• 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作バイオリニストの刺繍

館原新良
26歳,ヴァイオリニスト
吹野響
29歳,刺繍作家

その他の収録作品

  • 刺繍作家のヤドリギ
  • あとがき

あらすじ

天才ヴァイオリニストの館原は、逃亡先の軽井沢で一人きり静かに暮らす吹野と出会う。
正体を隠して彼の別荘に住み着くうち、もの言わぬ吹野のさみしさに触れ、惹かれてゆく館原だが……?

作品情報

作品名
バイオリニストの刺繍
著者
砂原糖子 
イラスト
金ひかる 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784403525322
4.1

(51)

(21)

萌々

(20)

(9)

中立

(0)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
10
得点
212
評価数
51
平均
4.1 / 5
神率
41.2%

レビュー投稿数10

音楽を聞きたくなります。

こちら珍しい、最後まで攻様視点のお話。

攻様は、新進気鋭のバイオリニストの館原。
スランプ気味でマネージャーから雲隠れし、空き家だと思って入り込んた別荘。
そこに一人暮らしをしていたのが、受様である聴覚障害者の吹野。

吹野に空き巣と勘違いされ、フライパンを突きつけられた出会い。
ツン多めの愛想なしな吹野に、館原は可愛げがないと思いつつも構うのをやめられない。

めんどくさいけど、吹野ならいいか、と思うようになり、いつしか音楽を届けたい、と願う。


最初は館原ってば子供、というか、音楽の世界で寵児としてもてはやされてきた高慢さが鼻につくように感じまして。
無神経で強引だなぁ、とあまり好みではなかったのです(^_^;)

でも、いつしか吹野へ音楽を届けたい、と館原の必死さがはなまるになりまして。
あれくらい必死で強引だったからこそ、吹野に届いたのでしょうね。
演奏の描写が美しく、聞いてみたくなりました。

ひっそりと白い布地に白い刺繍。
密やかな吹野の想いにホロリです。

0

攻め視点の情熱的な愛のストーリー

もう、良過ぎてどうやって何からレビューを書けばいいのやら…

『心を半分残したままでいる』で涙が止まらなくなった(というより号泣)砂原糖子先生の作品。

タイトルからして秀逸すぎて、読み終わった後表紙を見返すともう、胸がきゅーーっとします。

(以下、内容に触れます)




他の方もおっしゃっていますが、タイトルが「バイオリニスト”と”刺繍」じゃないんですよね。
世界的バイオリニストの館原(攻)× 耳の聞こえない刺繍家の吹野(受)。
そんなバイオリニスト館原 ”の” 吹野。情熱的な恋に落ちた館原の見せる、独占欲。
作中後半にも、「この人は俺のもの。」という印象的な一文が出てきます。
やっとやっと、吹野の本音を確かめることができた喜びに震える館原の心情が痛いぐらい伝わってきて、読んでいる時ドキドキが止まりませんでした。

クリスマスの、施設での館原のコンサートシーンが特に好きです。
聞こえない吹野に対して、懸命に愛を伝えようとする姿が伝わってきて…
館原が奏でる音が聞こえない吹野に、どのようにして曲の調べを伝えたのか?
これはもう、ぜひぜひ読んで確認していただきたいです・・

バイオリニストという、「音を聞かせる」ことを生業とする館原と、耳の聞こえない吹野。
対極に位置し、混じり合うことのないように見えるこの2人が作中で、海に例えられています。

南国のラグーンと、都市の港湾の海の色。
全く違うように見える二つの海も、どこかで繋がっている。「違っていて、同じ」なのだと。

聞こえない自分のために手話を勉強するなんて”無駄な時間”だと訴える吹野。
でも館原にとって、砂原に関して「無駄になること」なんて一つもない。吹野がいてくれること、館原に影響を与えること、それら全てが愛おしいのだと伝える館原に全私が拍手喝采したし、泣きました(心の中でこっそり)。

あとがきを読むと、砂原先生ご自身もバイオリンを嗜まれているようで、作中にも印象的な場面で色々な曲が出てきます。
恥ずかしながらクラシックには詳しくなく、曲名を見てもどんな曲かパッと浮かんでこなかったため、YouTubeで検索し一曲ずつ聴きながら各シーンを読む‥という、なんとも贅沢な時間を楽しませていただきました。

そうそう、あとがきの後にひっそりと載っていた、「館原の帰国を軽井沢で待つ間の吹野」のイラストがもう可愛すぎて可愛すぎて萌えが爆発しました。
雪だるま作ってたのね…ハート飛んでるね…可愛いね。ああああ。とにかく、語彙力が失われるほどの破壊力ある可愛さですので、ぜひ見ていただきたい。

あと、こちらの作品、全編攻め視点なんですよね。遊び人だった攻めが本気の恋をして悩み苦しむ姿っていいですよね…←

受け視点の続編も購入済みなので、これから徹夜で読み耽りたいと思います。

これからクリスマスを迎える今の時期にぴったりのこちらの作品。
ぜひ、多くの方に味わっていただきたいなあと思いました・:*+.

