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年上が受けにまわることが多い草間さかえ作品ですが、こちらの本はショタが出てくるお話が多いです。
普段あまりショタものは好んで読まない私ですが、こちらの作品は楽しめました。
まず表題作の災厄のてびきですが、売れない小説家×中学生のCPです。
作中で中学生の幸宏は高校生になりますが、それでも体が幼くショタというジャンルに入ると思います。
幸宏は火に興奮する性癖を持っているということで少し構えていましたが、生意気で可愛い少年でした。
幸宏は女々しくもなく、可愛いだけのショタではないのが良かったです。
そして攻めの平尾さんが好みドンピシャなおじさんで……。
私、草間先生が真昼の恋で描かれた五十嵐課長のような、油っぽくなさそうなおじさんが好きです。
冴えないおじさんと生意気な中学生のCPは、ショタを読まない私でもあまり違和感なく楽しめました。
次のお話は理容師×お客さんのサラリーマンCP、コメディチックなノリの楽しいお話でした。
年上リーマンの表情がエロいです。
そしてこのお話には書き下ろしもあります。
年上リーマン、チョロくて可愛い!
ピンナップ・スタアは主人公の弟に片思いしている同級生の少年と主人公の兄のお話です。
高校生のお話ですが、こちらも受けのキャラの体型が少し幼くショタものの範囲に入るかもしれません。
少し切ないお話でした。
雨のち晴れ、ところにより雪は、恋人と喧嘩した受けが恋人に殴られ傷だらけの攻めを味見する話です。
円満不倫という感じで二人の間に恋愛感情はありません。
傷萌え属性のある方は楽しめると思います。
そしてこの本の中で一番良かったのは次の話、ばんごはんでした。
かなり小さなショタと高校生くらいの子と大人のエロシーンもありますが、萌えというよりは歪ですが温かいお話です。
この本はカバーを外すと災厄のてびきシリーズのちょっとした漫画や短編に出てきたキャラのイラストが描いてあり、満足感も大きいです。
草間さかえ先生の作品は、温かみのある絵柄もあいまって読んでいてとても癒されます。
ショタ相手にもしっかり性描写があるので、苦手な人はもしかしたら楽しめないかもしれません。
しかし読後になんとなく前向きな気持ちになれるこの短編集は、神評価とさせていただきます。
追記 改訂前の本との違いについて
中古書店で絶版になっている改訂前の災厄のてびきをゲットしたので見比べてみました。
大きな違いはこちらに入っているばんごはんと描き下ろしが収録されていないこと、口絵、あとがき、裏表紙のカバーとカバー下の絵が違うくらいでしょうか。
新装改訂版の方で目次と一緒に描かれている絵が、改訂前の本ではカラーで裏表紙になっています。
表紙はそっくりに書き換えられていますが、細かいところに違いがあり見比べるのが楽しいです。
修正は一箇所こちらの本で足されているのを確認しましたが、その他の修正や絵にはおそらく違いはなさそうです。
細かいところだと、文字の位置や書体などが所々変わっているようです。
見落としなどもあるでしょうが、こんな感じだと思います。
初出が同人誌だけにエロがっつりだし、絵も本来は自分の趣味ではない系統なんですが、良い間があって、心地良いリズムで進むこともあってすごく好きです。
サクっとした独特な絵柄ですが、基礎がないとできない描き方なのもポイント。
あと、この人の書く作品のキャラって変態だし淫靡。浮世離れした感じ。
でもその人物の気持ちの揺れ動きとか葛藤が理解できるのが不思議。
【6・3・3再録】に収録の「てびきの補項」もあわせて読むことをおすすめします。
大好きな草間さんの初コミックス。
初読みが「マッチ売り」の新参者なので遡って読んでいるのですが、初期はショタっぽい絵柄だったのですね。
マイ神草間さんとはいえど、自分には悲しいかなショタ属性が全くないので通常ならば星一つ減らすところですが、「ピンナップ・スタア」が収録されてるので矢張り満点で!
この短編の三角関係が切なくてたまらないです。
主人公と主人公の兄に弄ばれている主人公の友人。
兄は何考えているか分からないし、友人は主人公が好きという事になっていますが、友人は兄が好きだし、主人公は兄が好きな友人が好きなんだろうなあという結末でした。
兄は、もしかしたら自分の弟が好きなのか、弄んでいるその子が好きなのか。
どちらにしても、何も成就しない切ない関係には変わりないですね。
この切なさがたまらないです。
草間さん初コミックス。
表題作4話。他短編4編+おまけが収録されています。
未読の草間作品を漁っていて、何も知らずに手にしたのでえらく驚きました。
まず線が太い。
強弱があるのではなくて、すべての線の主張が激しくてかなり読みづらかったです。
でも表題作と最後の短編以外は比較的読み慣れた絵に近かったかも。
そして……まさかのショタ。
草間さんはメンズラブというイメージを勝手に持ってしまっていたので、ガチの子供だ!とビックリ仰天。
ショタ物として割り切って読んでいないので、いけない物を読んでいる感じも半端なかったです。
初めは引き気味だったのですが、でもやっぱりストーリーが面白いんですよね。
え?え?と戸惑いつつ話が展開していき、最終的にまるく収まるという、これはこれで面白かったなと納得してしまいました。
浮気や覗き、3P(NTR風味)など冷静に考えたら平常心で読めないような内容ばかりなのですが、登場人物達がお互いを受け入れているのでこちらも自然と受け入れてしまいます。
変な倫理観を挟んでいないので、”そういう人達”として読むことができました。
浮気物は地雷なのですが、初めて「イイ!」と思ってしまった…
のほほんとしたお話もあるのですが、それが吹き飛んでしまうほどエッジのきいたお話が多かったです。
商業デビュー作ということで、絵が違うことにまず驚き。
草間先生と言えば大人同士の恋愛、年下わんこ攻めというイメージで、エロのイメージもショタもののイメージもなかったのですが。
表題作の受けは中学生。なのに、出会ってすぐにすることしちゃってて驚きました。こんな作品を描かれていたとは!
草間先生の作品でこんなに修正が必要なのって、あまりないのでは。
攻めはバツイチの売れない小説家。
個人的におじさん✕少年の組み合わせが好きなので萌えてしまいました。駄目だと思いながらも遥かに年下の受けに翻弄されるいい歳したおじさん、というのに弱く、ついついニヤニヤしてしまうのです。
放火事件が絡むので、刑事さんも出てきたりして途中ハラハラしましたが、ふたりは仲よしなままで一安心。
同時収録作品の「ピンナップスタア」。これも好みでした。
主人公→主人公の友人←主人公の兄の三角関係。
こっちはそれぞれのキャラの片想いが交錯する、かなり切ないお話です。
が、やっぱりショタ受けになってますので、苦手な方は避けるのが無難かと。
中にはコミカルなお話もあるにはあるのだけど、全体的に独特の空気感と背徳感があって、私は好きでした。