亡き兄の恋人はΩ。そして俺はα。

コミック

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兄が遺した恋のゆくえ

ani ga nokoshita koi no yukue

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表題作兄が遺した恋のゆくえ

一樹,幸人の恋人の弟・(α)
幸人,絵描き,一樹の亡くなった兄の恋人・(Ω)

その他の収録作品

  • 描き下ろし

あらすじ

βの兄・晴樹亡き後、αの一樹は一冊の日記を携え、向日葵の咲くある田舎町に向かった。
たった一人残された、兄の恋人でΩの幸人に会うため。そして、“ある願い"を叶えるため――。
一樹は自分の性別をβだと偽り、幸人とのぎこちない共同生活をスタートさせるが…?

ほろりと沁みる、長く淡い恋の結末。

作品情報

作品名
兄が遺した恋のゆくえ
著者
 
媒体
漫画(コミック)
出版社
リブレ
レーベル
ビーボーイオメガバースコミックス
発売日
ISBN
9784799748619
3.8

(70)

(20)

萌々

(25)

(19)

中立

(6)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
19
得点
263
評価数
70
平均
3.8 / 5
神率
28.6%

レビュー投稿数19

3人それぞれの想いが形になる尊さ❤︎


短編のように、語られてる時間は短いのですが
残る余韻が素敵なお話でした。

タイトルから分かるとおり、
兄という人は亡くなり
残された2人の複雑な想いが語られるお話です。

3人を結ぶものは、
兄と弟であり、恋人であり、想い人でもあり
それぞれ違うダイナミクスを抱えながらも
それらを各々の気持ちを形にしていました。

特に良かったのは、所謂オメガバっぽい事件がメインになっていなくて、
ダイナミクスがアイデンティティにはあるけれど、なによりもお互いのことを大切にしたいという3人の気持ちの方がメインになっているとこが刺さりました❤︎

兄の恋人は、弟の想い人。というからには
早々に想いを爆発させるのかと思いきや、です。
ここは、読んでじんわりきて欲しい❤︎

ラストの静かに新盆を迎えるところまで
亡き人を悼む2人の気持ちが丁寧に語られていて、とても自然で素敵な読後感でした。
裏テーマは、「新盆」かな。
こんなふうにも描けるんですね、素敵だ…
読んで良かったな、おすすめです❤︎




0

向日葵

向日葵は、真夏の花なのに、
向日葵にまつわる作品は 何故か哀愁を伴うものが多い

βの兄、晴樹が病死。
兄の恋人は、Ωの幸人。恋人を失い、思い出から動けなくなっている。

兄も、幸人のこともずっと好きだった、一樹。
兄の葬儀の後の夏、兄の日記を持って幸人が暮らす家を訪ねる。
βと偽って、傷心で痩せた幸人に一緒に暮らすことを提案する・・

αの一樹は、ずっとβの兄とΩの幸人の恋の邪魔にならないように、
Ωの幸人から距離を置いていた。
兄も、幸人も、大好きだったから、壊したくない。

真夏に揺らぐ陽炎のように揺らぐ、一樹の長くて淡い恋。
見守ってあげたくなる結末だった。
ストーリは、名作にはいるんじゃいかな。

0

しっとりといいお話

タイトルがよく中身を表しています。
オメガバースですが、それが自然に物語りに取り入れられています。

兄の恋人にほのかな恋心を頂いていた弟。
その兄がなくなり、ひとりになった彼氏を支えようと、家に住み込みで面倒を見るようになる。
最初は邪険にしていた彼も、自分の恋心を隠して一生懸命自分のために尽くそうとする好青年を受け入れるように。。

恋人がベータで、アルファに番にされないようにと、抑制薬を飲み過ぎて体調が悪かったオメガの彼。
弟は自分がアルファであることを隠していたが、彼が幸せであればと自分の欲は抑えている。