0

3歳で音を失った恋人の心を掴みたいバイオリニスト

電子版発刊後すぐに購入。
続編が出たので、再読。下書きのままだったので遅れてレビュー。

音が聞こえない人との意思疎通を努力する恋人の葛藤
色々調べて書いた著者の努力を感じてしまった。
二転三転流れが変わり、引き込んでいく構成が上手い
「言ノ葉ノ世界」もそうだけど、内面描写する言葉選びが上手いと思う。

もっと評価が上がってもいいんじゃないかと思うけど、 
BL小説の中で小説らしい作品って目立たないのかも。



天才の孤独
音のない世界で生きる孤独、
寂しさの種類は違うけれど、二人は理解しあっていく。

★音は肌で感じる事が出来るそうで、
椅子全体にスピーカーを仕込んで振動で聴かせる会場がある。
聴こえない人がコンサートに行くことを意味がないと私も思わない。

2

ツンデレ好きには堪らない

ツンデレ好きな読者には堪らない作品だと思います。それと、恋心がなかなか収まるところに収まらなくて焦ったいお話が好きな方にも。

私としてはですね、実はツンデレも焦ったいのもそんなに好きじゃない。ハッキリと言い切っちゃってすみません…

だから萌え2の評価ってわけじゃないんです。好みじゃない設定だから神評価からワンランクダウンしとこか。って言うネガティブな意味じゃなくてむしろ逆。好きじゃない設定の作品なのに、読んでみたら面白くてスルスル読めちゃったよ。のポジティブな意味の方が強くて萌え2評価にしました。

ツンデレも焦ったいのも、短気な私からすると期待値はそんなに高くなくてですね、評価スタート地点は「萌え1」か「中立」です。減点方式じゃなく加点法式です。
好みじゃないなら読むなよって言われても仕方ないかもですが、あまり読んだことがない作者さんの作品は積極的に読みたいなーと思っていて、設定のイメージだけで判断して作品との出会いをあまり潰したくないなと。

近々この作品の続編が刊行されると聞いて興味を惹かれたのが手に取ったキッカケですが、読んでみるとなんとまぁ。ストーリーの流れや文字の運び空気感やテンポがすごく良くて、面白いほどサクサクと読むことが出来ました!


ちょっと上から目線のバイオリニストと難聴の青年との恋が、軽井沢の別荘地という舞台効果もあり素敵に描かれています。ひょんなことからバイオリニストの館原が吹野の別荘に転がり込み、不思議な同居生活が始まる出会い。2人のコミュニケーション手段はもっぱら吹野のスマホの画面の中です。なかなか意思疎通をするにはうまくいかないけど、館原は吹野との生活に居心地の良さを感じていくっていうストーリーです。

有名なバイオリニストの館原はあまり良いキャラとは言えなくて、結構自分本位な感じがみてとれます。私もあまり好きじゃないな…と感じていたんですけど、恋すると人は変わるんですね(笑)吹野に惹かれていることもあるでしょうが、耳の聞こえない世界を考えたり、音楽とは何か。どうあるべきかを考え直したり見つめ直すキッカケを見つけたりして、館原の人間味がすごくいい方向へ向かっていきます。

吹野に対する恋についても一生懸命で、最初の館原の感じとは随分違います。思いやりや優しさのレベルが爆上がりです。
それに対して吹野はツンデレで対抗するので、これがまぁうまくいかないのが焦ったい。お互いに身体は結ばれてるのに吹野に正式な恋人同士認定されてないよ、みたいなね。

どうみても想いは一緒じゃんと思うのですが、館原が有名音楽家で自分はハンディキャップがあることへの引け目なのかな…2人の気持ちがピタリと合わさらなくてヤキモキします。まあ色々とありますが、落ち着くところには落ち着くのでご安心を。
途中なかなか事が運ばずハラハラしますが、それも含めて楽しめる作品かな〜と思います。


私の好きな設定のお話じゃなかったけど…と先に言いましたが、私はこの作品素敵だなと強く思います。
途中何度か泣きそうになりましたし、文章がとても美しいです。館原が音楽家であることになぞらえて旋律のように綴られる文字の調べが心地よく心に落ちてきました。

これは続編もぜひ読んでみたい!
発売日が目の前なので楽しみです。

5

受け視点が欲しい。

発売当時に読んだものの、うまく感想がまとまらず……。
一年経て再読したら何かまとまるかもと思ったけど、やっぱりまとまらなかった。

・軽井沢の雰囲気が素敵。

・あとがきによると「受けの吹野は微ツン」とのことだけど、微かぁ??と思ってしまった。
かなりなツンだと思うんですよね……デレもほぼないし……。
私からすると手強いツンツンって感じです。
現時点の属性は、「意地っ張り 女王様 美人 強気」ですしね。

私自身の吹野のイメージは、女王様というよりも、強固な殻に閉じこもっていてなかなか懐かない、素っ気ない、頑な、という感じでしょうか。
殻に閉じこもっている理由は理解できるけど、攻め視点、かつ喋らない吹野の気持ちがわかりづらいので、いまいち吹野に感情移入しづらい。
後半が受け視点だったら良かったのになぁと思いました。
(ディアプラス夏号でその後は読みました)

・後半は攻めが恋するお花畑男となってる。いいぞ!

・超絶美形がシベリウスのコンチェルト弾いてるとか、想像すると萌える。

3

この作品が収納されている本棚

ちるちる評価ランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP