんとついていたりと、ちょっぴり愛嬌があるのがハクスリーというキャラクターの魅力を更に引き出していますね。

そして、彼に救われた少年・ルーイ。
この子がまた健気で、正直で綺麗な心の持ち主なんです。
日々を必死に生き、自分よりも弟分のサミィを思い、自分達を救い上げてくれたハクスリーのために何か出来る事はないかといつも考えているような子です。
そんな彼がハクスリーと出会い、あたたかな場所を知り、新たな世界を知り、さまざまなものを吸収しながら幸せになっていく姿をただただ応援したくなってしまう。
ハクスリーに対する想いが、感謝から尊敬、やがて淡い恋心へと移っていく様子も理解が出来るものでしたし、あんな素敵な人と出会ってしまったら惹かれずにはいられませんよね。
2人のゆっくりと進む恋の様子にも無理がなく、静かに丁寧に描かれていたのがすごく良かった。
まとまりが良く読みやすいです。
ルーイとハクスリーがおぼろげに覚えていた川下りの歌。
こちらの伏線回収も救いのあるもので、ここのシーンが本当に素敵でした。

いつか、ルーイが思う秘密の夢も叶う日がきっと来るでしょう。
古き良き、という言葉が合うかもしれません。
静かな雰囲気が漂う倫敦の美しい物語でした。

6

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