そんな二人はどうなるのでしょうか。
決してオメガバースという設定に流されず、じっくりと二人を描いた良い作品でした。

0

兄が遺した新しい世界

 亡くなった兄の晴樹と恋人だった幸人を好きな一樹。これだけでも複雑な導入ですが、この作品はさらにオメガバースの設定も含んでいます。βだった晴樹とΩの幸人の間に、運命の番の登場に怯える気持ちがずっとあったのがしんどいですよね。個人的にはそうして運命に抗うβとΩやαとβの作品がもっと増えて欲しいのですが。しかし、晴樹は病で亡くなってしまい、残された一樹と幸人が一緒に暮らし始める。昔から幸人を好きだった一樹が兄の死に乗じたわけではなく、彼は最後まで晴樹の遺志を尊重していたんですね。一樹と幸人の距離が縮まっていくのがとても自然に思えました。

0

やさしいオメガバ

よつもじとはまた全く雰囲気の異なる作品。
それでいて、流れるようにぐんぐん読めてしまうのは変わらず。
本作は特にストーリーものだったので、ぐいぐい引き込まれました(この流れるように読めて引き込まれる感覚がたまらない。これが味わえる作家さん好きです)。上手い。

オメガバ要素が薄いのもいい。
だけれども、バース性はしっかり活かされている。上手い。

晴樹の日記の内容がわかって、晴樹がしたかったことを一樹がしてくれていたとわかるくだりはぐっときました。

三者三様の気持ちがわかって。

幸人が一樹の気持ちを確かめて、幸人も晴樹が遺してくれた言葉に応えるのもよかった。

なんと言っても、描き下ろし、膝枕からの髪さらっお手手ぎゅ…デコちゅー鼻ちゅーお手手きゅ…からのちゅーで終わるのが最高でした。上手い。
と思ったら、その場面、表紙でしたね。いい!

0

人生はうまくいかないことばかり

 ベータの晴樹とオメガの幸人は恋人でしたが、晴樹は若くして亡くなってしまいます。
 晴樹の弟一樹は、晴樹が亡くなってから二人が一緒に暮らしていた家で、幸人と同居します。一樹は亡き兄の身代わりとも思えますが、一樹も幸人のことが好きで放っておけないのです。
 幸人はアルファとつがわないように抑制剤を飲んでヒートを抑えていますが、薬の多用でいつも具合が悪いのです。
 幸人が好きなのはなくなった晴樹で、一樹が好きなのは幸人です。同じ屋根の下で亡き兄のことを理解している一樹と暮らす幸人、幸人のことが好きな一樹は、お互いに微妙に何かがずれていて、人生ってうまくいかないことばかりだなと思いました。

0

優しいオメガバ―ス

オメガバ―スなのにエロがない!
だけど、しっかりオメガバ―スでした。
こういう描き方も良いなぁとじんわり。

晴樹(β)の不安を除くためにも
抑制剤を過剰に飲んで身を守ろうとする幸人の姿から
Ωとしての辛さや春樹への想いが伺えて切ない切ない。
晴樹を失って気力がないのも…
昔からの憧れの人であることや、兄(晴樹)の想いを知って
幸人の元を訪れた一樹は2人のことが本当に大事だったんだろうな。

幸人に煙たがられながらも、徐々に昔の距離感に戻って、
晴樹の想いも一樹の想いも受け止めて前に進めたことに胸がいっぱい!!
じわじわ穏やかな物語で、ひたむきな想い、優しさが沁みました。
日常の風景、ひまわりも効いてる。

イチャイチャが見たいなぁとも思うけど
この2人はゆっくり、こういう距離感も良いのかな。

1

ひまわり

新しいオメガバースのかたちですね。
話は少し重ため。

大切な人を亡くしたという事実が幸人のやつれた表情や痩せた体でリアルに表現されていて
その姿は痛々しくツラいものがありました。
でも、亡き兄のやり残したことを完遂させるため
かつての想い人のもとへ全て隠して乗り込んだ一樹が一番辛かったんだろうな。
幸人を大切に思う気持ちは誰よりも強いのに
それをストレートにぶつけることもできない。
ヒートがきてしまっても助けることもできない。
たくさんの葛藤があることが
悩んで考え込んでしまうようなシーンから
読み取れました。

なので、幸人が一樹に寄りかかることを
決心してくれて本当によかったな、と。
走って一樹を引き止めに行ったとき
思わずこぼれた幸人の本音にめちゃくちゃ感動しました。

何より描き下ろしの幸人が最初に比べたら健康そうになっていたのが嬉しかった!
縁側の膝枕のシーンは感動で胸がふるえました。

たくさんツラいことがあったぶん、ふたりにはこの先、穏やかで幸せな日々を過ごしていってほしいなと願わずにいられません。

2

こんなオメガバースが読みたかった

あちこちからセミの声が響き渡り、ひまわりたちが背比べをしながら太陽を向き、地面がゆらゆらと揺れている光景が見えるような。
そんな、うだるような夏の暑さを感じる作品。

こちら、本当に素敵な作品でした。
あらすじにもありますが、静かにほろりと沁みわたる。
季節は真夏。初めにも書いた通り、あちこちからセミの声が響いているというのに、作品全体になぜか静謐さを感じるのは、一樹と幸人をつなぐ「兄」という存在が既に故人となっているからでしょうか。
オメガバース作品なのですが、あまり数多くは見かけないタイプの作品だと思います。
性描写はほとんどありません。むしろ不要かと思います。
人を想う気持ち、人の心の動き、遺された人、遺していったもの。
そういった繊細な部分が丁寧に描かれています。

オメガバースという設定上、どうしても性描写はつきものですよね。
もちろん、性描写が多い作品も素敵だと思います。
けれど、オメガバースという性が絡む題材を扱いながら、バース性よりも「人が人を想う気持ち」をメインに、ここまでしっかりと独自の世界観で描き切っている暮先生がすごい。
ならばいっそ、オメガバースである必要はないのでは?とも思えるかもしれません。
ですが、この作品はこの題材だからこそ活きるお話でした。
味付けがとてもお上手です。

10歳年上のβの兄・春樹と、その親友で、やがて恋人・伴侶となったΩの幸人。
そして、春樹の弟・一樹。
三者三様の想いが、夏の陽炎のように静かに揺れている。

物語は、兄亡き後、広い家に1人で暮らし続ける幸人の元へ一樹がふらりと訪れるところから始まる。
未亡人のように憔悴しきった幸人を心配し、幸人から歓迎はされないながらも同じ敷地内で暮らすことになります。
幼い頃の一樹の回想シーンがあるので、ただ単に幸人を心配してなのか、それとも…?と勘ぐってしまいましたが…
そうじゃなかった。彼はあまりにも優しい人でした。

時が止まったような草だらけだった庭での作業。
慣れない料理。いつか食べたものよりも焦げた焼きおにぎり。
誰もいない海辺で、景色を眺めながら絵を描いて語らう。

一樹の初恋がΩの幸人なこと、気付いた時にはβの兄の恋人だったこと、兄のことが大好きだったこと、自身がαであること。
すごく複雑なんです。未亡人のようになってしまっている幸人を奪いたいのかと思いきや、きっと「兄のことが好きなままの幸人」のことが好きなんですよね。
どちらのことも大好きで、少しでも幸人が安らげるのならば良いという気持ちしかないんです。
αとなってしまった自分が、βとΩである2人に近付いたら関係を崩してしまうのではと隠し続けていた一樹。
それでも幸人に会いに来て、やり遂げたいことがあった。
すべての真実を知った時、春樹・幸人・一樹、3人への愛おしい気持ちでいっぱいになる。

βであるがゆえに、Ωの幸人の元へαが現れたら?と恐れていた春樹。
Ωであるがゆえに、自身の元へαが現れたら?と恐れていた幸人。
αであるがゆえに、2人の元へ近付けないと思っていた一樹。
たった3人の登場人物だというのに、バース性の複雑さと苦悩をさり気なく描いていて、本当に上手いなと思います。
その後を読者に想像させる終わり方も好み。

