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僕は赤の他人にお金を払って“パパ"になってもらっている…。
SEの春樹は業務繁忙に加えて周囲の人間関係も上手く行っておらず、閉塞感に満ちた生活を送っているが、唯一、偶然出会った52歳の灰田と交流を持ち、自分の父親の振りでオフの時間に会うなどしている、というお話。
ゲイバレして以降、家族との折り合いが悪くなり、子供の頃から仕事一辺倒の父親と仲良くできなかったことも相俟って、灰田と食事したり遊んだりすることで、父との交流をやり直している。一方、灰田も離婚したことで娘と長いこと会えていないことから、春樹との交流で父親らしさを取り戻している。
最初のうちは、春樹がお金を渡している場面があるのですが、途中から無くなります。
二人で多くの時間を過ごすうちに、二人の距離がどんどん狭まっていて、最後には父と息子というだけにおさまならない要素が見え隠れします。
私は個人的には、父と息子のままで、無理に恋愛要素を持ち出さなくてもよいように思いました。
もっとも本当に少しの要素なので、取り沙汰するほどのこともないかも知れないですが。
本当の親子関係よりも親子、みたいな感じで良かったのではと思いました。
雨の日、童心にかえった春樹が灰田と動物園に行くエピソードがあるのですが、これはとても良かったです。
春樹が前の晩わくわくして眠れなかったり、動物に気を取られて灰田がトイレに行ったことに気付かず、居ない!とショックを受ける場面など、子供みたいに素直で可愛かったです。
色々予想外な展開でした。
緒川千世さんの非BLかあ、どんなお話かなあ…と思って読んでみたら…。
あ〜やっぱり緒川千世さん、さすがと言いますか。追い詰められ感、幸せ感、満たされ感、切ない感、やばい感、諦め感などなど。
ただただパパが出来て、幸せ〜!じゃないんですね。子供の頃にパパと出来なかった事を叶えるわけなんですが、実はちゃんと親も子供のことを大切にはしてたようで。
灰田がちゃんと叱ってくれたり、親目線で語ってくれたり。
灰田も理想的なパパをしてくれるんですが、最後の一言。こ、これは…?もしかして気づいてる?そしてどっちの意味?
それでも大切な息子だ、なのか。
あくまでも息子だ、なのか。
この関係を続けるつもりなら息子として付き合うのがルールになった瞬間なのかな?
ただの深読みかな?
感情を揺さぶられるお話でした。
エグいのやエロエロよりも刺さりました。
非BLなので今までノーチェックだった作品。
大人になってから、子供の頃にかなえられなかった夢をかなえる話。
この二人が、簡単に肉体関係のある恋人になるお話だったなら、普通のBLあるあるですが、春樹が恋にはしないって思いとどまるので、とても切ない夢のお話になっています。
非BLですが、優しい気持ちになれるお話でした。
確かにこれは非BL。
偶然に出会い、家族と離れて一人で暮らすおじさんと、エディプスコンプレックスを抱える青年は、疑似の親子関係を結ぶ。
まあ、現実にはこういうことはあり得ないとは思いますが、ファンタジーとして読むことができます。
動物園に行ったりと、本当に親子のようにすごす二人ですが、”息子”の奈良はゲイ。ラストでは、パパとしてではなく、灰田を好きになってしまうのでした。
一方灰田は、そういう気持ちはないのかもしれませんが、作者さん曰く想像にお任せします、と。
灰田はいつも奈良の前では優しいパパの顔ですが、奈良が眠っている間、ベランダでオス顔でたばこをふかすシーンにちょっとどきどきしました。
緒川先生の作品はいつも読み始めは苦手なもので、読んでるうちに深いなぁとわかってくるものが多いですよね。なので、こちらも最初は春樹の子供っぽさにイラっとして好きになれなかったです。(パパの方もちょっと怪しい感じがしていたのです。)
でも、最後まで読んで、春樹もパパもお互いに本当の親子関係では何かしらのしこりがあって、その反省を踏まえて、擬似親子では上手くやりたいと理想の息子、パパになりきっていて、微笑ましいような虚しいような……でも、なんかいじらしくて、私まで親目線で応援したくなってしまいました。
BLなのか?と問われたら、エロはないけどそこはかとなく…って感じです。でも、これは所謂ファザコンみたいなものにも見えるので、私としては素直に親子の愛情のお話ととりたいです。