ひまわりの花が印象的なカバーイラスト。
ひまわりの花言葉は「憧れ」「あなただけを見つめる」だそうです。
読み終えた時には、きっと特別なものに見えて来るはず。
タイトルまで胸に泌みる、人の幸せを願う人々の切なさと優しさがとても素敵なお話でした。

3

夏に読もう

漫画がうまい!漫画のうまさって絵のうまさだけではないから、やっぱ漫画がうまい先生の漫画は当たり前だけど面白いです。オメガバースの使い方も好き。オメガバースはどうしても性的な使い方が第一になってしまうところがありますが、人間と人間の関係性、社会との関係性で見せてくる作品が好き。

暮先生は長らく趣味で描かれていた「よつもじ。」のイメージだったので、こういう作品も描かれるんだと嬉しい驚きでした。これからも新刊楽しみです。

終わり方がいいですね。BL漫画にはありがちで、勿論自分も描き下ろしでそれがあるととても嬉しくなるエッチシーンですが、この作品に関してはなくて良かったと思えました。咲いた向日葵に一緒に添え木を当てている様が見られたことが幸せですし。
彼らがどういう関係性なのか、首に噛み跡はあるのかすら描かれません。まだ薬を飲んでいるということは…
先生の中ではあるのかもしれませんが、それもまたいいなと。

一樹の立場(職業)と年齢でてきましたっけ?気にしない方も多いのかもしれませんが、生業が気になる性分でして。この世で生きてる感が薄らいでしまう。

2

じんわりと

じんわりと心が満たされるお話でした。

オメガバースって、基本エロいのを想像してしまうのですが、こんなエロなしでじっくりと読ませるお話もあるのですね。不思議な読後感でした。

2

兄の遺した想いと弟の想いに涙

亡き兄の恋人でΩの幸人さんを想って色々行動する弟の一樹が、なぜβと偽っていたのかや、どうして幸人さんの元へ訪れたか、それが分かったときに涙が止まりませんでした。
幸人さんを想う気持ちと同じくらい、一樹は兄のことも大好きでした。亡くなってしまった兄は、後悔の気持ちを日記に綴っていました。その日記を、幸人さん兄のしたかったことを、実は一樹は一つずつしていたのです。それに気が付いた幸人さんが、最後に追いかけてくるシーン…亡き恋人を想いつつも、"どうかしあわせに"と、恋人の自分(幸人)を思いやってくれる気持ちと向き合って、一樹に側にいて欲しいと告白するのですが、兄の一番の願いが叶った瞬間のように感じました。確かに恋人が自分が死んだ後、別の人と幸せになるのは、正直複雑かもしれません…それが本音なんじゃないかなと。でも、純粋に、兄の想いを、素直に受け取って、閉ざしていた心を誰かに開こうとする幸人さんの勇気に、感動しました。生きている人の幸せを、願う人に私もなりたいです。
幸人さんと一樹が、今、幸せになれて良かったです。

6

静かなオメガバース

暮先生の漫画で行為シーンを想像できなかったので、オメガバースで大丈夫なんだろうか?と思っていました。
読んだあと、そんな不安は吹き飛んでいました。
やはり行為シーンはありませんでしたが、しっかりとオメガバースの物語でした。

とても静かで、切なくなるオメガバースでした。

一番切なくなったのは、タイトルの意味を理解したときです。
亡き兄のΩであった受けを好きな気持ちを持ったまま、兄のやりたかったことをこなしていく攻め。
どんな思いだったのだろうと想像すると、切なくてたまらなくなります。

また、やつれている受けの描写がほんとうに上手なんです。暮先生の絵は、ちょっと枯れた人物を表現するのに適した絵柄だと思いました。

兄が残した恋のゆくえがどうなるのか、ぜひ読んでみてください。
描きおろしの最後、受けから手を握り返した描写が全てだと思います。

4

βxΩ、そしてα。想いは何処へ

あらすじにある通り、死んだ兄の恋人と弟の物語。
そして表紙から示唆されるように、そこには何らかの恋の気配…
とは言っても、兄・晴樹の死からまだ半年。
恋人の幸人は未だ憔悴の中。
そこにやってくる晴樹の弟の一樹は、幸人と暮らすという。
表向きは、心配だから。
でも実は元々幸人に惹かれてたから?だから自分が支えたいと思ったから?そしてそのまま自分と…と考えたから?
確かにそんな風にも読める序盤です。
しかし、やはり弱みに付け込むような状況になりかけて、一樹は幸人に晴樹の日記を渡して自分から去ろうとします。
その日記に書いてあったのは…

…その部分を読むと、一樹は何も幸人とどうこうなんて思ってなくて、兄が大切だった、兄の宝だった幸人が大切だった、そんな思いでいたのかな、という解釈に傾いていきます。
そこに絡んでくるのがαとΩという性で。
本作では生々しい発情とそれに伴うであろうエロ/性交などは描かれていません。
しかしながら、これからは一樹と幸人は??という暗示はある。ただ…ただね、これ正にオメガバースが厄介だなと思うのね。
一樹もβだったら何事も起こらないわけでしょ?
なのに一樹はαだから、次のヒートでどうにかなるかも?なわけで。
その性に従って抗わないのもありなのかな…
ただし、晴樹は一樹が幸人の相手になるのを是とするのかしらん?
その切なさも感じさせる。

3

未亡人、、、

同作者さんの「よつもじ」がとっても良かったので、タイトルとカバーイラストの雰囲気だけで購入したら、あら?オメガバースだったのね。
うん、オメガバース、はやっているもんね。
ちゃんとオメガバース設定がいかされている、オメガバースの作品だね。
で、子供のころから憧れて、恋焦がれていた年上の人が未亡人になって、、、
っていうお話なんだが、
基本、年上受けは好きなんだけど、これが、兄が亡くなっての未亡人となると、ちょっと微妙。
絵の雰囲気とかは好きなんだけど、萌としては萌ひとつで。

 

1

こういうオメガバがあってもいい。

『よつもじ。』の暮先生のオメガバース。
前作でも優しいお話をお描きになる先生だなあと思いましたが、今回もとても切なくて優しいお話でした。

βの兄・晴樹が愛する人だったΩ・雪人。
「αを誘惑しないために」と過剰な抑制剤を摂取し
β×Ωとして人が少ない田舎に一軒家を構えて暮らしをしていた。

そんな折、兄が病で亡くなった。
鞄の底にひっそりとあった一冊の日記を携えて
弟の一樹が昔馴染みの幸人のもとを訪れる所から始まる話。

切なくて優しくて、心に沁みる作品でした。
オメガバース作品にあるヒートセックスや番になる行為など
過激な描写は一切ない。
人によっては物足りなさを覚えるかもしれないけど
こういうフラットなオメガバースがあってもいいと思う。

夏空と咲き誇るひまわりとΩとα。
夏の暑い日差しと熱を感じるようでした。

痛いけど優しい物語。梅雨明けのよく晴れた日に読み直したい。

5

弱みにつけこんじゃいけませんか

それだって全てあなたを思う心なのです。

そんな言葉が頭に浮かびました。

悲嘆にくれる背中を撫でたいと思うのも、
自分を偽ってでも側にいたいと願うのも、
一人ぼっちの姿を見るのは辛いから。

夏の縁側で膝枕をした恋人の頭を撫でる、なんてことない日常、
あぁ幸せですね。
『また来年』って気軽に未来の約束をしてほしい2人です。

じんわり切なく、じんわり涙の出る優しい作品でした。
よく晴れた青空の、鬱陶しいくらいの夏にどうぞ。

5

この恋の結末を見届けたい

亡き兄の弟と、兄の恋人との切ないオメガバース。
タイトルから兄が亡くなっていることは分かっているのですが、兄の恋人だった幸人の憔悴してやつれた姿を見た後、二人が幸せだった頃の回想…もうね、これだけで泣けちゃいました( ;∀;)
愛していた晴樹(β)を亡くしたあとの幸人のやつれっぷりがリアルで、胸を締め付けられます。

これは兄が残した日記をもとに、弟・一樹(α)が兄のやり残したことを叶えようとするお話です。
一樹の行動全てが幸人のためであるのです。
αを恐れるβの兄のために、自分の性を隠し続けた一樹の健気で一途な想いが胸を打ちます。

そして、最期に兄が一番望んだこととはーー…?
愛されてなくてもそばにいたい。
兄を忘れなくてもいい。
この想いに幸人は応えるのか……?
恋のゆくえ、結末を見届けて欲しい。
読者が望むきれいな形ではないかもしれないけど、だからこそ一樹の愛を感じることができます。

βとΩが一緒にいることの難しさを感じ、生きているからこそ誰かを幸せにできると実感できる作品です。
単巻なのでちょっと物足りなく感じてしまいましたが、これからくる夏を先取りするような季節感、読後感は清々しいものがありました。
エロなしのオメガバースは希少だと思います。

それにしても、一樹は何をしている人なんだろう?

9

β×Ωカップルの障害

淡々と過ぎる時間の中に淋しさが入り交じるお話でした。

タイトルから察せられるように、
亡くなった兄が遺した想いがキーとなり
残された伴侶と弟の様子が描かれています。

α・β・Ωの性質と関係が切なかったです。
ハッピーエンドですが心理面がふわっとボカされてる気がしたので
萌え評価で上げます。
そう感じたのは単純に私がバッ!グワッ!みたいな
わかりやすいのを好むせいかもしれません;


さてさて。
あらすじには「恋人」と書かれているけれど
結婚していたので未亡人と義弟の関係かな…?

兄が遺した日記を読んだ一樹は兄の伴侶・幸人が暮らす家へ行き
半ば無理矢理同居生活をスタートさせます。

幸人から歓迎されていないのは承知しつつ
庭の手入れや不格好な食事、時には幸人を外に連れ出します。
幸人は次第に笑顔が見られるようになっていきました。
けれどある日発情した幸人に一樹は襲いかかろうとしてしまいーーー。

なぜ一樹はβだと偽っていたのか。
なぜ一樹は突然家を訪れたのか。
兄が遺した最期の言葉。
それらが交錯しあって展開します。


兄と幸人はβ×Ω。番に出来ません。
幸人はずっと発情に苦しみ続けるし、
万が一、本能で惹かれるαに出会ってしまったらーーー。

αには奪われたくない兄の気持ち。
兄以外の人間に惹かれたくない幸人の気持ち。
これだからβ×Ωのカップルは切なくてシンドイですね!
2人が暮らした大きな家は外界を遮断した箱庭のよう。

幸せに暮らしている時間の描写がほぼないせいか
酷く淋しい箱庭に見えました。
2人は幸せを守るために身体に負担をかけていて。
結果的に兄は若くして病に冒され、
幸人も遅かれ早かれ危機が訪れてたと思います。
そういう少しの歪みが所々垣間見えてシンドイ…。

だから一樹は本当のことが言えなかった。
一樹は幸人が好きだけど兄のことも大切で。
そういういじらしさに切なキュンキュン…!!

最終話で兄が遺した日記の内容が明らかになり
最期の一文はグッときました(;///;)

幸人が一樹になびいたのは淋しさが大きかったのかな…?
一樹のひたむきさが終始感じられたのでほだされたのかもしれませんが。
一樹になら…と思えたんでしょうかね?

あまり幸人は多くを語らないので読む解く力が必要なんですが
如何せん私は読み解きが得意でないのでこんな感想ですみません;

どんよりしていた家が明るく感じられるようになったのは良かったです!

6

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